Sightsong

自縄自縛日記

姜泰煥『素來花』

2017-03-04 09:25:18 | アヴァンギャルド・ジャズ

姜泰煥『素來花』(AudioGuy Records、2011年)を聴く。

Kang Tae Hwan 姜泰煥 (as)

アルトサックスのみによるソロ2枚組。

韓国ソウルのスタジオにおける録音だと書かれているが、その反響はまるで地下空間のようである(まるで大谷石の採石場跡で録られたジョン・ブッチャー『The Geometry of Sentiment』のように)。もちろんサックスから音が発せられた後の外界においてだけではなく、サックスの管の中、姜さんの体内においても音は共鳴し増幅させられているだろう。

1990年代にはじめて姜泰煥を聴いたとき、荒々しい龍がエネルギーの発散場所を求めてのたくるようなエネルギーの太い奔流に驚き、恐怖も覚えた。その後、循環呼吸による長いパッセージだけでなく微分的なものにも移っていったのかと思ったりもしたが、必ずしもそうでもなかった。

本盤を聴いても、さまざまな色合いと厚さの音が何層にも重なり、ダイナミックに変貌し、その都度異なる響きを創り出している。そして昨年(2016年11月)に、教会というやはり素晴らしい響きが得られる空間で聴いたときには(TON KLAMI@東京都民教会)、複数の異なる貌を見せてくれた。

●姜泰煥
TON KLAMI@東京都民教会(2016年)
映像『ユーラシアンエコーズII』(2013年)
ユーラシアンエコーズ第2章(2013年)
姜泰煥・高橋悠治・田中泯(2008年)
姜泰煥・高橋悠治・田中泯(2)(2008年)
姜泰煥+美妍+朴在千『Improvised Memories』(2002年)
『ASIAN SPIRITS』(1995年)