横浜ベイスターズの身売り話が話題となっています。親会社であるTBSの経営状況が悪化していることから、こうした話が出ているわけですが、子会社の業績が良ければ手放すわけはないのですが、実際は宣伝費という名目で多額の補てんをしているのが実態であり、ギリギリの経営状況の企業には許されない「道楽」となっているのでしょう。
最近厳しくなっているもののいまだ人気球団である巨人や、身の丈にあった経営を続ける広島東洋カープなど実質黒字の球団はわずかであり、ほとんどの球団が、親会社から20~30億円の宣伝費という名目の補てんを受けています。
娯楽が少なく、プロ野球が絶大な人気を誇った高度成長期には、実際に宣伝効果があったからこそ、新聞社や映画会社、鉄道会社などが球団経営をこぞって行ってのでしょう。しかし、こうした成熟産業にとっての宣伝効果は現在はかなり低下しており、最近新規参入をしているのは、ソフトバンク、楽天などIT企業です。これらの新興企業にとっては、まだまだプロスポーツチームを所有し、マスコミに露出することによる宣伝効果があるわけです。
TBSは遅ればせながら、球団経営に乗り出しましたが、遅きに失した感があり、双方にとってまったくメリットがなかったのでしょうね。ソフトバンク、楽天の両チームは、いろんな意味でチームに変化がもたらされましたが、横浜ベイスターズは、親会社が変わったことによる清新さはまったくなかったですね。一方、TBSにも今さら宣伝効果もなく、そこに20億円を支払うことが耐えきれなくなっているのです。
しかし、これは対岸の火事ではありません。ヤクルト、ロッテなどの食品メーカーは20~30億円の宣伝費をかけただけの売上につながっているのでしょうか。その金額でTVコマーシャルを打った方がよほど効果があるのではないでしょうか。企業が主な顧客であろうリース会社であるオリックスが何十億もかけて球団を経営をしてどんなメリットがあるのでしょう。西武鉄道も、西武戦を観る観客の運賃収入が何十億にもなっているとは到底思えません。
これらの企業の業績次第では、合理的判断として、球団経営から手を引くことも大いにあり得ます。そして、今後20~30億円宣伝費として出してもいいという企業が現れる可能性は、以前よりかなり低くなってきます。スポーツチームというのは、究極のドメスチックで(国内の)、リージョナルな(地域の)組織であり、人口減少で内需が減少する国内だけでビジネスをする企業に成長性はなく、宣伝費という名目の大盤振る舞いをしづらくなるからです。とうことで、球団経営のマネジメントの方策は、一つしかありません。宣伝費と称する20~30億円の補てん金などは払わず、身の丈にあった経営をすることです。
そして、そのやり方としては、二つの方法が考えられます。一つには、収入に見合った支出に抑えること。はっきり言えば、広島のように身の丈に合わせて、年棒の低い選手中心でチーム編成をすることです。もう一つは、収入を増やすことです。最近はようやくサッカーを見習い、ロッテ、日ハム、楽天などが球団経営をビジネスと捉え、地域密着のファンサービスや、底辺拡大活動などに取り組み始めて成果をあげつつあります。
しかし、球団スタッフ側での収入増の努力にはやはり限界があります。最大の商品は、やはり野球のゲーム、選手そのものだからです。全チームがスポーツビジネスとしてのマネジメントにしっかり取り組んだとしても、試合自体、選手の魅力が乏しければ、やはりビジネスとしては成り立たないということです。
選手の権利拡大の取り組みとして、フリーエージェント制度などを導入し、それは別に否定しませんが、声が大きい巨人の意向が強く反映された結果、選手の球団選択の権利というよりは、選手の年俸高騰の方に結びついてしまっています。その結果が、今の球団経営のあり方になっています。球団経営の収支があわない最大の原因は、やはり選手の年俸が高すぎるということです。メジャーのように贅沢税的、社会主義的な富の再配分のやり方がいいかどうかは分かりませんが、ソフトバンクや、一時の巨人のように金に糸目をつけない一部球団をけん制する制度を取り入れつつ、高騰しすぎた選手の年俸を抑制する仕組みが必要でしょうね。それが嫌なら、選手たちはもっと魅力的なプレーを見せろっていいたいですね。自分たちの給料が何から得られているかも気づかず、全力疾走、全力プレーすら出来ないような選手はプロと呼べないと思います。
と、もう一つ、選手にそういう危機感を持たせるためには、今のプロに入ったら一安心みたいなシステムではなく、アメリカのようにメジャーを筆頭に、3A、2A、1Aと地域に密着した裾野を拡大することが必要だと思います。現在のNPBは、支配下登録選手60名で、あとは育成枠が出来ましたが、それにしても狭き門です。これに対して、プロを目指す人たちの受け皿として、独立リーグが各地で勃興しています。しかし、まったく目が出なくてNPBに在籍する選手と、アルバイトをしながらの独立リーグの有望選手では、待遇の差がありすぎます。ここを一体的に運営できるようにすれば、プロに入れば一つのゴールなんてことはなくなり、もっともっとアグレッシブになるでしょうし、地域での野球人気の定着につながると思うのですが。
何とかプロ野球改革をする人が出てほしいものです。
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