Sightsong

自縄自縛日記

岡田正彦『人はなぜ太るのか』

2014-05-19 23:35:03 | スポーツ

岡田正彦『人はなぜ太るのか ―肥満を科学する』(岩波新書、2006年)を読む。

ダイエットほど、無数の有象無象の情報で溢れている分野はなかなかないだろう。そんな中で、ナニナニ法ダイエット本や、テレビショッピングの効き目があるのかどうかわからないツールを買うよりは、本書のように、肥満の理論や科学的知見と、それに基づくアドバイスを示してくれるものをしっかり読んで、重要な箇所を頭に叩き込んだほうが、はるかに有用だと思う。

いろいろと興味深い指摘がある。

血糖値を急速に上げる食品(パンやアイスクリームなど)よりも、ゆっくりと上げる食品(ソーセージ、ヨーグルト、グレープフルーツ、りんご、梨、ゆでたスパゲッティなど)の方が、合計して同じカロリーであっても、太らない。
○極端な食事はよくないが、その前提で、炭水化物と脂肪は、やはり抑えなければならない。 
BMI(=体重/(身長×身長))はすぐれた指標。これが25未満であれば、どのあたりが最適かを言うことは難しい。ある実験では、24の人がもっとも死亡率が低いという結果が出た。
体脂肪率は、測定条件による変動が大きく、あまりあてにならない。また、その中で内臓脂肪がどの程度かについてはわからない。 
○運動だけでもダイエットだけでもダメ。両方やるべし。筋トレも必要。
○酒は太る原因にはなりにくい。カロリーだけでは判断できない。 

そんなわけで、筋トレ、有酸素運動、炭水化物の抑制という3点セットは正しいのだとわかった。

●参照
やっぱり運動ダイエット 


アンジェイ・ワイダ『ワレサ 連帯の男』

2014-05-19 07:31:00 | ヨーロッパ

アンジェイ・ワイダ『ワレサ 連帯の男』(2013年)を観る(岩波ホール)。ここでワイダの映画を観るのは、『コルチャック先生』、それから『灰とダイヤモンド』のリバイバル上映以来である。

レフ・ワレサ(ヴァウェンサ)。1970年頃から労働運動や政府批判を開始し、幾度となく当局に投獄される。つねに監視下にあり、また当局からも、運動内部からも、ときには市民からも、苛烈な批判を受けることもあった。それでも、ワレサは心を折ることなく、「連帯」を率いて、ポーランドの民主化を主導していく。そして、ついに大統領となる。

あらすじはこれだけであり、実際に、映画もほとんどそれだけだ。上映後出てきた観客のなかから、「ほとんどワレサの成功物語だけになっていた」、「投獄されて受けたはずの拷問が、なぜほとんど描かれないのか」、といった声も聞こえてきた。物足りなさはわたしも同じである。おそらく、ワイダは祖国の英雄に呑まれてしまったのだろう。

当局が国内的には威張りながらも、ソ連に対しては戦々恐々としている姿は興味深いものだった。

ところで、1980年に、ワレサの許をイタリア人女性ジャーナリストが訪れる場面がある。当然、建物の外で当局が監視しているのだが、そのときに当局が使っていたカメラは、ソ連Zenit(クラスノゴルスク機械工場)製のダブルラン・スーパー8(16mmフィルムの100フィートのリールを右左で2回使う8ミリカメラ)であるQuartz DS8-3に見えたが、どうだろう。