ニコラス・フンベルト&ヴェルナー・ペンツェル『Null Sonne No Point』(1997年)を観る。
アート・アンサンブル・オブ・シカゴによるパフォーマンス前を撮ったドキュメンタリーである。
カメラは引くことなく、ほとんど、かれらの顔や口や手のアップを狙いつづける。この2年後にレスター・ボウイが亡くなるのかと思うと胸が衝かれるような気分にさせられてしまうが、葉巻を加え、大きな目をらんらんと光らせ、指示したりラッパを吹いたりするボウイの姿には、確かに魅かれてしまう。悠然としたロスコー・ミッチェルやドン・モイエもまた同様だ。
そして、2004年に亡くなることになるマラカイ・フェイヴァースは、思索的に語っている。「わたしは信じるよ、死が訪れても、生は終わりはしないのだと。」
アート・アンサンブル・オブ・シカゴは、常に来るべきものとしてあり続ける。ジョゼフ・ジャーマンが抜け、ボウイが亡くなり、フェイヴァースが地球での生を終えてシリウスに帰ったあとも。
●参照
アート・アンサンブル・オブ・シカゴの映像『LUGANO 1993』
アート・アンサンブル・オブ・シカゴ『苦悩の人々』
アート・アンサンブル・オブ・シカゴ『カミング・ホーム・ジャマイカ』
ロスコー・ミッチェル『Celebrating Fred Anderson』
ロスコー・ミッチェル+デイヴィッド・ウェッセル『CONTACT』
ジャック・デジョネット『Made in Chicago』(ミッチェル参加)
サニー・マレイのレコード(ミッチェル参加)
ムハール・リチャード・エイブラムスの最近の作品(ミッチェル参加)
ドン・モイエ+アリ・ブラウン『live at the progressive arts center』、レスター・ボウイ
マラカイ・フェイヴァースのソロ・アルバム
マラカイ・フェイヴァース『Live at Last』
ジョゼフ・ジャーマン
ESPの映像、『INSIDE OUT IN THE OPEN』
『苦悩の人々』再演
ユセフ・ラティーフの映像『Brother Yusef』(ニコラス・フンベルト&ヴェルナー・ペンツェル)
ニコラス・フンベルト『Wolfsgrub』