Sightsong

自縄自縛日記

ジャスト・オフ『The House of Wasps』

2017-07-13 23:28:11 | アヴァンギャルド・ジャズ

ジャスト・オフ『The House of Wasps』(My Best! Records、-2015年)を聴く。

Just Off:
Tristan Honsinger (cello, voice, clap)
Yuriko Mukoujima 向島ゆり子 (vln, voice, vo, clap)
Shuichi Chino 千野秀一 (p)
Takashi Seo 瀬尾高志 (b)

チャーミングなヴァイオリン、思索しているかのようなチェロ、重く地を震わせるコントラバス、3つの弦がそれぞれ異なる音域で鳴り、お互いに接近して紙縒りを作っているようだ。そのフェーズ群の中でピアノがきらきらと散りばめられている。

どこの誰の音楽なのか知らぬが花とばかりにサウンドの宴を催しているのも愉快である。冒頭曲などは指笛のような音、そして沖縄音階。向島ゆり子さんがライナーを書いている。トリスタン・ホンジンガーとは、「沖縄の居酒屋で一晩中沖縄音階で即興し続けたこともある」そうなのだ。この地球市民たちの音楽はとても魅力的。

●トリスタン・ホンジンガー
「KAIBUTSU LIVEs!」をエルマリート90mmで撮る(2)(2010年)
「KAIBUTSU LIVEs!」をエルマリート90mmで撮る(2007年)
トリスタン・ホンジンガー『From the Broken World』、『Sketches of Probability』(1991、96年)
ICPオーケストラ『Bospaadje Konijnehol』の2枚(1986-91年)
1988年、ベルリンのセシル・テイラー(1988年)

●向島ゆり子
向島ゆり子@裏窓(2016年)


酒井俊+永武幹子+柵木雄斗(律動画面)@神保町試聴室

2017-07-13 21:16:09 | アヴァンギャルド・ジャズ

ホーチミン在住の酒井俊さんが帰国して唄う。去年入院しているときに、『Beyond Time』や『四丁目の犬』を聴いたりして、今度の帰国時には駆けつけようと思っていた。そんなわけで、神保町試聴室(2017/7/12)。バンド名は「律動画面」だがどういう意味だろう。

『Beyond Time』を発売した頃になんどか観て以来だから、20年は大袈裟だとしても、今世紀になってはじめてだ。

Shun Sakai 酒井俊 (vo)
Mikiko Nagatake 永武幹子 (p)
Yuuto Maseki 柵木雄斗 (ds)

酒井俊さんの活動初期の録音を聴くと、圧が強い高音が目立っている。その後、ちょっとハスキーにもなり、しかしエネルギーは猛烈な勢いで溢れ出ていた。そして今回、前よりもしっとりとして、ますます素敵な声になっていると思えた。肌理のこまかな布のようである。べらんめえ調な感じの唄い方は健在。

この夜、「Stardust」、「Nearness of You」というホーギー・カーマイケルの名曲を情感たっぷりに唄い、『Beyond Time』所収の「It's A Most Unusual Day」や「四丁目の犬」も披露してくれた。「寿限無」、「トルコ行進曲」、「とんかつの唄」はアクセントを入れるようにユーモラス。(「とんかつの唄」では、とんかつが食えなくなったら死んでしまいたい、と唄っている。だがわたしは、入院前にはとんかつさえ噛み切れなくなっていたのだった・・・。情の唄を聴くと自分のことばかりを考えてしまう。)

意外なのは林栄一の「ナーダム」や「回想」。「Ain't No Sunshine」もやった。最後は「真夜中のギター」で締めた。もう素敵すぎて反則。

永武幹子さんのフレーズをあらたに紡ぎだそうとする歌伴も、柵木雄斗さんの遊び心もよかった。

俊さんはベトナムのお土産を来客に持ってきていた。わたしは布の財布をいただいた。仕事場からちょっと出るときに使うことに決めた。

帰り道、俊さんの声を頭の中で反芻した。そのせいか、途中で飲んでしまい帰宅したのは朝の4時になった。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4

●永武幹子
永武幹子トリオ@本八幡cooljojo(2017年)
永武幹子+瀬尾高志+柵木雄斗@高田馬場Gate One(2017年)
MAGATAMA@本八幡cooljojo(2017年)
植松孝夫+永武幹子@北千住Birdland(JazzTokyo)(2017年)
永武幹子トリオ@本八幡cooljojo(2017年)

●柵木雄斗
永武幹子+瀬尾高志+柵木雄斗@高田馬場Gate One(2017年)