柳川芳命+Meg Mazaki『Heal Roughly Alive』(Dual Burst、2018年)を聴く。
Homei Yanagawa 柳川芳命 (as)
Meg Mazaki (ds)
2016年から17年にかけて、このふたりにより共演が積み重ねられたシリーズ「Hyper Fuetaico」はなかなか鮮烈なものだった。柳川さんのアジアンブルース、Megさんのフリーフォールのごときドラミング。かれらがまるで覚悟を決めて、居合い抜きを何度も繰り返すようなデュオだった。
そのふたりが、新たなシリーズ「Heal Roughly」を始めた。「Hyper Fuetaico」も「Heal Roughly」もシリーズ名であってユニット名ではない。従って、シリーズの変更にあたっては明確なコンセプトの合意があったに違いない。それは何か。この録音を聴いて想像する限りでは、場合によっては傷つけあうような直接の衝突から、相互の歩み合い、相互の浸食に変貌を試みるということではないかと思える。
演奏の場に身を置いている気持ちで耳を傾けていると、柳川さんのアルトをMegさんが理解しようとしてその上で叩き、またそれに呼応して柳川さんが新たに吹いているように感じられてくる。結果として演奏の強度が高くなっても、それは直接の衝突によるものとは異なっている。そして前作よりも悲しみに覆われている。
果たしてこの想像はどうか。次に関東で観ることがあれば訊ねてみたい。
「Hyper Fuetaico」の音源群
●参照
柳川芳命+Meg『Hyper Fuetaico Live 2017』(JazzTokyo)(2017年)
Sono oto dokokara kuruno?@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2017年)
柳川芳命『YANAGAWA HOMEI 2016』(2016年)
柳川芳命+ヒゴヒロシ+大門力也+坂井啓伸@七針(2015年)
柳川芳命『邪神不死』(1996-97年)
柳川芳命『地と図 '91』(1991年)