杉本裕明『ルポ にっぽんのごみ』(岩波新書、2015年)を読む。
日本の廃棄物・リサイクル行政は、21世紀に突入しようとしていた時期に飛躍的に進化した。このことは確かだが、その一方で、実態に追いつくことが困難であることや、法制度の出来上がりが縦割りゆえのものであったことによる問題が、さまざまに出てきた。
たとえば容器包装リサイクル法に基づくペットボトルのリサイクルは、毎年事業者の入札によって廃ペットを入手できるかどうか決まるため事業計画が立たず、その上、落札価格が乱高下するものであったために、とても難しいものであり続けた。これに限らず、ニッチなものに市場原理を適用しようとすると、思い通りに動かないものである。
家電リサイクル法では、導入時から指摘されていたことではあったが、リサイクル代徴収が廃棄時であるために、不法投棄の増加という結果となった。そのことが、国境をまたがる真っ当なリユースを阻害することにもなった。
昔からの問題から新しい問題までトピックを集めていて、とても興味深い。「焼却」偏重という日本独自の現象がどう捉えられるべきかについても、いろいろな視点を与えてくれる。