Minolta TC-1、Rokkor 28mmF3.5、Fuji 400H
ジョン・ボイン『The Boy at the Top of the Mountain』(Doubleday、2015年)を読む。イランに持って行った本を読み終えてしまい、帰りにドバイの空港内で買った。ボインは、映画化された『縞模様のパジャマの少年』を書いた作家である。
パリの少年ピエロ。母親はフランス人、第一次大戦後に亡くなった父親はドイツ人。その母親も亡くなってしまい、孤児院に入る。やがて、父方の叔母がピエロの所在を突き止め、ドイツに呼び寄せる。そこはヒトラーがしばしば使っていたベルクホーフの山荘であり、叔母は使用人として働いていたのだった。危険がピエロの身に迫ることを考え、叔母は、ピエロの名をペーターに変えさせ、パリに残るピエロのユダヤ人の友達から来る手紙も止めさせる。
ピエロはヒトラーにかわいがられ、ヒトラーユーゲントに入り、権力の味を覚えていく。そのために、ヒトラーに逆らった運転手や叔母を死に追いやり、言うことをきかない初恋の娘を街から追放させることになってしまう。
そしてヒトラーも、エヴァ・ブラウンも、ヒムラーも、ゲッペルスも山荘から去り、ナチスドイツは戦争に敗れる。ピエロは拭い難い罪を抱え、いったんは何も話さないことを決断する。それは最大の罪であり、続けおおせることなど不可能だった。
ヤングアダルト向けに書かれた小説だけあって言葉は平易であり、とても読みやすい。その分、ステレオタイプで浅い物語だと思いつつ読み進めた。しかし、犯してしまった罪をどのように見つめ、どのような行動に出るべきか、かつての友だちとどのように接するべきかなど、簡単には答えの出ないテーマが次々に提示されることに気付く。良い小説である。
フローリアン・ウェーバー『Criss Cross [exploring the music of Monk and Bill Evans]』(Enja、2014年)を聴く。
Florian Weber (p, fender rhodes)
Donny McCaslin (sax)
Dan Weiss (ds)
サブタイトルの通り、セロニアス・モンクとビル・エヴァンスの曲集である。といって、懐古趣味でもない。
最初は、ずいぶん綺麗であっさりしていて、まるでミネラルウォーターのようだなと物足りなく思っていたのだが、繰り返し聴いていると色々とじわじわ届いてくる。ワイスは変拍子を何ということもなくこなし、マッキャスリンもさらりとビシビシ吹く。一聴物足りないのは、手作り感とか破綻しそうな危うさとかいったものがないからである(本当はそちらのほうが好きなのだが)。しかし、人間の放つハイテクに耳を貼り付けると、面白いことばかり。
●参照
ダニー・マッキャスリン@55 Bar(2015年)
ダニー・マッキャスリン『Fast Future』(2014年)
ダニー・マッキャスリン『Casting for Gravity』(2012年)
仕事納めの帰りに新川の七針にすべり込み、M.A.S.H.を観る(2015/12/28)。
Shiro Onuma 大沼志朗 (ds)
Junji Mori 森順治 (as)
Hiraku Amemiya 雨宮拓 (p)
Guests:
ユージさん (ds)
Hideki Hashimoto 橋本英樹 (tp)
Rikiya Daimon 大門力也 (g)
M.A.S.H.は常にフルスロットルで全員平等、その結果スタイリッシュ。
セカンドセットから、以前に大沼さんが対バンで一緒だったというパンクバンドのドラマー「ユージさん」、南行徳のトランぺッター・橋本さん、以前に柳川芳命さんのライヴでギターを弾いていた大門さんが加わったりもして、さらに火花が弾けた。
演奏前後に四方山話。Taylor Ho Bynumやコンポステラなどの名前も出て楽しかった。
Nikon P7800
●参照
広瀬淳二+大沼志朗@七針(2012年)
1984年12月8日、高木元輝+ダニー・デイヴィス+大沼志朗
高木元輝の最後の歌