5月21日にご紹介した上記オークションは、自動延長が繰り返され83,000円まで確認したが落札金額は良くわからない。多分そのあたりの金額で決着したのだろう。
左上にある「○○法印様尊報」の「○○」が読めずにいるうちに、果たしてこれは本当に幽齋公宛なのかという素朴な疑問が沸いてきた。特別利休の書状をの史料を持ち合わせているわけではないし、ギブアップ状態であった。ふと文面に「圓乗坊」とあったことに気づき、なんとなく藤井学氏の著「本能寺と信長」を開いてみた。この本には27ページに亘り「圓乗坊」のことが書かれているのだが、・・・・あった。
私の勘が当っていた。幽齋公宛ではなく前田玄以宛の書状だった。書状の左上の二文字○○は「○民」と読めるが、「民」法印、すなわち「民部卿法印」のことだとある。
以下次のように紹介されている。(写真の文面とわずかな差異が認められる)
圓乗坊迄尊書并生鮎百拝領過分至極令存候 頓可遂賞玩候
此中先参候て御礼可申上候處ニ 圓 如存知 爰元忍にて居申候条
態参ても不申入候 明朝可参候 忝奉存候 恐惶謹厳
六月八日 宗易 花押
民法印様尊報
桑田忠親氏の「定本利休の書簡」に取り上げられている。所在もはっきりしているのだろう。
さて、出品元はこういう品物を手がけているプロのようだが、幽齋公と前田民部法印を間違えて高額落札させた始末はどうなるのだろうか。日付もないし真贋も怪しくなってきた。