日々のつれづれ(5代目)

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【本】前坂俊之著 「明治三十七年のインテリジェンス外交-戦争をいかに終わらせるか」(祥伝社新書)

2017-03-01 06:41:28 | 本・映画・展覧会
 小村寿太郎の奮闘振りを描いた「ポーツマスの旗」で登場した金子堅太郎について書かれた本があったので、続けて読んでみた。

 全体の分量を10とすれば、そのうち7か8は後年の金子翁本人の回顧録の再掲ではないか。ちょっとひどすぎね?いや、こういう本でなければ読む機会もなかったろうからアリなのか。ついでにロシア全権大使ウィッテの回顧録も抜粋で載ってるぞ。これがビジネスモデルだ。ひねくれた見方でごめん。

 本書を読めば改めて、金子なくして講和なし、金子あっての小村、と言えそうだ。そして本書を読む限り、この時点のルーズベルト(米大統領)は対欧の思惑があるにせよ本当に日本のバックアップに尽力している。そしてそれが永続する友情にならないのが歴史のいたずらか。否、日本の驕り。

 「ポーツマスの旗」は戦争が続けば日本はずるずると後退し持久戦になれば負ける寸前で手打ちした絶妙のタイミング、見事な交渉と言うスタンスで書かれている。対して本書を読むと、その交渉はインテリジェンス(情報戦)に弱い日本はすんでのところで樺太全土を取れたものを半分でと「失敗談」として描いているようである。たぶんそうなのだろう。きっと両書とも正しいのだろう。「手打ちに持ち込むには成功したが、詰めが甘かった」と言うことなのだろう。

 今どき戦争で和平交渉などないだろうが、北方領土交渉、そして竹島や尖閣諸島、沖ノ鳥島問題と言った領土問題だけでなく、通貨や貿易など多くの対外交渉ごとで「何やってんだよー」と思うことが多い。日本人は永遠に「負け続ける」のだろうか。

 2017年2月16日 通勤電車にて読了
コメント
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