津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

オークション「幽齋宛利休書状」の顛末

2011-05-24 23:58:33 | オークション

5月21日にご紹介した上記オークションは、自動延長が繰り返され83,000円まで確認したが落札金額は良くわからない。多分そのあたりの金額で決着したのだろう。

左上にある「○○法印様尊報」の「○○」が読めずにいるうちに、果たしてこれは本当に幽齋公宛なのかという素朴な疑問が沸いてきた。特別利休の書状をの史料を持ち合わせているわけではないし、ギブアップ状態であった。ふと文面に「圓乗坊」とあったことに気づき、なんとなく藤井学氏の著「本能寺と信長」を開いてみた。この本には27ページに亘り「圓乗坊」のことが書かれているのだが、・・・・あった。

私の勘が当っていた。幽齋公宛ではなく前田玄以宛の書状だった。書状の左上の二文字○○は「○民」と読めるが、「民」法印、すなわち「民部卿法印」のことだとある。
以下次のように紹介されている。(写真の文面とわずかな差異が認められる) 

      圓乗坊迄尊書并生鮎百拝領過分至極令存候 頓可遂賞玩候

      此中先参候て御礼可申上候處ニ 圓 如存知 爰元忍にて居申候条

      態参ても不申入候 明朝可参候 忝奉存候 恐惶謹厳

         六月八日                  宗易 花押

      民法印様尊報                       

 

桑田忠親氏の「定本利休の書簡」に取り上げられている。所在もはっきりしているのだろう。

さて、出品元はこういう品物を手がけているプロのようだが、幽齋公と前田民部法印を間違えて高額落札させた始末はどうなるのだろうか。日付もないし真贋も怪しくなってきた。

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「旦夕覺書」 花--5

2011-05-24 08:44:19 | 旦夕覺書

       三齋様御具足下之覺

一、羽二重御袷裏布長サ二尺九寸但しカネ尺 紉も右同前 御袖下一尺一寸 御袖口五寸袖口の下
     三寸五分アケボタン二ツカケ
左脇に御袖下より三寸さげて長さ六尺の紉一方に二尺置ぬい付て御
   ゑりたてにほたんあり
   (ぼたんという言葉がこの時期からあったとは知りませんでした)
一、布之御具足下も御ゑりたて同布ほたん右同
一、御下帯絹のも布のも半下帯に引廻す所より二ツにたちてたち目をとちて前下り両方に緒を
   付首にかける様に
   (いわゆる六尺褌の前下がりの布を胸前に持ち上げ、布を二つに裂いて首に廻して結ぶのだそうです。
     死んだときはずれぬようにするためです。「雑兵物語」に書かれています。)

一、木綿の花色にて両面に大廣袖に綿入具足の上に着由尤布にてもかきに染大廣袖同前
一、福島右衛門殿は番具足迄木綿わた入にて包有之由 上月文右衛門内三木又兵衛咄し
   (細川家家臣・上月氏は福島正則の家老職を勤めた人)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

       明廿三 御目仕度候御返事次第にて候

大御所様今日御精進あかり候由承及候 我等在所より此袖くろの鶴鉄炮にて打一昨日のほせ申候 幸にて御座候間上申度候 不苦候はヽ御ひろう奉願候 無用と思召候はヽ御さしつ次第可仕候恐惶謹厳 
          九月廿二日                三齋
                土大い様
                    人々御中

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

家光公御代三齋様八代に被成御座候時分薩摩へ上使馬場三郎左衛門殿御下り三齋様江も為上使三郎左衛門殿御越御對面之刻上使之趣被仰達候へは三齋様御意に年寄候へは耳聞へ兼申候高く被仰聞候へ定而将軍三齋は未存命可も申候 此比柿被為拝領との事にて可有御望候 遠路御苦身に存候 上意之趣は済申候拙者も尻ひえ申候らくに居可申と羅穀(ラツコ)の蒲團にばんや入申候を御敷御頭巾被成三郎左ゆるりと御座候様茶をも可進候と御挨拶被成御長袴の上に十徳を御召候由 尤道筋橋なとの事神野理兵衛に被仰付候 橋の前にて三郎左衛門御挨拶被成候へは御馳走に橋をも申付候へ共不見申候次而に橋をも見可申と御歩にて橋を御通り過御暇請被成候 三齋様御挨拶に将軍御機嫌能御満足に思召由其後従江戸能勢次左衛門殿為上使御越鶴御拝領被成候 鶴を備後表に包青竹に釣候由御ひろめ之時御自分之鶴三ツ御添被成八代町人迄不残被為頂戴之由

ばんや : 文面からするとパンヤ綿(クッションの詰め物)だと思われる。この時代にこの言葉が普通に使われていたことに驚かされる。ラッコの毛皮にパンヤの詰め物とは豪華なものである

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