昭和54年熊大生S様の卒論の中にある「細川藩家中ことば」を、同大の秋山正次元教授が昭和63年の熊日新聞(6月1日)に紹介しておられる。明治26年生まれのO様(女性)のご教示による明治後期あたりの女性の武家言葉だという。
娘「おでっつぁま(お父様)、まだ御寝なってござっしゃりますか。おひん(お起き)なされてござる(ママ)ますか。ごぜん(御飯)を召し上がりまっせ」
父「今日はよか(良い)天気になったな。このおつゆ(お汁)もよか(良い)味がする」
娘「松の内でござりますから、おかちん(餅)をおむし(みそ)とおかか(かつお)で味つけさせました。おこぶし(あわび)とおかべ(豆腐)とごん(ごぼう)も入れさせました」
父「それは良かった。おたあさま(お母様)はどこか」
娘「いまおぐしあげ(髪結)とおみじまい(化粧)なさってござります。さあおだっつぁま(お母様)、おしとね(座布団)を御召しまっせ。ごふあんばい(御病気=御不塩梅)はいかがでござる(ママ)ますか、おなか(胃)のお薬はおたべ(飲む)ますか」
母「いやお正月だからしろざさ(白酒)をたべ(飲む)ましょう」
娘「お膳はそのままおめしおかれ(お置き)まっせ。わたくしがすべ(下げ)させますから」
母「との(主人)は今日、ご隠居(祖父)様お宅にお出でなされますか。おじょうぐち(玄関)まで私もまいりまする。定めしおつけ(お疲れ)なさいましゅう」
以上であるが、別世界を覗いたような気がする。秋山先生は「言語文化の遺産継承に生きた事例」と驚きを隠されていない。古いスクラップブックから見つけたので、ご紹介する。
娘「おでっつぁま(お父様)、まだ御寝なってござっしゃりますか。おひん(お起き)なされてござる(ママ)ますか。ごぜん(御飯)を召し上がりまっせ」
父「今日はよか(良い)天気になったな。このおつゆ(お汁)もよか(良い)味がする」
娘「松の内でござりますから、おかちん(餅)をおむし(みそ)とおかか(かつお)で味つけさせました。おこぶし(あわび)とおかべ(豆腐)とごん(ごぼう)も入れさせました」
父「それは良かった。おたあさま(お母様)はどこか」
娘「いまおぐしあげ(髪結)とおみじまい(化粧)なさってござります。さあおだっつぁま(お母様)、おしとね(座布団)を御召しまっせ。ごふあんばい(御病気=御不塩梅)はいかがでござる(ママ)ますか、おなか(胃)のお薬はおたべ(飲む)ますか」
母「いやお正月だからしろざさ(白酒)をたべ(飲む)ましょう」
娘「お膳はそのままおめしおかれ(お置き)まっせ。わたくしがすべ(下げ)させますから」
母「との(主人)は今日、ご隠居(祖父)様お宅にお出でなされますか。おじょうぐち(玄関)まで私もまいりまする。定めしおつけ(お疲れ)なさいましゅう」
以上であるが、別世界を覗いたような気がする。秋山先生は「言語文化の遺産継承に生きた事例」と驚きを隠されていない。古いスクラップブックから見つけたので、ご紹介する。