聖句吟味活動が懸案問題を直接解決してしまう力をもう一つ上げておきましょう。
この活動は1980年代以降、日本の若者に蔓延してきた無気力状態の根を絶つことも出来ます。
人間の無気力の心理的な源は、自価意識(自分という存在に感じる価値の意識)の希薄さにあります。
そして自価意識は、自分という存在の、存在意識のうえに乗っかっています。
なぜかというと、価値というものは存在に付加されるものだからです。存在がなくなれば、価値も消滅します。
その存在意識が人間には慢性的に希薄なのです。存在の根拠がわからないからです。
人は気がついた時には存在してしまっている。
そして「自分がなぜ存在するか」を疑問に思いますが、これへの納得できる答がなかなか得られないのです。
教科書にはなにかの無機物質から単純な有機物が出来、それが進化して人間は出来た、
というような話が書いてあります。
だがこの説明では、ではもとの無機物質はどうして存在したのかという疑問が残ります。
それも何か別のものからできたと言っても、ではその何かはどうして・・・と疑問は続きます。
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人間が存在する理由への疑問に論理的で明快な答を与えられるのは、それを存在せしめた(創造した)存在を
前提に据える時だけです。
すると「万物をつくった創造神に創られたから」という明確な答えを得ることが出来るのです。
そしてこの創造神の思想を論理的に完全な形でもっているのは聖書の世界観だけです。
それを部分的に取り入れたパロディは沢山ありますが。
聖句吟味をすると、その体系的な思想を詳細に知ることが出来る。
知るだけでいいのです。知れば人は時とともにそれに馴染んでいきます。
馴染めば知らず知らずにそれを用いて考えもしますので、自己存在の根拠意識は濃くなっていきます。
それに従って自価意識も知らず知らずのうちに強化されていきます。
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創造神の概念がないと人はただ「自分が存在する」というところから思考を進めるしかなくなります。
すると自分の存在根拠の意識が希薄になり、自価意識もまた薄くなります。
この心理の別名が虚無感です。
そうした虚無感は、もともと日本にはありました。
だけどそれはそれは貧しい時代には正面から人の心を襲わなかった。
日々食べられるようにするのに一生懸命で、自分がなぜ存在しているか、などを長時間思っている余裕が
なかったからです。
飢えは拷問のような苦しみなのです。
ところが飽食の時代に入ると、その疑問をまともに反芻できてしまいます。
すると虚無感は何倍にもなって人を襲うようになるのです。
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日本の、とりわけナイーブな若者の多くが深い虚無感に襲われるようになって、もう三十年余が経っています。
多くの若者たちが生きる意欲を持てなくさせられ、精神の活力を失い、傷つきやすくなって
引きこもるようになっています。そうなった青少年が日本で百万人を超えたといわれてすでに久しいです。
幸いにも引きこもりまでにはいかずに社会組織で働いている人にも、弱い自価意識で生きている人は多いです。
こういう心理にある人間は上司が一寸圧力をかけたら容易に隷従します。
するとそれが前述した組織劣化にもつながっていきます。
これらの動向が、聖句吟味活動によって打開されていくのです。
自己存在の根拠意識が濃くなり、自価意識が根底から強化されることによって打開されていくのです。
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