廣木光一+渋谷毅『Águas De Maio 五月の雨』(Hiroki Music、2018年)を聴く。
Koichi Hiroki 廣木光一 (g)
Takeshi Shibuya 渋谷毅 (p)
『So Quiet』(Mugendo、1998年)は出た当時から好きで、今に至るまで繰り返し聴いている。それ以来2枚目のデュオ作品である。20年も経っているのか。
再演曲は2曲。「He is Something」(廣木)は故・武田和命のために書かれた曲だそうだが、本人の吹いた録音は出ていない(と、渋谷さんが書いている)。新旧の演奏を比較してみると、新しい方がすこし溌剌としているように聴こえる。主旋律という物語の語り手が廣木さんであり、渋谷さんの合いの手を挟んで、また廣木さんへと戻る。武田さんのブロウはどのようなものだったのだろう。
そして、わたしを含め多くのファンが愛する「Beyond the Flames」(渋谷)、場合によっては「無題」。これはやはり、たゆたい循環する渋谷さんのピアノが中心にある。20年前の演奏では全般に廣木さんのギターが介入していた。本盤では主にピアノの時間の節目においてギターが入ってきており、さらにコラボレーションが動悸を引き起こす。2分過ぎにギターがピアノに重なる音を聴いてほしい。間違いなく小さい声であっと叫ぶだろう。昨日、中野のSweet Rainでこの曲が流され、植松孝夫さんが浅川マキの思い出をぽつぽつと呟いた。たまらないな。
他の曲ももちろん素晴らしい。最近のライヴで廣木さんがよく演奏する「人生は風車」(カルトーラ)とか「Frenesi」(廣木)なんて実に実に良い曲なんである。
何気なさを装って圧倒的に強靭で清冽な音を出すふたりのデュオ。
●廣木光一
高田ひろ子+廣木光一@本八幡cooljojo(2017年)
安ヵ川大樹+廣木光一@本八幡Cooljojo(2016年)
吉野弘志+中牟礼貞則+廣木光一@本八幡Cooljojo(2016年)
廣木光一+渋谷毅@本八幡Cooljojo(2016年)
Cooljojo Open記念Live~HIT(廣木光一トリオ)(JazzTokyo)(2016年)
廣木光一(HIT)@本八幡cooljojo(2016年)
廣木光一『Everything Shared』(2000年)
廣木光一『Tango Improvisado』(1995年)
●渋谷毅
今村祐司グループ@新宿ピットイン(2017年)
渋谷毅@裏窓(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2017年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その3)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その2)
廣木光一+渋谷毅@本八幡Cooljojo(2016年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2016年その1)
渋谷毅@裏窓(2016年)
渋谷毅+市野元彦+外山明『Childhood』(2015年)
渋谷毅エッセンシャル・エリントン@新宿ピットイン(2015年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2014年)
渋谷毅オーケストラ@新宿ピットイン(2011年)
渋谷毅+津上研太@ディスクユニオン(2011年)
渋谷毅のソロピアノ2枚(2007年)
原みどりとワンダー5『恋☆さざなみ慕情』(2006年)
『RAdIO』(1996, 99年)
渋谷毅+川端民生『蝶々在中』(1998年)
『RAdIO』カセットテープ版(1994年)
『浅川マキを観る vol.3』@国分寺giee(1988年)
『山崎幹夫撮影による浅川マキ文芸座ル・ピリエ大晦日ライヴ映像セレクション』(1987-92年)
浅川マキ+渋谷毅『ちょっと長い関係のブルース』(1985年)
カーラ・ブレイ+スティーヴ・スワロウ『DUETS』、渋谷毅オーケストラ
見上げてごらん夜の星を