齋藤徹『Contrabass Solo at ORT』(Travessia、2010年)を聴く。
Tetsu Saitoh 齋藤徹 (b)
故ペーター・コヴァルトのコントラバスを、コヴァルトがドイツの自宅を開放した場・ORTにおいて弾いている。
以前にどこかで、テツさんが、バール・フィリップスのコントラバスを弾くとバールさんの音が出る不思議さについて書いていたように記憶している。そうなれば、ここで聴ける演奏は、まるで絹のようなコヴァルトの音なのか。そのような気もするし、そうでない気もする。
どちらかと言えば、楽器の呪縛というよりも、場の強さに対峙して弾く切迫感を強く感じる演奏である。びぎん、げいんと弦がはじける音も、胴の共鳴が周囲のもろもろを呼び寄せるような感覚も、叩くと響くとが重なった音も、何か(コヴァルトか)に想いを寄せるような念も含めて、違う相のものがあい混じっている。
●参照
齋藤徹の世界・還暦記念コントラバスリサイタル@永福町ソノリウム(2016年)
かみむら泰一+齋藤徹@キッド・アイラック・アート・ホール(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
齋藤徹・バッハ無伴奏チェロ組曲@横濱エアジン(2016年)
うたをさがして@ギャラリー悠玄(2015年)
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年)
齋藤徹+喜多直毅+黒田京子@横濱エアジン(2015年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
バール・フィリップス+Bass Ensemble GEN311『Live at Space Who』(2012年)
ミッシェル・ドネダ+レ・クアン・ニン+齋藤徹@ポレポレ坐(2011年)
齋藤徹による「bass ensemble "弦" gamma/ut」(2011年)
『うたをさがして live at Pole Pole za』(2011年)
齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』(2009年)
齋藤徹、2009年5月、東中野(2009年)
ミッシェル・ドネダと齋藤徹、ペンタックス43mm(2007年)
往来トリオの2作品、『往来』と『雲は行く』(1999、2000年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ+チョン・チュルギ+坪井紀子+ザイ・クーニン『ペイガン・ヒム』(1999年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ『交感』(1999年)
久高島で記録された嘉手苅林昌『沖縄の魂の行方』、池澤夏樹『眠る女』、齋藤徹『パナリ』(1996年)
ミシェル・ドネダ+アラン・ジュール+齋藤徹『M'UOAZ』(1995年)
ユーラシアン・エコーズ、金石出(1993、1994年)
ジョゼフ・ジャーマン