
「殺人者はいかに誕生したか 「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く」長谷川博一
著者は臨床心理士。
登場するのは「有名人」ばかり。
宅間守、宮崎勤、畠山鈴香、加藤智大・・・。
獄中の殺人者と対話して、生育歴から犯罪の裏を読み解いていく。
それによって、(許されない犯罪ばかりだけど)異なる面も見えてくる。
もし、我々がその立場で生まれ育ったなら、と思ってしまう。
また、第10章など、真犯人は別にいるやんけ!と思ってしまう。
TVや新聞で報道される「事実」は一側面にすぎない、と分かる。
P21宅間守の言葉
「子どもたちには何の罪もない。自分が子どもの立場やったら、無念やったろうなぁ」
「初めて言うけどほんまはな、途中で、もうやったらいかん、やめないかん思って、そやけど勢いがあって止まらんかった。誰かに後ろから羽交い締めされたとき、やっとこれで終われるぅて、ほっとしたんや」
P59宮崎勤の言葉
「声明文を送りましたね?」
「知らない」
「今田勇子という名で・・・・・・」
「知らない」
「手紙を書いたこと自体は覚えてる?」
「覚えていない」
P181
裁判では、本人が気づいていない無意識への眼差しが欠けがちです。人は自分の心のはたらきをすべて把握しているわけではありません。このために「真相は闇に葬られた」の決まり文句で終わるような結果が招かれやすいのだと考えます。もちろんその眼差しがあればすべての犯罪をきれいに説明できるわけではありませんが、犯罪はその行為すべてが本人の意思でコントロールされているわけではないことを確認しておきたいと思います。
【ネット上の紹介】
閉ざされた記憶、明らかになる事件の真相…。勾留施設での面会と往復書簡から炙り出す、その凄絶な生育歴。
[目次]
第1章 なりたくてこんな人間になったんやない―大阪教育大学附属池田小学校事件・宅間守;
第2章 私は優しい人間だと、伝えてください―関東連続幼女誘拐殺人事件・宮崎勤;
第3章 ボクを徹底的に調べてください―大阪自殺サイト連続殺人事件・前上博;
第4章 私のような者のために、ありがとうございます―光市母子殺害事件・元少年;
第5章 自分が自分でないような感覚だった―同居女性殺人死体遺棄事件・匿名;
第6章 一番分からなくてはいけない人間が何も分からないのです―秋田連続児童殺害事件・畠山鈴香;
第7章 常識に洗脳された人間に、俺のことが理解できるかな!!―土浦無差別殺傷事件・金川真大;
第8章 私は小さな頃から「いい子」を演じてきました―秋葉原無差別殺傷事件・加藤智大;
第9章 命日の十一月十七日までに刑を執行してほしい―奈良小一女児殺害事件・小林薫;
第10章 これって私の裁判なんですね。はじめて裁判官の顔が見えました―母親による男児せっかん死事件・匿名