P96
この世で何が嫌いかといって、男の人に二股をかけられることほど腹立たしいことはない。だから不倫には不向きだった。毎晩、他の女のところへ帰っていく男と、何が悲しくて恋愛をしなければならないのだろう。
P144
たとえば、少女時代はとても利発で、物の道理をよくわきまえていると評判だった娘さんが、三十歳を過ぎてから、つまらない男に狂って、人生を台なしにした例を私は何件も知っている。
P183
バリ島というと熱帯というイメージが強いが、六月から九月は乾季なのでカラッとしていて気温もさほど高くない。
【関連図書】
「なぜノンフィクション作家はお化けが視えるのか」工藤美代子
「もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら」工藤美代子
【ネット上の紹介】
霊感はさほど強いないはずだが、なぜか奇妙なできごとに遭遇してしまう著者。生首の髪を切る美容院、不意に出現した線香の灰、誰もいないはずの家で階段を上がって来る衣ずれ、袋小路に向かって歩き去る人々―。「深入りは危険」とわかっていても、好奇心は止められない!飄々とした筆致で描きだされる風変わりなエピソードの数々は、ゾクリとする一方で、生命の儚さに想いを馳せさせる。山田太一氏、荒俣宏氏との対談も収録。
変な人たちがいる街
真夏に起きた不思議な話
眼を合わせてはいけない人たち
真冬の朝顔
時計だって嫉妬する
五ヵ月だけ住んだ家
なぜ着物なのですか?
会いたかったわ貞子さん
ヨシエさんの霊感
子供たちからのメッセージ
殺ス人ガイルカラ殺サレル
怖い顔の話
山田太一×工藤美代子 対談―突き詰めていけば、人はみな幽霊なのだ
荒俣宏×工藤美代子 対談―日常の中に“死者”と“あの世”を探して
「中野京子の西洋奇譚」中野京子
歴史奇譚がテーマ。
世の中には合理的に説明できない不思議な出来事がある。
P47-48
イエスが十字架を背負ってエルサレムの街を歩かされた時、疲れ果ててユダヤ人の靴屋の家の壁に寄りかかろうとして拒まれた。イエスは彼に言った、自分は死して安らぐが、おまえは永遠にさすらい続けねばならない、と。かくしてこのユダヤ人(ユダヤ人そのものの象徴)は、地上のどこにも安住の地はなくなった。
P72
ヒトラーが4月30日という日を選んで自殺したことに、何か意味があったと考える研究者がいても不思議はないし、また痛烈なナチス批判の書が、『第三のヴァルプスギスの夜』(カール・クラウス著)というタイトルなのも頷けよう。
P114
民俗学者の折口信夫が命名した「貴種流離譚」とは、「高貴な血脈に生まれながら自国を遠く離れてさすらい、数々の試練を経て神や尊い存在になる」という説話の1型を指す。
これは民の側から見れば、自分のすぐ近くに身をやつした貴人がいるかもしれない、との期待にもつながる。正体不明の謎の人物を「流離した貴人」と見なす、いくつかの例を見てゆこう。
【おまけ】
グリムに「ハーメルンの笛吹き男」がある。
「グリム童話」の中でも、異質な作品で気になる。
どうして多くの子どもたちが連れ去られたのか?
どこに連れ去られたのか?
はっきりしていない。
P23『つまり、まだ万人を納得させるに足る定説はないのだ』
興味は尽きない。
【ネット上の紹介】
笛吹き男に連れられ姿を消したハーメルンの子供たち、暗殺された二人の米大統領、その驚愕すべき共通点。悪魔に憑かれたルーダンの修道女とエクソシスト。冷戦下のソ連で学生達を襲った凄惨な未解決事件。蛙の雨、ドッペルゲンガー、犬の自殺橋、etc.事件や伝承に隠された、恐ろしい真実とは?
【目次】
ハーメルンの笛吹き男
マンドラゴラ
ジェヴォーダンの獣
幽霊城
さまよえるオランダ人
ドッペルゲンガー
ゴーレム
ブロッケン山の魔女集会
蛙の雨
ドラキュラ
犬の自殺
ホワイトハウスの幽霊
エクソシスト
貴種流離譚
デンマークの白婦人
大海難事故
コティングリー事件
十字路
斬られた首
ファウスト伝説
ディアトロフ事件
マンドラゴラ
ジェヴォーダンの獣
幽霊城
さまよえるオランダ人
ドッペルゲンガー
ゴーレム
ブロッケン山の魔女集会
蛙の雨
ドラキュラ
犬の自殺
ホワイトハウスの幽霊
エクソシスト
貴種流離譚
デンマークの白婦人
大海難事故
コティングリー事件
十字路
斬られた首
ファウスト伝説
ディアトロフ事件
「牡丹灯籠」赤木かん子/編
赤木かん子さんが日本のホラー作品のエッセンスを抜粋してまとめてくれている作品。
「牡丹灯籠」「四谷怪談」「真景累ケ淵」が取り上げられている。
いずれも長い長い作品。
まともに読むと何日も掛かってしまう。
うまく核心部分をまとめてくれている。
また、「牡丹灯籠」などいくつもバージョンがある。
その紹介もあって、さらに深く読もうと思うときの参考になる。
岡本綺堂の文章
P103
わが国在来の怪談はあまりに辻褄が合い過ぎる。(中略)しょせん怪談というものは理屈の判らないところに凄味もあり、興味もあるのではあるまいか。
「なぜノンフィクション作家はお化けが視えるのか」工藤美代子
先日読んだ「もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら」の姉妹編。
ただし、こちらの方が早く出版された。
単行本発行時のタイトルは「日々是怪談」。
文庫化にあたり、「なぜノンフィクション作家はお化けが視えるのか」と改題され、
著者あとがき+岩井志麻子さんとの対談が追加された。
岩井志麻子さんも霊感体質なので、次々にエピソードが繰り出されるのがすごいし、
エピソードに即エピソードで対応する著者もすごすぎ(怖すぎ!)
内容は、先日読んだ「もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら」と同様、
盛りだくさんのエピソードが淡々と語られる。
いくつかエピソードが重複しているが、さほど気にならない。(「三島の首」)
文庫になって、入手しやすくなった。
ネットを見ていると、著者の他の作品より、コメントが圧倒的に多い。
売れていて、面白く感じた方も多い、ということでしょう。
PS
それにしても、この著者はすごい。
幽霊見るし、火の玉見るし、生霊飛ばすし、UFO見るし。
感度が良すぎる、ってのも考えものだ。
(それで印税が入るから、まっ、いっか?)
【ネット上の紹介】
霊感”に疎いはずだけれど、どうも私はお化けに好かれているらしい!?部屋の片隅に感じる人の気配、背後をスーッと横切っていく亡くなったはずのあの人。ノンフィクション作家の身の回りで起こる不思議で、ひんやり、じんわり怖い、24話。最恐エピソードと、作家・岩井志麻子氏との巻末対談を新たに追加収録。
[目次]
中国娘の掛け軸;
カーキ色の涙;
「ママ」と呼ぶ声が;
夫婦の秘めごと;
誰かの手が;
チャイムが鳴った;
あなたを信じるわ;
私に似た人;
里帰り;
じゃあ、死んだら;
アソール公爵の館で;
淋しい人たち;
行ってはいけない土地;
人肌が恋しくて;
聞き取れなかった言葉;
夢の出口;
三島の首;
魔性の人形;
虫の知らせ;
肉親の愛情;
あるひ突然;
酒場の約束;
背中が語る;
そっくりな顔
「もしもノンフィクション作家がお化けに出会ったら」工藤美代子
世の中には霊感の強い方がいる。
たまたまその人が「ノンフィクション作家」であった。
数々の著者自身の「体験」が綴られている。
ノンフィクション作家なので、淡々と事実だけを書かれている。
怖がらせようとしてないので、あとからじわ~と怖くなってくる。
そんな本である。
著者は硬派の保守派作家。
昭和史に造詣が深く、政治家評伝、皇室を扱った作品を多数著されている。
それ以外に目をひくのが、ラフカディオ・ハーン3部作。
当然、工藤美代子さんも「怪談」の構成と文章を意識している、と思う。
だから、魅力的で面白いのである。
「三島由紀夫の首」は興味深いし、
「坂の途中の家」なんて怖いのなんのって。
思い出して、なんども怖くなってくる。
怖い話が好きな方には、お薦め。
【ネット上の紹介】
ノンフィクションの第一人者が自らの不思議体験を綴る、怪談実話エッセイ。怪談専門誌『幽』連載「日々続々怪談」ほかに書き下ろしを加え待望の単行本化。衝撃の文豪怪談実話「三島由紀夫の首」収録。
[目次]
病院にて;
その男の顔;
通じる思い;三島由紀夫の首;
知らない住人;
悪魔の木;
兄とコビー;
謎の笛の音;
元夫の真っ白な家;
坂の途中の家;
バリ島の黒魔術;
霊感DNA;
母からの電話;
「赤い」人たち;
火の玉は何色か?