Sightsong

自縄自縛日記

デイナ・スティーブンス『I'll Take My Chances』

2015-04-10 23:48:55 | アヴァンギャルド・ジャズ

デイナ・スティーブンス『I'll Take My Chances』(Criss Cross Jazz、2013年)を聴く。

Dayna Stephens (ts, bs)
Charles Altura (g)
Gerald Clayton (p, hammond B3 organ)
Joe Sanders (b)
Bill Stewart (ds)
Becca Stevens (vo)

ここでもデイナ・スティーブンスのテナーは「江川の剛速球」。悠然と懐の深い音を出しながら、まだまだ余裕がある。

特筆すべきは、ジェラルド・クレイトンのピアノであり、芸の細かい装飾音と繊細な強弱の変化が良い。また、ビル・スチュワートのドラムスは何気に複雑なリズムとパルスを提示しながら、隙間へ隙間へと入り込んでくる。

エリントンの「Prelude to a Kiss」では、ベッカ・スティーヴンスが歌っている。確かに突然これが耳に入ってきたら、のけぞる。ふと、マル・ウォルドロンとチコ・フリーマンによる『Up and Down』において「My One and Only Love」を歌っているティツィアーナ・ギリオーニを思い出した。

●参照
デイナ・スティーブンス『Peace』
ジョン・エイベア@The Cornelia Street Cafe(デイナ・スティーブンス参加)
テオ・ヒル『Live at Smalls』(デイナ・スティーブンス参加)
ベッカ・スティーヴンスの話と歌@ニュー・スクール
アンブローズ・アキンムシーレ『The Imagined Savior is Far Easier to Paint』(ベッカ・スティーヴンス参加)


アンドリュー・ドルーリー『Content Provider』

2015-04-10 06:09:06 | アヴァンギャルド・ジャズ

アンドリュー・ドルーリー『Content Provider』(Soup and Sound Recordings、2014年)を聴く。

Andrew Drury (ds)
Briggan Krauss (as)
Ingrid Laubrock (ts)
Brandon Seabrook (g)

先日NYで観たこのライヴでも感じたこと。このグループは、まったく「深遠」とか「深淵」とかいったものと無縁である。向こう側の隠れたところに何かがありそうだと思わせるのも芸に違いないが、そんなことはしないのだ。ドルーリーのドラムスも非常にシンプルなもので、「見たまんま」である。ただし、ひたすら愉快痛快。

スピードスター的なクラウス、シーブルックの扇動に応じて妙に震える音を返してみせるラウブロック、これも愉快痛快。

それはそれとして、その日には、もともと、あのチャールズ・ゲイルが客演する予定だった。ドルーリーもメールで落胆したと言っていたし、わたしも本当に観たかった(昔、歌舞伎町で観たっきりだ)。もしゲイルが参入していたら、「見たまんま」の音楽に何か重力の特異点が現れたかもしれない。

●参照
アンドリュー・ドルーリー+ラウブロック+クラウス+シーブルック@Arts for Art
ブリガン・クラウス『Good Kitty』、『Descending to End』
イングリッド・ラウブロック、メアリー・ハルヴァーソン、クリス・デイヴィス、マット・マネリ @The Stone
イングリッド・ラウブロック『Zurich Concert』
イングリッド・ラウブロック(Anti-House)『Strong Place』
トム・レイニー『Obbligato』(ラウブロック参加)
クリス・デイヴィス『Rye Eclipse』、『Capricorn Climber』(ラウブロック参加)
ネイト・ウーリー『Battle Pieces』(ラウブロック参加)