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地域振興・六次産業化のお手本? 山梨県甲斐市の耕作放棄地のサツマイモで造った焼酎「大弐」

2017-02-13 12:04:25 | 附属酒類経済研究所
                           
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そんなにプンプンしなくても、、、、、、




今、こんな本を読んでいます。





地域再生の失敗学


amazonの内容紹介はこんな感じ。

地域再生の歴史は、失敗の歴史だったと言っても過言ではない。しかし今、その地域再生の成否に、日本の未来がかかっている。これまでの試みが失敗してきたのはなぜか。本当に必要とされているものは何か。(中略)
毒まんじゅうのように地域を衰弱させる口当たりのいい政策にだまされないための「正しい考え方」と、地方がこれからとるべき選択のヒントを示す。


その通りの中身なのですが、公共事業や補助金が地域再生にどれだけマイナスか強調されています。




昨年暮れ、プライベートで勝沼(甲州市)のワイナリーを巡ったのですが(関連記事)、事前の情報収集の際、お隣の甲斐市では逆張り?的に特産物として焼酎を造っている、というのを知りました。


その焼酎は「大弐(だいに)」。地元の黄金千貫で造った芋焼酎で、甲斐市出身の思想家・山県大弐(すいません!存じ上げません。。。、)にちなんで名付けられたそうです。


甲斐市役所の肝いりで造られたようで、市のホームページの広報誌にも出ています。





そんな焼酎「大弐」ですが、考えさせられるニュースが出ていました。


田中泯さん「まあ、飲めし」…市が芋焼酎でCM

「大弐だいに」のCMを作り、県内の民放のテレビ2社とラジオ1社で23日から放送する。
自治体がCMを制作するのは珍しく、担当者は「味には自信があるので、CMを見た多くの人に飲んでほしい」と期待している。




甲斐市さん、力が入っていますね。

地元出身の思想家・山県大弐にちなんで名付けられた「大弐」は、市内の遊休農地を活用するために栽培されているサツマイモ「黄金千貫こがねせんがん」と、市内の地下水で造られている。2012年度から販売され、全日本国際酒類振興会が昨年行った「春季全国酒類コンクール」の芋焼酎部門では、「芋本来の香りと甘みが生かされ、すっきりとした飲み心地」と評価されて1位に輝いた。

甲斐市は、大弐の売り上げが伸びれば黄金千貫がより多く栽培されるようになり、遊休農地の減少にもつながると判断。国の「地方創生加速化交付金」(960万円)を使ってテレビ用のCMを制作した。

(以下略)


なるほど、遊休農地の活用、あるいは耕作放棄地対策としての焼酎造りなんですね。

調べてみると、これ、甲斐市が取り組んでいる遊休農地を利用した様々な事業の一環として栽培されたサツマイモを利用し、長野県の蔵元さんに製造を委託したもので、2013年から発売されてきたようです。



初年度の2013年は1,500本を販売し予約開始2日で完売。

それに気をよくしたのか、翌2014年は3,000本を販売、さらに2016年は4,800本と右肩上がりの伸び。

上掲した広報誌によれば2017年は6,500本の販売予定ということです。うらやましい限りです。

市内のお店を中心に売るようですので、いわゆる「農業の六次産業化」ってやつです。

時流にも乗っているし、自慢の孝行息子という感じなのではないでしょうか。


しかし、です。

先ほどのニュースにはこうありました。

国の「地方創生加速化交付金」(960万円)を使ってテレビ用のCMを制作した。

これ、要は税金ですよね。しかも960万円


この焼酎の小売価格は1,334円(税抜)で販売予定数が6,500本ですから、全部売ったら1,334円×6,500本=8,671,000円、、、、


小売総額よりも高いコストをかけてCMを作成しているとは!



もちろん、焼酎のCMを通じて自治体の認知度アップ、という言い訳はあるでしょうが、、、、

元々サツマイモが栽培されている地域ではないようなので、その辺りにも補助金が投入されているでしょうし、CM以外の販促にも公費投入の可能性は大。

ふるさと納税の返礼品にも使われていますので、ここでも公的なサポートが。
(見方を変えれば、まだ前年の在庫があるということなのでしょう。。。)


「きっかけ」としての公費投入ならまだしも、数年たってもこれでは。


「CMを打った」こと自体でニュースでも取り上げられましたし、このニュースやCMをきっかけに売り上げも伸びれば、「遊休農地の活用」「特産品の開発」「6次産業化」と、自治体も鼻高々なのかもしれませんが、結局これって税金を使った「地域興しごっこ」ではないでしょうか。

本当に稼げたのは、CMを受託した広告代理店だけだったりして、、、、。



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