Sightsong

自縄自縛日記

高橋知己『Another Soil』

2016-07-13 23:12:14 | アヴァンギャルド・ジャズ

高橋知己『Another Soil』(DENON、1980年)を聴く。

Tomoki Takahashi 高橋知己 (ts, ss)
Kiyoshi Sugimoto 杉本喜代志 (g)
Shigeharu Mukai 向井滋春 (tb)
Junichiro Ohkuchi 大口純一郎 (p)
Tamio Kawabata 川端民生 (b)
Hideaki Mochizuki 望月英明 (b)
Elvin Jones (ds)

何しろエルヴィン・ジョーンズに弱く、これもエサ箱で見つけるや握りしめてしまった。

1966年にトラブルでアメリカに帰国できなくなり、しばらく新宿ピットインにおいて連夜のセッションを繰り広げてから14年。このときも、エルヴィンはまだ伝説的で、かつ親しみやすくもある存在であったに違いない。

本盤での主役は若干30歳の高橋知己。エルヴィンを煽るでもなくマイペースな感じに聴こえるのが面白いが、一方、エルヴィンは常に共演者を煽り立てる。特にB面の盛り上がりなんて興奮させられる。ついエルヴィンばかり聴いてしまうのだ(申し訳ない)。

最近、高橋さんとよく共演するドラマーの本多滋世さんに訊くと、彼女のフェイヴァリットはエルヴィンだという(いちど訊いただけなので違うかもしれない)。タイミングが合えば、ぜひ本多さんが高橋さんをどのように煽るのか、目撃してみたいと思っている。

●エルヴィン・ジョーンズ
エルヴィン・ジョーンズ(1)
エルヴィン・ジョーンズ(2)
チコ・フリーマン『Elvin』(2011年)
ベキ・ムセレク『Beauty of Sunrise』(1995年)
ソニー・シャーロック『Ask the Ages』(1991年)
エルヴィン・ジョーンズ+田中武久『When I was at Aso-Mountain』(1990年)
エルヴィン・ジョーンズ『Live at the Village Vanguard』(1968年)、ジョージ・コールマン『Amsterdam After Dark』『My Horns of Plenty』(1978、1991年)
アルバート・マンゲルスドルフ『A Jazz Tune I Hope』、リー・コニッツとの『Art of the Duo』(1978、1983年)
菊地雅章+エルヴィン・ジョーンズ『Hollow Out』(1972年)
フィニアス・ニューボーンJr.『Back Home』(1969年)
藤岡靖洋『コルトレーン』、ジョン・コルトレーン『Ascension』(1965年)
ロヴァ・サクソフォン・カルテットとジョン・コルトレーンの『Ascension』(1965、1995年)
マッコイ・タイナーのサックス・カルテット(1964、1972、1990、1991年)
『Stan Getz & Bill Evans』(1964年)
ソニー・シモンズ(1963、1966、1994、2005年)


阿部芙蓉美『EP』

2016-07-13 21:42:37 | ポップス

井上剛『その街のこども』は傑作だった(井上剛『その街のこども 劇場版』『その街のこども』テレビ版)。あまりにも最後に心を動かされるだけに、ぜんぜん意識していなかったのだが、大友良英と阿部芙蓉美による主題歌も、それだけで聴いてみると平常心ではいられない力がある。

そんなわけで、思い出して、阿部芙蓉美『EP』(3rd Stone F.T.S.、2014年)を聴く。(なお、「その街のこども」は本盤には収録されていない。)

息の風を起こすことによって、想いと生命力とが前面に押し出されるヴォイス。シンプルなビートとサウンド。

なるほどこれは魅力的。他のテイストの阿部芙蓉美も聴いてみたい。


アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『Jazz Now! - Live at Theater Gütersloh』

2016-07-13 06:45:19 | アヴァンギャルド・ジャズ

アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『Jazz Now! - Live at Theater Gütersloh』(Intuition、2015年)を聴く。

Alexander von Schlippenbach (p)
Rudi Mahall (bcl)
Antonio Borghini (b)
Heinrich Köbberling (ds)

何しろハービー・ニコルスである。シュリッペンバッハがエリック・ドルフィーやセロニアス・モンクの曲を演奏していることは多くあったが、それらに加え、ニコルスの曲とは新鮮だ(「12 Bars」「The Gig」「Every Cloud」)。あまりシュリッペンバッハの熱心な聴き手ではないのでわからないのだが、ニコルスにも熱い視線を向けていたのかもしれない。それにしても、ICPオーケストラなどヨーロッパの面々にニコルスの奇妙な曲がとても合うのはなぜだろう。

残念ながらシュリッペンバッハには往年の勢いがない。しかし、ここではルディ・マハールのバスクラがそれを補って余りある魅力を発散する。バスクラらしからぬ軽さとよれ具合はとても面白い。エヴァン・パーカーとはまた違う意味で、マハールの天使の舞いがシュリッペンバッハの音楽を浮上させているように感じられる。

90年代後半に、エヴァンの代役としてシュリッペンバッハ・トリオの一員として吹いたマハール、またベルリン・コンテンポラリー・ジャズ・オーケストラでエヴァンの隣で吹いていたマハールの鮮烈な印象はまだ消えない。昨年(2015年)のアンサンブル・ゾネでの演奏もよかった。

●アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『ライヴ・イン・ベルリン』(2008年)
シュリッペンバッハ・トリオ『Gold is Where You Find It』(2008年)
シュリッペンバッハ・トリオ『Detto Fra Di Noi / Live in Pisa 1981』(1981年)
シュリッペンバッハ・トリオ『First Recordings』(1972年)

●ルディ・マハール
アンサンブル・ゾネ『飛ぶ教室は 今』(2015年)
「失望」の『Vier Halbe』(2012年)
アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『ライヴ・イン・ベルリン』(2008年)
『失望』の新作(2007年)
高瀬アキ『St. Louis Blues』(2001年)