【ぼちぼちクライミング&読書】

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「ふがいない僕は空を見た」窪美澄

2012年10月31日 21時18分40秒 | 読書(小説/日本)

「ふがいない僕は空を見た」窪美澄

R-18文学賞、山本周五郎賞、W受賞作品。
連作長編で、次の5つの短編からなり、各章で語り手が変わる。

「ミクマリ」・・・高校生・斉藤君
「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」・・・主婦・里美(斉藤君の不倫相手)
「2035年のオーガズム」・・・高校生・七菜(斉藤君の彼女)
「セイタカアワダチソウの空」・・・斉藤君の友人・福田君(この章が秀逸)
「花粉・受粉」・・・斉藤君の母

少し文章を紹介する。
P263(助産師でシングルマザー・斉藤君の母の語り)
 みっちゃんくらい若いときは、私も産婦さんたちを力まかせに自分の意見のほうに向かせようとしたこともあった。けれど、自然分娩がどういうことなのか、私が頭でっかちに語れば語るほど、産婦さんの表情はかたくなり、お産はスムーズにいかなくなった。
 本当に伝えたいことはいつだってほんの少しで、しかも、大声でなくても、言葉でなくても伝わるのだ、と気付いたのは、つい最近のことだ。もっと早く気付いて、それを夫婦関係にも活用できればよかったのだけれど。

【結論】
さて、「ふがいない僕は空を見た」、「晴天の迷いクジラ」、どちらがおもしろいか?
・・・どちらも同じくらいおもしろい。
ただ、本作品はR-18受賞作品なので、やたらセックス描写が多い。
それさえクリアーしたら、楽しめる、と思う。
そういう意味で、「晴天の迷いクジラ」の方が、一般受けする、と思う。

【蛇足】
この作家さんは、子供から大人まで、すごく描写力がある。
特に、思春期の少年少女の造形と心理描写が巧い。
だから、もう1章増やして、七菜の友人・あくつにも語らせて欲しかった。
(さらに、欲を言えば、担任の先生・のっちーにも語らせて欲しかった)

【参考リンク】
「晴天の迷いクジラ」窪美澄


【ネット上の紹介】
高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが―。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。R‐18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。

「テレビ標本箱」小田嶋隆

2012年10月30日 20時53分41秒 | 読書(エッセイ&コラム)


「テレビ標本箱」小田嶋隆

テレビに関するコラム集。
私はTVや芸能ネタに弱いので、強化する意味で読んでみた。
なお、本作品は2006年出版。
故に、内容は少し旧いので、(読もうと思う方は)その点、了解しておく必要がある。
いくつか文章を紹介する。

P163
「負け犬」について
「30過ぎ独身の子無し女性」を意味する昨年来の流行語なのだそうだが、無論、差別用語だ。年齢差別、性差別、独身差別、不妊差別を兼ね備えた最強最悪の社会的呪詛。
どうして、こんなものすごい言葉が堂々とまかり通っているのかというと、「だって、負け犬本人が言っているんだから、差別じゃないでしょ?」というあきれた理由からだ。つまり、「自虐は差別ではない」と。
でも、考えてみてほしい。歴史的に、最も深刻な差別は、被差別階層の口を借りた自虐の形で展開されてきたのではないのか?

P204
すごい時代になったものだ。①その昔、昭和中期のニュースは、事実関係のみを報じていた。②「それだけじゃわからん」という向きに、解説を付加した「ニュースショー」が登場。ま、調理済み食品。③さらに、解説をつけてもまだ満足できない人々に向けて、「感想」(どう感じるべきなのか)まで付けたフルコースの「ニュースステーション」が登場。

P213
かつて谷崎潤一郎は、『陰翳礼賛』の中で、アメリカ人が珍重する、きれいで真っ白な粒の揃った歯を「便所のタイル」になぞらえている。その心は、彼の国の人々のあくまでも、明朗で大仰な笑い方と、日本人の地味で湿った感触のそれとを比較して、後者により高い文化的価値を見いだすところにあった。すなわち、谷崎は、敗戦国として自信を喪失しつつあった日本人が、自分たちの欠点と考えていたシャイネス(内気さ、陰翳)を、文字通り「礼賛」してみせたのである。

【参考リンク】
「その「正義」があぶない。」小田嶋隆
「地雷を踏む勇気 人生のとるにたらない警句」小田嶋隆
「もっと地雷を踏む勇気 わが炎上の日々」小田嶋隆

【ネット上の紹介】
芸能人・コメンテーター・その他大勢……。われわれの日常感覚からすると想定外の巨額が動き回り、巣食う者どもが右往左往する。視聴率とクライアントの意向に牛耳られた人々の標本箱、それがテレビだ。この現代最大のマスメディアには、誰もが疑問に思っているのに、誰も口にできない矛盾の数々が宿っている――。そんなみなさんの思いを、ナンシー関のバトンを受けた当代随一の辛口コラムニスト、オダジマがたったひとりで代弁します! 討ち死に覚悟の場外乱闘の数々が繰り広げられる、今日もっとも危険な批評の本の登場。猛毒注意!


秋の万博公園(2)

2012年10月29日 21時24分53秒 | お出かけ

コスモス以外の風景も掲載しておく。
万博公園は広いので、森の中にいるような気分になれる。
ただし、神戸市立森林植物園のように、山の中にあるわけじゃないので、車の騒音が聞こえたりする。そこが、少し残念なところ。







秋の万博公園・秋桜

2012年10月27日 21時33分31秒 | お出かけ

10月初め、万博公園にコスモスを見に行った、と書いた。
その時、早すぎてまだ20%くらいの仕上がり。
再度、コスモスを見に行ってきた。
今回は大丈夫。100%の完成度、満開だった。

















名画パロディ

2012年10月25日 21時54分18秒 | 読書(マンガ/アニメ)

マンガには扉絵がある。
雑誌連載で、タイトルが記載されるページ。
山岸凉子さんの「日出処の天子」の扉絵には、名画パロディがあった。
例えば、次の絵を見てみて。

ご存じのように『ヴィーナスの誕生』(ボッティチェリ)のパロディ。
さしずめ『天子の誕生』といったところ。
















もうひとつ、紹介する。
下の絵を見てみて。

『アダムの創造』(ミケランジェロ)のパロディ。(ヴァチカン・システィーナ礼拝堂)
神がアダムに、命を与えているところ。

なお、指を指し示す構図はE.T.でも使われた。
(下のポスター参照)
『旧約聖書』が意識されている、ということか?
E.T.: The Extra-Terrestrial

【おまけ】
ゲッツ板谷氏のコラム表紙。
「ヴィーナスの誕生」最強最悪のパロディ、か?


日経おとなのOFF 2012年11月号

2012年10月24日 21時37分42秒 | 読書(エッセイ&コラム)

日経おとなのOFF 2012年11月号

美術特集「ルネサンスからポスト印象派まで名画で学ぶ美術の歴史」
基礎を分かりやすく説明してくれている。
また、同じ西洋絵画でも、お国柄の違いも説明してくれている。

P21
「たとえ古代神話などという口実があったにせよ、女性のヌード、その官能性に対するルネサンスのイタリア人の寛容さには驚かされます。たとえば、スペインやイギリスではほとんど描かれてません」
P20

『ウルビーノのヴィーナス』ティツィアーノ
ウルビーノ公爵の依頼により描かれた。
寓意画では貞節を意味するイヌはすぐそばで眠ってしまっている。

ちなみに、下がマネの『オランピア Olympia』(1863年)。

『ウルビーノのヴィーナス』と同じポーズ。

【ネット上の紹介】
★付録★
 メトロポリタン美術館展 完全ガイド
★特集★
 白熱西洋美術教室
●画家の活躍した時代が分かる美術史年表
●ルネサンス(14~16世紀)
 ◇レオナルド・ダ・ヴィンチは傍流!?
  ルネサンスの本流はミケランジェロ
 ◇ルネサンス最大の巨匠とされる理由は?
  ミケランジェロが残したもの
 ◇お国柄でこんなに違うルネサンス絵画
●バロック(17世紀)
 ◇バロックの幕開けは“逃亡者”カラヴァッジョから
 ◇ポスト・カラヴァッジョ
  光と闇を継ぐバロックの巨匠たち
 ◇フェルメール&レンブラント
  オランダ黄金時代の“市民画家”2人
●ロココ(18世紀)
 ◇ロココを彩った2人のファッションリーダー
  ポンパドゥール夫人vs.マリー・アントワネット
 ◇ヴァトー&フラゴナール
  人々を魅了した「雅宴画」の世界
●新古典主義(18~19世紀)/ロマン主義(19世紀)
 ◇アングルvs.ドラクロワ
  緻密な新古典から“熱い”ロマン主義へ
●写実主義(19世紀半ば)
 ◇“真実”に目を向けたゴヤ、ドラクロワ、ターナー
  ジャーナリズム絵画の誕生
 ◇フランス写実主義が開花
●印象派(19世紀後半)
 ◇誌上「第1回印象派展」
  モネ、ルノワール… あの大物画家が出品した自信作は?
●世界の10大美術館
≪そのほかの特集≫」
◆三好和義撮り下ろし「中国王朝ロマン」
◆電車とバスで行く、まんが王国「鳥取の旅」…ほか
旅食遊情報を主体とした豊かなオフタイムを過ごすための雑誌
[特集情報]
名画で学ぶ白熱西洋美術教室 中国王朝の至宝|綴込:小冊子(メトロポリタン美術展完全ガイド)


森林植物園

2012年10月23日 21時18分21秒 | お出かけ

神戸市立森林植物園に行ってきた。(六甲山牧場から車で10分)
コースがいくつかあって、森の中を散策できるようになっている。








【参考リンク】
園内マップ・広大な敷地とおすすめ散策路をご紹介

とても良かった、また行きたい気分
http://www.kobe-park.or.jp/shinrin/


六甲山牧場

2012年10月22日 20時57分48秒 | お出かけ

神戸市立六甲山牧場に行ってきた。
羊たちは、思った以上にたくましく、ほこりにまみれて黒かった。
羊をはじめ、ヤギ、あひる、馬、牧羊犬・・・いろんな動物たちがいる。
(でも、アルパカがいないのが残念)

暑いのか、羊たちは木陰で休憩中

立派な角とひげのヤギ

おなかが減っているのか、えさをねだられた

【リンク】
http://www.rokkosan.net/

この後、神戸市立森林植物園に移動。(つづく)


「そこをいなんとか」麻生みこと

2012年10月20日 10時53分14秒 | 読書(マンガ/アニメ)

「そこをいなんとか」麻生みこと

シリーズ7巻目、最新刊。
レベルを維持しているので、読み続けている。
挿入されているコラム「ぶらり傍聴日記」も、おもしろい。
P98「傍聴日記」を読むと、スクールカーストの影響が窺える。
実社会に出ても、尾を引くということか。

ところで、表紙中央右にあるのが弁護士バッジの絵。
天秤ばかりは、「公平と平等」、
周囲の花は、ひまわりで、「自由と正義」の象徴(らしい)。

さて、この作品、NHKドラマ化もされた。
そこをなんとかNEW
BSプレミアム10月21日(日)放送スタート
毎週日曜 午後10時~10時49分

【ネット上の紹介】
大手事務所に移籍した東海林先生は、少年アイドルが所属するジュリーズ事務所の不当引き抜き案件を受けることになって…? 2012年10月刊。

「もっと地雷を踏む勇気 わが炎上の日々」小田嶋隆

2012年10月18日 21時55分51秒 | 読書(現代事情)

「もっと地雷を踏む勇気 わが炎上の日々」小田嶋隆

小田嶋作品を読むのは、これで3冊目。
今まで読んだのは、次のとおり。
「その「正義」があぶない。」小田嶋隆
「地雷を踏む勇気 人生のとるにたらない警句」小田嶋隆
2冊とも、良かったので、さらに本作品を読んだ。
いくつか文章を紹介する。

大阪市が市の職員に実施したアンケートについて
P14
「思想調査によって異分子を排除するメリットと、組織のメンバー全員に踏み絵を踏ませることによって生じるデメリット(自立志向の放棄、疑心暗鬼)を天秤にかけて、それでも異分子を排除したいと考えるリーダーはパラノイアですよ」
「命令に疑問を持たない部下だけでできている組織は自壊する」
「忠誠心の低いメンバーを排除すれば強い組織ができると思うのは早計で、実際には逆サイドに走る選手のいないサッカーチームみたいなどうにもならないものが出現する。そういうチームは行進には向いていても試合では決して勝てない」

P18
別の言い方をするなら、民主政治というのは、効率や効果よりも、手続きの正しさを重視する課程のことで、この迂遠さこそが、われわれが歴史から学んだ安全弁なのである。
(中略)
独裁をめぐる議論は、「効果」と「正当性」の対立であるという意味では、体罰の論争と大変に良く似ている。

P22
ヒトラーにも悪気はなかったはずだ。彼は、自分の生まれ故郷を彼が「邪悪」であると信じている対象から守ろうとしただけなのだと思う。
もちろん、橋下市長にも悪意はない。彼は、心から大阪を良くしようとしているのだと思う。
だからこそ、やっかいなのだ。

P27
民主主義は、元来、まどろっこしいものだ。
デモクラシーは、意思決定のプロセスに多様な民意を反映させるべく、徐々に洗練を加えてきたシステムで、そうである以上、原理的に、効率やスピードよりも、慎重さと安全に重心を置いているからだ。

P31
民主主義は、そもそも「豊かさ」の結果であって、原因ではない。つまり、民主主義は豊かさをもたらすわけではないのだ。それがもたらすのは、まどろっこしい公正さと、非効率な安全と、一種官僚的なセーフティーネットで、言い方を変えるなら、市民社会に公正さと安全をもたらすためには、相応の時間と忍耐が必要だということになる。

P126-127
最終的な脱原発をもう少し早い時期に設定する場合、以下の3点について、はっきりとした回答を示す必要がある。

 1.いつの時点で、脱原発をはたすのか。
 2.1を踏まえて、休眠中の原発を、どんなふうに評価(ABCなり、10点法なりで等級をつけるのか、あるいは安全な順に頭から番号を振ってやる)するのか。
 3.2の評価に沿って、どの原子炉を廃炉にし、どの原子炉をどれだけの期間再稼働させるのか。

ようするに「停める時期と順番を決めましょう」ということだ。
あとは代替エネルギーの状況などを見ながら、早めたり遅くしたり調整していけばいい。
ところが、こんな簡単なことさえ、国は約束していない。
(中略)
野田さんは、原発の将来について、明確な考えを表明していない。
大飯の3号炉と4号炉について「私の責任で」再稼働する旨を明言しているだけだ。
この調子で、個別対応されたら、なすすべがない。

P235
逆に、結婚を入社になぞらえることは、愛情という貴重なフィクションを踏みにじっている。結婚に打算が不要だとは言わないが、男女の出会いは取り引きではない。最終的に、打算であるのだとしても、結婚においては、当事者が事前に利害を明らかにしないことが取り引きの前提になっている。別の言い方をするなら、結婚は、与えた者と受け取った者が共に利益を得る愛情という架空の通貨を想定しないと成立しない交渉で、その意味で経済学の枠組みを超えた出来事なのである。

P252
ともあれ、うちの国の伝統では、男は、子供から直接おっさんになっていた。少なくとも江戸以来の庶民の伝統ではずっとそういうことになっている。私自身、その系譜に属している。
それが、明治時代に漱石や鴎外みたいな人たちが西洋の文学や哲学を取り入れる時に、「青年」という概念も一緒に導入した。恋に悩み人生の意味を模索し、真実を求めて煩悶しながら成長する存在としての青年。それを、当時の高等遊民として作品の中に具現化した三四郎あたりに重ねあわせたわけだ。
が、実際のところ、男が「青年」として生きる状況は、旧家のおぼっちゃまの帝大生に許された特権みたいなもので、青年は日本の伝統的な社会に矛盾なく組み入れられるピースではなかった。結局、その実態は、舶来の音楽や南蛮渡来の絵画や鹿鳴館のダンスと同様、かなりの度合いで輸入品だったということ(おそらく)なのである。
 現在明治と同じ意味での高等遊民は絶滅した。
現在の学生さんは、「青年」であるという特権から見放されたところに住んでいる。
彼らは、子供のままでいることを選んで窮屈なモラトリアムの中で暮らすか、おっさんになる決意を固めて社会に出る道を選ぶかの、いずれかを選択しなければならない。

P255
おっさんは、組織に属している。だから、「わが社」(ないしは「わが省」「わが党」)ということを軸にものを考える。で、おっさん本人は、自分のこの考え方を「社会的」な視点であるというふうに自覚していたりする。
おばさんは、組織に依らない。だから、自分の目でモノを見て、自分のアタマで考える。
おっさんは、おばさんの考えを認めない。周囲(テレビや週刊誌)に流されているだけだと思っている。自分こそがより強力に周囲(組織のアイデンティティ)に流されているにもかかわらず、だ。なんということだろう。
また、おっさんは、常に「勝ち負け」と「多数決」を意識している。いずれの意見がマジョリティであり、どちらの立場が勝ち組であるのかということについて、おっさんは不断の観察を続行しており、いつもその観察結果を意識した地点から決断をしている。
しかも、本人の自覚としては、自分のそうした決断の仕方を「政治的」な成熟の結果であると考えていたりする。
おばさんは、自分の好き嫌いを重視する。イヤなものはイヤ。好きなものは好き。党派性やクラスタでものを考えることはしない。
こうして比べてみると「衆愚」(←付和雷同型で、自分の意見を持っていない人々)は、むしろおっさんであることがはっきりする。

【ネット上の紹介】
どんとこい、炎上!ノイズだらけの言論メディアを一刀両断。維新も再稼働も受けて立つ!孤高のコラムニストの真骨頂エッセイ。
[目次]1 わが心は維新にあらず(煽情に賭けるハシズム;人事管理に市場を挟むことの是非について ほか);2 大津波はわが魂に及び(風が吹けばOK?;怠慢有理 無理は無理 ほか);3 わが炎上の日々(メディア総占拠の夜;ノイズを泳ぐ金魚 ほか);4 若者たちをよろしく(電車の中で働く羊たちの話;進化としての逸脱 ほか)


再生作業(リボルト)の実施

2012年10月17日 21時57分50秒 | クライミング(広報)

TCNet から、メールをいただいた。
再生作業(リボルト)の実施について。
2つのエリア、次のとおり。

(1) 長屋坂 残りのルートの再生について
備中・長屋坂において、先日の再生作業(リボルト)で時間切れのため残ったルートの整備を行います。
 
【日 時】 平成24年10月21日(日)
【実施ルート】 「流血戦」「クスクス」「いさみ足」「猫だまし」「大器晩成」「吹屋の娘の右ルート」

クライマーの皆様にはご迷惑おかけしますが、実施日は上記ルートでクライミングが不可となります。(翌10月18日から可)活動趣旨をご理解いただき、ご協力のほどお願い申し上げます。
長屋坂 残りのルートの再生について

(2) 山神社左岩の終了点整備について
兵庫県の山神社左岩において10月27日(土)、終了点を中心に再生作業(リボルト)が行われます。

【作業日時】 2012年10月27日(土)
【作業者】 関西岩場環境整備ネットメンバーそのほか
【作業内容】 山神社左岩の終了点 約17箇所の改修+腐食等のある中間支点若干
山神社左岩の終了点整備計画のお知らせ

詳しい実施予定は、関西岩場環境整備ネットで公開されていますのでご確認ください。


時計

2012年10月16日 22時18分03秒 | ジム練習

たまには、クライミングの事を書こうと思う。(クライミング・ブログだし)
先日、クライマーの3大重要アイテムは、爪切り、ハンドクリーム、のど飴、と書いた。
もうひとつ、重要なものを忘れていた。
それは時計。
現在、(事情により)長時間ジムに滞在できない。
だから、時計を見ながら練習している。

【摂津店での練習】
①黄色テープ、ボルダーサーキット20課題
②白色テープ、ボルダーサーキット20課題
③オレンジテープ(32手)、ルーフ下から始まる長モノ
④ピンクテープ(34手)、ルーフから始まる長モノ
⑤水色テープ(?手)、キノコ岩薄かぶり長モノ
*①は20課題10分くらいかかる、②は少し難しいので、20課題20分くらいかかる
  後の長モノは適当にレストしながらトライ・・・以上、レスト時間入れて50分~60分
*もっと難しい課題をトライしたいが、レスト時間が長くなるので却下。

【高槻店の練習】
①黄色テープ、ボルダーサーキット14課題(15~20は未設定)
②長モノ・銀□6c(110手)・・・レストポイントでレストせず登っている・・・もちろん練習の為
③長モノ・水色/6b+(39手)・・・テクニカル且つ、持久力も必要な良い課題、と思う
④長モノ・青□6c(29手)・・・前半部分、前傾を登って降りるだけで疲れる。RPの光は見えず
⑤長モノ・金色/6b+(30手)・・・フェースに入ったとたん難しくなる。RPははるか先、と思う
*高槻店では、少し難しめの長モノを中心に練習している

【全体の感想】
*練習時間で言えば昨年の半分以下、手数もかなり少ない。
*昨年の高槻店で言えば、700手くらいトライしていたことを思うと、体力激減かも?
*でも、今できる事をするしかない


「戦場の都市伝説」石井光太

2012年10月15日 21時47分36秒 | 読書(ノンフィクション)

「戦場の都市伝説」石井光太

石井光太さん、最新刊。
戦争、内戦にまつわる様々な噂、怪談を集めてある。
湾岸戦争、カンボジア虐殺、イラク戦争、ベトナム戦争。
9.11同時多発テロでは、ユダヤ人陰謀説。
「そんなバカな・・・」、と笑って無視できないものがある。
なぜそんな都市伝説が生まれたのか?
その深層部分まで分析されている。
最終章では、『日本軍の暗部』として、次のような話が書かれている。
●せき止められた大河・・・南京大虐殺
●少年たちの斑点・・・七三一部隊
●沖縄で死んだ韓国人・・・朝鮮人強制連行

興味があったら読んでみて。

【著者のブログ】
【新刊情報】戦場の都市伝説

【ネット上の紹介】
常に狂気に包まれた戦地や紛争地帯では、多くの都市伝説や怪談が生まれる。ウガンダ・ビクトリア湖の「死体を食べて大きくなった巨大魚」、パレスチナの「白い服を着た不死身の自爆テロ男」、カンボジアの「腹を切り裂こうとする幽霊」、ナチス・ドイツの「ユダヤ人の脂肪でつくった人間石鹸」──。これらの噂話が妙に生々しいのには理由がある。その裏側には、往々にして、軍や政府、ゲリラ組織が隠蔽した「不都合な真実」があるからだ。海外取材経験豊かな気鋭のノンフィクションライターが「都市伝説」から解き明かす、人間の心の闇と、戦争のリアル。  ≪世にも奇妙な戦地の噂≫ ・中東では出稼ぎ労働者に死体修復の仕事が割り当てられる?・アフガニスタンの空き地に「小さい女」の幽霊が現れる?・遺体にコカインを詰めて密輸する麻薬密売組織がある?・コンゴの少年兵が幽霊になっても捜し歩く、弾除けのお守り・ヒットラーは密かにアルゼンチンに落ち延びていた?
[目次]
第1章 人間の残酷さ(ビクトリア湖の巨大魚―ウガンダ内戦;消えたユダヤ人―アメリカ同時多発テロ事件 ほか);第2章 死者の訴え(ナチスの石鹸―ホロコースト;ヒットラー生存説 ほか);第3章 食う者、食われる者(お守りはどこ?―コンゴ内戦;はらわたの髪―食糧戦争 ほか);第4章 戦争と処刑(高額な出稼ぎ労働―湾岸戦争;ねえ、遊ぼうよ―シエラレオネ内戦 ほか);第5章 日本軍の暗部(せき止められた大河―南京大虐殺;少年たちの斑点―七三一部隊 ほか)


「名画と読むイエス・キリストの物語」中野京子

2012年10月12日 22時01分11秒 | 読書(ノンフィクション)

「名画と読むイエス・キリストの物語」中野京子

表紙はベラスケスの『キリストの磔刑』。
磔刑図は数多いが、このベラスケス作品が最も美しい、と言われる。
ちなみに、磔刑は、(たっけい、たくけい)と読む。
いくつか文章を紹介する。

P16
預言者とは、「予」言(未来を見通す)ではなく、神の言葉を「預」かって伝えるとの意である。

P20
古代ユダヤでは、男子は13歳、女子は12歳になると、一人前の成人とみなされた。したがって多くは十代半ばまでに結婚した。大工のヨセフと婚約者のマリアも、おそらく13歳から15歳の間だったと思われる。

『受胎告知』フラ・アンジェリコ

P58
イエスは洞窟の中で、40日間、断食と祈りを続けた。
40は聖なる数であり、何かを為すための準備期間として必要な数とされていた。モーセもエリヤも40日間荒野にこもったし、ノアの洪水も40日続き、人が母の胎内にいるのは40週と考えられた。イエスで言えば、復活後40日間この世にとどまっていた。エルサレムの滅亡は、イエスの死の40日後である。

P59
悪魔の誘惑は狡猾だった。人の弱みを突く誘いをたたみかけ、誘惑される側にとってはまさに試練そのものとなる。
 空腹に苦しむイエスに悪魔は、「汝もし神の子ならば、命じて此等の石をパンと為らしめよ」。そこにたくさんころがっている石をパンに変えればいいではないか、と。もしイエスがわずかでもその気になれば、悪魔自らが石をパンに変えるつもりだった。
 これに対するイエスの答えが、有名な「人の生くるはパンのみに由るにあらず」だ。この言葉は、そのあとに「神の口より出づる凡ての言(ことば)に由る」と続く。

P103~106、マグダラのマリアについて書かれている。
ユダヤ教では一度でも罪を犯した者は決して許されず、地獄行きとされていたからだ。イエスはこの女が罪人であることにすら気づかないのだろうか、と。
それを見抜いたイエスは、皆にこう言う、「この女の多くの罪は赦されたり。この愛すること大(おおい)なればなり。赦さるる事の少なき者は、その愛する事もまた少なし」。回心すれば罪は消えると宣言したのだ。

『懺悔するマグダラのマリア』ティツィアーノ

P220
福音書
イエスの言葉と生涯を伝記物語風に綴った、四つの文書。「福音」の語源は、ギリシャ語の「エヴァンゲリオン」で、「良き知らせ」を意味する。「新約聖書」はこの福音書(マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネによる四書)と、他に弟子等の伝道記録、パウロの手紙、黙示録など二十七の書から成り立つ。


【ネット上の紹介】
ドラマティックなイエス・キリストの物語画は、独創的な表現に満ちた傑作・名作のオンパレード。イエスのおおまかな生涯を知った上で西洋名画を楽しみたい―そう願う人のための、これは手引書である。
[目次]
幼子イエス;洗礼;荒野の修行;伝道;奇蹟;女たち;使徒たち;エルサレム;最後の晩餐;ゲッセマネ;裁判;磔刑;復活

「ダウン・バイ・ロー」深町秋生

2012年10月11日 21時45分33秒 | 読書(小説/日本)

「ダウン・バイ・ロー」深町秋生

深町秋生最新作、書き下ろし。
深町秋生作品らしいバイオレンスが地方都市を舞台に炸裂。
けっこう売れてるようで、売り切れて在庫切れの店もあった。
(けっきょく、取り寄せて読んだ)
同著者の「アウトバーン」「アウトクラッシュ」には、おもしろさで負けるけど、
中学を舞台にした「ヒステリック・サバイバー」よりおもしろく感じた。

【参考リンク】
ダウン・バイ・ロー [著]深町秋生

【ネット上の紹介】
衰退を続ける地方都市に倦く女子高生・響子の目の前で、幼馴染の遙が電車に飛び込み自殺する。以来、響子の耳には死んだ遙の悲痛な囁きが聞こえてくる。続いて起こる児童惨殺と飼い犬殺し、男友達の失踪。ついに牙を剥く荒んだ町の暗部の正体は?渇いたバイオレンスの深町節が炸裂する書下ろしミステリー。