【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「闇夜の底で踊れ」増島拓哉

2019年07月30日 21時39分50秒 | 読書(小説/日本)
「闇夜の底で踊れ」増島拓哉

人気の話題作を読んだ。
物語は、ヤクザ組長の後継者争いを縦糸、チンピラとソープ嬢の恋が横糸に展開する。
読んでいて、黒川博行さんの「疫病神」シリーズを思い出した。
ヤクザの桑原と建設コンサルタントの二宮の軽快な掛け合いが魅力の作品だ。
桑原=山本、二宮=伊達、と当てはめるとよい。
ただ、「疫病神」シリーズと異なるのは、ソープ嬢の詩織が絡んでくる点。

また、「疫病神」シリーズ同様、舞台が大阪なので、そこも嬉しいところだ。
雰囲気として、黒川博行+馳星周と言ったところか?
思った以上に楽しめた。

【ネット上の紹介】
35歳、無職、パチンコ依存症の伊達。ある日、大勝ちした勢いで訪れたソープランドで出会った詩織に恋心を抱き、入れ込むようになる。やがて所持金が底をつき、闇金業者から借りた金を踏み倒して襲撃を受ける伊達だったが、その窮地を救ったのはかつての兄貴分、関川組の山本だった。その後、山本との奇妙な共生生活を続けながら、詩織に一層のめり込んでいく伊達。一方、関川組の組長引退をきっかけにした内紛が抗争へと発展し、関川組周辺にきな臭い空気が立ち込める。伊達の秘められた過去、そして山本が伊達の前に現れた本当の理由が明かされるとき、事態は思いもよらぬ方向へと転がり進んでゆく――。【

山の装備

2019年07月29日 21時46分29秒 | クライミングギア&登山装備
先日、白馬に行って、装備の不備を感じた。
そこでいくつか買い足したり買い替えたりした。

●雨具のズボン(モンベル)、Storm Cruiser Full Zip Pants・ゴアテックス、現在使用しているものが、旧すぎて防水が効かなくなったので購入した。雨具のズボンを履くのに登山靴を脱ぐ方はいないだろう。靴を履いたままズボンを履くので、中が汚れたり、一本足でバランスととったりと一苦労。フルジップだと、これらのトラブルが解消される。また、雨具はたまにしか使用しないが、これが無いと遭難に繋がる。低山なら問題ないかもしれないが、3,000mクラスの雨は冷たく、急速に体温を低下させる。以前そのまま歩いていたら、身体が冷えてえらいめにあった。ずぼらをせず、雨が降ったらすぐに着用したい。15,400円
●山用ズボン(モンベル)、ストレッチODパンツ、サイズXS(胴囲68~72㎝)があったので購入した。ズボンで困るのは、小さいサイズが無いこと。Mサイズまでしか無いことがある。SやXSは、なぜ無い?!現在の夏用ズボンは、Mサイズを買って、ベルトで締めている。今回は、XSがあったので助かった。さすがモンベル。5,700円
●ボトルホルダー(モンベル)、以前から欲しかった。ザックのショルダーハーネスにペットボトルを装着するホルダー。今まで、腰に下げたり、ショルダーハーネスにカラビナでぶら下げたりしていた。2,100円
●帽子(バーグハウス)、ゴムを調節して頭にフィットさせるタイプ。カンカン照りの縦走路を帽子なしで歩くのは自殺行為だ。今はプラナの帽子を持っているが、もう一つあれば、気分転換になる。30%引きで2,520円
●靴下(モンベル)Supportec着圧機能付き高機能ソックス、右足用・左足用に分かれている。通気性、クッション姓が良く、足裏への衝撃を分散してくれる。靴はミッドカット、中にインソール、靴下はSupportec、今のところ、これがベストの組み合わせか?1,600円






「「育ち」をふりかえる」渡井さゆり

2019年07月29日 19時27分49秒 | 読書(風俗/社会/貧困)
「「育ち」をふりかえる」渡井さゆり

「生まれ」か「育ちか」と問われたらどうだろう?
著者は、養護施設で育った。
それでも大学に行って「福祉」を学び、
在学中に「児童養護の当事者参加推進勉強会日向ぼっこ」を立ち上げる。

P193
「子どもは親を選べない」と少し前の部分に書きましたが、親は選べなくても、自らの育ちは自分次第なのだと感じるようになりました。育ちを振り返ることによって、生き方がわからない中、もがいてきた自分に対し「がんばって生きてきたじゃん、私」と讃えてあげられるようになってきたのです。

【おまけ】
似た作品として、「その子の「普通」は普通じゃない」を思い出す。
本書の渡井さゆりさんの方が、一見文章力があるように思えるが、読んで面白いのは、富井真紀作品だ。
渡井さゆりさんは、過去を客観的に見つめ直して表現しており、
富井真紀さんは、過去をリアルに再現し、その時どう感じたかを表現している。
その違いが出ている。

【参考リンク】
「その子の「普通」は普通じゃない 貧困の連鎖を断ち切るために」富井真紀

【蛇足】
最初の問い「生まれ」か「育ちか」だけど・・・
養護施設で育つと、大学進学率は格段に落ちる。
ハードルは高くなる。
お金があって環境が整っていると、多少偏差値が低くても、大学にいける。
(塾に行けるし、家庭教師を雇って貰えたりするし、アルバイトをする必要もないし)
養護施設で育つと、頭がよくてよっぽど精神力がないと大学にいけない。
たかが大学、されど大学、だ。
選択肢がそれだけ広がる。

もちろん、環境劣悪の貧乏でも、天才は這い上がってくるけど。
「あんぽん 孫正義伝」佐野眞一

【ネット上の紹介】
児童養護施設で長く暮らした著者が自らの生い立ちをふりかえる。親に愛された記憶を持たず、孤独と疎外感、深い絶望のなか、自分は何のために生きているのかと問い続けた日々…。困難と向き合いながら生きる意味を探し、やがて「生きててもいいんだ」という思いに辿りつくまでの歩みを綴る。
1 子どもの頃(父と母、そして私
近親者の喪失
母子生活支援施設での暮らし ほか)
2 施設を巣立って(地球一周の船旅
フリーター
大学生活 ほか)
3 子どもの自分を育てる(瞼のおじいちゃん
もうひとりじゃないよ
子どもたちのおかげ ほか)

「歴史と戦争」半藤一利

2019年07月26日 22時08分34秒 | 読書(昭和史/平成史)
「歴史と戦争」半藤一利

過去の膨大な半藤作品をつなぎ合わせて、歴史を振り返る、って企画作品。
編集者の腕が問われる。

野上弥生子、昭和12年1月、年頭・新聞へ寄せて
P53
「・・・・・・たったひとつお願いごとをしたい。今年は豊作でございましょうか、凶作でございましょうか。いいえ、どちらでもよろしゅうございます。洪水があっても、大地震があっても、暴風雨があっても、・・・・・・コレラとペストがいっしょにはやっても、よろしゅうございます。どうか戦争だけはございませんように・・・・・・」(この願いは虚しかった)

ノモンハン事件から何を学べるか?
P71
「当時の陸軍エリートたちが根拠なき自己過信をもっていた」「驕慢なる無知であった」「当時のエリート意識と出世欲が横溢していた」「偏差値優等生の困った小さな集団が天下を取っていた」、一番最後に、「底知れず無責任であった」。これは今でも続いている。

【ネット上の紹介】
幕末・明治維新からの日本近代化の歩みは、戦争の歴史でもあった。日本民族は世界一優秀だという驕りのもと、無能・無責任なエリートが戦争につきすすみ、メディアはそれを煽り、国民は熱狂した。過ちを繰り返さないために、私たちは歴史に何を学ぶべきなのか。「コチコチの愛国者ほど国を害する者はいない」「戦争の恐ろしさの本質は、非人間的になっていることに気付かないことにある」「日本人は歴史に対する責任というものを持たない民族」―八〇冊以上の著作から厳選した半藤日本史のエッセンス。
第1章 幕末・維新・明治をながめて(江戸時代まであった、島国に生きる知恵
幕末期日本人の天皇観 ほか)
第2章 大正・昭和前期を見つめて(石橋湛山、大正十年の社説
母と、大正十二年の関東大震災 ほか)
第3章 戦争の時代を生きて(真珠湾攻撃大成功の報せを受けて
私の親父は“へん”だった ほか)
第4章 戦後を歩んで(戦後がはじまったとき
遮蔽幕がとれて ほか)
第5章 じっさい見たこと、聞いたこと(東京裁判を見に行った
陸海軍省がなくなってもなお ほか)

白馬三山(白馬岳・杓子岳・鑓ガ岳)縦走

2019年07月25日 08時32分54秒 | 北アルプス(白馬・後立山)

北アルプス・白馬三山(白馬岳・杓子岳・鑓ガ岳)を縦走してきた。
前回、白馬岳に登ったのは、2010年8月。
あれから随分と状況が変わった。
当時、家族は元気であった。
今は・・・である。
さらに私の失ったものが3つある――若さ、体力、気力。
歳を取ると得るものは少なく、失うものが多い。
「一寸先は闇」、「昔はものを 思はざりけり」、というフレーズが思い浮かぶ。

暗いオープニングですまん。
今回のテーマは3つ。

①雪渓を堪能する。
②お花畑を楽しむ。
③温泉に入る。

詳細は次のとおり。
●7月22日 23:45 高速バスで白馬に向けて出発。(8600円)
(天気イマイチなので、当日までずっと行くか迷っていた。 7月末から8月は、いろいろ忙しいし・・・今行っとかないと機会がないかも、と思って決行した)

●7月23日 7時頃白馬八方バスターミナルに到着。
ここから猿倉行きバスに乗る。(930円)
7:10分出発、7:30分過ぎ猿倉到着。
上写真は猿倉荘。
ここで登山届けを提出、内容のチェックを受ける。
下山コース、鑓ガ岳-鑓温泉-猿倉は道が荒れてるから気を付けて下さい、と。
(人気コースのはずだけど、ほとんどの方は、大雪渓を往復するようだ。実際、このコースを下山したのは、私を含めて2名)
登山届け提出後、パッキングし直して出発。
しばらくすると、雨が降り出す。
白馬尻荘でカッパ上下とロングスパッツを着用。
上写真は村営白馬尻荘。(猿倉から約1時間かかる)
しばらくすると雪渓が出て来たので、アイゼン6本爪を装着。
ここからが長い雪渓歩きが始まる、しかも雨の中。
雨が降っているので、休憩する気分にもならず、一気に稜線にある頂上宿舎まで登る。
注意点として、雪渓がなくなったら直ぐにアイゼンを脱ぐこと。
高山植物を傷めるから。それに、次にアイゼンを使うのは、かなり上部のトラバース箇所だから、まだずっと先の話。それまでザックの出しやすいところに収納しておくとよい。最後の雪渓トラバースは、ずぼらせずに、必ずアイゼン着用すること。
看板にもそう表示されている。
上写真は、最後の雪渓トラバース。(アイゼン着用)

村営頂上宿舎で宿泊手続(1泊2食付き10,300円)をして、濡れた装備を乾燥室へ持っていく。(雨の日は、これがありがたい・・・テントだと、こうはいかない)
残りの荷物を部屋に置いて、食堂へ行く。
うどん(800円)を食べながら、雨があがるのを待つ。
雨があがって霧も晴れてきたので、白馬山頂まで往復した。
上の写真は、白馬岳山頂。
あとはバイキング形式(おかわり自由)の夕食を食べて就寝。

●7月24日 5:30からバイキング形式(おかわり自由)の朝食を食べて6寺に出発。

今日は、杓子岳・鑓ガ岳を縦走して、鑓温泉から猿倉に下山する8時間以上の充実スケジュールだ。
縦走中の景色。
上の写真は杓子岳。
途中で道に迷って1時間ほどロスしたが、無事、猿倉に14:50分頃下山。
上の写真は、鑓温泉近くで雪渓を渡る猿を撮影。
有名な鑓温泉・・・8/3から営業予定、とのこと。
15:10バスに乗り、八方口で下車。(1000円)
みみずくの湯で温泉に入り(600円)、うどんを食べる。(390円+地元牛乳140円)
みみずくの湯から白馬駅まで歩く。10分から15分くらい。
白馬駅窓口で帰阪・電車チケットを購入。(10,580円)
18:14分電車出発、自宅に帰ったのが、深夜12時半頃。
あぁ、疲れた!

【感想】
北アルプスの女王・白馬はお花畑が有名。
歩いていて、目が楽しめ、癒やされた。
今回のテーマ、①雪渓を堪能する、②お花畑を楽しむ、③温泉に入る――どれもクリア。
出発前、テントにするか迷ったが、天気が悪いし、大雪渓をテントを担いで登る自信がなかったので、小屋泊まりにした。(これで良かったと思っている・・・これから小屋泊まりが増えるだろう、と思う)

【装備について感想】
ザックは、バーグハウス40ℓを利用したが、問題なし――つまり、良かった、と言うことだ。出発前に重量を測ったら、8.8KgGW。(テント泊まりにしたら16Kg以上になる・・・この差は大きい)
普段の山行は5、6Kgだが、+3Kgの内容は、ペットボトルを3本入れた、アイゼン、衣類、行動食2日+予備食、トレキングポールなど)
靴は、ファイブテン・ミッドカット。これも問題なし。
靴下の種類、靴紐の締め具合で微調整する必要あり。
トレッキングポールは、雪渓でも、下山時も役に立った。
(1本携行したが、2本も要らない、と思う)
歩いているときは、Tシャツと長ズボン。
初日の雨では、Tシャツの上からカッパを着た。
アイゼンは必携、装着してもズルズルと滑った。
的確に足を置く必要あり。雨の中、よけい体力を消耗する。
小屋では、薄いフリースジャケットと薄いポーカーを着た。
ダウンは持って行ったが、使わなかった。
テントと違って、山小屋はそこまで寒くない。
でも、せっかく持っていったから、着用したら良かった。
その日によって、寒い日のあるだろうし、持って行った方が無難。

【具体的な装備内容】
Tシャツ、薄パーカー、フリース、ダウン、ゴア雨具上下、帽子、フリース帽子、手袋
アイゼン6本爪、トレッキングポール、登山靴ミッドカット、ロングスパッツ
ヘッドランプ、ライター、カメラ、時計、スマホ、ゴミ袋、地図、資料、日焼け止め
行動食、ペットボトル500ml×3本、ツエルト
ザック(バーグハウス・青40)、ザックカバー、
着替え(Tシャツ・パンツ・膝下ズボン・靴下)

【改善点】
朝食は、今後やめようと思う。
今回、5:30からだったが、4時や5時に出発しようと思っても、朝食後でないと、出発できないから。今後、弁当にしてもらって、自分のタイミングで出発するようにしたい。
部屋は大部屋にしたが、今後、個室にしてもいいかも。
個室だと、気兼ねなく本を読めるし、自分のタイミングで就寝できる。(平日+4,000円の追加料金、祝日、週末は+8,000円くらい)
あと、雨具のズボンが旧くて防水が効かない。買い替える必要あり。

【備考】
往路:高速バス8,600円
復路:電車10,580円
帰りを電車にしたのは、下山がバスの時刻に間に合うか読みにくいし、
温泉に立ち寄りたかったから。
但し、18:14分の電車に乗り遅れると、その日には帰宅できない。
電車での帰阪方法は2種類ある。
①金沢経由でサンダーバード利用
②名古屋まで出て、新幹線を利用
注意点として、猿倉からのバスの本数が少ないのと、大糸線の電車本数が少ない。
猿倉13:15→白馬14:17
猿倉15:10→白馬15:37
但し、みみずくの湯に行くなら、八方口で降りた方が近い。

【データ】
7月23日:(以下、頂上宿舎からの白馬岳往復データを含まない)
猿倉荘7:46-白馬尻荘8:45-頂上宿舎12:45
活動時間:4時間59分
活動距離:6Km
消費カロリー:2131kcal
高低差:1465m
累積標高上/下り:1494m/33m

7月24日:
頂上宿舎6:00-杓子岳7:03-白馬鑓ガ岳8:04-猿倉荘14:44
活動時間:8時間45分(迷って1時間以上ロスしたから)
活動距離:13.8Km
消費カロリー:3862kcal
高低差:1650m
累積標高上/下り:800m/2281m
鑓ガ岳山頂にて・・・山頂に居あわせた方に撮って頂いた。

【おまけ】-2010年8月山行の資料
北アルプス・白馬岳▲2,932m

白馬岳山行覚書

「学校では教えない「社会人のための現代史」 池上彰教授の東工大講義 国際篇」

2019年07月22日 12時07分47秒 | 読書(昭和史/平成史)
「学校では教えない「社会人のための現代史」 池上彰教授の東工大講義 国際篇」

以前読んだ「「この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」」の姉妹編。
東工大講義・国際篇である。

共産主義、社会主義では、なぜ独裁者が生まれるのか?
(旧ユーゴスラビアのチトー、ルーマニアのチャウセスク、アルバニアのホッジャ、旧ソ連のスターリン、中国の毛沢東)
P40
そこには2つの要素があると思います。「代行主義」と「無謬神話」です。
共産党組織は、多数の代議員が集まって大会を開き、中央委員会の委員を選出します。しかし、中央委員は多数いるので、日常的な政治判断は、中央委委員会の中の政治局が担います。その政治局の中の少数が、密室で判断を下します。実力のあるトップがいれば、周辺の幹部は、トップの判断に従います。こうして独裁的な権力者が生まれやすくなります。
報道の自由はありませんから、判断内容は批判されることなく実行されます。

台湾総督府
P53
初代総督は樺山資紀海軍大将。作家・白州正子の祖父に当たる。

朝鮮戦争と警察予備隊
P78
米軍がいなくなって“真空”となった日本にソ連軍が侵攻することを恐れたのです。

P88
アラブ人とユダヤ人に、それぞれ独立国家を約束する一方、ひそかにフランスと山分けの約束をする。これが英国の三枚舌外交と言われるゆえんです。

核抑止力の理論=「相互確証破壊」
P115
Mutual Assured Destruction(略してMAD!)

P129
当時、米空軍のカーチス・ルメイ参謀総長は「ベトナムを石器時代に後戻りさせてやる」と発言しました。(東京大空襲を指揮したのもカーチス・ルメイだ!原爆も指示した。こんな人に限ってよき家庭人だったりする。精神鑑定をしてもらったらどうだろう?)

【参考】
「「この日本で生きる君が知っておくべき「戦後史の学び方」」

【ネット上の紹介】
世界で活躍するカギは、学校では教えない「冷戦」とその崩壊を知ることです。池上彰教授のわかりやすい現代史講義を実況中継!
はじめに―冷戦がわかると「この世界のかたち」が見える
東西冷戦―世界はなぜ2つに分かれたのか
ソ連崩壊―社会主義の理想が「怖い国」になるまで
台湾と中国―対立しても尖閣で一致するわけ
北朝鮮―なぜ核で「一発逆転」狙うのか
中東―日本にも飛び火?イスラエルやシリアの紛争
キューバ危機―世界が核戦争寸前になった瞬間
ベトナム戦争―アメリカ最大最悪のトラウマ
カンボジア―大虐殺「ポル・ポト」という謎
天安門事件―「反日」の原点を知っておこう
中国―「経済成長」の代償を支払う日
通貨―お金が「商品」になった
エネルギー―石油を「武器」にした人々
EU―「ひとつのヨーロッパ」という夢と挫折
9・11―世界はテロから何を学べる?

「家のない少女たち」鈴木大介

2019年07月21日 20時31分54秒 | 読書(風俗/社会/貧困)
「家のない少女たち」鈴木大介

先日読んだ、「ギャングース・ファイル 家のない少年たち」が良かったので、本書も読んでみた。
自分の子を虐待する親が多い。
読んでいて、暗澹たる気分になった。
途中で読むのを止めようか、と。
悲惨な話が満載。

P22
「ハルちゃん、ウチ、産もうと思う。もう間に合わないから」
「どうやって?きちんと病院で産むなら、夏子お前、一回実家帰らないとダメだよ」
「それは無理だから、この部屋で産む」
「本気?」
「本気」
 沈黙。
 重い口を開いたのは、ハルちゃんだ。
「でも、産んで育てるにしても、実家帰らないと無理だろ。どうやって出生届とか出すの?」
「それは、その時考える」
「・・・・・・わかった」
 夏子16歳、ハルちゃん18歳の決断だった。

母親が子どもに吐く科白
P139
「母子手当て、あんたが18歳になるまでは貰えるでしょ。だからそれ貰えなくなったら、あんた要らないから。あとさ、できれば20歳になったら、生命保険入って死んでくれる?」

【ネット上の紹介】
奔放な10代少女の逸脱ばかりがクローズアップされたテレビの「プチ家出」報道。だが、その後の家出少女について、誰が何を語っただろう。親からの虐待や貧困、施設からの脱走など様々な背景を抱えて路頭に迷う「家に帰れない」少女たち。彼らは食べるため、そして寝床を確保するための売春を強いられる、いわば日本のストリートチルドレンだ。そして、皮肉にも行き場を失った少女らの受け皿となったのは、下心を秘めた「泊め男」や、未成年でも雇用する違法売春組織だった。踏まれ、利用され、社会の生ゴミ扱いされ、それでも立ち上がる!8年近く続けた取材で見たのは、圧倒的不遇の中でも力強く生き抜く少女たちの姿だ。
第1章 たった一日の母子
第2章 ご飯とふりかけだけで育った
第3章 監禁風俗
第4章 大阪のババ子
第5章 泊めた男と仔鹿ちゃん
第6章 売春組織に救われて
第7章 オジサンもっと、ギュッとして
第8章 あたしのお姉ちゃん
第9章 お母さんごめんなさい
第10章 お前、援交やってこい
終章 世界で一番幸せだった

「生きづらい明治社会」松沢裕作

2019年07月20日 19時15分28秒 | 読書(歴史/時代)
「生きづらい明治社会」松沢裕作

日本が近代化に向けて歩き出した時代、明治はどんな時代だったのか?
思った以上に面白く、目から鱗の視点で、読んで良かったと思える作品だ。

PⅧ
人は不安だとついついやたらとがんばってしまったりします。(中略)
これは、実は「わな」です。なぜなら世の中は努力すればかならず報われるようにはできていないからです。

P65
新政府が引き継いだのは、おおよそ旧幕府の直轄地からの収入だけです。

P67
政府は、税制を統一する必要に迫られました。
そこで行われた改革が、地租改正です。

P67
明治政府とは、結局のところ、1867年の王政復古と、1871年の廃藩置県という2つのクーデターを成功させ、その賭けに勝った人たちが権力を独占している、そんな政府にすぎません。

P71
人が貧困に陥るのは、その人の努力が足りないからだ、という考え方のことを、日本の歴史学会では「通俗道徳」と呼んでいます。この「通俗道徳」が、近代日本の人びとにとって重大な意味をもっていた、という指摘をおこなったのは、2016年に亡くなった安丸良夫さんという歴史学者です。

【ネット上の紹介】
日本が近代化に向けて大きな一歩を踏み出した明治時代は実はとても厳しい社会でした。景気の急激な変動、出世競争、貧困…。さまざまな困難と向き合いながら、人々はこの時代をどう生きたのでしょうか?不安と競争をキーワードに、明治という社会を読み解きます。
第1章 突然景気が悪くなる―松方デフレと負債農民騒擾
第2章 その日暮らしの人びと―都市下層社会
第3章 貧困者への冷たい視線―恤救規則
第4章 小さな政府と努力する人びと―通俗道徳
第5章 競争する人びと―立身出世
第6章 「家」に働かされる―娼妓・女工・農家の女性
第7章 暴れる若い男性たち―日露戦争後の都市民衆騒擾
おわりに―現代と明治のあいだ

「「超」世界史・日本史」片山杜秀

2019年07月19日 19時31分42秒 | 読書(歴史/時代)
「「超」世界史・日本史」片山杜秀

大学の歴史の入試問題ってどんなんだろう?
いったいどんな問題が出るの?

例1=十字軍が与えた影響を述べなさい
例2=オランダの世界史における役割について述べなさい
例3=女性参政権が1920年前後に実現した理由を述べなさい
例4=科挙の歴史的変遷を、政治的・社会的・文化的側面に留意して述べよ
例5=清朝が明朝に替わって中国を支配するようになった経緯を説明せよ
例6=清朝はなぜ近代化に失敗したか
例7=中国共産党はなぜ中国を統一できたのか

いかがでしょうか?
これらを解くことで、歴史が見えてくるかも。
(時間制限もある中で、必要語句を配置しながら、簡潔にまとめる必要がある・・・できる?)

P15
商人の力が教会を凌駕しないよう、富の蓄積をいかにして禁じるかが、この時代の神学者の課題でした。中世を代表する神学者トマス・アクィナスは「お金を儲けたら、すぐに使うように。それが神の教えだ」と唱えたほどです。(消費より蓄財の方が罪が重い、と!)

P86
私は若い頃、中国において、儒教と道教という水と油のような思想が、長い間、共存してきたのはなぜなのだろう、と不思議に思いました。ところが、この中原と江南の関係を踏まえるとその理由が見えてきます。つまり、儒教は中原の思想となり、道徳や規律や秩序を重んじることで、何とか勝手気ままな江南を統御しようとしてきた。それに対して、老荘思想から発展した道教は江南の思想となり、江南は常に政治のくびきから離れ、変化する自然にすべてを委ねて、自由奔放で生きていきたいと望んできた。

国共合作について
P146
日本は、とても長持ちしないだろう、国民党も内部分裂するだろう、と思っていました。そう予測していたために、親日的な勢力と結べば中国の一分は容易に安定させられるだろう、と考えてしまった。そのような認識が、近衛の「国民政府を対手とせず」という声明や盧溝橋事件に始まる戦線拡大につながり、国民党から汪兆銘を引きぬいて、中華民国国民政府を作らせることになりました。

P203
南北朝時代には、日本全国、中央から地方まで武士が南朝北朝に分かれ、個人の欲望を解き放って、血で血を洗う醜い争いを繰り広げていました。そんな殺伐とした時代を『太平記』は南朝に忠義を尽くす純真な武士が次々と殉死していく物語として美しく謳い上げました。

P212
しかし、悲しいかな、日本史において、西国的発想は最後に必ず東国に敗北してしまいます。その原因は東国と西国のやる気の差にあるのではないでしょうか。西国にすると、経済的に遅れている東国に進出するメリットはありません。東国は西国に反発しながらも、西国を手中に収めれば、確実に豊かになれる。結局、平家は源氏に負け、豊臣は徳川に負け、そのたびに日本は農業を中心とした社会に回帰しました。

【ネット上の紹介】
受験生だけじゃもったいない!記述式問題は大人のためにある。23の良問にカタヤマ教授が挑戦!
一時間目 世界史(十字軍が与えた影響―慶應義塾大学
宗教改革が「国民」をつくった―慶應義塾大学 ほか)
二時間目 中国史(二つの中心を持つ中国―京都大学
科挙が日本に入っていたら?―京都大学 ほか)
三時間目 日本近代史(天皇機関説と天皇主権説―一橋大学
統帥権の独立とは?―一橋大学 ほか)
四時間目 昭和の戦争(大日本帝国憲法と日本国憲法―一橋大学
一九二〇年代の米国がつくった国際秩序―京都大学 ほか)
五時間目 戦国時代(南北朝内乱が戦国時代の種を播いた―東京大学
日明貿易と倭寇―東京大学 ほか)

「地図で訪ねる歴史の舞台日本」帝国書院

2019年07月18日 19時55分38秒 | 読書(歴史/時代)
「地図で訪ねる歴史の舞台日本」帝国書院

山崎の戦い

関ヶ原の戦い

桶狭間の戦い

【ネット上の紹介】
現在と過去のつながりが地図でわかる!江戸、姫路城、軍艦島を新規掲載。巻頭特集で、今話題の街や史跡を掲載。新規掲載の那覇、長崎、福岡、高知、萩、金沢、京都、会津若松、函館。都市特集で、魅力ある歴史の街を紹介。迫力ある鳥瞰図で歴史の舞台を再現。日本の歴史を動かした人物を特集ページで紹介。
もくじ・地図の記号(江戸―徳川家康と江戸幕府がつくりあげた水の都
江戸城 ほか)
都市特集(那覇―中世に栄華を極めた東アジアの交易拠点
長崎―日本の「窓」として異国文化を吸収した ほか)
九州地方・南西諸島
中国・四国地方
近畿地方
中部地方
関東地方
東北地方
北海道地方
人物特集(聖徳太子―初めての摂政として政治を行う
源義経―源平合戦の名将流転の人生 ほか)

berghaus

2019年07月16日 21時56分43秒 | クライミングギア&登山装備
最近、バーグハウスのザック(40l)を使っている。
今まで、カリマー、ミレーなど色々背負ってきたが、下山時には肩が痛くなった。
私の体型に合わず、うまくフィットしなかったから。(撫で肩なもので)
バーグハウスは痛くならないので嬉しい。
肩と腰の負担割合が2:8~3:7くらいで背負えるから。

左下のストラップで、背面長を自分の体格に合わせて調整できる。
やったことないけど、「移動中でも操作可能」、とのこと。

登山用品店スタッフの方も長く使っているそうだが、ズレたことはない、と。
カメラは、ウエストベルトのポケットに入れている。
雨蓋には、ヘッドランプ、ツエルトを収納している。
ザックの横にウエストバックがあるが、これに行動食とスマホを入れている。
(ちなみに、本日の重量=5.6KgGW・・・ペットボトル3本+モバイル・バッテリーが重いのではないか、と思う)

【備考】
バーグハウスのザックは、シンプルで、余分な機能はない。
ザックを背負って歩く、という基本に関してよく出来ている。
しかし、冬になって、スノウシュー、ピッケル等を装着したり、となったらどうだろう?
オプショナルな機能については、今後の課題だ。
寒い中、素早く着脱する必要があるから。

【おまけ】
オスプレイ(60l)も、腰で運ぶ感じで良いんだけど、
歩くときに、足の付け根の筋肉が動き、ウエストベルトに擦れて痛い。
(登山用品店では、「ウエストベルトに筋肉が擦れるなんて聞いたことない」、と)
今後、何か対策をしようと思っている。
具体的には、ウエストベルトの位置を上下に微調整するつもり。
(あと、ウエストベルトがもう少し細身だとありがたいんだけど・・・いっぱいまでしぼっている。アメリカ人は腰が太いのだろう)

「お狂言師歌吉うきよ暦シリーズ」杉本章子

2019年07月16日 21時56分43秒 | 読書(歴史/時代)
「お狂言師歌吉うきよ暦シリーズ」杉本章子

お狂言師歌吉うきよ暦シリーズを読んだ。
次の4冊。

『お狂言師歌吉うきよ暦』
『大奥二人道成寺』
『精姫様一条』
『カナリア恋唄』

お狂言師・歌吉は、大名家に入り込むことが出来ることから、隠密の手伝いをする羽目になる。
家族小説としての要素が少ないので、面白さでは、「信太郎人情始末帖シリーズ」ほどではない。(でも、面白いけど)
先に、「信太郎人情始末帖シリーズ」を読むことをお薦めする。

【ネット上の紹介】
「あたしも一座に」―歌吉、こと中橋広小路の駕籠屋赤松の娘・お吉は、踊りの師匠・水木歌仙率いるお狂言師一座に加えてもらうことになった。お狂言師は、大名家の奥向きにあがって狂言や踊りをご覧に入れる。胸の高鳴るような話の直後、事件は起きた。これからは、歌吉の名を立てて、生きていかなければならない。そんな折、歌吉は、何者かに連れ去られる…。直木賞作家が放つ長編時代小説。

世帯分離

2019年07月15日 21時17分23秒 | 読書(介護/終活)
介護保険負担限度額認定申請書の絡みで、世帯分離について調べた。
メリットとデメリットを比較して慎重に行う必要がある。
市役所の手続きの段取りは次のとおり。(市によって名称は異なる)

①市民課・・・住民異動届(世帯分離しても、後ほど世帯合併も出来る)
②保険年金課・・・後期高齢者証が絡むから(場合によっては減免になるかも)
③介護課・・・介護保険負担限度額認定申請書

また、世帯分離をすると、扶養者控除がどうなるか、気になる。
これは市役所では分からないので、税務署で聞くしかない。
その足で訪問して尋ねたところ、所得税法上問題なし、とのこと。
但し、確定申告の情報は市役所にも行くので、市民税課にも行って聞く必要がある。
(税務署と市役所では運用する法律が違う)
所得税法上問題なしでも、解釈の違いから、市民税として追加徴収される可能性があるから。
また、根本的な問題として、同じ家に住んでいて世帯分離出来るかどうか?
そこが肝心なところ。(住所地の市役所に聞いてみて・・・担当者により解釈が分かれるかも)

*介護保険負担限度額認定申請書は、毎年6月末頃に郵便で更新の通知が来る。
市民税は6月に更新されるから、これに連動する、って事だろう。
郵送されてきたら、これに対して、7月末までに手続きする必要がある。
家族が市民税を支払っていると、認定されない、って事がある。(役所で確認してみて)

【メリットとデメリット】



「ポーの一族ユニコーン」萩尾望都

2019年07月15日 20時48分01秒 | 読書(マンガ/アニメ)
「ポーの一族ユニコーン」萩尾望都

新シリーズ2巻目、「春の夢」の続き。
次の5篇が収録されている

「わたしに触れるな」2016年舞台
「ホフマンの舟歌」1957年舞台
「バリー・ツイストが逃げた」1975年舞台
「カタコンベ」1963年舞台


「シュトラウスの何がいけないの?」
「シュトラウスはナチスの帝国で帝国音楽院の総裁をやっててナチスと親しかったんだぜなァ?
ユダヤ系だと言ってメンデルスゾーンもマーラーも
「退廃音楽」としてナチスに上演を禁止されたんだぜ。
ナチス・ドイツにきみの一家は苦しめられたのにシュトラウスを歌う?
たいしたもんだ!」


【感想】
新キャラクター、バリー・ツイスト登場により、
作品に、より深みと広がりが出て、面白くなった。
これにクロエとファルカが絡んで、今後の展開が期待される。
ブランカも、次回、もっと活躍して欲しい。

【おまけ】
著者は、かなりお歳(失礼!)なのに、この創作力、頭が下がる。
ほとんどの方が引退して、レジェンド状態で祀られているのに、
今なお現役で、最高レベルの作品を提供し続けている。
すごすぎる。

【ネット上の紹介】
旧作のラストに直結する新エピソード開幕!40年ぶりの新作発表で話題となった『ポーの一族 春の夢』の続刊。旧作のラストエピソード「エディス」で炎にのまれたアランとその後のエドガーそしてバンパネラ一族の運命が紡がれる衝撃の新エピソードです。

「沖縄アンダーグラウンド」藤井誠二

2019年07月12日 21時17分23秒 | 読書(沖縄・八重山)
「沖縄アンダーグラウンド」藤井誠二
 
沖縄裏面史の力作。
 
戦後まもないころ・・・女性の証言
P31
戦後どさくさの時代、米兵による婦女暴行がなにより怖かった。私たちは芋掘りに行くときは集団で出かけ、米兵が現れると、一目散に逃げたものだった。逃げ遅れた女性は彼らに手ごめにされた。私の知っている女性もつかまえられて、米兵に強姦された。
 
P80
内地の人からは、沖縄は血縁関係の身内意識がしっかりしているから家族同士の面倒見は手厚いだろうと思われがちですが、実際はそうではないんです。内側のまとまりが強すぎて、少しでもそこから外れた女の子は逆に強くはじき出されてしまうんです。
 
P200
「米軍に捕まると男は戦車の下敷きにされ、女はなぶりものにされる」というプロパガンダは本当だった。
 
P224
まず歴史的事実として、占領期の沖縄にはRAAは存在しなかった。アメリカも自前には慰安所をつくらなかった。「売春」を布告などで禁止し、警察に取締をさせる一方で、米兵の犯罪を放置に近い状態にしておき、性病対策にのみ奔走した。
 
P261
奄美の女性が沖縄に行くということは、それはほとんど売春をしに行くことを意味していました。(中略)奄美だけでなく、宮古の人も差別されていて、沖縄で下宿をさがすときに『宮古人お断り』と書かれていたこともありました。
 
P265
奄美出身の女性たちは時に、漁村の村であった糸満に人身売買に近いかたちで売り飛ばされることもあった。これを「糸満売り」という。沖縄では、貧しい地域から糸満の漁師のところに「年季奉公」として10歳前後の子どもを売りわたす習慣が戦後まで続いていて、1955年に琉球政府によって廃止された。
 
P270
沖縄では、余所からきた者に対しての差別は僕が子どものころからあって、それがハーフの子どもに対してキツく出たんだけども、同時に近辺の宮古や石垣に対する差別もありました。
 
【ネット上の紹介】
二〇一〇年を過ぎた頃、「沖縄の恥部」とまで言われた売春街が、官民一体となった「浄化」運動によって消滅した。著者はその前からこの街に入り、売春に従事する女性、風俗店経営者、ヤクザなどに綿密な取材を行い、街の内実や市民社会からの偏見の構造を明らかにしてゆく。また著者は、この街ができるまでの歴史を辿る。売春街は、敗戦直後から沖縄で頻発した米軍兵士による凄まじい暴行事件への対応策でもあった。それは米国占領下に置かれた沖縄の戦後史と切り離せない関係にあったのだ―。浄化運動で消された「売春街」を丹念にルポルタージュし、沖縄の「もう一つの戦後史」を描き出す類例のない労作!
序章 眩い街へ、妖しい光へ
第1章 消し去られた街、生の痕跡
第2章 変貌する夜に生きる者たち
第3章 闇社会の収奪システム
第4章 娼婦とヤクザと革命―幻の映画『モトシンカカランヌー』の「アケミ」を捜して
第5章 歴史の底に置かれた売春女性―佐木隆三が見た沖縄
第6章 「レイプの軍隊」と沖縄売春史
第7章 売春街の子どもたち
第8章 浄化の論理と、夜の身体と
終章 作家・沖山真知子の記憶