所用で上海に1泊した。以前は杭州湾を挟んだ寧波から飛行機が出ていたのだが、湾に橋が架けられてから便がなくなってしまった。寧波から日本への直行便はない。そんなわけで、海上に架かる橋としては世界最長だとかいう杭州湾跨海大橋を高速バスで渡り、3時間で上海に着いた。本来は2時間半なのだが、途中の休憩エリアでなかなか帰ってこない客がいて少し遅れた。15分に1本くらい出ているし、90元(1200円くらい)と安いし、飛行機より便利ではある。
上海では来年の万博を控えてあちこちにキャラクターが飾られている。盛り上がり具合はまったくわからない。それから、NHKで新疆ウイグル自治区のニュースを見ていると、途中で映像がぶちぶち切れた。まさかね、と思っていたら、そのことについて報道されていた(>> リンク)。
独りでもあり、夜も昼も麺を食べた。坂本一敏『誰も知らない中国拉麺之路 日本ラーメンの源流を探る』(小学館、2008年)での推薦に従って、まずは「滄浪亭」に「葱油開洋麺」を目当てに出かけた。細くて柔らかい蘇州式の麺が使われている。このメニューは、その上に甘辛く炒めた葱と干海老が載せられている。8元(110円くらい)、一番安いものだった。随分さっぱりした味だが、上のトッピングが旨く、しつこく食べた。
前書によると、このような蘇州麺が横浜の外国人居留地に渡り、そのひとりが浅草で「来来軒」を開き、東京ラーメンの元祖になったのではないか、ということである。説の妥当性を評価する能力は私にはないのだが、まあ雰囲気は似ていて、ルーツであっても不思議ではない。
南京路沿いにある「沈大成」に入ったところ、蝿叩き専門のような人がいて、皆が食っている横でばしばし叩いている。座ろうとした席でも目の前で蝿を叩き殺されてしまい、ちょっと食欲を失うが、ひるまず「蝦仁両面黄」を注文した(25元、340円くらい)。揚げた麺に海老のあんかけをかけたものだ。麺はふわりとしている。このあたりは、都内某所のラーメン屋には見習ってほしいところだ(ずっと食べていると口の中が痛くなり、顎がひたすら疲れる)。
ただ、これだけでは油っこくて飽きる。皆、独りでも何品も食べているので、昼メシのハシゴについては自分を許すこととする。
という理由で、同じ南京路にある「泰康湯包館」で蟹入りの小籠包を食べた(10個で28元、380円くらい)。こればかりは東京の中華料理屋とは全然違って、スープがたぽたぽ入っている。それを醤油と酢につけて、スープをこぼさないようレンゲにのせて口に入れる。
ところで、空港までリニアモーターカーを使ってみた。地下鉄で龍陽路まで行き、「磁浮 Maglev」の看板に沿って乗り換える。航空券を見せると割引になって40元(540円くらい)。大した揺れもなく、430km/hくらいまでさっと加速し、9分で空港に着いた。これもまた魔都である。