羽仁進『初恋・地獄篇』(1968年)を観る。以前に最初の部分だけ観たのだが、余りにも青臭くて恥かしくて、途中でやめてしまった。今回は最後まで到達した。
『アートシアター ATG映画の全貌』(夏書館、1986年)より
やっぱり恥かしい。思春期の妄想と暴走(シャレではない)は、きっと誰にとっても恥かしい。思い出すと実に情けない気持ちになる。この映画は素人を使っていることもあって、そのわざとらしさが却ってリアルで、さらに恥かしい。もう初恋の気持ちの揺れ動きや底なし沼を描いた映画なんて観たってしかたがない。
スタッフ陣は豪華で、脚本が寺山修司と共同。美術が金子国義。キャスティングが宇野亜喜良。スチル写真は沢渡朔だそうでこれは探したい。確かに、いかにもこの映画のカラーである。
ついでに、羽仁進の岩波映画時代のドキュメンタリー映画、『教室の子供たち』(1955年)、『絵を描く子供たち』(1956年)も観る。小学校の教室の中に入り込み、子供と共存しながら撮った、骨のある小品である。なるほど、『初恋・地獄篇』も、別に奇を衒って作った映画ではないのだということがわかる気がした。
●参照(ATG)
○淺井愼平『キッドナップ・ブルース』
○大島渚『夏の妹』
○大島渚『少年』
○大森一樹『風の歌を聴け』
○唐十郎『任侠外伝・玄界灘』
○黒木和雄『原子力戦争』
○黒木和雄『日本の悪霊』
○実相寺昭雄『無常』
○新藤兼人『心』
○若松孝二『天使の恍惚』
○グラウベル・ローシャ『アントニオ・ダス・モルテス』
●参照(岩波映画)
○瀬川順一『新しい製鉄所』
○高村武次『佐久間ダム 総集編』
○土本典昭『ある機関助士』