【ぼちぼちクライミング&読書】

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「ポエムに万歳!」小田嶋隆

2014年02月27日 21時12分45秒 | 読書(エッセイ&コラム)

「ポエムに万歳!」小田嶋隆

小田嶋隆さんの新刊書籍。
現代日本に起きる、様々な社会現象、数々の事件。
これらを分析、評論する方は多い。
でも、分かりやすい言葉で説明出来る方は少ない。
(著者は、解析力トップクラス、と思う)
いくつか文章を紹介する。

P30
詩の言葉が、情報を伝達するための言葉ではないからだ。詩の言葉は、発言者の内部でただただ反響している。だから、その響きに感応しない人間には、何も伝わらない。逆に、意味が正確に限定されていなかったり、きっちりとコースに投げ込んでいない言葉だからこそ、異様に共鳴する人が現れたりする。

P 38
日本の女性の社会進出に一番貢献したのは、男女雇用機会均等法でも、中ピ連でも、田嶋陽子でもなく、ユーミンだろう、という見解で一致した。ユーミン出現以前の歌の世界では、結局のところ、男にとって都合のいい女ばかりが描かれている。

P116
ちなみに「B層」とは、小泉内閣のブレーンとなっていた広告会社がその報告書の中ではじめて使った言葉で「IQが比較的低く、構造改革に中立的および肯定的な層」を意味している。
なんとも無遠慮な言葉だ。
(中略))
政治家が「衆愚」の扱い方を戦略的に考えることは、半ば常識として容認されている。というよりも、「衆愚論」は、「ポピュリズム批判」」と名を変えて、様々な場所で、人々の耳を楽しませている。

P120
(前略)昭和50年代ぐらいまでは、学生運動と言わず、街頭テレビの観客と言わず、人々が集まれば、自動的に連帯感が醸成されたものだったのである。
ところが、メディアが発達し、情報収集と発信の手段が多様化したことが、かえって連帯感のためのハードルを上げることになる。皮肉な展開だ。われわれは、目の前に集まっている群衆を「自分とよく似た人間」だとはなかなか思えない。彼らはより素直に「衆愚」に見える。というよりも、われわれは、他人を「衆愚」とみるタイプの自意識をデジタルのガジェットを通じて自らのうちにはぐぐんでしまったのである。

P149橋下徹氏の喋り方について
「自分の側に有利な条件だけを並べ立」て「論敵の非をどこまでも執拗に追求」し「藁人形論法や誇張といった詭弁に近い手段を辞さ」ずに、「ただひたすらにオノレの正しさを述べ立て」るタイプの答弁法だ。(中略)
が、政治家として見るなら、このしゃべり方は「妥協できない」意味で、半人前であり、「相手の言い分を聞けない」という面で失格になる。

P162
原発推進派の言論に似ている。
「きれいごとを言うなよ」
という声に対して、有効な反論を返すのは、実はとても難しい。
本当のことを言うと、ナマな議論では、この種の「現実主義者」には勝てない。

P173食品偽装やブランドの偽物がでる問題について
たとえば、シャープの液晶テレビだとか、トヨタのカローラだとかには、ニセモノが発生しない。なぜかといえば、そもそもそうした本物の一流品は、贋造業者みたいな連中の手に負える代物ではないからだ。そう、作れっこないのだよ、追随者なんかに。仮によく似たニセモノを作ったにしても、トヨタが200万円で売っているカローラをフェイクで業者が作ったら、どうやっても500万円はかかってしまう。本当にまっとうな商品というのは、そういうものなのだ。

【蛇足】
言葉の表現で気になったことがある。
“smooth”をスムーズと表記せず、「スムース」と書かれている。
小田嶋隆さんほどの方が、どうしてだろう?
・・・これは間違い、だけど。(単に誤植?)
でも、私もbedをベッドと言わず、ベットと言ってるから、同じようなもの、か?

【ネット上の紹介】
自分自分自分……自分語り大好き! 日本は“鳥肌もの”ポエムであふれてる。北朝鮮ばりのニュース朗読に説教くさ~い五輪招致コピー、野放図な自分語りはもはや私生活ストリップ……現実を直視したくない人たちの間で、意味より雰囲気重視で成り立つポエム・ワールド。個性って素敵だよね。でも演出過剰、感情過多は、邪魔くさいよね。名物コラムニストが斬る、社会の隙間の埋め草、ポエムとは?

2014健康診断

2014年02月26日 21時03分48秒 | 身辺雑記

健康診断の結果が返ってきた。
体重55.2Kg(前回56.4、前々回55.2)・・・あまり変化がない
BMI 20(前回20.6、前々回20.2)・・・あまり変化がない
腹囲66㎝(前回65、前々回64.5)・・・だんだん腹が出てきた

栄養状態は、アルブミンで判断する。
4.5なので、問題なし。(今のところ、私の作る料理が妥当、ということか?)
尿素窒素が24.7なので、タンパク質を摂りすぎているのかもしれない。(要注意)
・・・いろいろ気になる年頃、です。


「毒婦たち 東電OLと木嶋佳苗のあいだ」上野千鶴子/信田さよ子/北原みのり

2014年02月25日 22時03分39秒 | 読書(犯罪)

「毒婦たち 東電OLと木嶋佳苗のあいだ」上野千鶴子/信田さよ子/北原みのり

3人の毒婦による毒舌トークだから、「毒婦たち」・・・と言う訳ではない。
木嶋佳苗、角田美代子、上田美由紀、下村早苗、畠山鈴香・・・と言った、『毒婦』をテーマに鼎談するから、このタイトルとなっただけ。
いたってシンプル。
しかし、内容は濃い。

P10
北原 佳苗は1974年生まれで、逮捕時は34歳ですから、援助交際の走りの世代なんですよ。

P19
上野 (前略)昔は女には素人と玄人がいたのよ。信じられないよね、「玄人の女」って何なんだよ(笑)。そして、援交世代がその玄人と素人のボーダーラインを溶かしたから、佳苗は「溶けた後」の世代ということになる(後略)

P25
信田 私が1番面白かったのは、佳苗と付き合った男性は小さかったっていう話。・・・・・・あ、身長がですよ!
上野 はいはい(笑)。
北原 わかってますよ。もう、下ネタはやめてください(笑)。

P27
信田 こう言っちゃなんですけど、彼女が美人でなかったから、男たちは上から目線になれたし、つまり無防備になれた。美しい人がいいっていうのは、世の中がつくった神話ですからね。

P28
信田 男はギャップに弱いですからね。とっても頭がいい女なのに、馬鹿みたいなふりをするとか、とってもブスなのに高姿勢であるとかね。
上野 童顔に巨乳とかね。

P84
北原 角田って、連合赤軍の事件と重なりませんか。

P194
トラウマを受けることで生まれる影響は、大ざっぱだが自分を責めて自傷的になるか、他者への攻撃に向かうかに、二分される。

PS1
かつて、木嶋佳苗の事件が起こったときに2冊ノンフィクションが出た。

①佐野眞一氏の「海から来た女 木嶋佳苗悪魔祓いの百日裁判 」
②北原みのりさんの「毒婦。 木嶋佳苗100日裁判傍聴記 」

・・・2冊とも気になったが、機を逸して、未読となっている。
佐野眞一氏は高名なノンフィクション作家だが、この作品に関しては評判が悪いので、
この機会に、北原みのり作品の方を読んでみよう、と思う。

PS2
3人は普段から親しくて、よく話をするのだろうか?
ほぼ同じ考えを根底として共有する、女子会の雰囲気。
だから、異なる考えの男性が参加したら、どうなるのだろう?
そんな勇気のある方はいない・・・か?

PS3
信田さよ子さんが昭和21年生まれ、
上野千鶴子さんが昭和23年生まれ、
二人とも、その道の大家、である。
北原みのりさんは昭和45年生まれなので20歳以上年下、となる。
それにもかかわらず、引けを取らないと言うか、遜色がないのは立派。

【おまけ】
信田さよ子さんと上野千鶴子さん、仲が良い、と分かった。
それだけでも、今回の読書は「収穫あり」、である。

【参考リンク】1
「毒婦。」木嶋佳苗トークその3.
「毒婦。」木嶋佳苗トークその2.二股したこと、ありますか?
「毒婦。」木嶋佳苗のこと。その1

【参考リンク】2
上野千鶴子研究室 | WAN:Women's Action Network

【参考リンク】3
原宿カウンセリングセンター
信田さよ子ブログ

【鼎談・メンバー】
上野 千鶴子 (ウエノ チズコ)  
1948年、富山県生まれ。社会学者、立命館大学特別招聘教授、東京大学名誉教授。認定NPO法人WAN(ウィメンズアクションネットワーク)理事長。日本における女性学・ジェンダー研究のパイオニア
信田 さよ子 (ノブタ サヨコ)  
1946年、岐阜県生まれ。臨床心理士、原宿カウンセリングセンター所長。アルコール依存症、摂食障害、DV、子ども虐待などを専門とするほか、母娘問題の第一人者
北原 みのり (キタハラ ミノリ)  
1970年、神奈川県生まれ。コラムニスト、女性のためのセックストーイショップ「ラブピースクラブ」代表。時事問題から普遍的テーマまでをジェンター視点で考察した寄稿・連載多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

【ネット上の紹介】
「東電OL」、木嶋佳苗、角田美代子、上田美由紀、下村早苗、畠山鈴香…etc彼女たちはなぜ殺し、殺されたのか?女たちが語る“女の殺人事件”。

【目次】
第1部 東電OLと木嶋佳苗のあいだ(彼女の事件に惹かれた理由;木嶋佳苗と「東電OL」の共通点;女目線で事件を語る ほか);第2部 女はケアで男を殺す(支配する女―角田美代子;角田のサティアン;脅しの社会 ほか);第3部 性と女たち(彼女たちは傷ついていたか;性的な居場所;リベンジのその先 ほか)

ポンポン山▲679m

2014年02月23日 11時25分00秒 | 登山&アウトドア(関西)

ポンポン山に登ってきた。
今回のルートは・・・神峰山寺~川久保~川久保尾根~山頂~本山寺~神峰山寺。

★(往路)神峰山寺~川久保~川久保尾根~山頂・・・約3時間
★(復路)山頂~本山寺~神峰山寺・・・約2時間
合計5時間の行程。

目的は雪上ハイクなので、尾根歩きの長いコースはぴったり、とても良かった。
時間が無いときは、神峰山寺~本山寺~山頂で往復が良い・・・全行程約4時間ですむ。
(但し、どこから歩き始めるかで時間は変わる・・・私の計算は、蕎麦屋で甘酒も売っている民家の横を起点としている)

渓谷と尾根コースの分岐点、ここから川久保尾根が始まる。

はやくも雪が出てきた

標高500mを超えたあたりから、残雪があるように感じた

樹林帯の中を行く

雪の吹きだまり

こちら山頂

山頂で雪だるまを作ってみた


「美雪晴れ みをつくし料理帖」高田郁

2014年02月19日 21時10分41秒 | 読書(小説/日本)

「美雪晴れ みをつくし料理帖」高田郁

シリーズ第9弾、8か月ぶり最新刊。
いよいよ大詰め、大団円に向かって、澪が動き出すのか?(次巻が最終刊)
ミッション・・・『四千両を用意して、あさひ太夫を身請けする』が発動するのか?

前巻P222の文章。
どうあっても、と澪は自身の掌を開き、それをぐっと拳に握った。
どうあっても、この手で野江を取り戻す。途方もないこと、と怖じ気づくのはもう止めだ。ただ厚い雲の下に居て、切れ間を待つのではない。自ら飛翔し、雲を切り開いて行くのだ。
 
前回、当ブログでも次のような文章を書いた。

様々なしがらみは無くなり、かなり身軽になった
ストーリーはシンプルになり、最終章に向け、ベクトルは強くなった。
いよいよ物語は佳境に入っていく、と思う。

実際、今回の展開はどうなんだろう?
以下、ネタバレありなので、未読の方ご注意。

作品は4章から構成されている。
最初の3章は、芳の再婚に焦点が当てられる。
物語が大団円に向けて進展するのは、4章「ひと筋の道」から。

P153
「又次の今わの際のあの言葉・・・・・・」
掠れた声が、指の間から洩れた。
「あれは、お前さんに太夫の身請けを頼む、という意味だったとは・・・・・・」
(・・・摂津屋が探り出すかと思っていたが、澪がストレートに教える、とは思わなかった。私の予想に反してしまった)

P158
人の身体は、酷暑の頃には塩見と酸味を欲し、極寒の頃には甘味とこくを求める。
(・・・確かに、そのとおり、と思う)

P229
「芳と縁を結んだ今は、佐兵衛さんは私にとっても息子同然。だからこそ、教えておきたいのだ。自らを守るために苦しみから逃げることは間違いではない。だが、逃げて苦しみが深まったならば、決して逃げるべきではない、ということを」
柳吾は自身に言い聞かせるように、声を落としてゆっくりと話す。
「料理の道を捨てさせた原因を取り除くために、相応しい場所へ、本来身を置くべきだった場所へ必ず戻す。それが、芳というかけがえのない伴侶を得た私の役目のように思えてならない」
(・・・う~ん、こうきたか!今後、こちらの展開は終わった、と思っていたけど。思わぬ流れが出てきた)

P244
「吉原でそうしたお大尽の助けを得よ、と仰りたかったのですか」
その問いかけには答えずに、清右衛門は厳しい眼差しを料理人に向けた。
「良いか、お前は試されるのだ。その心願をお前がどれほど本気で叶えようとするのか、摂津屋は敢えて
手を貸さずにじっと見ているつもりだ」
(・・・このあたりから、物語の流れが変わってくる。ほとんど
花登筺作品か!、と思われる雰囲気。吉原に出むいて、自分の料理を一人で売る。このあたりの展開、手に汗にぎるというか、思わず正座して読み進んだ)

P300
「摂津屋助五郎には感心させられた。あさひ太夫の身請けを企てるお前に、金を貸すのではなく、知恵を貸したのだからな」
(・・・これは清右衛門のセリフ)

P305
「ご自身では気づかれていないだけで、澪さんはずっと料理人として変わらぬ姿勢を貫いておられますよ。料理で食べるひとを健やかにしよう、身体と心に良い料理を作ろう、と。口から摂るものだけが、人の身体を作る――私の何気ないひと言を心に留めて、今日まで少しも手を抜くことなく料理を作っておいでではありませんか」
(・・・医師・源斉のセリフ、澪の将来の姿を占うお言葉である。なかなか二人は良い雰囲気だ)

さて、次巻タイトルは、「天の梯(そらのかけはし)」、今年2014年8月刊行予定、とある。(P320)
我々読者に出来ることは、楽しみに待つ、のみ。

【参考リンク】
前作の感想
「残月 みをつくし料理帖」高田郁

【余話】
雪で入荷が送れていたようだ。
土曜日、いつもの書店にTEL。
「入荷しましたか?」
「雪で送れています。来週月曜か火曜になりそうです」
翌日、日曜日、別の駅前書店を訪ねる。
「入荷してますか?」
「先ほど入ったところです」
「よかった!」
これで無かったら、紀伊国屋・高槻店まで電車で行かねばならない。
(ネットで在庫検索かけて、『在庫有り』を確認済み)
余計な時間を取らずにすんで良かった!

【ネット上の紹介】
名料理屋「一柳」の主・柳吾から求婚された芳。悲しい出来事が続いた「つる家」にとってそれは、漸く訪れた幸せの兆しだった。しかし芳は、なかなか承諾の返事を出来ずにいた。どうやら一人息子の佐兵衛の許しを得てからと、気持ちを固めているらしい―。一方で澪も、幼馴染みのあさひ太夫こと野江の身請けについて、また料理人としての自らの行く末について、懊悩する日々を送っていた…。いよいよ佳境を迎える「みをつくし料理帖」シリーズ。幸せの種を蒔く、第九弾。


新書大賞2014

2014年02月18日 22時13分01秒 | 読書(ベスト)

中央公論.jp
「中央公論」で、新書大賞2014が発表された。

(1)里山資本主義
藻谷浩介・NHK広島取材班 
角川oneテーマ21
(2位)
犬の伊勢参り
仁科邦男 平凡社新書
(3位)㈱貧困大国アメリカ
堤 未果 岩波新書
(4位)野心のすすめ
林 真理子 講談社現代新書
(5位)
来るべき民主主義

ちなみに、昨年の新書大賞は・・・

社会を変えるには
小熊英二 講談社現代新書
田中角栄
早野 透 中公新書
日本近代史
坂野潤治 ちくま新書
わかりあえないことから
平田オリザ 講談社現代新書
聞く力
阿川佐和子


【参考リンク】
新書大賞2014
新書大賞2014


キノベス!2014

2014年02月17日 12時42分04秒 | 読書(ベスト)

キノベスが発表された。
遅ればせながら紹介しておく。

想像ラジオさようなら、オレンジスタッキング可能

キノベス!2014決定


阿武山

2014年02月16日 20時20分40秒 | 登山&アウトドア(関西)

阿武山に登ってきた。
ごくわずか、山頂に雪が残っていた。

立派な標識がある

こちら山頂・・・手前に雪が少し残っている


Double Dutch

2014年02月15日 20時42分58秒 | TV/ドラマ

以前、クライミングのCMを紹介した。(→クライミングとCM
今回は、ダブルダッチのCMを紹介。
ダブルダッチというのは、2本の縄を使った縄跳び。
私も一度トライしてみたい、と思っているが、難しそう。
次にリンクしておく。

http://smile-zemi.jp/shogaku/cm/


ポンポン山▲679m

2014年02月12日 22時09分35秒 | 登山&アウトドア(関西)

ポンポン山に登ってきた。
もっとも身近な「雪山」である。
行ってみよう、と思われるなら、アイゼン必要。

本山寺あたりから雪があって、期待が高まる

雪の上をトレースが続く

雪上ハイク、って感じだ

樹氷もある

いかにも寒そうな山頂

山頂は人がいなくて閑散としていた(雪はたっぷり)


「大山倍達正伝」小島一志/塚本佳子

2014年02月11日 23時09分07秒 | 読書(伝記/自伝/評伝)

大山倍達正伝 
「大山倍達正伝」小島一志/塚本佳子

620ページ、ボリュームたっぷり。
読むのに時間がかかったが、内容も濃かった。
いくつか文章を紹介する。

P42
2004年12月、韓国において「日帝強制占領下の親日反民族行為の真相究明に関する特別法」、通称「親日反民族特別法」と呼ばれる法案が国会を通過し、成立した。1910年から1945年にかけての日本の統治時代、日本の植民地政策に協力した「親日派」の人々を断罪するという法律である。

P138
朝連と建青・民団はことあるごとに衝突した。(中略)それは現在、私たちが映画などで観る「暴力団同士の抗争を遙かに凌ぐ過激さだった。

P141
ちなみに「三国人」は、正式には「第三国人」という。連合国軍が名付けた「メンバー・オブ・サード・ネーション」の日本語訳で、日本の植民地だった台湾や朝鮮出身の人々の「地位」を表した言葉である。第一国民はアメリカをはじめとする戦勝国民、第二国民は敗戦国民・日本人を指す。戦勝国民でも敗戦国民でもない朝鮮人たちをGHQは「第三国人」と呼んだ。

P156
一説によれば、GHQが本国から娼婦たちを集めたことがRAA廃止の直接的な原因だったとも言われている。
RAA廃止後も、非合法のもとに営業される慰安所は少なくなかったが、「仕事」にあぶれた多くの娼婦たちは、街に出て米兵相手の私娼となった。彼女たちが俗に言う「パンパン」である。
*RAAとは日本政府が設置した進駐軍のための慰安所「特殊慰安施設協会」のこと。
RAAの設立は日本政府による独断というのが定説になっているが、連合国側が日本政府に要請・打診したという説もある。
RAAの慰安婦のほとんどが、高賃金に魅せられて鞍替えした「公娼」たちだったことが明らかになっている。(P155~156)

P157
1947年4月10日、NHKラジオは『街頭録音』という番組のなかで、パンパンへのインタビューを試みた。その結果、「東京には千名程度のパンパンがいる」「だいたい中流家庭以上の娘が多い。本当に生活に困ってやっているのは少ない」という統計を発表している。また「中年の街娼は生活苦からせっぱつまって商売を始めるものが多い。若い娘は外人相手を面白がって始めたものもいる」と、当時パンパンの性病患者を引き受けた吉原病院の医師の証言を紹介している。

P236
佐藤栄作は1949年の衆議院総選挙に初当選以来、建設大臣や大蔵大臣などの要職を歴任してきた大物政治家である。1961年、池田勇人内閣で通産大臣を務めた佐藤は念願の首相の座に向けて積極的な活動を開始する。その際に、大山は佐藤のボディガードを務めたと言われている。

P247
《倍達と言う名は、朝鮮民族にとって非常に由緒ある名前である。(中略)つまり日本における「ヤマト」などのように、朝鮮の国家・民族そのものを、誇りをこめて言うときに用いられてきた言葉なのである》
《大山はいわば「大山朝鮮」という名前だったのである》(中略)
大山が「倍達」に込められた真の意味をいつ知ったかはわからない。だがその事実に直面したとき、彼は愕然としたに違いない。日本人の仮面を被るために名乗った名であるにのかかわらず、結果的に己の出自を公表して歩いていたのだから・・・・・・。

P258
《日本人になることを選び、私的な一領域でのみ朝鮮人として生きた力道山と、さまざまな矛盾をそのまま体現し、朝鮮人あるいは韓国人にはひと目でわかる特徴を名前につけ、朝鮮と日本の間を振り子のように揺れて生きた大山倍達》

P275
韓国では『空手バカ一代』に劣らぬ人気を博した『大野望』であるが、大山は終生、武道家・格闘家として韓国で活動することはなかった。その理由について、大山は《極真空手が韓国に進出したらテコンドーがつぶれてしまうよ。韓国進出を「考えたこともあるが、弟が兄さん、波風をたてるのは止めてくれ」というんで、何もしなかったんだ》

P336
大山の著書は、すべてがライターによって書かれた。これは関係者の間では公然の秘密になっている。

P344~345
大山倍達が宮本武蔵について語っている。これは意外な内容だ。吉川英治版より司馬遼太郎版を誉めている。
「吉川先生の武蔵は酷い。いつも女性に慕われて、なのに指一本も触れないのよ。おかしいじゃないか。真実の武蔵は山師だよ。弱い相手としか戦わない。いたいけな子どもを斬り殺したり・・・・・・。そんな武蔵を尊敬できるはずないじゃないのよ」

P397
「私の武勇伝は数知れずありますが、みんな真実なんてことはないんです。ひとつの話が大きくなり、メダカがいつの間にかクジラになってしまう。いつしか話が誇張されてしまうんです。『空手バカ一代』はその最たるもので、実際はあんなにカッコいい人間じゃないよ。なのにみんなが寄ってたかって私をスーパーマンにしてしまうんだ。だから、戦後初の全日本選手権優勝というのいは間違いなんです。あれは梶原一騎の作り話です」
(さらに・・・山籠りの「伝説」に欠かせない「眉を剃った」逸話は明らかに山口剛玄の体験談の借用である。P414)

P484
《(前略)私の一撃で、牛は口や鼻から血を出したが倒れない。物凄く暴れるんです。二回目はもう殴れないです。(中略)以来、牛を倒すのは諦めてしまった。だから、私が牛を殺すというのはウソですよ》

P509
「力道山と木村が練習しているのを見たが、力道山は木村に歯が立たなかった。足払いだけで力道山は立つことも出来ない。それくらいの差がありました」

P511
「大山さんが力道山に挑戦状を突き付けて何度も試合を迫ったのは本当です」
「正直、民団関係者のほとんどが実際に二人が戦えば確実に大山さんが勝つし、力道山はプロレスラーとして活動が出来なくなってしまうと信じていました。ただ、そうなると今度はプロレスを興行するヤクザ関係者まで巻き込んでしまいます。ヤクザと揉める方が問題だと小浪さんが言い出して、(中略)二人を仲直りさせなければならないということになったのです」

P514
「力道山はヤクザに対していつも低姿勢で媚びるようなところがありました。町井先生に対しても同様でした。力道山が正座し、両手をついて謝ったので、大山さんも応じて頭を下げ、一切を水に流すということになったのです」

P538
少年時代、世界に蹂躙される朝鮮半島の農村地帯で過ごし、常に「世界一」「ナンバーワン」を夢見てきた大山倍達は、極真会館を設立することで、「世界一の空手家」になった。その背景に大山が自ら創作し、メディアで喧伝した「大山倍達伝説」があろうとも、大山が自らの実力をもとに世界の歴史に名を残す武道家に成り上がった事実を、誰も否定することは出来ない。

第一部を塚本佳子さんが担当して、歴史的背景とともに大山倍達氏を描く。
第二部を小島一志さんが担当して、空手家としての大山倍達氏を描く。
補完関係にあるので、どちらが欠けてもいけない。

ただ、ほとんどの方が知りたいのは、第二部の空手家としての伝説の真偽かもしれない。
『空手バカ一代』のあのシーンは実際にあったのか、とか・・・。
そんな方にとっては、第一部は退屈に感じるかも知れない。
(私は両方とも良かった、と感じている)

「空手バカ一代」が好きな方は、ぜひ読んでみて下さい。
・・・興味深い新事実がわんさか出てくるから。
また、昭和史、日韓史に興味のある方も、必読。
・・・もちろん、格闘技の歴史に興味のある方も。

【参考リンク】
小島一志 - Wikipedia

小島一志の「力なき正義は無能なり」(旧ブログ)

 

【ネット上の紹介】
資料五〇〇点、証言者三〇〇人余、渾身の取材で驚愕の新事実続出!同胞同士の抗争に明れ暮れた戦後、アメリカ遠征激闘の真実、祖国のもうひとつの家庭に求めた最後の安息…。伝説の空手家の真の人生が、いま初めて明らかになる。あまりにも衝撃的なノンフィクション超大作。
[目次]
第1部 人間・崔永宜(塚本佳子)(極真空手と「大山倍達伝説」;誕生―世界のなかの朝鮮;少年時代―「虎の骨」と臥龍山の咆哮;渡日―翻弄された時代;民族運動―激闘の日々 ほか);第2部 空手家・大山倍達(小島一志)(原点「力なき正義は無能なり」;伝説と虚飾の原風景;剛柔流と松濤館―修行時代1;第一回全日本大会と山籠り―修行時代2;謎に包まれたアメリカ遠征 ほか)


天王山▲270m

2014年02月09日 20時55分00秒 | 登山&アウトドア(関西)

三年ぶりに天王山▲270mに登ってきた。

こちら登山口

桂川、宇治川、木津川が合流している

「山崎合戦之地」とある・・・思わず登りたくなる立派な石碑

JR線路沿いに秀吉軍は陣形を構えていたのが分かる

こちら山頂


家電4品目

2014年02月08日 21時12分44秒 | 身辺雑記

先月1月、「あなたの人生、片づけます」という本を紹介した。→「あなたの人生、片づけます」垣谷美雨
この中で、家電四品目について触れた。

「家電四品目というのは、エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機のことで、市の粗大ゴミには出せないんです。新しいのに買い替えたときに電器屋に引き取ってもらわないと、あとで面倒ことになるんです。引き取ってくれる業者を自分で捜さなきゃなりませんし、そうなるとリサイクル料以外にも引取料が必要で、これが結構高いんですよ」

たまたま、先日、小さな冷蔵庫を処分した。
冷蔵庫を処分するにはリサイクル券が必要。
郵便局でリサイクル券を購入、3780円+振込料金120円=3900円必要。
さらに産廃業者に連絡して、処分してもらった。処分料金=2500円。
3900+2500=6400円、かかった。
けっこう手間、であるし、費用もバカにならない。


モザンビーク

2014年02月07日 22時03分11秒 | 身辺雑記

1月25日付『朝日新聞・夕刊』に次のような記事があった。

"Abe's visit to Mozambique is designed to turn the nation into a strategic base in Africa as Japan tries to counter China."(安倍首相のモザンビーク訪問は、同国を中国に対抗するための戦略拠点にする意図がある)

これを読んで、「もしや」と予感をもった。
もしかして、栗山さやかさんが、レセプションか何かで、呼ばれるんじゃないか?、と。
やはり、そうであった。
しかも、想定以上の「言及」があった。
次に、リンクしておく。

とてもとても嬉しかったこと。 (01/22)

【参考リンク】
「なんにもないけどやってみた」栗山さやか


「江戸のお店屋さん」藤川智子

2014年02月04日 21時48分52秒 | 読書(絵本)

「江戸のお店屋さん」藤川智子

江戸時代の様々なお店屋さんが紹介されている。
店の様子、どんなものが売られていたのか?
知的興味も満足させてくれる作品。
もちろん、見てるだけでも楽しい。
江戸時代の行商人

江戸のスイーツいろいろ、お菓子屋さん。

小間物屋、化粧品と化粧道具が揃っている・・・昔も今と変わらない。

【参考リンク】
大阪くらしの今昔館

【関連図書】
ビジュアル・ワイド江戸時代館 (第2版) 
大江戸ものしり図鑑 - ひと目で八百八町の暮らしがわかる 復元江戸生活図鑑 

【ネット上の紹介】
江戸時代のお店を、のぞいてみましょう。小間物屋、薬種屋、人形屋、地本問屋、菓子屋、唐物屋、湯屋、ぼてふり。なにを売っているか、わかりますか?現代のお店とは、どこがちがうでしょうか?さあ、タイムスリップして、お買い物へでかけましょう!