新宿ピットインに足を運び、昼の部と夜の部のはじめてのダブルヘッダー。昼の部は「秘宝感」、夜の部は「blacksheep」である。(その間には、歌舞伎町のナルシスに寄って無駄話をしていた。)
斉藤良 (ds)
纐纈雅代 (as)
スガダイロー (p)
佐藤えりか (b)
熱海宝子 (秘)
石井千鶴 (鼓 / 秘宝感迎賓部)
気になってはいたものの、聴くのも観るのもはじめてだ。「白昼夢」色は「(秘)」の熱海宝子だけかと思っていたらさにあらず、コスプレ大好きな人なら悶絶して喜ぶであろう。ヴィジュアルのみならず、プレイはそれ以上に凄い。スガダイローの弾くピアノはあまりの勢いに動いているし、纐纈雅代の鳴るサックスも、斉藤良のグルーヴもかっちょいい。曲はオリジナルからセロニアス・モンクまで。
加納典明がソニーのミラーレスを使ってばしばし撮影していた。最後に、リーダー斉藤氏によるメンバー紹介と併せて写真家の名前も叫ぶはずが、別の大御所の名前を・・・(省略)。
吉田隆一 (bs)
後藤篤 (tb)
スガダイロー (p)
リーダー・吉田隆一は羊の耳を付けて登場し、えらくテンションが高い。そのためか、爆笑するスガダイローが昼間とは別人のように見える。
前半は、CD前作の収録曲であり、最後にJ.G.バラードに捧げられた「時の声」でしめくくられた。後半はSF映画特集と銘打って、「惑星ソラリス」、「J.G.バラード組曲」(特に最後の「結晶世界」が良い)、「ブレードランナー」、それからアンコール1曲。ひとつひとつイメージが膨らむ、ドラマチックな演奏に聴こえる。
アンサンブルも良いのだが、ピアノ、バリトンサックス、トロンボーンとそれぞれ相異なる音域と音の色のトリオというのが耳に新鮮。スガダイローの猛烈かつ繊細という矛盾するものの共存は、昼間と同じく素晴らしい。時々、敢えて転ぶような感覚があるが、あれは何だろう。そして吉田氏のバリトンサックスからは、鼓膜がばりばり響く低音も、狭いところを通り抜けるような高音も、ひしゃげたような変な音も飛びだしてきて、実に愉しめた。
元気が出るライヴ2連発なのだった。
●参照
○『blacksheep 2』