Sightsong

自縄自縛日記

広瀬淳二+中村としまる+ダレン・ムーア@Ftarri

2017-07-23 10:18:07 | アヴァンギャルド・ジャズ

水道橋のFtarriに足を運んだ(2017/7/22)。何しろ凄いメンバーでありスルーできない。

Junji Hirose 広瀬淳二 (ts)
Toshimaru Nakamura 中村としまる (no-input mixing board)
Darren Moore (ds)

ファーストセット。全員がこすれ音からスタートし、次第にあちこちが発火しはじめる。やはり広瀬淳二のテナーは唯一無二のものであり、次々に倍音と声が入り混じった無数の音が出てくる。これがダレン・ムーアのヘンな音と、中村としまるの知的に明後日の方向にエンジンをふかすような音と混じりあうことの快感といったらない。つい観ていて顔が引きつって笑ってしまった。

広瀬さんはテナーの横に発砲スチロールをくっつけており、それを擦ってまたしてもヘンな音を発している。あとで訊いたところ、今年になってくっつけたが録音ははじめてだとのこと(録音セッションだったのだ)。さらに何かつけるとも笑って言っており、おそろしい予感がする。

セカンドセット、またしても快感。ダレンさんが金属でドラムスを回し擦りはじめたら、中村さんをはさんで、広瀬さんも朝顔を金属で回し擦り、これは何の光景なのか。

たまたま横にハープ奏者のメアリー・ダウマニーさんが座り、初対面のわたしに、1曲目のあとは「かれらは陽が照りつけるなか砂漠をともかくも歩き続けている」、2曲目のあとは「かれらはロッキー山脈のうえにいて降りることができないでいる」と、幻視の内容を語ってくれた。他人の幻視は解ったり解らなかったりするが面白かった。

終わってから全員で少し飲んだ(ご馳走さまでした)。キャル・ライアルさんが、この2日前にスーパーデラックスで広瀬さんと共演したばかりのニコラス・フィールド、グレゴール・ヴィディックのふたりとともに入ってきて、もろもろの話を聴くことができた。

●広瀬淳二
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)
広瀬淳二『SSI-5』(2014年)
広瀬淳二+大沼志朗@七針(2012年)
広瀬淳二『the elements』(2009-10年)

●中村としまる
Spontaneous Ensemble vol.7@東北沢OTOOTO(2017年)
中村としまる+沼田順『The First Album』(2017年)
内田静男+橋本孝之、中村としまる+沼田順@神保町試聴室(2017年)

●ダレン・ムーア
Kiyasu Orchestra Concert@阿佐ヶ谷天(2017年)


ベッカ・スティーヴンス@Cotton Club

2017-07-23 09:28:47 | アヴァンギャルド・ジャズ

丸の内のCotton Clubにベッカ・スティーヴンスを聴きに行った(2017/7/22, 1st)。

Becca Stevens (vo, g, ukulele, charango)
Liam Robinson (p, key, accordion)
Chris Tordini (b, vo)
Jordan Perlson (ds, per)

可愛くステージに登場したベッカ・スティーヴンス、2年前よりも少し堂々としたような気が。

1曲目の「Tillery」でいきなりフォーク、ロック、カントリー、ジャズの雰囲気をすべて醸し出し実にいい。リアム・ロビンソンのアコーディオンも効いている。「Queen Mab」は『ロミオとジュリエット』の台詞を使った唄で、ささやきが印象的。新作『Regina』に入っているとのこと、早く入手して聴きたい。『Perfect Animal』に収録されている「Imperfect Animals」。「I'll Notice」でウクレレを持ち、そのベルトを2色示して紫色を選んでもらうという愛嬌。「Lean on」、「Venus」、「Harbour Hawk」、「Both Still Here」も『Regina』収録曲。特に「Venus」でベッカのアカペラ、全員のコーラスに移る気持ちよさ。「Harbour Hawk」はベッカがおばあさんを想像して書いた唄だという。「Both Still Here」ではチャランゴを使った。「Canyon Dust」でウクレレに持ち替え、「Traveller's Blessing」でまたチャランゴ。「You Make Me Wanna」、そしてアンコールでは、スティーヴィー・ワンダーの「As」を唄った。『Songs in the Key of Life』に入っている曲であり、ベッカは、観客に「always...」と唄わせ、盛り上げた。

何しろ透明感があって、また楽器の演奏も、実際にも、囁きが重ね合わされ、気持ちのいいグルーヴを生みだしていた。クリス・トルディーニの出し入れ自在のベースも見事だった。 

●ベッカ・スティーヴンス
ベッカ・スティーヴンスの話と歌@ニュー・スクール
(2015年)

●クリス・トルディーニ
ジム・ブラック『Malamute』(2016年)
マット・ミッチェル『Vista Accumulation』(2015年)
オッキュン・リーのTzadik盤2枚(2005、2011年)