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「日本史の謎は「地形」で解ける」竹村公太郎

2020年08月30日 08時35分47秒 | 読書(歴史/時代)
「日本史の謎は「地形」で解ける」竹村公太郎

地形、気象、インフラから歴史を読み解こう、って試みの書。
興味深く、説得力もある。

P244
この話(旧約聖書)で釘付けになった箇所は、カインが「土を耕す者」でアベルが「羊を飼う者」、つまり「土を耕す者」が「羊を飼う者」を殺すところであった。(中略)
人類最初の物語が「農耕する人」が「遊牧する人」を殺すことだったとは。
世界の歴史は農耕民族による遊牧民族や狩猟民族の圧迫の連続である。

P249
今も昔も、経済の本質は攻撃である。

P325
紫禁城は元朝が建設した。その紫禁城を明朝が改築した際、紫禁城の周辺に防御のため幅50mの濠を張り巡らせた。その濠を開削した残土23万㎥で盛り立てたのが、高さ45mの景山であった。

P367-368
作家の石川秀輔氏によれば燃料、建築などで使用する木材は、江戸時代で1人あたり1年間で20~30本の立木に相当する量であったという。
奈良で時代でも1人当たり最低10本の立木が必要であったと推定すると、奈良盆地で年間100万本から150万本以上の立木を伐採していたのではたまらない。その量は小さな大和川流域の森林再生能力をはるかに超えていた。(中略)
桓武天皇がこの奈良盆地を脱出し、大和川より何倍も大きく「水」と「森」が豊かな淀川流域の京都に遷都したのは当然であった。

【ネット上の紹介】
京都が日本の都となったのはなぜか。頼朝が狭く小さな鎌倉に幕府を開いたのはなぜか。関ヶ原勝利後、家康がすぐに江戸に帰ったのはなぜか。日本全国の「地形」を熟知する著者が、歴史の専門家にはない独自の視点で日本史の様々な謎を解き明かす。歴史に対する固定観念がひっくり返る知的興奮と、ミステリーの謎解きのような快感を同時に味わえる1冊。 
【目次】
関ヶ原勝利後、なぜ家康はすぐ江戸に戻ったか―巨大な敵とのもう一つの戦い
なぜ信長は比叡山延暦寺を焼き討ちしたか―地形が示すその本当の理由
なぜ頼朝は鎌倉に幕府を開いたか―日本史上最も狭く小さな首都
元寇が失敗に終わった本当の理由とは何か―日本の危機を救った「泥」の土地
半蔵門は本当に裏門だったのか―徳川幕府百年の復讐1
赤穂浪士の討ち入りはなぜ成功したか―徳川幕府百年の復讐2
なぜ徳川幕府は吉良家を抹殺したか―徳川幕府百年の復讐3
四十七士はなぜ泉岳寺に埋葬されたか―徳川幕府百年の復讐4
なぜ家康は江戸入り直後に小名木川を造ったか―関東制圧作戦とアウトバーン
江戸100万人の飲み水をなぜ確保できたか―忘れられたダム「溜池」
なぜ吉原遊郭は移転したのか―ある江戸治水物語
実質的な最後の「征夷大将軍」は誰か―最後の“狩猟する人々”
なぜ江戸無血開戦が実現したか―船が形成した日本人の一体感
なぜ京都が都になったか―都市繁栄の絶対条件
日本文明を生んだ奈良は、なぜ衰退したか―交流軸と都市の盛衰
なぜ大阪には緑の空間が少ないか―権力者の町と庶民の町
脆弱な土地・福岡はなぜ巨大都市となったか
「二つの遷都」はなぜ行われたか―首都移転が避けられない時

「とめられなかった戦争」加藤陽子

2020年08月27日 10時48分59秒 | 読書(昭和史/平成史)
「とめられなかった戦争」加藤陽子

どうして止められなかったのか?
止めるとすれば、分岐点はどこか?
次の4章に分けて考察されている。

第1章 敗戦への道―1944年(昭和19年)・・・サイパン陥落
第2章 日米開戦決断と記憶―1941年(昭和16年)
第3章 日中戦争長期化の誤算―1937年(昭和12年)
第4章 満州事変暴走の原点―1933年(昭和8年)

P18
第一次世界大戦後のドイツにおいて、アメリカのウィルソン大統領が戦争終結前に示した休戦協定案への不満が高まったことへの反省から、第二次世界大戦勃発後のアメリカにおいては、戦争の終結は、無条件降伏を相手に強いる形でおこなうしかないとの考え方が生まれました。

P41
太平洋戦争は、機動部隊こそが海上における決定的な戦力であることが明らかになった戦争です。ところが、その決定的な戦力である機動部隊を、日本はマリアナ沖海戦で失ってしまった。(航空機の時代になっているのに、艦隊決戦思想が抜けなかった。当時の軍部エリートは、日露戦争勝利を引きずって、情報をアップデート出来ず、柔軟に対応できなかった・・・今の官僚は大丈夫?)

P54
「日中戦争・太平洋戦争での戦死者三百十万人の大半は、サイパン以後の1年余りの期間に戦死している」(ここで降伏していたら、東京大空襲も原爆もなかった)

P108
では事変とは何か。国際法上の戦争、すなわち当時国が戦争状態に入ることを宣言しておこなわれる戦争、ではない紛争・衝突の状態です。つまり、いま日中戦争と呼んでいるものは、当時は戦争ではなかった。日本・中国とも、戦争であることを望まなかったのです。それはなぜか。最大の要因はアメリカの存在、正確にはアメリカの「中立法」の存在です。

P120-121
日中戦争前の時期、中国では国民政府の指導のもとに日本製品のボイコットがおこなわれました。当時の常識では、ある国が他のある国のものをボイコットするのは国際法違反になるとされていました。(中略)
経済的にこうむった不利益に対して武力で仕返しをするのは穏当ではない、と当然思われるでしょう。でもこれを「相手が悪いことをしたのだから、武力攻撃をしてもいいのだ」と言い換えれば、この発想は現代にもしっかりいきのこっています。9・11の後にアメリカがアフガニスタンやイラクでおこなったことが、まさにこれだといえば、おわかりいただけるでしょう。1938年の日本と2001年のアメリカは、ほぼ同じ感覚で目前の戦争を認識していた。奇妙な、そしてある意味で恐ろしい一致であるというべきでしょう。

P122
 帝国政府は爾後国民政府を対手とせず。
この文言について、二日後には、さらに駄目押しの補足的説明を発表しています。
 爾後国民政府を対手をせずと云うは同政府の否認よりも強いものである。
・・・・・・国民政府を否認すると共に之を抹殺せんとするのである
国民政府などもはや相手にしない、否認どころか抹殺するのだ――一国の政府が出す声明としては、あまりの口調というほかはありません。
(中略)
ともあれ、38年1月の政府声明で日本は、現に戦ってる相手を否定し、外交による講話の可能性を自ら閉ざしました

【参考リンク】(以下、本作同様、重要点を書き出しているので、気になる作品をチェックしてみて)
①「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」加藤陽子 
②「戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗」加藤陽子
③「昭和史裁判」半藤一利/加藤陽子 
④「戦争と日本人 テロリズムの子どもたちへ」  加藤陽子/佐高信
⑤「歴史からの伝言」加藤陽子/佐藤優/福田和也

【ネット上の紹介】
なぜ戦争の拡大をとめることができなかったのか、なぜ敗戦の一年前に戦争をやめることができなかったのか。歴史の流れを決定づけた満州事変、日中戦争、日米開戦、サイパン陥落。この4つのターニングポイントから、歴史をさかのぼり、戦争へと突き進んだ激動の昭和を、人々の思いが今なお染みついた土地と史料から考えていく。
第1章 敗戦への道―1944年(昭和19年)(西太平洋の小さな島々
緒戦の大勝、そして暗転 ほか)
第2章 日米開戦決断と記憶―1941年(昭和16年)(国力と精神力
「泥沼」からの脱出めざして南進へ ほか)
第3章 日中戦争長期化の誤算―1937年(昭和12年)(長江をさかのぼって
自衛と膺懲 ほか)
第4章 満州事変暴走の原点―1933年(昭和8年)(「起こった」と「起こされた」
「満蒙」の誕生 ほか)

「日本橋本石町やさぐれ長屋」宇江佐真理

2020年08月25日 17時19分09秒 | 読書(歴史/時代)
「日本橋本石町やさぐれ長屋」宇江佐真理

江戸下町の長屋を舞台にした連作短編集。
宇江佐真理さん得意の人情もの。
こういうのを読むとほっとする。

宇江佐真理作品のようなものは、日本の時代小説か、落語・人情噺でしかお目にかかれない。強いて言うと、O.ヘンリーのペーソスものが近いかも。

【ネット上の紹介】
日本橋の裏店に集う、一癖もふた癖もある住人たち。堅物の大工・鉄五郎、気の強い出戻りのおやす、老母の面倒に悩むおすぎ、旦那が仕事場から帰ってこなくなったおとき。貧乏でお節介な老若男女が不器用に生きる。すると、長屋の取り壊しが決まり―市井物を得意とした著者が遺してくれた傑作連作短編集

「炎の色」ピエール・ルメートル

2020年08月23日 10時19分59秒 | 読書(小説/海外)
「炎の色」ピエール・ルメートル

1927年、パリから物語が始まる。
マドレーヌは父の莫大な遺産を受け継ぐも、信頼していた複数の者に裏切られ、地位も財産も失い、1人息子のポールも不可解な事故で車椅子の生活となる。
前半3分の1が1927年から1929年が描かれ、残りが1933年を時代背景に復讐劇となる。

P346ー347
「あなたが言っているのは、ファシズムやナチズムですよ。それは別物だ」
 マドレーヌはむっとした。
「でも共産主義は、混乱を撒き散らそうとしているのよ。道徳も神様も否定しているんだわ」
「だったら神様が、あなたを助けてくれましたか?」

P372
代議士の仕事は人づき合いにあると、シャルルは常々考えていた。"司祭のようなものだ。アドバイスを与え、もっとも従順な者たちに輝かしい未来を約束する。司祭もわれわれも、抱えてる問題は同じ。まずは人々がミサに来なければならない”。

【おまけの感想】
当時のフランスを中心としたヨーロッパ情勢が描かれていて興味深い。
本作品はよく出来ていて面白い。
ただ、復讐譚と言うと、「モンテクリスト伯」だ。
残念ながら、これを超える作品は、未だに出ない。

【ネット上の紹介】
1927年2月、パリ。一大帝国を築き上げた実業家が死んだ。その長女マドレーヌ・ペリクールは、幼い一人息子ポールとともに、父の莫大な遺産を受け継いだ。しかし、事故に遭ったポールの看護に努める彼女は、自らを取り囲む悪意に気づかなかった―。やがて裏切られて地位も資産も失った彼女は、復讐を決意する!戦火が迫りつつある時代を舞台とした、息もつかせぬ群像劇。ゴンクール賞・英国推理作家協会賞受賞作『天国でまた会おう』に続く三部作第二弾。

「宮廷の諍い女」

2020年08月21日 09時15分35秒 | TV/ドラマ
中国ドラマ「宮廷の諍い女」をU-NEXTで観た。(全76話、1話44分) 
原題:「後宮・甄嬛伝」(2011年末~2012年春放映)
(以下、ネタバレありなので、ご注意)

宮廷ドラマのスタンダード。(これを観ずして宮廷ドラマを語れない)
清朝後宮では、皇后と華妃の2大派閥があった。
そこに甄嬛が側室として宮廷入りすることから物語は始まる。
第1話は秀女選びのシーンから。
秀女は宮女と違って、それなりの家柄の女性でないと試験さえ受けられない。
具体的に言えば、上級官吏の娘だ。
年頃の娘は、試験を拒否できず、試験期間中は準備期間も含めて結婚もできない。清朝は満洲民族の国家だが、人数で言えば漢民族が圧倒的に多数。
ヒロイン・甄嬛も漢民族の官吏の娘だ。

秀女選びの会場で、甄嬛は幼なじみで親友の沈眉荘に会う。
再会を喜びあうも、甄嬛は浮かない顔をしている。
「選ばれたくない」、と。
いったん後宮に入ると、一生出られない、自由がなくなる。
好きな人と出会って添いとげるような人生を送りたいのに。

本作品の見所は、純真で人の良いヒロインが、嫉妬と陰謀で渦巻く後宮でもまれて、したたかな性格に変貌していく様子だ。最初は、罠を仕掛けられても怯え、部屋に引きこもるだけだったのに、最後は、積極的に策略を練り、相手を落とし込み、報復していく。結果として、聖母皇太后まで上りつめる。

【台詞】
皆 縁を口実に近づく反面
縁がないことを別れの言い訳にする

後宮の女は御花園の花と同じだわ
散っても新たな花が咲く

【備考】
登場人物が多く、階級もややこしいので、メモを取りながら観た。

官女子(最下位ー官女子は宮女と変わりないが、夜伽ができる)
答応(8位)
常在(7位)
貴人(6位)     ↑定員無し=何人いてもOK
嬪(5位ー定員6名)  ↓「嬪」から上位
妃(4位ー定員4名)
貴妃
皇貴妃        ↑側室   
皇后         ↓妻=正室=正妻
*嬪から上位となり、基本、1等級ずつしか上がらない。
*貴賓は小主であり、独立した部屋をもらえる
*観ていると、皇后も側室も、お互いに「娘娘(にゃんにゃん)」と呼び合っている。(にゃんにゃん、にゃんにゃん、とあたかも猫だらけ)
でも、注意して観ていると、ヒロイン・甄嬛は、最初「娘娘」と呼ばれていない。上位の「嬪」以上になってから、「娘娘」と呼ばれるようになった、と思う。「娘娘」は、もともと「女神様」の意味があるようで、下位の側室には使わないようだ。(正式に資料に当たっていないので間違っていたらスマン)

【追記】
Amazonで観ると第1話のみ無料、2話から76話まで各220円かかる。
75話×220円=16,500円(U-NEXTなら月額料金のみで無料)
*なお、Netflixは、ダイジェスト版となり、90分×6話。
*Netflixダイジェスト版も少し観たが、どうしても多数エピソードが抜けて、面白さのレベルが落ちる。ぜひ、完全版で観られたい。

【追記】2
ヒロインには、実家から連れてきた2人の侍女がいる。
私は、浣碧より流朱が好ましく感じられるが、最期は痛ましい。  
祺貴人は、ヒロインを陰湿にいじめる悪役だが、最期はあまりに気の毒。ちょっと酷い、と思った。
登場人物は多く、女性だけでも数え切れないほどいる。
だが、源氏物語と同じで、誰1人幸福になっていない。(かろうじて、崔槿汐くらいか?)

【参考リンク】
宮廷の諍い女 チャンネル銀河 

第33回リードジャパンカップ 決勝

2020年08月19日 18時57分12秒 | クライミング(コンペ、国体)
第33回リードジャパンカップ 決勝の映像をYouTubeで観た。(ジムで教えてもらった・・・「ジャパンカップ」「2020」「決勝」、で検索したら出るよ、と)
優勝した西田選手、森選手の箇所だけでも観てみて。
圧倒的な持久力とムーブ力だ。



「地図で読むアメリカ」ジェームス M.バーダマン/森本豊富

2020年08月17日 18時40分07秒 | 読書(英・米)
「地図で読むアメリカ」ジェームス M.バーダマン/森本豊富

アメリカを10の地域に分けてわかりやすく解説。
アメリカに関する作品は、過去にいろいろ読んだが、この手のアプローチ作品を読むのは初めて。とても有意義であった。

P65
1845年から1849年にかけて多くのアイルランド人が祖国を離れアメリカを目指した。その移民の多くが、ニューヨークで仕事を見つけ定住した。祖国にいた当時から英国による迫害を受け、渡航先でも様々な偏見と差別にあい、高収入が見込める仕事につくことは困難であった。そこで、多くのアイルランド人は安定的な働き方として警察官や消防士を選んだ。1870年代までには、ニューヨーク市の人口はアイルランド系が多数派となった。しかしながら、1880年代になると、イタリア系移民が次第に力を付け、建設業などでアイルランド系移民を凌駕するようになった。当時、渡米したイタリア移民の4分の1がニューヨークに住み、アイルランド系を上回った。(中略)
19世紀後半にはイタリア系移民と同様ユダヤ人が大量にメトロポリタン・ニューヨーク地域にやってきた。1910年にはニューヨーク市人口の25%はユダヤ人であった。貧しいユダヤ人はマンハッタンのローワー・イーストサイドに住み、多くは路上で衣服や靴などを売って生計を立てた。裕福なユダヤ人はマンハッタンのアッパー・イーストサイドとアッパー・ウェストサイドに移住した。

P126
「なぜアーカンソーやルイジアナの住民はミシシッピに感謝しているんだろう?」
「そりゃ、ミシシッピのおかげでビリにならずにすんでいるからさ」
つまり、これら3州は、ほぼすべてのランキングで最下位を競っている。ルイジアナ州は、平均余命、在学者数、および個人所得の中央値は全米50州中49位で、州民の健康状態は最下位の50位である。ミシシッピ州は、人口の20%以上が貧困状態にあり、ニューメキシコ州と共に最下位である、アーカンソー州とルイジアナ州はどうかというと、わずか0.1%~2%の差で、かろうじて最下位を免れている。

P259
ハワイ州はホームレスの増加率が最も高く、ホノルルも同程度の規模の都市と比較しても高い。連邦、州、地方自治体の減税により、精神的あるいは身体的障害のある施設が閉鎖され、ホームレスの増加につながった。(中略)ホノルルのホームレスは、ビーチで宿を取ると観光客を邪魔するため、ワイキキでは定期的な見回りで排除されている。排除されたホームレスは、また別の公園に移動し、警察や市の職員とのいたちごっことなる。しかし、オアフ島の海岸沿いをノースショアに向かって車で移動すると、ビーチ沿いの木々の下にブルーシートで暮らすホームレスを見かける。

【ネット上の紹介】
経済状況をベースに作られた新しい立体像!!「全アメリカ」を捉える。誰も見たことがない、読む景色。
10の地域からなるアメリカ合衆国
ニューイングランド地域―ヤンキー発祥の地
メトロポリタン・ニューヨーク地域―グローバルシティとしてのニューヨーク大都市圏
アパラチア地域―貧困と環境汚染がまねくディアスポラ
サウス地域―二つの南部
インダストリアル・ノース地域―工業と穀倉と酪農の地
ハートランド地域―ルイジアナ購入で得た広大な牧草地帯
アウトウェスト&アラスカ地域―ワイルドウェストと広大な資源の地
パシフィック・ノースウェスト地域―アジア太平洋とハイテク産業
サウスウェスト地域―先住民、メキシカン、アジア系が織りなすタペストリー
ハワイ地域―ミックスプレイトの光と陰

瓔珞<エイラク>

2020年08月15日 08時29分48秒 | TV/ドラマ
中国ドラマ「瓔珞」をU-NEXTで観た。(全70話、1話47分)
 
ひと言で言うなら、紫禁城の半沢直樹。
やられたらやりかえす。
これほど策略家のヒロインはいない。
決め台詞は・・・
「それしきで私に勝てると?」
「あなたは私の策にかかったのよ」
相手が謀略を仕掛けてくるが、さらにその裏をかいて相手を落とし込む。その手腕が見事。ヒロインを演じたウー・ジンイェンは、ニコリともせずクールに演じる。
 
舞台は、清の乾隆帝の時代、紫禁城。
魏瓔珞は、宮中での姉の不可解な死に疑問を持ち、女官として紫禁城に入る。
最初は、繍坊で刺繍をして日々を送りながら犯人を捜す。
やがて皇后・富察氏の侍女となり後宮の深部へと入っていく。
前半は姉を殺した犯人を追い詰め、
後半は恩人であり師であり姉とも慕う皇后・富察氏を陥れた犯人を捜し報復していく。
基本は、やられたらやりかえす、しかし、受けた恩と義理は返していく。心理的にイーブンでないと落ち着かないようだ。
 
【備考】
日本タイトル:「瓔珞<エイラク>~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~」
原題:「延禧攻略」、英題:"Story of Yanxi Palace”
2018年に動画サービスiQIYIにて放送。 
( ドラマ部門デイリー再生数20日間連続1位、総再生数180億回を突破する歴史的記録を打ち立て、「神劇」と称される。 華美な描写や欲望渦巻く宮廷闘争が社会主義的価値観に悪影響を及ぼすとして、中国当局の批判を受け、TV放送が中止となる)
 
【公式サイト】 
 
【追記】
Amazonで観ると第1話のみ無料、2話から70話まで各385円かかる。
69話×385円=26,565円
U-NEXTなら無料。月額料金を払ってもおつりが来る。
*なお、Netflixでは扱っていない。
 
【追記】2
「瓔珞」の前に、「ハンシュク 皇帝の女傅」をAmazonで観た。
(全42話、1話45分)
宮廷にある内学堂(女学校のようなもの)を舞台にした作品。
困難を克服し、皇帝の女傅(教師)へと成長していく物語。 
学校が舞台なので、様々なキャラの生徒が出て来るのが楽しい。
同僚の教師同士のやりとりも面白い。
けっこう楽しめたので、記録として残しておく。
 
ところで、登場人物の名前について思うことを記しておく。
日本では、室町時代以降、接頭辞「お」が付いた女性名が広まった。
浅井三姉妹は、お茶々、お初、お江と呼ばれた。
庶民でも、八百屋お七のように「お」が付いて呼ばれた。
 
「ハンシュク」を観ていて、中国でも同様のことがあったと気づいた。(こちらが本家か)
つまり、愛称を作る人名接頭辞「阿」が用いられたようだ。
でも、これは漢文化なのだろうか? 清朝を舞台にしたドラマでは、満洲文化となり、人名接頭辞「阿」が出てこない。(単に私の見落とし?)
【追記】2021.7.19
見落としのようだ・・・「阿」のつく登場人物がいると判明。
清朝でも漢民族の文化は根強く残っているようだ。

ジャパンカップ記事

2020年08月12日 09時32分53秒 | クライミング(コンペ、国体)
朝日新聞2020/8/12付記事

エアコン購入

2020年08月11日 17時30分40秒 | 身辺雑記
エアコンを買った。(270,000円)
パナソニックCSX560D2
覚書として残しておく。
(思ったほど静かではない・・・こんなもん?)

危険レベル3

2020年08月11日 16時48分17秒 | お出かけ
今年は3回予約を行った。
ネット予約1回目=入金したが欠航
ネット予約2回目=入金したが欠航
3回目は、梅田にあるHISに直接行って、具体的に便を確定して、申込用紙まで書いた。しかし、いざ振り込む段になると・・・「中止して欲しい」、と。

外務省の海外安全情報は重要。
私もずっとチェックしている。
旅行代理店として責任を問われる、と言うことでしょう。
利益より政府の意向は重要だ。
(それにしても、旅行業界のダメージは、はかりしれない、と思う)

「人生の半分はトラブルで、あとの半分はそれを乗り越えるためにある」

2020年08月10日 19時05分38秒 | 読書(古典)
「清少納言と紫式部」奥山景布子 

奥山景布子さんが児童書として書いた作品を読んだ。
奥山景布子さんなら、きちんと史実を押さえて読み手の興味を引きながら書かれるだろう、と。実際、上手くまとめられている。

ところで、清少納言と紫式部は4歳違い。紫式部が年下。
また、2人が働いていた時期は、ずれていて重ならない。
それでも、後世の人たちは2人の仲が悪かっただろうと憶測した作品が書かれている。(「紫式部日記」にある悪口のせいでしょうね)実際、2人が会っていたら、どんな会話をしたでしょう? もしかしたら、2人は晩年に会っていたかも。

「八月の鯨」という映画がある。(1987年公開)
リリアン・ギッシュとベティ・デイヴィスの豪華共演。
撮影当時、リリアン・ギッシュは93歳、ベティ・デイヴィス79歳。
こんな高齢のヒロイン共演の映画があるだろうか?
アメリカ・メイン州の小さな島で暮らす老姉妹の日常を描く作品。
淀川長治さんも当時絶賛したそうだ。(もともとリリアン・ギッシュのファンと聞いている)

ここで、私がファンタジーを思い描く。
清少納言と紫式部バージョンの「八月の鯨」はどうだろう?
どんなやりとりになるだろう?

「人生の半分はトラブルで、あとの半分はそれを乗り越えるためにある」
・・・これは、映画の台詞。

「小林カツ代伝」中原一歩

2020年08月07日 18時04分21秒 | 読書(伝記/自伝/評伝)
「小林カツ代伝」中原一歩

料理家・小林カツ代さん(昭和12年生)の伝記。
平成17年にクモ膜下出血となり、約9年間、寝たきりとなり、平成26年に亡くなられた。享年78歳。

P58
「お金を払って食べるプロの料理は、最初の一口目から飛び切りおいしくなくてはならない。一方、家庭料理は違う。家族全員で食事を終えたとき、ああ、おいしかった。この献立、今度はいつ食べられるかなって、家族に思ってもらえる必要がある。家庭料理のおいしさは、リピートなんです。

【備考】
晩年は、ご主人とは別居し離婚状態だったようだ。
妻が有名になり、収入も夫を超えると、夫婦であることを維持できなくなるのだろうか?これって、プライドの問題?それとも、目に見えない水面下での確執、あるいは、小さな行き違いが積もり積もって・・・なのだろうか?
そこのところを掘り下げて欲しかった。

【ネット上の紹介】
「小林カツ代という人は天才でした。紀元前、紀元後ではありませんが、家庭料理の世界では、カツ代前、カツ代後という言葉があってもおかしくない」と、料理専門の編集者に言わしめるほどの存在だった「家庭料理のカリスマ」が亡くなって三年。その波乱万丈の生涯を、生前から親交のあった気鋭のノンフィクションライターがたどる決定版評伝。大阪の商家の「こいさん」(末娘)として生まれ、大学を出てすぐに結婚。新婚当時は味噌汁も満足に作れなかった主婦が、いかにして戦後日本を代表する料理研究家になったのか……。実姉や娘、元夫など家族の証言や、弟子たち、彼女を知る多くの関係者に広く取材し、仕事と家庭の両面から小林カツ代の実像に迫る。伝説の「肉じゃが」、「わが道をゆくワンタン」など傑作レシピも紹介。
第1章 料理の鉄人
第2章 小林カツ代の家庭料理とは何か?
第3章 大阪大空襲
第4章 カツ代を育てたミナミの味
第5章 料理研究家・小林カツ代誕生
第6章 母として、女としての葛藤
第7章 天命

「彼岸花」宇江佐真理

2020年08月05日 17時37分10秒 | 読書(歴史/時代)
「彼岸花」宇江佐真理

次の6編収録されている。

つうさんの家
おいらのツケ
あんがと
彼岸花 
野紺菊
振り向かないで

P34
「金を出せば幾らでも新しい物は手に入るが、わたいはそれがいいとは思えんのよ。特にわたいのようにお迎えが近い年頃になると、さほど物はいらん。少しずつ身の周りの物を減らして、何にもなくなった時、ぽっくり死ぬ。それがいっちいいことに思うのよ」

P142
剃髪しただけでは、檀家の葬儀や法要をすることはできない。師僧の下で修行を積み、僧階を授与されて、初めて僧として認められるのだ。恵真も若い頃は京の寺へやって修行させたものである。尼寺の修行道場が江戸にはなかったからだ。

P177
小作の卯平さんは花造りの好きな人だったが、ある年、ねずみにやられて、せっかくの花が台なしになったそうだ。だが、どういう訳か水仙だけは無事だったらしい。水仙の根に毒があることを、ねずみは知っていたんだな。同じように彼岸花にも根に毒があるそうだ」

【感想】
レベルの高い短編集、と思う。
どの作品も「家族」がテーマになっているが、特に、「彼岸花」がいい。
家族だからといって、仲良くいく訳じゃない。
家族だからこそ、摩擦もおき、しっくりいかない。
その微妙な行き違い、確執の表現が巧い。
読み返したくなる内容だ。

【ネット上の紹介】
江戸の小梅村で庄屋を務める家に生まれたおえいは気の強い母親と一家を切り盛りしていた。武家に嫁いだ妹は時折物やお金を無心に実家を訪れる。そんなちゃっかりした妹が許せないおえいは、ある日母親の不在を理由に妹の頼みを断る。やがて妹の婚家から届いた知らせは―。嫁ぎ先でいじめ抜かれた妹に手を差しのべられなかった姉の後悔を描く表題作など傑作全六編。

ロープとハーネス

2020年08月04日 16時57分24秒 | クライミングギア&登山装備
ロープとハーネスを購入。
普段リードしないから、不要と言われそう。
それでも、たまに人工壁でリード練習をするときがある。(今年は2回実施した・・・少ない?)

●以前買ったハーネスは10年以上前のもの、ウエストもきつくなった。
腰回りに脂肪がついた、と思われる。(老化?コロナ自粛?)
XS→Sサイズに変えた。
メーカーも、以前マムートを使用していたが、今回はBDにした。
コンパクトで軽くなった。
但し、丈夫さで選ぶならペツルかマムートがお勧め。
腰の悪い方は、しっかりしたものが必要、と思う。
ところで、最近のハーネスは折り返しが不要になったようだ。
昔は、折り返し忘れの事故があった。
今は複数のメーカーが折り返し不要にしている。これってマムートの特許かと思っていたけど、私の勘違い?

●ロープを買ったのは、人工壁練習用ロープが古くなってきたから。
今回買ったロープは40mエーデルリット(ドイツ製)9.8㎜、12,122円
買うときの注意点は、太すぎず細すぎず。
太いと、扱いにくいし、重くなる。
細すぎると、フォールしたとき、ビレイヤーが止めにくい。
非力なビレイヤーも想定する必要がある。

【本日のお言葉】
ビレイは信頼できる人に頼みましょう。