【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「赤線跡を歩く」木村聡

2022年06月20日 14時02分41秒 | 読書(風俗/社会/貧困)

「赤線跡を歩く」木村聡

かつて赤線があった跡地を訪ねる。
最初に、著者からの3つの「お願い」が書かれている。

①無遠慮にカメラを向けたり2、3人で出かけて写真のお宅の前で立ち話をしたり、指さしたりすることは絶対に避けて下さい。
②どうか1人でひっそりと出かけて、何かを感じて下さい。
③さっと通り過ぎて、風のように立ち去って下さい。







【関連図書】


【ネット上の紹介】
二度と帰らない、あの街の悲喜こもごもの思い出。350枚の写真でつづる「哀悼の散策」への誘い。貴重写真多数掲載。
東京(吉原
洲崎
品川
千住 ほか)
関東(松戸
船橋
川崎
横浜 ほか)
関西(飛田
中書島
橋本
枚方 ほか)


「風俗という病い」山本晋也

2022年05月24日 06時56分12秒 | 読書(風俗/社会/貧困)


「風俗という病い」山本晋也

P13
歌舞伎町の標語に「清く正しくいやらしく」というのがあるのですけど、今はそれを政府が公然とやっているのだから、全く、いやらしいったらない。

P15
正規の届け出店だけに限ると、デリヘルが圧倒的なのです。なにしろ、セブンーイレブンの約1万8572店舗(2015年度)をも凌駕しているのだから、凄い。(風俗って、コンビニより需要があるの?!・・・風俗産業の市場規模は6兆円、とNHKで言ってたからなぁ)

P78
パンパンとは、日本人の片言英語のことを米兵たちがパングリッシュと言っていたことにちなみ、パングリッシュを話すことからそう呼ばれるようになったとか。

昭和32年4月1日、売春防止法が施行
P86
なぜ買春禁止法ではなく、防止法となったのかというと、ここにまだまだ貧しく、悲しき世情が関係している。昭和30年の厚生省の「売春白書」によると、この当時、全国に公娼が約50万人いたことが分かります。冷害などによる不漁で、食うや食わずの家族が続出した北海道では、やむをえずの人身売買があふれ、その数は全国で1万5000人を上回ったとか。そのため人身売買事件対策要綱が救済策として、定められたりしていた。
防止法には「何人も、売春をし、又はその相手方となってはならない」と書かれ、違法な行為であることを明確にしている一方、違反しても処罰を伴わない訓示規定止まりになっています。そこにはやむを得ず、売春という職業に就いている女たちへの配慮があるのです。高度経済成長がはじまる頃とはいえ、日本はまだまだ貧しかった。そういうことを市川(房枝)さんの弟子でもあった青島幸男から、私は聞いています。

昭和39年、東京オリンピック、「夜も五輪」が繰り広げられていた
P94
「銀座のクラブが面白いってんで、夜ごとアフリカの選手がぞろぞろ通っているんですって。店の計らいで、全部タダなんだとか」と、隣で、潜入取材についてきたマスコミの仲間が言います。
「なんとも粋な計らいじゃないか」
「粋な計らいといえば、コンドームですよ。日本製のがそこら中に置いてあり、使い放題で、そこら中でやっているらしいです」

P165
ハワイの真珠湾に行ったときは、日本軍の奇襲で犠牲になった米兵の遺族たちが墓参りしている場面に遭遇しました。
師匠(立川談志)はといえば麦わら帽子に短パン、サンダルという出で立ち、鋭い視線が突き刺さり、「観光気分で来るんじゃねえ」「ジャップが」「イエロー・モンキーが」といった言葉が浴びせられているのが分かりました。
「晋也、こいつらに何か言い返せ!」
しばし逡巡の後、私は一歩前に出てこう叫んだ。
「ノーモア、ヒロシマ!」
沈黙。そして遺族たちの顔つきが変わっていく。やがて、深いしわを震わせた老女が集団から近づいてきて、言いました。
「嗚呼、お互い不幸だったのよね。全く戦争ってやつは」

【ネット上の紹介】
人間の性欲ほど多様で面白いものはない。約半世紀、夜の街を歩き続けた著者が「風俗大国」ニッポンのエロを丹念にリポート。そこには、ハプニングバーで暮らす若い女性やキレイになりたがる中年男性、浮気防止のために妻に「貞操帯」をつける夫もいれば、愛撫され身悶えする妻を見て興奮する夫もいた。まさに「死ぬまでセックス」、性に対する男女の欲情は尽きることがない。「風俗」にまつわる病いをとことんまで覗き見た一冊。
第1章 2020年への『トゥナイト』(昼下がりの情事
酔狂の求道者たち ほか)
第2章 苦渋に満ちた青春の性(最初の風俗嬢
マッチ売りのおばさんと、スケッチ屋のお姐さん ほか)
第3章 狂乱と泡沫の性(パンティを脱いだ女子大生たち
援交少女たちのDNA ほか)
第4章 変革と混沌の性(熱海芸者の秘技
満たされぬ青春の「ホン水」 ほか)
第5章 老齢社会の性と生(鴬谷
バイブバーの女たち ほか)


「限界風俗嬢」小野一光

2022年05月03日 07時28分15秒 | 読書(風俗/社会/貧困)


「限界風俗嬢」小野一光

禁句がある、という。
「どうしてこんなことやってるの?」、と聞くこと。
事情があるからに決まってるでしょ!
それを、さほど親しくもない人間が聞いてはいけない、と。

普通に生活していたら、出会うことのない女性たち。
本書は、著者が我々の代わりに彼女たちに会って、「事情」を聞き取り調査した作品。
登場するのは次の7人。

第1章 SMクラブで働く文学少女・アヤメ
第2章 歌舞伎町で働く理系女子大生・リカ
第3章 アヤメ その後
第4章 リカ その後
第5章 セックスレスの人妻・ハルカ
第6章 処女風俗嬢・カオルの冒険
第7章 育児と介護と風俗と―妊婦風俗嬢・アヤカ
第8章 90年代の女子大生風俗嬢・ミホの現在
第9章 生きるための居場所―SM嬢・アザミ

パパ活について
P160
「どうやって相手を見つけるの?」
「それがいろいろあるですよ。事前に調べたんですけど、ツイッター上で募集する人もいるし、あとアプリみたいなのがあって、それで募集したりとか、それこそ登録制のクラブみたいなのもあるんですね。私の場合、最初はアプリでやってみたんですけど、そのときはあまりカラダの関係とか考えてなくて、お食事だけにしたかったんですよ。で、探してみたんですけど、やっぱりそれだと相手がいない。しかも来るメッセージが、『一回二万円でどうですか?』とかで、"安っ!"て感じなんですよ。そういうのばっかりで、アプリはすぐに止めちゃったんです」
「そのときはこっち側は金額とか書くの?」
「そうですね。こっちから提示する場合は、〈こっちはお食事1(万円)で考えてます〉とかって書いたり。でも、それに対してさっきの、二万円で本番みたいなメッセージばかり来るんで、〈すいません、それじゃ条件合わないんで〉で、終わり、みたいな」
「食事1万円ってのは成立しなかったんだ」
「しなかったです」
「それで、どういうふうにやり方を変えていったの?」
(・・・続き気になったら、実際読んでみて)

シモ系のAVに出演する
P175
「ウンチするとめっちゃもらえるんですよ、おカネを」
「いくらだったの?」
「オシッコだと1回六千円だとか・・・・・・」
「安っ!」
「エヘヘヘヘヘ・・・・・・」
「ウンチだと?」
「ウンチだとバイの一万二千円とか。オナラは1回三千円ですね」
カオルの口にする単価があまりに安すぎて、デフレもここまできたのか、正直驚いた。
(私は、別の意味で驚いた・・・そんなビデオ、買う人がいることに!)

P200
「若い客層と、そうでない客層だと、どういう違いがあるのかなあ?」
「なんか、若いお客さんって全部任せるって傾向がありますね。だから私がいろいろ動いていました。逆に慣れてる年配のお客さんは、向こうからガツガツ来る感じで、積極的に責めてくるんです」

【ネット上の紹介】
性暴力の記憶、毒親、貧困、セックスレス――それぞれの「限界」を抱えて、身体を売る女性たち過去の傷を薄めるため……。「してくれる」相手が欲しい……。そこには、お金だけではない何かを求める思いがある。ノンフィクションライター・小野一光が聞いた、彼女たちの事情とは。著者が20年以上にわたる風俗取材で出会った風俗嬢たちのライフヒストリーを通して、現代社会で女性たちが抱えている「生と性」の現実を浮き彫りにするノンフィクション。【目次】第一章 SMクラブで働く文学少女・アヤメ第二章 歌舞伎町で働く理系女子大生・リカ第三章 アヤメ その後第四章 リカ その後第五章 セックスレスの人妻・ハルカ第六章 処女風俗嬢・カオルの冒険第七章 育児と介護と風俗と――妊婦風俗嬢・アヤカ第八章 ミレニアム世代の風俗嬢・ミホの現在第九章 生きるための居場所――SM嬢・アザミあとがき【著者プロフィール】おの・いっこう 1966年、福岡県北九州市生まれ。雑誌編集者、雑誌記者を経てフリーに。「戦場から風俗まで」をテーマに、国際紛争、殺人事件、風俗嬢インタビューなどを中心とした取材を行う。著書に『灼熱のイラク戦場日記』『風俗ライター、戦場へ行く』『新版 家族喰い――尼崎連続変死事件の真相』『震災風俗嬢』『全告白 後妻業の女』『人殺しの論理』『連続殺人犯』『冷酷 座間9人殺害事件』などがある。


「セックスと超高齢社会」坂爪真吾

2022年04月27日 07時37分05秒 | 読書(風俗/社会/貧困)


「セックスと超高齢社会」坂爪真吾

高齢者の性がテーマ。

P5
2014年4月7日、東京都目黒区で夫(当時79歳)の介護を続けていた妻(71歳)が、自宅で夫の頭や顔を数回殴り、急性硬膜下血腫で死亡させる事件が起こった。
妻の犯行の動機は、過去の夫の不倫に対する怒りが込み上げたこと、その怒りが介護の不安と重なったことだという。夫は事件の前年から、不倫を時効と思ったのか、36年前に若い女性を好きになって一緒に旅行に行ったことなどを妻に話していたという。(不倫に時効はありません!夫は肝に銘じるべき・・・楽になろうとして告白せず、墓場までもっていきなさい!)

万葉集・・・沙弥満誓の歌
P25
ぬば玉の黒髪変り白けても痛き恋には逢う時もあり
(年を取って黒髪が白髪に変わっても、ひどい恋に苛まれることがある)

シニア婚活で結ばれた2人
P50
二人ともすでに60代後半のため、若い頃のような性生活は送れなくなっている。それでも月に1回は裸で抱き合って眠ることを習慣にしている。

P51
60~70代前後の男性は老後の世話や介護をしてくれる年下の女性を求めて婚活市場に乗り出す人が多い。冗談や笑い話では全くなく、高齢男性の中には1人で掃除も洗濯も自炊も着替えも何もできない、生活能力の完全に欠如した赤子同然の人が山のように存在している。

シニア婚活
P55
65歳を過ぎると結婚・再婚は99%不可能になるという冷徹な事実は、業者にとっては「不都合な真実」なのだろう。

P63
セックスのない人が性生活を停止した年齢は、全体平均で男性52.9歳、女性50.6歳。

P64
一方で、70代になっても全体の2~3割の夫婦はセックスをしている。「年に数回」と回答したのは、70代男性で13%、70代女性で10%。「月に1回以上」は70代男性で18%、70代女性で9%に上る。

P65
一般には、勃起不全になった段階で性生活を諦める高齢男性が多いというイメージがあるが、現実は必ずしもそうではない。40~60代の中高年女性が働く熟女専門風俗店の経営者から聞いた話では、勃起不全になったとしても、女性の温もりやコミュニケーションを求めて通ってくる高齢男性は少なくないそうだ。

高齢者ストーカーの問題
P79
加齢に比例して、他者や社会から否定される機会は増える。頑張ったところで報われないことも増える。そうした否定や挫折による孤独をうまく自分の中で受け入れられないと、人はストーカーになってしまう。
(中略)
彼ら・彼女らが本来やるべきことは、目の前の相手に勝手な幻想を投影して付きまとうことではなく、対人関係の基本を学びなおすことだ。今後は若年世代だけではなく、高齢者に対する恋愛教育、性教育が必要になっていくのかもしれない。

P136
女性向けAVに出演している男優(通称、エロメン)のサイン会やイベントには、少なくない数の中高年の女性たちが参加しているという。サイン会では来場者1人1人に対して、男優がサインや握手だけでなく、名前を呼びながらハグをしてくれる。それが目当てで遠方から参加する女性も多いそうだ。

客層高齢化の進むソープランドで・・・
P100
80代になっても毎週通っている男性もいれば、年金受給日に自転車を漕いで通ってくる男性、遠路新潟や長野から新幹線で通ってくる男性もいるという。事前に服用したED治療薬の効果で常時勃起状態になった股間を隠すように来店する男性もいる一方で、加齢によって勃起できなくなったため、挿入せずに正常位で腰を振るだけの「エアセックス」をする男性や、割り箸をコンドームの中に入れて挿入感だけでも味わおうとする男性もいるそうだ。

P143~P183、『介護現場での性的支援・最前線』・・・「よく調べているな」、「奥が深い」と感じた。介護職員に対する入所者のセクハラはよく聞く。「エロじじいに、おっぱい触られた」、とか。でも、問題はそれだけではない。色々あるなぁ、と。今後、『政府の指針』は、必要と思う。見ないふりは良くない。介護サービスの一環で、『射精介助』1回に付き『何点の補助』といった具体的な支援が必要かも。ちなみに、社団法人『ホワイトハンズ』では、重度身障者に対する射精介助は、30分2,800円。

【ネット上の紹介】
身高齢者約600万人のうち、初婚・再婚するのは0.001%。また配偶者がいたとしても、75歳になれば男性の2割、女性の6割は離別・死別を経験する。その時、私たちは残された自らの「性」とどう向き合えばいいのか。シニア婚活の実態、介護現場の問題行動、高齢者向け性産業など…、長寿大国と言われつつもほとんど光が当たってこなかった「超高齢時代の性」の問題に個人・社会の両面から挑んだ一冊。
第1章 「現在」と「過去」から考える(「死ぬまでセックス」という幻想
高齢者の性の社会史)
第2章 老後の性をめぐる「理想」と「現実」(「老後における理想の性生活」とは?
データから見る高齢者の性のリアル
「ありもしない救済」からの卒業)
第3章 「セーフティネット」は存在するか?(肉食系高齢者のストイックな生活
「高齢者専門風俗店」の実像に迫る
移り変わるアダルトビデオの世界
現実と虚構の狭間で輝く官能小説
女性高齢者の性から考える「第三の道」)
第4章 介護現場での性的支援・最前線(希望としてのユマニチュード
QOLを守るための性的支援とは?
介護現場でのセクハラの実態
「人間らしさ」をあきらめないために)
第5章 老後の性をデザインする(老後の性を満ち足りたものにする条件とは?
等身体のロールモデルをつくり出せ
性的に「成仏」するために)


「ヤクザ・チルドレン」石井光太

2022年02月08日 09時00分33秒 | 読書(風俗/社会/貧困)


「ヤクザ・チルドレン」石井光太

親がヤクザだと、どんな「家庭」になるのだろうか?
子どもはどう育つのだろうか?
いくつもの家庭、何人もの子どもたちが登場するか、おおむね悲惨な人生を送っている。
でも、泣ける話もあったので、紹介しておく。

たまたま面倒を見てくれた親分とスナックのママの話
P180~182
親分は店のママに亜夕美を紹介した。
「この女の子、家が貧乏なんだけど、なんとか高校へ行きたいって言ってるんだ。このご時世、高校くらい卒業しておかねえと何にもできねえだろ。できることなら夢を叶えてやりてえ。そこでママにお願いなんだが、この子を店で雇ってやってくれねえか。こんな若い子がいれば客は喜ぶし、週6日勤務ならそれなりの金になるだろ。ママはこの子が稼いだ金で学費を払ってくれればいい。人助けだと思って力になってくれ」
(中略)
こうして亜夕美は、女子高生とスナックのホステスの2足のわらじを履いて生きていくことになった。
(中略)
亜夕美は学業と仕事の両立がうまくいかなくなったことに加えて、プライベートの悩みも重なり、学校での勉強が嫌になった。彼女は(スナックの)ママに「もう高校は中退する。学費払わなくていいから」と言って行かなくなった。
数ヵ月が過ぎ、3月になった。ママが急に亜夕美を呼んで言った。
「そういえば、高校はそろそろ卒業式でしょ。一緒に行かない?」
亜夕美は意味がわからなかった。すでに高校は中退しているのだ。
「なんで中退した高校に行かなきゃいけないの?それに卒業式なんて終わってるでしょ」
「いいじゃん、時間があるから行ってみようよ」
ママは渋る亜夕美の手を引いて、通っていた高校へ行った。すると、驚いたことに、教員が出て来て、亜夕美の卒業証書を渡してくれたのだ。
後で聞いた話では、ママは亜夕美が学校へ行かなくなった後も、学費をしっかり納めていたそうだ。

P168
そもそも暴力団の構成員は、しつけに対する考えがゆがんでおり、他人ばかりでなく我が子にも暴力を振るうことが多い。母親についても同様で、殴る蹴るという行為によって子供を言いなりにしようとする傾向にある。

【参考図書】
過去に、少なからず石井光太作品を読んできた。
まず薦めるとしたら、次の2冊。

「レンタルチャイルド 神に弄ばれる貧しき子供たち」石井光太
「地を這う祈り」石井光太
「感染宣言」石井光太
「飢餓浄土」石井光太
「ルポ餓死現場で生きる」石井光太
「遺体 震災、津波の果てに」石井光太
「ニッポン異国紀行 在日外国人のカネ・性愛・死」石井光太
「アジアにこぼれた涙」石井光太
「戦場の都市伝説」石井光太
「ノンフィクション新世紀」石井光太/責任編集
「世界の産声に耳を澄ます」石井光太
「浮浪児1945- 戦争が生んだ子供たち」石井光太

【ネット上の紹介】
差別、貧困、虐待、離婚、ドラッグ―“暴力団の家庭”のなかには社会のあらゆる問題が詰まっている。生まれながらにして“罪の血”を背負った人間はどのように生きるのか。
第1章 密売人の家(父も母も夫も全員売人
学生ヤクザと呼ばれて ほか)
第2章 稼業を継ぐ(右翼は仕事じゃなく趣味
十九歳で二児の母、夢は古紙回収 ほか)
第3章 家から逃れる子供たち(刑務所から届いたパパの手紙
ヤクザとLGBT)
第4章 その愛は幻か(お父さんと一緒のお墓に入りたい
刺青と少年野球 ほか)
第5章 夢も希望もない(ヤクザにはなるな
生きるために故郷を捨てた)


「パパ活女子」中村淳彦

2022年02月04日 08時34分04秒 | 読書(風俗/社会/貧困)


「パパ活女子」中村淳彦

「パパ活」する女性の動機、男性の本音、客観的な社会情勢がきちんと描かれている。
政治家、行政担当者は、この本を読むべし、と思った。
コロナにより、状況は悪化している。

P7
パパ活女子だらけのいまの状況は、伝統的に続く男性優位と高齢者優遇の社会のなかで、社会的強者である男性中高年の勝ち組に、弱者である若い女性がたかっている、と見えなくもない。

P8
パパ活とは「パパを探す活動」の略、または「パトロンを探す活動」という説もあり、あらゆる面で割を喰っている若い女性たちの能動的な行動から生まれた現象だ。

P20
援助交際第一世代(1993年~1995年)と呼ばれる彼女たちは、都内の私立進学校の女子高生たちが中心だった。わかりやすく年齢を挙げておくと、1994年に高校2年だったのは、昭和52年生まれ(2021年現在は44歳)の女性たちである。

パパ活をしている男性側の証言
P84
「パパ活はめちゃめちゃお金がかかります。単純なことだけど、女の子と会うじゃないですか。新しい女の子に会うたびに交際クラブに5万円を払う。5万円を払って初回デートするじゃないですか。それからご飯に2万円かかるとしましょう。さらにホテルに2万円、女の子への小遣い5万円。1度のデートで14万円ですよ。14万円かかることを、何回続けるかって話なんですよ。一般庶民ができるわけがない。それはパパ活をやってよくわかりました」(私にはとうてい無理、と分かった・・・いや、やるつもりもないけど)

パパ活をしている女性側の証言
P105
「男性が同じ年齢とかだったら、気持ち悪いとかはないけど、おじさんは気持ち悪い。おじさんでも若々しければいいけど、普通のおじさんだとちょっと拒否感はでます」(中略)パパ活をするなら、好感がもてる男性をちゃんと選ばないとダメだと、その瞬間に心から思った。

P135
女性性を売った経験がない一般女子ほど、無邪気に茶飯女子になる傾向がある。(中略)
「おじさんとお茶するだけでお金になる」という女子同士の口コミを真に受けて。天然の茶飯女子になりがちだ。多くは自分の若さを過大評価しているので、おじさんたちは同席するだけで本当に喜んでいると思っている。

P156
大学キャンパスは貧困の巣窟であり、入学難易度に関係なく、ガールズバーやキャバクラ勤務の夜職、風俗嬢、パパ活女子が激増している。

P190
学費の高騰によって学生が経済的に苦境に陥るのは、日本だけではない。
アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、また韓国などでも深刻な問題になっており、それらの国でもパパ活に類似したシュガーベイビーという現象が起こっている。

41歳の女性の証言(2歳年上の夫とは家庭内別居状態)
P199
「ゴムあり2、生中だしで3、そんな感じ。(中略)いまはお金がないから相手は選べない。見た目はクソデブとかハゲでも、やります。あとは会話が弾む人だったらいいかな。容姿より、会話ができない男が面倒くさい」

P214
パパ活は一過性の流行ではなく、今後も現状のピークが横ばいでずっと続いていくだろう。パパ活の発生源は学生の貧困と女性の低賃金、それと若い女性と恋愛がしたい中年男性の欲望である。(政府が貧困対策として「自助努力」と言い出したせいで、女性たちは「パパ活」で自助努力している)

【ネット上の紹介】
「パパ活」とは、女性がデートの見返りにお金を援助してくれる男性を探すこと。主な出会いの場は、会員男性へ女性を紹介する交際クラブか、男女が直接連絡をとりあうオンラインアプリ。利用者は、お金が目的の若い女性と、疑似恋愛を求める社会的地位の高い中年男性だ。ここにコロナ禍で困窮した女性たちが一気になだれ込んできた。パパ活は、セーフティネットからこぼれ落ちた女性たちの必死の自助の場なのだ。拡大する格差に劣化する性愛、日本のいびつな現実を異能のルポライターが活写する。
第1章 女子たちが没頭する「パパ活」とはなにか?(日常の延長としてのパパ活
(1)パパ活と援助交際の違い。パパ活は売春なのか? ほか)
第2章 パパ活の模範として機能する「交際クラブ」(「パパ活」という言葉をつくった交際クラブの目的
パパ活市場は女性同士の競争が激しい ほか)
第3章 パパ活男性をウンザリさせる「茶飯女子」(セックスを一切拒否するパパ活女子
方言で男性をかわす20歳のパパ活女子 ほか)
第4章 パパ活サイトの女性会員は31パーセントが「女子学生」(戦後の戦争未亡人のような女子大生
パパ活という「自助」 ほか)
第5章 日本社会からこぼれ落ちる「中年パパ活女子」(若い女性好きの男性の価値観がはびこるパパ活市場
中年パパ活女子たちの証言 ほか)


「「身体を売る彼女たち」の事情」坂爪真吾

2022年01月31日 09時54分20秒 | 読書(風俗/社会/貧困)


「「身体を売る彼女たち」の事情」坂爪真吾

P82
絵美さんは二十代の時、過干渉の親から逃げ出す形で家を飛び出し、性風俗の仕事で生計を立てるようになった。(中略)
今のデリヘルの仕事は、絵美さんにとって身体的・精神的にかなりつらいという。それでも実家で親の言いなりの生活をするより、デリヘルで働きながらひとり暮らしをする生活の方がマシだと考えて、どうにかこれまで頑張ってこれた。

P96
坂口成美さん(37歳)は、二十代後半で離婚して以来、性風俗の仕事で生計を立ててきた。しかし加齢に伴ってデリヘルで思うように稼げなくなり、家賃を滞納するようになった。

P98
鈴木良子さん(41歳)は、住んでいたアパートを家賃滞納で追い出され、ネットカフェのナイトパックを利用しながらデリヘルで働いていたが、いよいよ手持ちのお金が底をつき、役所で生活保護を申請することにした。

P103
日本の社会保障制度は、終身雇用の正規雇用者とその家族を基準にして設計されているため、非正規や派遣などの断続的な雇用や職業移動を長年続けている人、および未婚や離婚などの理由で1人暮らしをしている人は、社会保障の恩恵を十分に受けることができない。

待機部屋のドアの張り紙
P137
・鏡で自分の姿を見ましたか?
・女性にとって、一番のメイクは笑顔です。

P224
生活保護を申請すると、資力調査や扶養照会が行われ、個人の収入や預貯金、資産、家族関係、就労能力まで全てが丸裸にされる。(中略)
社会的に丸裸にされるよりも、性風俗の仕事で物理的に裸になり続ける方がマシだと考える人がいても不思議ではない。

P232
自殺の背景には、平均4つの危機要因が重なり合っていると言われている。失業という1つの困難には耐える事ができたとしても、その上に多重債務や家庭不和、病気やうつ状態などが重なり、困難の合計が4つを超えると、自殺のリスクが高まるという。

【ネット上の紹介】
なぜ彼女たちは、JKリフレやデリヘルで働くのだろうか?風俗で働く女性のための生活・法律相談窓口「風テラス」に寄せられる彼女たちの悩みは背景には、若者の貧困、DVや虐待などの家庭問題、ワーキングプア、見えづらい障害や病気など、複雑な社会課題が絡み合っている。そうした課題を解決するために彼女たちが選んだJKリフレやデリヘルの世界には、一度足を踏み入れると抜け出しにくい構造がある。自助と公助の狭間に落ち込んでしまった彼女たちが集う「いびつな共助」としての性風俗の世界を描き出し、自己責任論と感情論に満ちた社会に風穴をあける一冊。
第1章 「JKリフレ」という駆け引きの世界(「いくらで」「どこまで」やるかは、私が決める
「少女」と「大人」の狭間にある金脈 ほか)
第2章 「風俗嬢」はこうして生まれる(生活保護はデリヘルに勝てない?
家族から逃れるために ほか)
第3章 デリヘルの居心地がよい理由(彼女たちを守る「見えない」事務所
「助け合い」の果てに)
第4章 性風俗で働くことの本当の怖さ(共助の中で生みだされる落とし穴
自分も外の世界も透明になる
「すべて現金化できる」という魔力
消えない過去から逃げられない ほか)
第5章 ライ麦畑のサバイバル・ガイド


「「女性向け風俗」の現場」柾木寛

2022年01月18日 08時16分04秒 | 読書(風俗/社会/貧困)


「「女性向け風俗」の現場」柾木寛

「風俗」と言うと、男性が利用するもの・・・という考えは古い。
女性向け「風俗」も利用者が増えている。独身や夫がいるなど関係なしに、利用する人は利用するようだ。夫に満足してる女性は少ない・・・という現状のせいかもしれない。あなたの奥さんもイッた演技をして、陰で「風俗」を利用してるかもね。

P19
「イッたことないのに、イッた演技をするのが辛いです」と切実に語る女性や、「演技をしていることがバレていないか心配です」と、演技をしていることに背徳感を抱いている女性もいました。
一方、多くの男性たちは、自分のパートナーが演技をしていることに気が付いていません

P52
私のお客さんで一番多い年齢層は、40代になります。

P52
女性が「あんあん」と可愛らしい声を出している時は、演技をする余裕もあり理性がコントロールしています。女性が本当にオーガズムに達している時の声は、うめき声や低い声になります。

P243
風俗利用の日、小学生の娘に「お母さん、今日何かあるの?」と聞かれ「ドキッ」としたと、何人もの人が語っています。女性は小学生だろうと、女の鋭い勘と観察力を持っているようです。一方、夫は全く気づかない。髪の毛を切っても気づきません。

【ネット上の紹介】
女性向け風俗の四十代セラピスト、源氏名は柾木。昼の顔は営業マン、夜は新宿・歌舞伎町をはじめとするラブホ街が仕事場だ。彼の元には独身女性・人妻・処女・身体に障がいのある人など様々な女性がひっきりなしに訪れる。そして、性だけの繋がりゆえに、彼女たちは本音を話してくれる。「本当は気持ちよくないのだけど、感じている演技をしているんです」「痛いのを我慢しています」「パートナーに性的に満たしてもらうことは諦めました」「一度でいいので、本気で感じてみたいんです」…。それは、これまでの社会からは決して聞こえてこなかった叫びだ。ほとんどの人が知らない「女性向け風俗」の現場から見えてくる、この国の性のゆくえ。
第1章 演技に疲れた女性たち
第2章 独身女性の胸の内
第3章 50代からの風俗
第4章 感じない悩み・性交痛
第5章 セックスレスの夫婦たち
第6章 処女のお客様
第7章 中イキを経験させて下さい
第8章 喪失感を抱える障がい者
第9章 ユーザー座談会
第10章 女性向け風俗の裏話
第11章 日本の男女の性、未来予想


「風俗で働けば幸せになれるのなら、みんな風俗嬢になるよ。」あや乃

2022年01月11日 19時41分40秒 | 読書(風俗/社会/貧困)


「風俗で働けば幸せになれるのなら、みんな風俗嬢になるよ。」あや乃

著者は、日本風俗女子サポート協会代表。元No.1風俗嬢で、風俗嬢歴は10年。
「10,000人以上の男性を接客した」、って経験がすごい!

P21
私の生きている意味を確認するのは、口座の残高とランキング評だけでした。

P69
そう、男性の喜ぶ話し方は、普通に日常を送っていてはなかなか気づけない。
男性向け接客用の話し方があるのです。

P91
「性欲」とは、実はひもといていくと、決してムラムラした欲という意味だけでなく、承認欲求や征服欲、知的好奇心や探究心、安心感が欲しい、解放されたいなど、実はいろいろな気持ちの集合体なのです。

P96
どんな女の子が、人気があるのでしょう?
(中略)
答えは、以外にも「素朴な女性」。
確かにルックスやスタイルがよければ、初めは人気が出るでしょう。
しかし長くリピートをいただくのは、見た目よりも、愛嬌とほっと心が落ち着く癒やしの雰囲気を持った女の子。

男とは?
P107
いつまでも幼く、単純で、ちょっとしたことでふてくされ、「すごいね!」って言ってもらえることが何よりも嬉しい。
子どもの頃から変わらず、「お母さん、あのね、聞いて、聞いて!」なのです。
だから、夜の世界が成り立つし、私たちもお仕事をさせてもらえるのです。

P124
自己肯定感が低いから風俗嬢になれるのか、風俗嬢になったから自己肯定感が低くなるのか。風俗嬢の永遠のテーマが「自己肯定感」。

P137
男性は、とても単純な生き物なので、この女性は適当に扱ってよい存在と一度認識すると、その関係性をずっと続ける。
適当に扱っていい女が、大切にしたい女に昇格することはない。

【ネット上の紹介】
デリ、箱ヘル、ソープ…すべてで1位になった私だからわかったこと。日本風俗女子サポート協会代表あや乃初エッセイ。
第1章 なんで私たちって病んでまで風俗続けるんだろう。
第2章 キャバ嬢はプライベートも売る仕事。だったら私は体を売るだけの風俗嬢を選ぶ。
第3章 「普通」であることはあなたの人生を保証するものじゃない。
第4章 風俗で働けよ!という男って架空でもなく本当にいる。でも、自分が変われば、いい男にもいい恋愛にも本当に出会える。
第5章 風俗嬢って不幸ですか?


「からゆきさん 異国に売られた少女たち」森崎和江

2021年12月14日 10時09分29秒 | 読書(風俗/社会/貧困)


「からゆきさん 異国に売られた少女たち」森崎和江

70年代名作ノンフィクションを読んだ。

P37
海外の娼楼にいるからゆきさんがもっとも多かった時期は、日露戦争後から大正のはじめまでの10年間だが、そのころは香港やシンガポールなどの密航業者の顔役に、日本人もおさまっていた。

P42
女ひとり売れば500円というのが、明治3、40年ごろの相場で、香港からシンガポールなどの南方へも、また上海やウラジオ方面へも500円内外で売った。

P106
当時、ヨーロッパの女の国際的な売買はさかんなものだった。ついに1880年代にはそれを禁じようとする各国有志の活動がおこるほどになった。奴隷売買は禁じられても、なおそのなごりのように人身売買はつづいて、ひろくアジアへも及んでいたのである。

P128
朝鮮は儒教の国。男女とも、どの階層も人前で肌をあらわすことがなかった。反対に日本では裸体での外出や混浴の禁止が維新のあとくりかえし出されたが、容易に改まらぬほど、肌ぬぎはふつうのことであった。(今でも、この文化の違いがある・・・韓国の方が日本に来て、若い女性がミニスカートで自転車に乗るのを見て驚くそうだ)

P149
「いんばいになるか、死をえらぶか、といわれたら、死ぬんだった。うちは知らんだったとよ、売られるということが、どげなことか・・・・・・」

P228
天草の乱では天草の島じまや島原半島では、どの村も村びとがたくさん戦死した。(中略)そこで幕府は全国の藩に命じて、天草と島原とに、各藩から数戸あるいは数十戸ずつ、農家を移した。(中略)天草のぜんぶ、島原半島の全体が、新開地のようになった。

P257
本書が出版された1970年代後半は、日本人男性が東南アジアや韓国へ女性を買いに行く「買春観光ツアー」が社会問題化し、80年代に入ると東南アジアから日本に出稼ぎにくる「ジャパゆきさん」が注目されました。(当時、JALパックは、「ヤルパック」と揶揄された)

【関連図書】

こちらも名作

【ネット上の紹介】
16歳で朝鮮に売られ、狂死したキミ。東南アジアで財をなし、壮絶な自殺を遂げたヨシ。ふるさとを思い、売られていった女たちが、異国の地で見た夢は何だったのか。綿密な取材と膨大な資料をもとに、「からゆきさん」の軌跡を辿った名作が、新装版で復刊。
目次
ふるさとを出る娘たち(玄界灘を越えて
密航婦たち
ふるさとの血汐)
国の夜あけと村びと(おろしや女郎衆
シベリアゆき
異人の子と上海)
鎖の海(唐天竺をゆく
海をわたる吉原
戦場の群れ)
慟哭の土(おキミと朝鮮鉄道
大連悲歌
荒野の嵐)
おくにことば(おヨシと日の丸
天草灘)


「38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記」松本千秋

2021年09月29日 08時28分03秒 | 読書(風俗/社会/貧困)


「38歳バツイチ独身女がマッチングアプリをやってみた結果日記」松本千秋

けっこう順番待ちして図書館で借りた。
読んでいて、世間とのズレを感じた。
ギャップを感じただけでも、読んでよかったかな、と。
それにしても、長いタイトルだ・・・2時間ドラマか?!


「ねえ男の子たちって どういうモチベで あのアプリやってるの?」
「9割ヤリモクじゃないですかね」
「・・・・・・」

「PMSなんだったらピルにしましょう」ってピル処方されちゃってさ・・・

「大学生ってさ・・・・・・みんなマッチングアプリしてる?」
「みんなとは言わないけど とりあえず入れてんじゃない?」


「1ヶ月で13人の子とセックスしたからね かなり遊んだ 
 メンヘラっぽい子見つけて好き好き可愛いって言い続けると大抵の子はそのうち
 ヤらせてくれるから なんか・・・落とすのが楽しくてゲームみたいに使ってたよ」

「ろうそく立てる?」
「年の数はよしてね ケーキが全焼するわ」

【ネット上の紹介】
cakesの大人気連載、待望の書籍化!幻冬舎+テレビ東京+note「#コミックエッセイ大賞」第1回入賞作品もうすぐ40歳、再婚する気まるでなし。イケメン沼にハマったチアキの実録恋愛ストーリー
プロローグ
1人目くんに洗礼を受ける
「ソレだけが目的じゃない」と言うけれど
1日で3人と会ってみた
大学生男子をはしご
7人目にして初めて部屋に入れてみた
9割ヤリモク?
モテとセックスの相関関係
猫カフェにて
「普通に良い人」なんだけど…
プラトニックな夜
キスで満たされる女、それじゃ足りない男
適度にイチャイチャしたい女、それじゃ満たされない男
なんかすいません!!
人肌はクセになる
イケメン沼が楽しすぎて
平和な夜があってもいい
リカちゃん上京
思いつく限り最高にエロいシチュエーション
トキメキが止まらない
生理が来ない
本気になるのはイタい
突然の訃報
退会
大切にするということ


「57歳で婚活したらすごかった」石神賢介

2021年09月24日 08時49分51秒 | 読書(風俗/社会/貧困)
「57歳で婚活したらすごかった」石神賢介

他人の婚活体験記を読むのって、下世話なのぞき趣味・・・でも、おもしろい!

P16
女は男に「経済力」を、男は女に「容姿」を求める

P22
女性会員に関しては、20代後半から30代が多いと感じた。50代もふつうにいる。女性のプロフィールを見る限り、60代も70代もいる。

P40
婚活アプリで複数の男性会員にアプローチされている女性の多くは強気になっている。(リッツ・カールトン、パークハイアットの高額レストランを指定して食事させたり)

P54
世の中に「独身証明書」なるものが存在するとはずっと知らなかった。

P70
世の中の妻は夫が浮気するとすぐに気づくらしい。しかし、妻の浮気に夫は気づかない。

P79
「私どもの相談所に登録している女性の多くは、経済力のある男性を見つけて、無理をせずに人生を歩いていきたいと考えています。積極的で人生を自分の力で切り拓いていくタイプの女性は、すでにふさわしいパートナーを見つけています」

【感想】1
風俗店で働く女性は、自己肯定感も自己評価も低い、と聞いている。
逆に、婚活するタカビーな女性は、自己評価が高いのだろう。
両者は同じ・・・正確な自己評価が出来ない、自己認識がズレている、即ち、認識不足。

自戒を込めて言うと、自分を正しく評価する、ってのは難しい。
誤差、ズレを少なくするよう努力したい、と思う。
読んでいて、そんなことを考えた。

【感想】2・・・「魂萌え!」(夫が亡くなった後どう生きるか、といった内容)
独りでいるということは、穏やかで平らかな気持ちが長く続くことなのだ。人に期待せず、従って煩わされず、自分の気持ちだけに向き合って過ぎていく日常。そういう日々を暮らすのは、思いの外、快適かもしれない。(婚活は、麻薬やギャンブルの要素が大きい。独りで生きるか、パートナーと人生を共有するか・・・考え方は、人それぞれ。解答はないから)

「魂萌え!」桐野夏生

【関連図書】・・・10年以上前に読んだ本

「ドット・コム・ラヴァーズ」吉原真里
(アメリカでは、日本のマッチング・アプリ業界の10年先をいっていたのが分かる)

【ネット上の紹介】
やっぱり結婚したい。57歳で強くそう思った著者は、婚活アプリ、結婚相談所、婚活パーティーを駆使した怒涛の婚活ライフに突入する。その目の前に現れたのは個性豊かな女性たちだった。「クソ老人」と罵倒してくる女性、セクシーな写真を次々送りつける女性、衝撃的な量の食事を奢らせる女性等々。リアルかつコミカルに中高年の婚活を徹底レポートする。切実な人のための超実用的「婚活次の一歩」攻略マニュアル付!
序章 57歳で一人、がつくづく嫌になる
第1章 41歳女性に「クソ老人!」とののしられる
第2章 予期せず本気の恋をして打ちひしがれる
第3章 婚活相手の愛犬に尻をなめられる
第4章 イベント系婚活は人柄がわかる
第5章 コロナ禍で追い詰められる婚活者たち
終章 誰かと生きるのではなく、誰かのために生きる
付録 超実用的「婚活次の一歩」攻略マニュアル


「性風俗シングルマザー」坂爪真吾

2021年05月04日 09時10分02秒 | 読書(風俗/社会/貧困)


「性風俗シングルマザー」坂爪真吾

P7
母子家庭になった理由は、「死別」が8.0%、離婚などの「生別」が91.1%となっている。1人親世帯になった時の母親の平均年齢は33.8歳である。(80年代から「生別」が「死別」を上回ったようだ・・・昔は、出戻ると、世間から白い目で見られた、まるで欠陥品のように。今は、「フツー」、「よくあること」、と受けとめられるようになった。ハードルが低くなった、という解釈でよろしいでしょうか?)

P48
デリヘルで働くシングルマザーの悩みの一つは、子どもを保育園に入れる際に所得証明が出せないことだ。
風俗店と女性の契約は、雇用契約ではなく事実上の業務委託契約になっていることが多い。つまり女性は会社員ではなく個人事業主になるので、就労証明書も源泉徴収票も、基本的にお店から出してもらうことはできない。

P168
福祉が風俗に勝てない理由の一つは、ここにある。生育歴に起因する自己肯定感の低さに悩まされている女性は、風俗で働くことで、多くの男性から容姿や性格を褒められたり、これまで決して得られなかった高収入を手にすることができ、それによって自己肯定感を高めることができる。

P195
遺族年金があるため、離別シングルマザーに比べると、死別シングルマザーは経済的に困窮しません。(夫に生命保険をかけてれば、なおさらOK)

P215
近年、幼稚園・保育園の時期から子どもの『非認知能力』を育てることの重要性が言われています。非認知能力とは、粘り強さ、人と協調する力、やり抜く力、自制心、感謝する力や社会課題に向き合う力といった、数値化できない能力を指します。

【相談窓口】
シングルマザーサポート団体全国協議会

全国妊娠SOSネットワーク

風テラス

【感想】1
先日のNHKでは、風俗産業の市場規模は6兆円、とか。えっ、となった。バブルがはじけた際、500億くらいの不良債権で銀行が潰れている。それって、とてつもない金額だ。

【感想】2
コロナにより、店舗型より、派遣型に移行してるそうだ。どちらにせよ、ソーシャルディスタンスを保てるのだろうか?濃厚接触しないと、仕事にならないけど。

【感想】3
自分がその立場――離婚して、就職先がなく、実家にも戻れず、養育費を払ってもらえない場合、身体を売ってでも生き抜くサバイバル力があるだろうか?
いろいろ、考えされられる作品だ。

【追記】
ノンフィクション版「フルーツ宅配便」、と思う。

【参考リンク】
「性風俗のいびつな現場」坂爪真吾


「「育ち」をふりかえる」渡井さゆり

2019年07月29日 19時27分49秒 | 読書(風俗/社会/貧困)
「「育ち」をふりかえる」渡井さゆり

「生まれ」か「育ちか」と問われたらどうだろう?
著者は、養護施設で育った。
それでも大学に行って「福祉」を学び、
在学中に「児童養護の当事者参加推進勉強会日向ぼっこ」を立ち上げる。

P193
「子どもは親を選べない」と少し前の部分に書きましたが、親は選べなくても、自らの育ちは自分次第なのだと感じるようになりました。育ちを振り返ることによって、生き方がわからない中、もがいてきた自分に対し「がんばって生きてきたじゃん、私」と讃えてあげられるようになってきたのです。

【おまけ】
似た作品として、「その子の「普通」は普通じゃない」を思い出す。
本書の渡井さゆりさんの方が、一見文章力があるように思えるが、読んで面白いのは、富井真紀作品だ。
渡井さゆりさんは、過去を客観的に見つめ直して表現しており、
富井真紀さんは、過去をリアルに再現し、その時どう感じたかを表現している。
その違いが出ている。

【参考リンク】
「その子の「普通」は普通じゃない 貧困の連鎖を断ち切るために」富井真紀

【蛇足】
最初の問い「生まれ」か「育ちか」だけど・・・
養護施設で育つと、大学進学率は格段に落ちる。
ハードルは高くなる。
お金があって環境が整っていると、多少偏差値が低くても、大学にいける。
(塾に行けるし、家庭教師を雇って貰えたりするし、アルバイトをする必要もないし)
養護施設で育つと、頭がよくてよっぽど精神力がないと大学にいけない。
たかが大学、されど大学、だ。
選択肢がそれだけ広がる。

もちろん、環境劣悪の貧乏でも、天才は這い上がってくるけど。
「あんぽん 孫正義伝」佐野眞一

【ネット上の紹介】
児童養護施設で長く暮らした著者が自らの生い立ちをふりかえる。親に愛された記憶を持たず、孤独と疎外感、深い絶望のなか、自分は何のために生きているのかと問い続けた日々…。困難と向き合いながら生きる意味を探し、やがて「生きててもいいんだ」という思いに辿りつくまでの歩みを綴る。
1 子どもの頃(父と母、そして私
近親者の喪失
母子生活支援施設での暮らし ほか)
2 施設を巣立って(地球一周の船旅
フリーター
大学生活 ほか)
3 子どもの自分を育てる(瞼のおじいちゃん
もうひとりじゃないよ
子どもたちのおかげ ほか)

「家のない少女たち」鈴木大介

2019年07月21日 20時31分54秒 | 読書(風俗/社会/貧困)
「家のない少女たち」鈴木大介

先日読んだ、「ギャングース・ファイル 家のない少年たち」が良かったので、本書も読んでみた。
自分の子を虐待する親が多い。
読んでいて、暗澹たる気分になった。
途中で読むのを止めようか、と。
悲惨な話が満載。

P22
「ハルちゃん、ウチ、産もうと思う。もう間に合わないから」
「どうやって?きちんと病院で産むなら、夏子お前、一回実家帰らないとダメだよ」
「それは無理だから、この部屋で産む」
「本気?」
「本気」
 沈黙。
 重い口を開いたのは、ハルちゃんだ。
「でも、産んで育てるにしても、実家帰らないと無理だろ。どうやって出生届とか出すの?」
「それは、その時考える」
「・・・・・・わかった」
 夏子16歳、ハルちゃん18歳の決断だった。

母親が子どもに吐く科白
P139
「母子手当て、あんたが18歳になるまでは貰えるでしょ。だからそれ貰えなくなったら、あんた要らないから。あとさ、できれば20歳になったら、生命保険入って死んでくれる?」

【ネット上の紹介】
奔放な10代少女の逸脱ばかりがクローズアップされたテレビの「プチ家出」報道。だが、その後の家出少女について、誰が何を語っただろう。親からの虐待や貧困、施設からの脱走など様々な背景を抱えて路頭に迷う「家に帰れない」少女たち。彼らは食べるため、そして寝床を確保するための売春を強いられる、いわば日本のストリートチルドレンだ。そして、皮肉にも行き場を失った少女らの受け皿となったのは、下心を秘めた「泊め男」や、未成年でも雇用する違法売春組織だった。踏まれ、利用され、社会の生ゴミ扱いされ、それでも立ち上がる!8年近く続けた取材で見たのは、圧倒的不遇の中でも力強く生き抜く少女たちの姿だ。
第1章 たった一日の母子
第2章 ご飯とふりかけだけで育った
第3章 監禁風俗
第4章 大阪のババ子
第5章 泊めた男と仔鹿ちゃん
第6章 売春組織に救われて
第7章 オジサンもっと、ギュッとして
第8章 あたしのお姉ちゃん
第9章 お母さんごめんなさい
第10章 お前、援交やってこい
終章 世界で一番幸せだった