【ぼちぼちクライミング&読書】

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「先生!どうやって死んだらいいですか?」山折哲雄/伊藤比呂美

2024年07月12日 07時45分04秒 | 読書(介護/終活)


「先生!どうやって死んだらいいですか?」山折哲雄/伊藤比呂美

10年ぶりの読み返し。

P17-18
山折:食欲と性欲は切っても切れません。釈迦やキリストが修業時代、悟りを開くとか真理を突きとめるとかいう前に、断食や精進ということを非常に重視して行うわけですね。

P94-95
山折:日本では比叡山で修行するときに重要な四つの課題があると、伝統的に言われてきた。それが「論湿寒貧」です。日本の宗教にとって重要な時代、思想的に深まった時代というのは十三世紀です。法然・親鸞・道元・日蓮が出てくる。この四人は全員、その四つの課題にとりくんで、比叡山で修行したり勉強したりしていた。

P128-129
山折:『ヨハネ福音書』の冒頭に、「はじめに言葉ありき」と書かれているでしょう。この翻訳がほんとに正しいのかどうかに異議を唱える人はあまりいないけれど、山浦玄嗣(はるつぐ)さんという方がまったく新しい問題提起をされました。
伊藤:(前略)今、山折先生がおっしゃったところは、こんなふうになります。「初めに在ったのァ神様の思いだった。思いが神様の胸に在った。その思いごそァ神様そのもの。初めの初めに神様の胸の内に在ったもの」(ケセン語新約聖書)

【ネット上の紹介】
生きることを真正面から見つめ、格闘してきた詩人・伊藤比呂美が、宗教学者・山折哲雄に問いかける、「老いを生きる知恵」。

[目次]
1 性をこころえる(食欲と性欲の切っても切れない関係
欲望を満たしつつ、快く死んでいきたい
「翁」の表情は日本の老人の理想 ほか)
2 老によりそう(木石のように生きる
乾いた仏教、湿った仏教
国を誤らせた五七調 ほか)
3 病とむきあう(創造的な病
「気配の文化」と「告知の文化」
「思いやり」のあいまいさ ほか)
4 死のむこうに(骨を噛む
ひと握り散骨のすすめ
儀式抜きで生きていけない ほか)


「生き物が老いるということ」稲垣栄洋

2024年05月24日 07時47分31秒 | 読書(介護/終活)


「生き物が老いるということ」稲垣栄洋

P70
地球上で、閉経する生物は、人間と、シャチとゴンドウクジラの三種類だけである。
それにしても、どうして、閉経して繁殖能力を持たないおばあちゃんシャチが長生きをするのだろうか。(中略)
おばあちゃんがいない場合と比べて、おばあちゃんがいる群れは、孫の生存率が高まるというのである。そして、おばあちゃんシャチが死ぬと、その後、孫の生存率が低下するという。
海は危険がいっぱいである。おばあちゃんシャチの豊富な経験と知恵が群れを正しく導いていく。そして、母親世代のシャチに子育ての知識を伝え、家族の世話をする。こうしておばあちゃんシャチの存在によって、群れの生存率が高められていくのである。

【ネット上の紹介】
イネにとって老いはまさに米を実らせる、もっとも輝きを放つステージである。人間はどうして実りに目をむけず、いつまでも青々としていようとするのか。実は老いは生物が進化の歴史の中で磨いてきた戦略なのだ。次世代へと命をつなぎながら、私たちの体は老いていくのである。人類はけっして強い生物ではないが、助け合い、そして年寄りの知恵を活かすことによって「長生き」を手に入れたのだ。老化という最強戦略の秘密に迫る。
第1章 「老い」は「実り」である
第2章 「老い」が人類を発展させた
第3章 ジャガイモは死なない―死を獲得した生命
第4章 そして男と女が生まれた
第5章 限りある命に進化する
第6章 老木は老木ではない
第7章 「若さ」とは幻である
第8章 植物はアンチエイジングしない
第9章 宇宙でたった一つのもの


「親を送る」井上理津子

2023年01月04日 10時19分39秒 | 読書(介護/終活)


「親を送る」井上理津子

人生最後の通過儀礼、介護と看取り。
両親を相次いで亡くしたノンフィクション作家の体験記。

P114
「末期の水を用意しました。これを口に含ませてあげてください」
看護師さんが、割り箸と綿花、容器に入った水をよこした。
「はい?」
「あの世に旅立たれる間、喉が渇かないようと、昔からの仏教の儀式です」

P129
「戒名と言うのはね・・・・・・」と説明があった。
「亡くなった人は、仏さんの弟子の仏さんになるんですね。戒名は、そのための、徳を表す名前で、成仏のために必ず必要なものなんですね。かよ子さんという俗名は、仏さんの世界で通用しないから・・・・・・。戒名を授けられることによって、初めてご先祖さまの一員となることがでる。うちの過去帳にも、戒名がないと記録できないことになってるんですよ」

P248
「ご承知のとおり、四十九日は満中陰と言います。中陰とは、生と死つまり陰と陽の狭間のことで、その期間が満ちるから、満中陰なんですね。どういうことかというと、仏教では亡くなった人はすぐあの世にいけるのではなく、死後七日ごとに冥土の裁判を受けながら、この世との狭間を歩かれる。そして、四十九日に、一番偉い裁判官、閻魔大王たち十五人から最後の審判を受けることになってるんですね。
生前に良いことをして徳を積んでいると天国へ、悪いことをしていると地獄へ行く、と子どもの頃言われませんでしたか。あれ、ですね。だから四十九日の法要は、亡くなった方が良い裁きを受けられますようにと拝む法要なんですね」(細かいことを言うようだが、お坊さんの言葉だから、「天国」ではなく、「極楽」ではないだろうか?「最後の審判」という言葉も、ユダヤ教やキリスト教の世界観を感じる・・・先日、大塚国際美術館に行った際に見た、ミケランジェロ、システィーナ礼拝堂のフレスコ画を思い出した)


【同著者の作品】・・・とても良かった

「さいごの色街飛田」井上理津子 

【ネット上の紹介】
親との別れは突然やってくる。79歳の母が火傷を負い、病院に運ばれた。数日の入院で済むはずだったが、容態が急変。意識不明に陥り、生命維持装置をいつ外すかの決断を迫られる事態に。さらに追い討ちをかけるように、認知症気味の84歳の父まで…。両親を相次いで亡くしたノンフィクション作家が描く、看取りの苦しさ、悲しみ。親を送った人、これから送る人、皆に届けたい半年間のドキュメント。


「実録!介護のオシゴト」①-⑤國廣幸亜

2020年12月22日 11時37分10秒 | 読書(介護/終活)

「実録!介護のオシゴト」①-⑤國廣幸亜

お仕事マンガで、良く出来ている、と思う。
著者自身、介護福祉士の資格を持っており、自分の経験を描いている。
出会った様々な人間模様。
歳をとると、自己演出がなくなり、「素」がストレートに出てくる。
本質は、こんなだったのか!、と。
それを「笑い」「人間味」として、敬意を表してマンガ化している姿勢が良い。


「実録!介護のオシゴト」①-⑤國廣幸亜





【ネット上の紹介】
おもしろい!泣ける!役に立つ!3拍子揃った実録介護エッセイコミック★介護福祉士の資格を持つ漫画家・國廣幸亜が介護の現場の最前線で右往左往…!?圧倒的なお年寄りパワーが炸裂する介護の現場の最前線をご覧あれ!

「わたしのお婆ちゃん」ニコ・ニコルソン

2020年11月26日 17時28分22秒 | 読書(介護/終活)
「わたしのお婆ちゃん」ニコ・ニコルソン

震災で家を流され、仮設住宅へ。
環境の大きな変化が引き金となり、祖母が認知症になり、奇行を連発。
家族はそれに振り回される。
母が頑張って同じ場所に家を建て直したが、奇行は治まらず。
介護者には「あるあるネタ」満載。


でも結局何をしたって後悔は残るのよね

無理してませんか?

【参考リンク】

【ネット上の紹介】
東京で漫画家をしているニコ。家族は宮城に住む母と婆。実家は震災の時に流されてしまったけれど、婆の希望で、母が頑張って同じ場所に家を建て直した。そんな実家に久しぶりに帰省した際、ニコは婆の奇行を目にする・・・。幼い頃から、外で働く母に変わって、いつもニコの世話を焼き可愛がってくれた婆。しっかり者の婆が、なぜ・・・?大好きな婆が知らない人みたいになっていく・・・。ニコはまだ、認知症を知らなくて――。

「マンガ認知症」ニコ・ニコルソン/佐藤眞一

2020年11月01日 09時11分07秒 | 読書(介護/終活)
「マンガ認知症」ニコ・ニコルソン/佐藤眞一

認知症について分かりすく解説してくれている。
ニコ・ニコルソンさんがマンガを描き、心理学者の佐藤眞一さんが解説。
(解説の核心と意を汲んだマンガ箇所が良く出来ている)

P105
感情の抑制が難しくなるというのは、一般的な老化現象でも起こることです。

「老い」はプライドとの闘いです

徘徊する目的は『帰宅願望』
つまり『過去のどこかに帰りたい』という場合もあるんですよね
行きたい場所が記憶の中にしかないって切ないね

できると思ってる方がつまづくんですよね
人の感情って大きく分けて6つに分かれるんですけど

【ネット上の紹介】
大好きな祖母が認知症になってしまい、母と二人で介護に取り組むマンガ家、ニコ。人が変わってしまったかのような祖母との生活に疲れ果てたニコたちの前に、認知症の心理学の専門家、サトー先生が現れて…?「お金を盗られた」と言うのはなぜ?突然怒りだすのはどうして?認知症の人の心のなかを、マンガでわかりやすく解説します。認知症の人が既に五〇〇万人を超え、誰もが認知症になったり、認知症介護をしたりする時代。読めば心がラクになる、現代人の必読書!
序章 認知症ってなんですか?
第1章 「お金を盗られた」「強盗にあった」と言うのはなぜ?
第2章 同じことを何度も聞いてくるのはなぜ?
第3章 何度注意してもお米を大量に炊いてしまうのはなぜ?
第4章 突然怒りだすのはどうして?
第5章 高齢者の車の事故はなぜ起きるの?
第6章 介護者につきまとうのはどうして?
第7章 家にいるのに「帰りたい」と言うのはなぜ?
第8章 これってもしかして「徘徊」ですか?
第9章 排泄を失敗してしまうのはなぜ?
第10章 介護に疲れ果てました。どうしたらいいですか?
番外編 なんでお尻を触るんですかコラー!!

「介護のうしろから「がん」が来た!」篠田節子

2020年03月29日 18時32分07秒 | 読書(介護/終活)

「介護のうしろから「がん」が来た!」篠田節子

篠田節子さんの介護&闘病記。

P24
配偶者でも肉親でもない人々の排泄物のついたパンツに嫌悪感を抱かない嫁や婿がいるだろうか。それを強要して相手の愛情や倫理、人間性を見極めようとする行為ほど卑しいものはない。

P26
高齢化が進み、寿命が尽きた後も死なせない技術だけが発達し、その一方で医療福祉関連の支出がふくれあがる中、負担を丸投げされた家族が形ばかりの公的支援の中で疲弊し、病み、次世代を巻き込んで崩壊していく。

看取った後の後悔、罪悪感
P96
最大の原因は限界を超えた介護にあるとしても、本来解放されて青天井になるはずの介護者を、そうした心情に追い込む空気がまんえんしている。
「その後」の介護者から生きる気力を奪い去るほどの後悔や罪悪感、喪失感については、理詰めで説得してどうなるというものでもない。

救われた言葉
P159
「お母様は私どもにお預けになって、あなたが少しゆっくりなさってください。このままでは家庭崩壊まで行きますよ」

P208
一冊の本と違い、人生は死ぬまで終わらない。悲劇も喜劇もオチもない。
老いた母のこの先は見当もつかず、自分の病気についてもわからない。事が起きればそのときはそのとき。その都度粛々と対処するだけだ。
最善の選択などありえないが、最悪の結果を回避できれば、まずは上等、(後略)

【ネット上の紹介】
直木賞作家・篠田節子が、乳がん発覚から術後までの怒涛の日々―検査、手術、乳房再建、同時進行で認知症の母の介護―を、持ち前の取材魂をもとにユーモア溢れる筆致で綴る、闘病&介護エッセイ。聖路加国際病院ブレストセンター乳房再建担当医との特別対談を掲載
発見
入院まで
再建の決断
手術
院内リゾート
退院
手術後25日の海外旅行
日常復帰
二度目の手術へ
解禁
乳房再建その後
波乱含みの年明け
介護老人保健施設入所の経緯
ホーム巡礼 八王子十四ヵ所
ここは絶海の孤島!? パラオ
グループホームに引っ越し
エッセイは終わっても人生は終わらない
“特別対談”篠田節子×名倉直美(聖路加国際病院・形成外科医)

「生きかた上手 新訂版」日野原重明

2019年12月20日 08時47分36秒 | 読書(介護/終活)
「生きかた上手 新訂版」日野原重明

聖路加国際病院の院長だった日野原重明さんのエッセイ。

P8
90代の私の日々は、土日ほど忙しく、就寝時間も午前2時なら早いほう。1時間しか眠らない日もざらにありました。
(中略)
でも、睡眠時間が長かろうが短かろうと、私は朝になれば、新しい1日の始まりを喜んで迎えることができます。
(中略)
がんであるかどうか、血圧が高いか低いかではなく、この幸福感を感じられれば、健康であると言えるのだと思います。
(中略)
 私の1日は、牛乳とオリーブ油、バナナ1本という軽い朝食を食べたあとは、夕食まではフル回転。お昼休みにビスケットをつまんで牛乳をいただきますが、それすらとる時間がない日もあります。

P46
年齢は勝ち負けではありません。
謙虚に、そして存分に味わえばよいのです。

P56
よい出会いがある。
それはあなたの才能なのです。
(誰とでもすぐ親しくなれる方がうらやましい。私は、歳をとると、人は穏やかになると思っていた。逆である。気むずかしく、怒りっぽくなり、プライドだけが高くなり、知らない人と簡単に親しくなれない・・・困ったものだ)

ナイチンゲールの言葉
P72
「わが子を失うというような、あなたがたには経験のない悲しみに共感できなければならない。その感性がないのなら、看護師になるのはやめなさい」

P99
人生は、ひと言でいえば習慣です。
(中略)
習慣に早くから配慮した者は、おそらく人生の実りも大きく、習慣をあなどった者の人生はむなしいものに終わってしまします。

P104
年をとれば、からだも頭も老化します。けれど、老化は避けられなくても、だめにしないことはできます。要するに使いかたです。使わなければ頭もからだもだめになります。毎日、休みなく、切れ目なく、使い続けることです。
(中略)
健康は行動の結果です。健康は実践のなかにあるのです。

P170
無理な延命措置さえしなければ、老いてからの死はあまり苦しまず安らかであることも、患者さんの死から学びました。
 死の瞬間はさぞかし苦しいのだろうと誰もが思うようですが、実際は、まだこの程度では死なないだろうというときに最期を迎えます。自分の見通しよりも2割くらい手前、8合目で頂上だと知っておいてください。

P173
地位や名誉は死ねばなくなる。財産も残したところで争いの種をまくだけですが、「ありがとう」のひと言は、残される者の心をも救う、何よりの遺産です。

「定年入門」高橋秀実

2019年08月10日 22時53分12秒 | 読書(介護/終活)
「定年入門」高橋秀実

定年を迎えた多くの人に聞き取り調査を行っている。
いろんな「定年」があるな、と。
その人が生きてきた「人生」が出るな、と。

P101
定年後の趣味として今も人気なのは「畑仕事」である。土いじりをして暮らしてみたい、自分で野菜をつくって自給自足の生活をしてみたい、などと夢を思い描くようなのだが、私は即座に「やめたほうがいい」と忠告したくなる。実際に農業を始めた人々を取材してみると、彼らは慣れない作業でギックリ腰になったり、農機具でケガをしていた。野菜を育てるのは楽しくても、収穫した野菜は食べきることができず、知人などに送ってかえって迷惑がられたりする。

P241
頭痛、めまい、耳鳴り、動悸、胃痛、不眠、気分の落ち込みなどの不定愁訴、つまり「更年期障害」の原因は夫だという。重症化した場合は「プチ別居」「プチ入院」するなどして原因から離れるしかないそうなのである。

【ネット上の紹介】
65歳までの再雇用制度の導入。どんどん曖昧になる企業の「定年」。定年後の人生を歩んでいる人々に取材、「定年のナゾ」に迫る。
第1章 超法規的な風習
第2章 プライドのゆくえ
第3章 おはようおかえり
第4章 テイスト・オブ・定年後
第5章 特に何も変わりません
第6章 ただの人になれますか?
第7章 平等なカルチャー
第8章 問題ない問題
第9章 人生のマッピング

世帯分離

2019年07月15日 21時17分23秒 | 読書(介護/終活)
介護保険負担限度額認定申請書の絡みで、世帯分離について調べた。
メリットとデメリットを比較して慎重に行う必要がある。
市役所の手続きの段取りは次のとおり。(市によって名称は異なる)

①市民課・・・住民異動届(世帯分離しても、後ほど世帯合併も出来る)
②保険年金課・・・後期高齢者証が絡むから(場合によっては減免になるかも)
③介護課・・・介護保険負担限度額認定申請書

また、世帯分離をすると、扶養者控除がどうなるか、気になる。
これは市役所では分からないので、税務署で聞くしかない。
その足で訪問して尋ねたところ、所得税法上問題なし、とのこと。
但し、確定申告の情報は市役所にも行くので、市民税課にも行って聞く必要がある。
(税務署と市役所では運用する法律が違う)
所得税法上問題なしでも、解釈の違いから、市民税として追加徴収される可能性があるから。
また、根本的な問題として、同じ家に住んでいて世帯分離出来るかどうか?
そこが肝心なところ。(住所地の市役所に聞いてみて・・・担当者により解釈が分かれるかも)

*介護保険負担限度額認定申請書は、毎年6月末頃に郵便で更新の通知が来る。
市民税は6月に更新されるから、これに連動する、って事だろう。
郵送されてきたら、これに対して、7月末までに手続きする必要がある。
家族が市民税を支払っていると、認定されない、って事がある。(役所で確認してみて)

【メリットとデメリット】



老人ホーム

2019年05月29日 20時26分09秒 | 読書(介護/終活)
老人ホームについて調べて、パンフレットを読んでいる。
また、見学にも行っている。
訪問の際のチェックポイントは次のとおり。
入居者の暮らしぶりはどうなっているか?
スタッフの対応は?
部屋や廊下の広さは?
トイレ、風呂の清潔さ、広さは?
食堂、その他の設備は?
費用は? 順番待ちは?
分かったことを、自分の整理の為、書いておこうと思う。
(以下、興味のない方は無視して)

一般に歳をとると、(介護認定後)デイサービスに通うことになる。
筋肉トレーニング中心の半日コース。
軽い運動、おしゃべり、歌を歌ったり、生活中心のところ・・・色々ある。
次のステップが、ショートステイでお泊まり。
最終ステップが、老人ホーム、となる。
だが、これも値段もピンキリ、内容も様々だと分かった。

①最初に訪問したのが、市内にある『居宅サービス施設』C。
スタッフの対応もよく、設備も清潔。
満室で、順番待ちあり。
費用は前払金51万円、食費、家賃、管理費=16万円。
これにベットのレンタル、おむつ代などの自費加算で月25万円くらいとなる。
なお、ここは安い方、MやKは25万~30万円する。
私が引っ掛かったのは、値段より暮らしぶり。
個室なので、自分の部屋に籠もっている方が多い。
精神がしっかりしていて、プライバシーの概念を理解されている方々の為の施設と思う。我々のイメージする一般的な老人ホームはこれらのこと。
(入浴、排泄、食事の介護を受けることができる)
不安要因は、入居者40人~50人に対して、宿泊スタッフ1人・・・大丈夫?

②次に訪問したのが『グループホーム』。
入居者9人以内、入浴、排泄、食事の介護を受けることができる。
各人個室、となっている。
私はグループホームを3箇所訪ねた。
費用は、月17万円~20万円。(おむつやベッド代含む)
家庭的な雰囲気で、値段も安く、一般的な老人ホームより良い印象を受けた。しかし、順番待ちが激しい。30人から60人待ち。
「なかなか順番回ってこないな~」

③最後に訪問したのが『特別養護老人ホーム』、いわゆる『特養』だ。
特養は地域密着型と普通の特養に分かれる。
地域密着型はその市の住民しか利用できなくて19人から29人の少人数。
普通の特養の入居者は30人~120人と規模に幅がある。
私は5箇所訪ねた。
個室だけでなく多床室(大部屋)もある。
多床室は1泊320円~370円。
個室は1泊890円~1,150円。
家具やベッドは備え付け。おむつ代も無料。
食費等の自費を入れても月10万円前後と思われる。(計算は複雑で所得などにより差が出るが、グループホームより格段に安いし、居宅サービス施設など相手にならない値段なのは間違いない)
廊下も部屋もエレベーターも広い。
ホテルのように清潔で綺麗なエントランスで驚いたところもある。(あまりの立派さに普通のビジネスホテルなど太刀打ちできない)
概ね、どの施設も清潔でゆったりしている。私が入りたいくらい。
但し、要介護3以上でないと入居できない。
およそ60人~100人待ち。
しかも、必要性の高い方が優先される。
単純な順番待ちではない。
「いよいよ順番回ってきそうにないな~」

PS
これ以外に『老健(老人保健施設)』がある。
リハビリに重点を置いたケアを受けられるが、長期入所はダメ。

「私が誰かわかりますか」谷川直子

2019年02月14日 21時47分54秒 | 読書(介護/終活)


「私が誰かわかりますか」谷川直子

文藝賞受賞作、「介護・看取り」小説。
おそらく、今年の(個人的)ベストと思う。
あるあるネタ満載、超リアルな現実と世間が描かれる。
介護真っ最中の人も、これからの人も読んでみて。

P64
「(前略)ボケてる人間ってさあ、未知との遭遇だわ」
「とにかくね、油断しちゃダメだよ。期待を裏切ってくるからね」
「ほんと、予測不可能だからよけい疲れるのよね、振り回されてる。ボケてるったって大人だからさ、へんなところで頑固でしょ。意味のないやり取りが続くとものすごくむなしくなってくる」
「わかる。子育てなら苦労してもいつかは終わって報われるけどさ、介護って報われないもん。時間の浪費以外の何物でもない」

P74
理屈はわかるけれど、真心というものがいつもはね返されるのはなぜなのだ。

P81
日本では、2025年には65歳以上の老人の5人に1人が認知症になる見通しだという。その数、七百万人。その家族は、特養にたどり着いたとき、ようやく介護から抜け出せるのかもしれない。特養という言葉には、もう介護を人に任せてしまってかまわないという世間のお墨付きをもらったような重みがある。

P96
夫が妻に対して気遣いを怠るのは、家に帰ると同時に脳のスイッチがオフになっているからだと瞳にはよくわかる。

P154
なぜ多くの老人が、自分の息子の嫁に看護や介護をさせるのか、昌子は疑問に思う。何一ついいことはない気がするからだ。子どもには育ててもらった恩があると言うが、産んだのは自分なのだ。育てることは産んだ親の仕事で、恩を売るのはまちがっている。

P192
彼らは幼な子になりどんどん自由になっていく。自由ほど凶暴なものはないと、恭子は思う。

P204
お義母さんは死んでいく人よ。健くんはこれから生きていく人。そしてあなたも」

P216
総天然色の写真にモノクロームの墨絵が勝ってしまうことがあるように、失われた力、失われてもなお残った力、それこそが「老い」なのだけれど、残った力の持つ特殊な味に、桃子もときおり圧倒的な敗北感を抱く。それは桃子がまだ自分というものの一部を失くしていく経験をしたことがないからだ。

P219
私のような「長男の嫁」は絶滅危惧種。それでいい。

【おまけ】
ちなみに、昨年のベストは次のとおり。
小説部門=「引き抜き屋」
ノンフィクション部門=「子どもたちの階級闘争」
マンガ部門=「夕暮れへ」



【ネット上の紹介】
介護する女の実感満載!文藝賞受賞作『おしかくさま』で本格的にデビューした実力派作家が、実体験にもとづいて「世間体」の影響力を描いた新たな「介護・看取り」小説。再婚を機に東京から地方都市に移住した桃子を待っていたのは、長男の嫁としてかかわる義理の父の介護だった。アルツハイマー病の夫を三年老々介護した義理の母がついに白旗を上げたとき、「長男だからおやじを引き取るべきだ。ホームに入れたら世間がなんと言うかわからない」と夫に言われて桃子は悩む。介護の押し付け合い、グループホーム入所後のケア、入院先での付き添い、老健施設への移行。何が正解かわからないまま、しかたなく介護を続ける桃子の前に、必ず世間体が姿を現す。義父を在宅介護する友人の恭子、育児と仕事と介護の三つ巴につぶされそうになる瞳、死んだ夫の両親に家政婦のように扱われている静子。この三人も、長男の嫁として介護を背負わされ疲れきっていた。血がつながっていないからこそ、嫁たちは世間の視線が気になって介護を投げ出せない。やがて時とともに衰弱してゆく義父の最期を通じて、桃子は、寿命を生き切るその姿に心を動かされ、老いの力強さを肌で知る。人生を終えるのは一大事業なのだ


「看る力」阿川佐和子/大塚宣夫

2018年12月04日 20時41分22秒 | 読書(介護/終活)


「看る力」阿川佐和子/大塚宣夫

阿川佐和子さんと慶友病院、元院長・大塚宣夫 さんが介護や老後について対談。

阿川:点滴もしない?
大塚:しません。はっきり言えば、口に入れてもらったものを飲み込めなくなる、つまり食べられなくなったら、ほどなく最後を迎えると言うこと。その人の生きる限界だという考え方なんです。

認知症とは?
P30
大塚:認知症はひと言でいえば記憶の障害があるがゆえに、自分の中に入ってきた新しい情報をうまく処理できなくなっている状態とも言えます。人間は過去の経験を記憶という形で残しています。それと照合しながら、今起きていることに対してどう行動すべきか判断をする。けれども認知症は、その過去の記憶にうまくアクセスできない、あるいは即座につながらなくなっている状態にあるのです。

遠藤周作さんの言葉
P146
阿川:入院している旦那さんがだんだんと弱ってきて記憶が曖昧になって、最後まで覚えている言葉は、奥さんかお嬢さんの名前。ところが、反対に奥さんが弱って記憶が薄らいでいった場合、最初に忘れるのが、亭主の名前。

【ネット上の紹介】
作家、インタビュアーとして活躍するいっぽう、九十四歳で亡くなった父・弘之氏を看取り、いまは認知症の母の世話をするなど、介護経験豊富なアガワ。一万人以上のお年寄りと向き合い、六千人以上の最期を看てきた高齢者医療の第一人者、大塚医師。二人が語る親&伴侶の正しい介護法、理想的な老後の生活術―。
1 看る力・家族編(好物は喉につまらない
医療より介護、介護より生活
赤ちゃん言葉は使わない ほか)
2 看る力・夫婦編(認知症の診察は夫婦一緒に
定年後の夫は新入社員と思え
一人暮らしのススメ ほか)
3 看られる覚悟―あなたが高齢者になったら(七十五歳が節目
老人に過労死なし
なぜ老人はいつも不機嫌なのか ほか)


「サイレント・ブレス」南杏子

2018年11月15日 23時05分13秒 | 読書(介護/終活)


「サイレント・ブレス」南杏子

看取りの問題を扱っている。
訪問診療クリニックの医師が主人公。
どう最期を迎えるのか、迎えさせるのか。

P38
死にゆく患者にとって、医師の存在価値などあるのだろうか。そもそも病気を治せない医師に、何の意味があるのだろう。

P67
終末期の患者の多くは、人生の意味や価値を見失うことによる根源的な苦痛に見舞われる。

P241
「医師にとって、死ぬ患者は負けだ。だから嫌なもんだよ。君も死ぬ患者は嫌いか?」
「え?」
 何と答えたらいいのだろう。
「よく考えてごらん。人は必ず死ぬ。いまの僕らには、負けを負けと思わない医師が必要なんだ」

【ネット上の紹介】
誰もが避けては通れない、愛する人の、そして自分の「最期」について静かな答えをくれる、各紙誌で絶賛された現役医師のデビュー作。 2018年6月21日のNHK「ラジオ深夜便」にて紹介され、話題沸騰中!「生とは何か。死とは何か。答えの出ない問いへの灯りのような一冊」(書評家・吉田伸子さん)「本書を読んで何よりも私は、救われた、と感じた」(書評家・藤田香織さん) 大学病院の総合診療科から、「むさし訪問クリニック」への“左遷”を命じられた37歳の水戸倫子。 そこは、在宅で「最期」を迎える患者専門の訪問診療クリニックだった。 命を助けるために医師になった倫子は、そこで様々な患者と出会い、治らない、死を待つだけの患者と向き合うことの無力感に苛まれる。けれども、いくつもの死と、その死に秘められた切なすぎる“謎”を通して、人生の最期の日々を穏やかに送れるよう手助けすることも、大切な医療ではないかと気づいていく。 そして、脳梗塞の後遺症で、もう意志の疎通がはかれない父の最期について考え、苦しみ、逡巡しながらも、大きな決断を下す。その「時」を、倫子と母親は、どう迎えるのか?


「がんばらない介護」橋中今日子

2018年11月13日 21時17分48秒 | 読書(介護/終活)


「がんばらない介護」橋中今日子

介護で生じる疑問を、分かりやすく的確に回答してくれる。
著者は、認知症の祖母、重度身体障害の母、知的障害の弟を1人で21年間介護という実績の方。
只者ではない。
1人を介護するだけでも大変。
3人なんてとても無理。それも21年…。
がんばっても10年くらいでしょう。

P34-35
汚れた下着や廊下に落ちている排泄物、壁に残る手の跡などの写真はインパクトがあるでしょう。
(中略)
トイレの失敗を含め、ふだんとの違いを動画や写真で見せるのは、有効な手段です。

P67
いざデイサービスなどを利用すると、別居しているきょうだいや親戚から「もう少し在宅でがんばれるのでは…」と言われて躊躇しがちですが、気にすることはありません。

P103
とくに認知症の場合、日中と夜間の落差が激しく、ケアマネと話しているときはしゃんとしているのに、夜になると騒いだり、動き回ったりするケースは珍しくありません。

P130
質問:「夫の両親の介護で悩んでいます。夫が亡くなって10年がんばってきましたが、夫にはきょうだいもいるのに、知らん顔で丸投げされています。私だけが長男の嫁として、このまま耐え続けなければいけないのでしょうか?」

回答:Qさんにお伝えしたのは、「姻族関係終了届」の存在です。
(中略)
書類は市区町村にあり、必要事項を記入するだけで手続きは完了します。
配偶者の家族・親族に了承を得る必要はなく、自分の意思のみで提出できます。なお、この届けを出しても、遺産や遺族年金の受け取りに影響がありません。(これ以上ないほどの的確な回答だ!)

【参考リンク】
「死後離婚」

介護に疲れたとき、心が軽くなるヒント

【ネット上の紹介】
認知症の祖母、重度身体障害の母、知的障害の弟を1人で21年間介護し続ける理学療法士だから知っている、介護の心を軽くする36のコツ だいじょうぶ。もっとラクなやり方、ありますよ
第1章 「1人でがんばらなくていいんですよ」―介護保険制度やサービスを使いこなす方法(「どこに相談すればいいの?」迷ったら“介護のよろず相談所”地域包括支援センターへ
「制度が複雑でわからない…」介護のことは自分で勉強せず、専門家に聞くのが早い ほか)
第2章 「仕事を辞める必要はないんですよ」―介護と仕事を両立させる方法(「介護の大変さ、わかってほしい」1人で抱え込まず、愚痴や弱音を吐ける相手や場所をつくる
「特別扱いはできないよ」介護休暇をフル活用し、有給休暇は自分のために使う ほか)
第3章 「家族だからって辛抱しなくていいんですよ」―家族間のトラブルを解決する方法(「あの親の介護をなぜ私が?」関係がよくない親なら、愛ある介護じゃなくていい
「私1人に押しつけないで!」きょうだいとは得意なことを分担、親戚はイイトコどりで ほか)
第4章 「息抜きの時間が一番大切なんですよ」―“介護うつ”にならない方法(「施設に行かせるのはかわいそう」親がいやがるのは最初だけ。介護サービスはどんどん利用する
「入浴や食事をゆっくりしたい!」介護の場から完全に離れて、自分の時間をつくる ほか)
第5章 「自分の人生を優先していいんですよ」―介護で人生をあきらめない方法(「たびたび帰省する時間がない」遠距離介護こそ、介護サービスをフル活用する
「私だけ幸せになっていいの?」介護を理由に、恋愛や結婚をあきらめてはいけない ほか)