今日野球から帰って、バンクーバー五輪のカーリング予選を見ました。カーリングは、前回のトリノ五輪で注目を浴びましたが、しっかり試合を見たのは今日が初めてかもしれません。スポーツというよりは、ストーンに当てずにいかに中心近くに置くか、どこのストーンを当てどれをはじき出すのかなど、複数の選択肢から戦略を考える高度なゲームで、まるで将棋やチェスのようだと思っていたら、まさに「氷上のチェス」と呼ばれているそうです。
幸先良くアメリカに勝利したものの、強豪のカナダ、中国に敗れ、10チームで4チームが決勝に進むには負けられない局面でした。今日の相手のイギリスも、ソルトレイク五輪優勝の強豪だそうで、今日までの予選4試合をいかに戦うかが非常に重要だということでした。
そして、今日の試合は解説者の人が何度も「日本カーリング史、いえカーリング史に残る激戦です」と言っていましたが、素人目に見ても、息詰まる熱戦でした。しかし、中盤以降試合が白熱するにつれ、解説者も熱くなり「イエス、イエス、イエス、パーフェクト!」「よし、よし、よし、よし、よーし」とまったく解説者ではなくなっていました。しかし、それくらい熱い試合だったのだと思います。
カーリングとは野球のように先攻後攻でストーンを8回投げ、円の中心にストーンを置いたチームが得点し、10エンド(10回)まで行い得点を競うスポーツです。冒頭述べたように、非常に戦略性がものを言うスポーツですが、傾向としては、後攻有利、最後に投げる(ことが多い)スキップ(主将)の重要性が高いということだそうです。
そんな中、イギリスのスキップは若干19歳の選手でしたが、これがまた憎いほど正確なショットで狭い隙間を通して、ストーンを思ったところにコントロールして置いたり、 はたまた自らのストーンに当ててはじき、日本のストーンをはじき出したり、精密機械のような正確さでした。
一方、日本のスキップ目黒選手も負けじと正確無比なショットを放ち、得点をあげるのが難しい先攻時に得点をあげたりしました(スチールと言うそうです。テニスのブレークポイントですね)。そして、6対4で、日本が後攻での2エンドを残した第9エンド、日本チームは冷静に大量点を取られない作戦に出ました(後攻有利ですから、攻めにいって逆転されて大量点を取られるリスクは避けるのがセオリーだそうです)。イギリスもそうはさせじと反撃し、迎えたスキップの時に日本はタイムを取り、チームで最後の一投の作戦を議論しました。ここでもポイントは「一点を取られてもいいから、二点を取られないように相手のストーンをはじき出す」でした。守りのようですが、いわば攻撃的防御ですね。
そのように二点を取らせまいとした日本のスキップ目黒の放った最後のショットは、見事自らのストーンに当てて相手のボールをはじき、1個どころか、2個ともはじき出し、一気に5点を獲得するスーパーショットとなりました!!!この時点で、1エンドを残して、7点差。1エンドで理論的には8点とれますが、現実的にそんなことはあり得ないので、イギリスがギブアップして、日本の圧勝となりました。本当に、オセロゲームのように、それまで拮抗していた局面が裏返しになってしまうのだから恐ろしいものです。
これで日本チームは、強豪相手に2勝2敗でしのぎました。しかし、まだ強豪スウェーデンもいますし、スイスやデンマーク、ドイツなども強そうですし、期待はかかるものの、まだまだ厳しい戦いは続きそうです。それでも、がんばれチーム青森改めクリスタル・ジャパン!