Sightsong

自縄自縛日記

チェット・ベイカー+ポール・ブレイ『Diane』

2016-07-18 23:41:09 | アヴァンギャルド・ジャズ

チェット・ベイカー+ポール・ブレイ『Diane』(SteepleChase、1985年)を聴く。

Chet Baker (tp, vo)
Paul Bley (p)

チェット・ベイカーは1929年末の生まれだというから、このときまだ55歳。薬物や不摂生のためか、そうとはとても思えない外観であり、それは、2年後の1987年からブルース・ウェーバーによって撮られはじめたドキュメンタリー映画『Let's Get Lost』(1988年)に生々しく焼き付けられることになる。そして、チェットがアムステルダムのホテルから転落死するのは、1988年のことである。

ここで聴くことができるトランペットの音も、やさ男のヴォイスも、どう聴いてもチェットのものだ。しかし勢いや跳ねるような溌剌さはもはや微塵もなく、まるでこの人が消えゆくときの残響だけを聴いているようにさえ思える。時間に取り残されてもいいと決めたような、たとえば「Everytime We Say Goodbye」なんて、そんな音楽の魔を渡されても怖い。 

ポール・ブレイは、思索と触発に身を任せるでもなく、ただチェットの消えゆく響きを音楽のなかにとどめんとしているように聴こえる。

●ポール・ブレイ
ポール・ブレイ『Solo in Mondsee』(2001年)
ポール・ブレイ『Homage to Carla』(1992年)
ポール・ブレイ『Plays Carla Bley』(1991年)
ポール・ブレイ+チャーリー・ヘイデン+ポール・モチアン『Memoirs』(1990年)
イマジン・ザ・サウンド(1981年)
ポール・ブレイ『Barrage』(1964年)
ポール・ブレイ『Complete Savoy Sessions 1962-63』(1962-63年)


富樫雅彦+三宅榛名+高橋悠治『Live 1989』

2016-07-18 11:43:05 | アヴァンギャルド・ジャズ

富樫雅彦+三宅榛名+高橋悠治『Live 1989』(Studio Songs、1989年)を聴く。

Masahiko Togashi 富樫雅彦 (perc)
Haruna Miyake 三宅榛名 (p, Korg M-1)
Yuji Takahashi 高橋悠治 (Roland D-50, Akai S 950, Apple SE/30)

1989年、深谷のホール・エッグファームでの記録である(当時はいまのホールと違って、古い蔵の2階であったらしい)。

高橋悠治はここではコンピュータに専念しており、三宅榛名が富樫+高橋デュオに加わる形でピアノとシンセを弾いている。

富樫雅彦は唯一無二のパーカッションを叩いており、そこにはピリピリした緊張感はあっても破綻はない。そしてひとつひとつの音が驚くほど美しい。確かに面白い邂逅だったに違いない。しかしこれは模索の記録である。どうしても、高橋悠治が新しモノと戯れず、三宅榛名とふたりでピアノを弾いてくれていたなら、どんなに凄い演奏だったかと思ってしまう。しばしば動悸がするほどの接触があるだけに。

●富樫雅彦
富樫雅彦が亡くなった(2007年)
『富樫雅彦 スティーヴ・レイシー 高橋悠治』(2000年)
内田修ジャズコレクション『高柳昌行』(1981-91年)
富樫雅彦『セッション・イン・パリ VOL. 1 / 2』(1979年)
富樫雅彦『かなたからの声』(1978年)
翠川敬基『完全版・緑色革命』(1976年)
富樫雅彦『風の遺した物語』(1975年)
菊地雅章クインテット『ヘアピン・サーカス』(1972年)
菊地雅章+エルヴィン・ジョーンズ『Hollow Out』(1972年)
小川紳介『1000年刻みの日時計-牧野村物語』(1968年)
『銀巴里セッション 1963年6月26日深夜』(1963年)

●高橋悠治
エヴァン・パーカー+高橋悠治@ホール・エッグファーム(2016年)
ジョン・ブッチャー+高橋悠治@ホール・エッグファーム(2015年)
姜泰煥・高橋悠治・田中泯(2008年)
姜泰煥・高橋悠治・田中泯(2)(2008年)
『富樫雅彦 スティーヴ・レイシー 高橋悠治』(2000年)