キャンベラは、1920年代にコンペにより設計が決まり構築された都市であり、歴史は長くない。整然としていて、あまり面白みはない。観光であるなら、あまり訪れることはないところだろう。
―――と思って、空いた時間にうろうろしていたのだが、旧国会議事堂前の広場に、妙な小屋があった。アボリジニの「テント・エンバシー」であり、主権を謳っている。また、シドニーの再開発圧力がある地区、アボリジニの多いレッドファーン地区を守れとのスローガンが掲げてある。中を覗いたが不在だった。
帰国してから調べてみると、ここに30年以上も座り込みを続けているようだ。また、現・ラッド政権に交代してから、アボリジニに対する「ソーリー・スピーチ」が行われた際には、この小屋の周辺に多くのアボリジニや支援者が集まっている。知っていたなら、シドニーでレッドファーン地区にも足をのばしたかもしれず、勉強不足を悔やんだ。
テント・エンバシー Leica M3、Summicron 50mmF2、Kodak TMAX-100、オリエンタル・ニューシーガルVC-RPII
都市の中心にある公園も人工的だが、自然が多く気持ちがいい。故・大平首相が贈ったという桜の木があった。大きな池からは、日中、巨大な噴水が水を噴き上げている。写真におさめようと橋の上から見ていると、隣にも似たような人がいる。よくみると、ライカIIIaとベッサRを使っていた。「おお、M3か」「IIIaか」と、ライカ好き同士の短い会話、これだけで少し幸せになるのだった。マックス・デュペインの写真を真似して橋の写真を撮ったが、まったくつまらないものになったのでプリントすらしなかった。
公園の鳥 Leica M3、Summicron 50mmF2、Kodak TMAX-100、オリエンタル・ニューシーガルVC-RPII
楓 Leica M3、Summicron 50mmF2、Kodak TMAX-100、オリエンタル・ニューシーガルVC-RPII
ユーカリの剥げた樹皮 Leica M3、Summicron 50mmF2、Kodak TMAX-100、オリエンタル・ニューシーガルVC-RPII
ライカ男 Leica M3、Summicron 50mmF2、Kodak TMAX-100、オリエンタル・ニューシーガルVC-RPII
池のカップル Leica M3、Summicron 50mmF2、Kodak TMAX-100、オリエンタル・ニューシーガルVC-RPII
噴水 Leica M3、Summicron 50mmF2、Kodak TMAX-100、オリエンタル・ニューシーガルVC-RPII
ボード Leica M3、Summicron 50mmF2、Kodak TMAX-100、オリエンタル・ニューシーガルVC-RPII