Sightsong

自縄自縛日記

ヴィンセント・チャンシー+ジョシュ・シントン+イングリッド・ラウブロック@Arts for Art

2015-04-04 15:44:03 | アヴァンギャルド・ジャズ

この日(2015/4/3)のプログラム第3弾は、管のトリオ。非常に天井が高い部屋で、みんなアンプなしである。

Vincent Chancey (french horn)
Josh Sinton (bcl, bs)
Ingrid Laubrock (ts)

はじめて観るシントンのプレイは独特だ。なかなか管をフルに鳴らそうとせず、キーを叩く音や、マウスピースでの爆発的な音などを活かして、じりじりと「次」なるものへとにじり寄る。ラウブロックは対照的であり、柔軟にサックスの範囲内の音を出す(前々日は、シーブルックのノイズに抗して痙攣するようなヘンな音も出していたのだが)。

そしてフレンチホルンを加えた3人のメロディーもない即興が展開されていく。これがいかに異常で愉快なことか。終わったあと、チャンシーが他の2人に「会話をありがとう」と話しかけていた。

●参照
Ideal Bread『Beating the Teens / Songs of Steve Lacy』(シントン参加)
アンドリュー・ドルーリー+ラウブロック+クラウス+シーブルック@Arts for Art
イングリッド・ラウブロック、メアリー・ハルヴァーソン、クリス・デイヴィス、マット・マネリ @The Stone
イングリッド・ラウブロック『Zurich Concert』
イングリッド・ラウブロック(Anti-House)『Strong Place』
トム・レイニー『Obbligato』(ラウブロック参加)
クリス・デイヴィス『Rye Eclipse』、『Capricorn Climber』(ラウブロック参加)
ネイト・ウーリー『Battle Pieces』(ラウブロック参加)


ジョー・モリス+ヤスミン・アザイエズ@Arts for Art

2015-04-04 15:23:33 | アヴァンギャルド・ジャズ

この日(2015/4/3)のArts for Artにおけるプログラム第2弾は、ずっとナマで観たかったジョー・モリス。

Joe Morris (g)
Yasmine Azaiez (vl)

モリスのギターは、休む間もなく微分的な音で時空間を埋め尽くしていく。しかもそれが全体としてマッスを構成する。この圧倒的なギタープレイを聴くと、アンソニー・ブラクストンやイーヴォ・ペレルマンといった尋常でない強度を持つプレイヤーと対峙しえたことも、納得できるというものだ。

ずっと聴いていたかったが、45分があっという間に過ぎ去った。


ダロ・ベルージ+アーロン・ジョンソン+スティーヴ・ウッド+マーク・ジョンソン@Arts for Art

2015-04-04 14:49:38 | アヴァンギャルド・ジャズ

Arts for Artを再訪してみると(2015/4/3)、レコードショップでもライヴ会場でもやたらと出会ってしまう夫婦とまた再開し、顔を見合わせてハハハと笑ってしまった。何でもバルセロナで音楽の機関紙を出しているそうで、この間はイングリッド・ラブロック、トム・レイニー、クリス・デイヴィスがスペインに来てくれたんだよと愉快そうに話していた。

この日の最初のプログラムは、ドラムスのマーク・ジョンソン以外、知らないプレイヤーだ。しかもサックスのふたりは黒ずくめの衣装、片方はサングラスもかけており、ブルース・ブラザーズにしか見えない(名前もベルーシっぽい)。

Daro Behroozi (ts)
Aaron Johnson (as, ss)
Steve Wood (b)
Marc Johnson (ds)

マーク・ジョンソンは、昔、デイヴィッド・マレイと来日したときに新宿ピットインで観た記憶がある。そのときと同様にドタバタと叩くスタイルだった。

そしてサックスのふたりは、言ってみれば伝統的なフリージャズ。今となってはフリーにも分類されないかもしれない(「Scrapple from the Apple」なんかも吹いていたし)。しかし、聴いていると、妙に安心する精神状態に持っていかれるのはなぜだろう。もはや米の飯なのか。


ベッカ・スティーヴンスの話と歌@ニュー・スクール

2015-04-04 14:07:46 | アヴァンギャルド・ジャズ

ベッカ・スティーヴンスが、母校のニュー・スクール(2004-07年に在籍)で無料ライヴを行うというので、行ってみた。大学の5階で待っていて、えらく可愛い学生がいるものだなと思ってよく見るとベッカだった。

ろくに告知もされていなかったのか、おそらく大学の関係者を中心に20人程度。もったいないな。

2時間ほど、会場からの質問に答えたり、ギターやバンジョーを持って歌ったり。すごくもてはやされている理由がまだピンとこないのではあるが、確かに透き通って音域が広く、良い声だ。フォーク色が入っていることもウケている理由のひとつに違いない。

質疑応答は、たとえば。

Q. ビジネスとして歌うことについてどうか。
A. 凄くストレスがあってなかなか大変。

Q. 声をどうやって調整しているのか。
A. 睡眠。それからハーブティーを飲んだり、ヨガをやったり、入念にウォームアップしたり。

Q. 1日をどう過ごしているのか。
A. 作曲と、パフォーマンスと、人間らしくあることとをバランスを取って。

Q. アンブローズ・アキンムシーレ『The Imagined Savior is Far Easier to Paint』に参加したときはどうだった。
A. リハーサルをしているときにピアノを弾いたら、アンブローズの感覚にあって、それで創り上げていった。

Q. どんな子どもだったのか。
A. 親も音楽をやっていて、「ファミリー・バンド」としていろいろなところで歌った。(ここで、その時の録音を会場で流し大爆笑)

何だか真面目なイマドキの人なのだった。こんど来日するときこそ観に行こう。