オーネット・コールマン『Live Free Trade Hall Manchester 1966』(Hi Hat、1966年)を聴く。
Ornette Coleman (as, tp, vln)
David Izenzon (b)
Charles Moffett (ds)
1966年5月の英国ツアーにおいてラジオ放送した音源とのこと。デイヴィッド・アイゼンソン、チャールス・モフェットとのトリオであり、全盛期の(全部全盛期かもしれないが)かれらの音が悪いわけはない。ちょっと音質がこもったような感じだが気にならない。それに、名曲「European Echoes」を冒頭にプレイし、最後には抑制する「Sadness」で締めくくっている。
いつでもそうなのだが、アイゼンソンの不穏なアルコは絶品だし、モフェットのエネルギーを直出しするようなドラミングも良い。オーネットはエド・ブラックウェルとも多く共演しているわけだが、原始的に跳躍するような感覚に共通点がある。(そういえば、モフェットは「G.M. プロジェクト」の一員として来日予定だったところ直前にキャンセルとなり、結局観ることができなかった。代役のドラマーが誰だったのか覚えていない)
とは言え、同じトリオによる『Town Hall 1962』(1962年)、『Chappaqua Suite』(1965年)、『Golden Circle』(1965年)における張り詰めたような緊張感はここでは、それほどには創出されていない。Hi Hatからの別の発掘盤『Trio Live / Tivoli Koncertsalen Copenhagen 1965』は『Golden Circle』の少し前であり、同様に、ジャズ史に屹立する傑作群と比べれば少し訊き劣りがする。
本盤と同じ1966年の初頭に同じメンバーで収録された『Who's Crazy?』と改めて聴き比べてみてもやはりその印象である。冒頭の「January」は中盤に(そう書いてはいないが)「Sadness」に移行する。このときの息を呑むような感覚は素晴らしいものだが、この収録のときの映像『David, Moffett and Ornette』を観ていたからなおさらそう思うのかもしれない。同映像には最後の曲を吹く場面も収録されており、浮かれたイカレポンチの様子が忘れられない。いまあらためて聴いても笑いだしそうになってくる。しかもそのまま「European Echoes」になだれ込むのだ。もう最高。
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