日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
割とまめに書くようにしています。
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日経コンピュータ編 「システム障害はなぜ起きたか みずほの教訓」(日経BP社)

2007-09-05 22:19:09 | 本・映画・展覧会
 9月は防災の意識向上を図る月である。そろそろ台風シーズンだし、地震や発電所事故、都市洪水など避難の機会が何と無く増えてる感じのする昨今であればこそ。

 打合せ先から直帰し、いつもより早くくつろぐ。こんな時こそしっかりと、防災対策に目を向けて見ることも良かろう。防災と言っても自然災害とは限らない、人災を防ぐコトだって防災のはずだ…小ざかしい理屈はおいといて、ちょっと古いけどなかなか世間を賑わした「あの一件」を主題とした本を手に取った。

 一勧、富士、興銀が合併して「みずほ」となりシステム統合をしたが、うまく稼動せず大混乱に陥ったあの一件。当時もさまざまな報道を読んではいたが、月日がたって一冊にまとめられたものを読むと、改めて技術不在の意思決定、政治的配慮の愚かさ、リーダーシップの欠如といった背景を知らされた。一方でシステム統合をうまくやり遂げた北洋(+拓銀)、三菱東京(今は+UFJ)の例は、ちょっと美談っぽいが好対照に映る。

 プロマネの必要性は大いに共感できるところ、ただしPMBOKを絶対神として崇める必要はない。他に適当な手法、共通的な指針がないからPMBOKを挙げているだけと捉えたい。もっとも、幾つも手法や資格が乱立しても困るのだが…

 本書の最後には「動かないコンピュータ撲滅の十か条」が纏められている。言われれば一々ごもっとも、それが出来ないから苦労してんじゃんと現場からはクレームが来そうだが(笑)、やはり肝に銘じておきたい。そしてこれらの多くはコンピュータシステム以外の仕事にも当てはまりそうな内容でしょう。

 2007年9月4日 自宅にて読了
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クレイグ・マクラクラン 「日本百名山 ガイジン夏遍路」(小学館文庫)

2007-09-05 05:52:06 | 本・映画・展覧会
 四国遍路、日本縦断と日本を旅してきたニュージーランド人による日本百名山の早回り登頂記である。ただ登るだけでなく早回りと言うのがすごい…スポンサーをつけちゃうのも逞しい。

 が、過去3作に感じた共感や、著者に教えられたことはこの本にはなかった。むしろ、海外からの旅行者が不慣れな(フリ)のを良い事に好き勝手振舞って帰っていったという不快感の方が強い。

 仮にもスポンサー様提供の車で(もちろんそうでなくても、だ)渋滞の高速道路の路肩走行をしたり、チェーンで封鎖されてる林道に入り込んだり、地元の人間に止められている登山を強行突破したり…やりたい放題である。そこには「急いでいるから」と言う身勝手な論理しかない。「なぜ日本人は我慢しているのだろう」と言う疑問をもつことは一向に構わないが、だからと言ってそれに従わなくて良いわけではない。

 著者はN.Z.のクイーンズタウンでトレッキング会社を経営しているようだが、そのツアーに参加した日本人旅行者が「日本の流儀」で振舞っても咎めたりしないのだろうか?やってやろうとは思わないが。著者は少々、日本に慣れ過ぎてしまったかに見える。クレイグ、あなたはいっぱい日本を紹介してくれたね、有難う。でももう潮時のようだ。これ以上はいいよ…(実際にはこの本は2冊目で、このあとさらに2冊を出しているのだが、そこではここまで身勝手な振舞いは影を潜めている)

 そうした振舞い方もだが、何より「早回り(早登り)」には疑問を抱かざるを得ない。暗くなって山に登ってどうだと言うのか。山頂に達すれば何でも良いのか。せっかくロープウェーなどを拒否する登り方をモットーとするのであれば、せめて明るいうちに周囲の様子なども楽しみながら登って欲しいものだ。そして同じことは「つぶし派」の人間に共通して問えることで、暗くなって乗った電車で「路線制覇」と言えるのか?チャポンと浸かっただけで「温泉入浴」と言えるのか?等々(もちろんそういうやり方はNGとする向きも多いだろう)。

 楽しむより考えることの方が多い本だった。要するに「紀行文」ではなく「プロジェクト報告書」と思って読めば良い本だったのだ。こんな本まで出されて、この計画のスポンサーはいいツラのカワである。航空会社、自動車メーカー、石油元売り。「冒険」と名の付く行為すべてにカネを出すのが良いとは限らない。

 2007年9月4日 通勤電車の車中にて読了
コメント (2)
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