手持ちの本を読んでしまい、シンガポールからの帰国便で、東西冷戦時代のスパイ映画を2本。
■ ガイ・リッチー『コードネームU.N.C.L.E』(2015年)
『ナポレオン・ソロ』のリメイク。とはいっても、わたしはオリジナルをまったく観ていないのでノスタルジイも何もない。
アメリカとソ連の腕利きスパイが、原爆を大量生産する技術を開発しようとするナチスの残党を潰す物語である。アクションあり、お色気あり、ユーモアあり、奇怪な人物あり。やたらとバカバカしいが、エンターテインメントはこれでいいのだ。スウェーデン出身のアリシア・ヴィキャンデルが魅力的。
■ スティーヴン・スピルバーグ『ブリッジ・オブ・スパイ』(2015年)
アメリカで捕らえられたソ連のスパイ。大きな憎しみがかれに向けられる。その弁護をする羽目になった弁護士は、かれを敵として扱うのではなく、人権を担保されるべき者として扱うべきだという主張を押し出す。一方、ソ連でもスパイ活動中のアメリカのパイロットが拿捕され、東ドイツでもアメリカの学生が捕らえられる。ソ連、東ドイツ、アメリカという3カ国の思惑が交錯する中で、弁護士は1対2の交換に向けて奮闘する。
登場人物それぞれに明快なキャラクターを持たせ、巧いドラマ作りをしているという印象しか抱くことができない。その挙句に、アメリカの良心を礼賛する構造である。スピルバーグはこんなに二流の人だったっけ。