リバティ・エルマン『Radiate』(Pi Recordings、2014年)を聴く。
Liberty Ellman (g)
Steve Lehman (as)
Jonathan Finlayson (tp)
Jose Davila (tuba, tb)
Stephan Crump (b)
Damion Reid (ds)
エルマン自身はもとより、チューバとトロンボーンを吹くホセ・デヴィラもヘンリー・スレッギルのグループ・ズォイドのメンバーであり、曲想にも非常に似た側面がある。実際にこの盤にも、スレッギルからインスピレーションを得たとエルマンが書いている。
『スター・ウォーズ』のライトセーバーを思わせる、太くて俊敏なエルマンのギターは、よく歌い、ソロの後に何かの思いを残す感覚も良い。もはや孤高の感があるスティーヴ・リーマンのサックスにも痺れる。
しかし、どうしても、スレッギル亜流、というよりスレッギルの甥っ子のように聴こえてしまう。スレッギルがセクステット時代にトロンボーンを入れ、ヴェリー・ヴェリー・サーカスにおいてそれをチューバとして、ズォイドでもさらにチューバが鼓膜を平穏にさせずヴァイブレーションを与え続けていたのは、異常なほどに緊密なアンサンブルのゆえだった。それを駆動する執着心をどこかの棚にしまい込んで、スタイリッシュに展開した音楽が、これである。スレッギルを聴かなかったならば傑作としか思えなかっただろうし、スレッギルがいなければこの音楽もなかった。その意味ではアンフェアな言い分ではないだろう。
●参照
リバティ・エルマン『Ophiuchus Butterfly』(2006年)
マイラ・メルフォード Snowy Egret @The Stone(2015年)(エルマン参加)
マイラ・メルフォード『Snowy Egret』(2013年)(エルマン参加)
ヘンリー・スレッギル(11) PI RECORDINGSのズォイド(2001-11年)(エルマン参加)
ヴィジェイ・アイヤー『In What Language?』(2003年)(エルマン参加)