カトリック教は国教で、教団の幹部は欧州の宗教担当の国家統治者です。
彼らにとってバイブリシストは国家社会の不安定要因そのものでした。
国教会の教理には従わない。
聖書解釈を個々人に自由にさせている。
こういうのは社会をバラバラにしてしまう無政府主義者の外には見えませんでした。
だから幹部たちの内に獣性は自然に頭をもたげ、残忍に殺していくことが出来たのです。
その命令を受けて実際に殺戮活動をした兵士たちは、
さだめし必殺仕置き人の心境だったのではないでしょうか。
余談です。
旧い統治者を追放して民衆の政府を樹立しようとして新たに統治者になる人にも、
この獣性は頭をもたげます。
これが彼を狂わせ、前の統治者以上に凶暴な行動もさせうる。
それが同志たちを失望させるという兆しが、昨今の「アラブの春」にもみられました。
こうした事態を回避する手段はあらかじめそういうことを知らせる知識のみです。
政治学は統治者の心理に浮かぶ獣性を理論に組み入れるべきです。
その知識があれば、人間は自らの内の獣性を距離を置いて見据えらこともできるようになる。
それが人間の貴重な宝になるのですが、
残念ながら筆者はいまだこの種の政治理論に出会っておりません。
(次回から6章に入ります)
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