まだ決定の話ではありませんが、小沢民主党幹事長の政治資金管理団体「陸山会」の不正経理問題に関して逮捕されている石川衆議院議員の拘留期限が明日で切れることから、石川議員の起訴と同時に、小沢氏の起訴が注目されていましたが、報道によれば、小沢氏については不起訴の方向とのことです。
つまり、起訴し公判を維持できるだけの証拠を掴むことが出来なかったということです。前から書いているように、小沢氏に管理責任を含む責任がないかと言えばそんなことはまったくないと思いますが、前々から本人が「刑事責任を問われるようなことはしていない」と言っていたようになったということです。昨年の西松建設の違法献金事件も小沢氏をターゲットとしながら、秘書を起訴するだけに終わり、玄人筋からも筋が悪いと酷評されましたが、今回の事件も政権与党の最大の実力者を二回も聴取し、政権支持率に大いなる影響を与える騒動を巻き起こした挙句、結局不起訴という結果は、検察の敗北ということだけではなく、国政への影響を与えたという点で責任重大です。つまり、どこまでの確信をもってこの捜査に着手したのかが問われます。本当に起訴できるという心証をもって捜査に臨んだのか、叩けばボロが出るという程度で捜査に入ったのか、どちらなのかです。報道から伺える捜査過程を見る限り、確信をもって捜査に臨んだとは到底思えません。検察も表立っては何も言わないでしょうが、内部的には猛省すべきでしょう。
一方、小沢幹事長は、頭のいい人ですし、過去に田中角栄、金丸信という二人の師匠が検挙された経験から、何が罪に問われるのかは十分に熟知していたでしょうから、今回は相当の自信をもって検察に対峙していたのではないかと想像されます。たとえば、政治資金の不記載の問題なども、管理責任はありますが、最初から秘書との間で報告・相談は不要というような取り決めをしていたのかもしれません。どんなに堅い絆で結ばれた秘書といえども、厳しい捜査で本当のことを言ってしまうかもしれません。しかし、本当に報告していなければ、嘘を言わなくてもいいわけです。管理者としての責任としてどうなのかと思いますが、これなら法的なガードとしては完璧です。
実際のところがどうなのかは分かりませんが、この報道通りなら、これで鳩山首相、小沢幹事長のお金の問題については、ひと段落つくことになります。そして、夏の参議院選挙に向けての戦いが始まることになりますが、支持率は下げても、自民党の存在感の低下を考えると、民主党が過半数を制することは揺るがないでしょう。その後に民主党が、どのような党になっていくのか、自民党が本当の総括が出来るのかが、その後の焦点になってくるのではないかと思います。