渋谷のライズXで、『ライアン・ラーキン 路上に咲いたアニメーション』を観る。ラーキンの短編アニメ作品5本と、ラーキンに捧げられた現代のハイテクアニメ作品、クリス・ランドレス『ライアン』、そしてラーキンのインタビュー『ライアン・ラーキンの世界』の7本まとめての上映である。といっても、全部で44分に過ぎない。
ラーキンは早熟のオタク・アニメ作家であった。若くして短編4本を作ったあと、コカインと酒に溺れ、10年以上のホームレス生活を選ぶ。再び復帰して作りかけた作品は、ラーキンの死により未完の遺作となった。
女性と鬼との関係『シランクス』(1965年、3分)、都会のトラフィックを描いた『シティスケープ』(1966年、1分)、歩くだけの『ウォーキング』(1968年、5分)、ビートニクやフラワーの色濃い『ストリート・ミュージック』(1972年、9分)のどれもが、ラーキンひとりによる無数の原画から作られた気の遠くなるような密度を持っている。文字通り手作りであり、手法は違えど、ロシアのアニメ作家ユーリ・ノルシュテインを想起させられる。
ただ、数十年が経過したいま、圧倒される凄みがあるわけではない。手仕事の厚みと温かさの素晴らしさである。この人間臭さに比べれば、CGとラーキンの作品をコラージュ的に使った『ライアン』など、小癪なだけの作品だ。