仕事帰りに、神田小川町のneoneo坐に寄った。珍しい短編映画を月2回ペースで上映している「短編調査団」、今回は沖縄の映画3本という企画だった。観客は4人。16ミリの上映機(エルモの機械)を使った上映はあまり観ないので嬉しい。
『沖縄から来た少年』(1969年)は、集団就職を取り上げている。かなりの割合の少年少女が、就職後まもなく離職している。その背景のひとつには、本土の差別意識があることがわかってくる。「沖縄では英語を喋るのか」「箸を使うのか」といった質問を周囲にされることに衝撃を受けたある少年は、その理不尽さに怒りを隠さない。
『シーサーの屋根の下で』(1985年、山崎定人)だけは劇映画。竹富島で養蚕、絹織物制作に取り組む女性、その母と娘、強引に島を出て東京で働く息子の物語であり、かなり「くさい」のが面白い。東京のコンクールに出品した絹織物が「奨励賞」を受賞する。観に行ってくれと言われ、息子が訪れる先はなんと日本民藝館。道理で、蕎麦屋の「満留賀」がある風景が駒場に似ていると思った。表彰状には「柳宗悦」の署名があり、この織物と表彰状は本物かもしれない。
『あけもどろ』(1972年、野村岳也・田野多栄一)は、米軍に土地を強制的に奪われた読谷村渡具知の人々の様子を描いている。黙認耕作地の様子や、住民の署名に対する形ばかりの政府の態度、借地料の支払いの様子などが興味深い。返還当時と、現在とでは本質的に何の違いがあるのだろう、と実感してしまう。屋良朝苗や美濃部亮吉らが推薦人に名を連ねていた。
ところで、待っている間に、7月からポレポレ東中野で公開される『バックドロップ・クルディスタン』(2007年、野本大)の予告編が流されていた。どうも音楽はクルド人歌手のシヴァン・ペルウェルみたいだ。以前にブリュッセルでペルウェルを観たときに、観客席で大勢が両手を下のほうでつないで踊っていたが、それらしい踊りのシーンもあった。これだけで観に行くことに決定した。