UNHCR(国連難民高等弁務官)の主催で、「第3回難民映画祭」が開かれている。いくつかの場所で上映しているが、今日は、ドイツ文化センターで上映された短編プログラム「すべての人間は自由で平等・・・」を観てきた。(楽しい人たちと・・・)
作品は、『ビザのない暮らし』(バルトシュ・パドゥフ@ポーランド)、『アフロバンド』(アンドリウス・セリウタ@リトアニア)、『母と壁』(ズザンナ・ヴォンドラチコーヴァ@チェコ)、『祖国であれど』(ムハマド・アブ・ザルカ@イスラエル)、『人間に関わること』(バーバラ・ファルクナー@ドイツ)の5本。
玉石混交なのだけど、なかでも好感を持ったのは、『母と壁』というアニメーション。煉瓦の壁ににゅうっと窓ができては、その中の生活に厭いているような人々の姿を描く。顔が隠れるほど白粉を付けて化粧する人、ごちそうを醜く食べ続ける人、会話なくテレビをザッピングし続ける夫婦。と、突然、妊婦が壁の前で銃に狙われる。お腹の子どもは、その前に登場してきた人々とは違って、精神の壁など感じさせない生命だ。妊婦は撃たれてしまい、壁の中に塗りこめられたような人々が嘆き悲しむ。しかし生命は、壁の裏側にあり、緑の蔦となって壁を壊す。
残酷なイメージは好みでないが、生まれる生命と緑に希望を感じさせるものだった。残酷なイメージを描かないことには希望も描けないというところを記憶すべきかともおもった。