【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「中学性日記」(2)シモダアサミ

2014年10月30日 21時26分20秒 | 読書(マンガ/アニメ)


「中学性日記」(2)シモダアサミ

シリーズ2冊目。
今回も楽しめた。
著者の描画タッチは、作品に合っている。
適度に軽く明るいので、思春期の暗い雰囲気を緩和している。
思春期の『あるあるネタ』満載、か?








【ネット上の紹介】
第二次性徴ど真ん中の中学生を描いた、思春期オムニバス第2巻!ゲラゲラ笑っちゃうものから、思わずグッときちゃうものまで。誰もが抱えていたおバカで愛しいあの頃の悩みに、元男子も元女子も、きっと身悶えしちゃうはず!! 


「あれよ星屑」(2)山田参助

2014年10月28日 21時48分51秒 | 読書(マンガ/アニメ)


「あれよ星屑」(2)山田参助

シリーズ2巻目。
1巻目は戦後の闇市が舞台だった。
今度は戦中編、戦争末期の中国が舞台。
非常に濃度の高い作品。
商業ベースで、この内容はすごい。
軍隊の日常を、これほどリアルに描いているフィクションは少ない、と思う。
しかも、一本調子ではなく、ユーモアさえ感じる。(極限状態の笑いである)

外出でピー屋へ行く(ピーは中国語での売春婦の蔑称)→慰安所 - Wikipedia

八路軍のスパイ容疑でつかまった村人
 

【ネット上の紹介】
朝日新聞、週刊文春など各紙誌で取り上げられ 絶賛を呼ぶ東京焼け跡ブロマンス、待望の第2巻!敗戦直後の東京。未だ自身の戦争体験に引きずられている川島徳太郎と、元戦友の黒田門松。死に損なったふたりの男は、かつて泥沼化した戦争末期の中国大陸で出会い、やがて失う仲間と共に、いかに生きていたのか……。ふたりの過去に迫る、怒濤の《戦中編》!


万博公園・秋桜

2014年10月27日 20時35分29秒 | お出かけ

万博公園に行ってきた。

満開であった

この色が一番コスモスらしい

秋らしい景色

アプローチ・・・一部紅葉している

これが万博の顔「太陽の塔」


「秘密 パレスチナから桜の国へ母と私の28年」重信メイ

2014年10月25日 20時15分43秒 | 読書(伝記/自伝/評伝)


「秘密 パレスチナから桜の国へ母と私の28年」重信メイ

重信メイさんと言っても分からないかもしれない。
日本赤軍の元最高幹部・重信房子の娘、である。
海外で生まれ、母は国際指名手配だったので、戸籍がない。
だから、日本に来る時、パスポートがないので苦労している。

幼少期から、成人して日本に来るまでが書かれている。
全編に母への愛情が感じられる。

P20
母が闘った三十年間の活動は、常に正反対のふたつの評価を与えられてきた。その結果、母は、ふたつの顔を持つことになってしまった。
ひとつは、パレスチナ民族解放のために命を賭けて闘った日本赤軍のリーダーとして、アラブ社会から敬愛されていた「英雄・重信房子」の顔である。
もうひとつは二十六名の死者を出した72年のリッダ闘争をはじめ、いくつもの「国際テロ事件」を引き起こした日本赤軍のリーダーとして、イスラエル、日本の政府などから追われていた「テロリスト・重信房子」という顔である。
私は、アラブ社会で生まれて育った。だが、重信房子の娘としてアラブ社会に受け入れられていたわけではない。私は、母の娘であることをひたすら隠し、日本人であることを隠して、住所を転々としながら生きてきた。

P121
母は、いつ殺される、いつ死んでしまうか、いつ逮捕されてしまうかわからない人だった。だから母は、自分がいなくなっても私が1人で生きていけるよう、自立して生きていける人間になるようにと願って、育てたのだと思う。

【ネット上の紹介】
日本赤軍のリーダー、国際的なテロリストとして世界に名を轟かせた重信房子に一人の娘がいた。メイである。数奇な運命にも負けず聡明で、心やさしく、感性豊かなメイが綴った、驚愕の手記!
[目次]
第1章 桜の国へ
第2章 太陽を握って生まれてきた娘
第3章 戦火の下で
第4章 母の記憶
第5章 中学高校時代
第6章 大学生活
第7章 母との再会
第8章 日本で歩き始めて 


「旅の人、島の人」俵万智

2014年10月22日 22時07分40秒 | 読書(沖縄・八重山)



「旅の人、島の人」俵万智

俵万智さんは、3.11の震災で小学生の息子と避難する。
仙台、山形、羽田から那覇、そして石垣島へ。
この本は、石垣島での様子が書かれている。

P131-132
石垣島に来てわかったのだが、ここは八重山諸島。本島とは違う言葉が数多くあり、「沖縄の方言」というふうには一くくりにできない。そして八重山の島々の中でもまた、さまざまな違いがある。

・・・例えば「ウエルカム」
本島「めんそーれ」
石垣島「おーりとーり」
黒島「わーりたぼーり」
宮古島「んみゃーち」

・・・例えば「畑」
本島「ハル」(畑で働く人「ハルサー」)
黒島「パタキ」
宮古島「パリ」

「#育児ことわざ」が紹介されている。(P113-115)
私の選んだベスト10は・・・
「ねこにもこんばんは」
「泣く子は黙らない」
「悪事の前の静けさ」
「花より団子虫」
「泣きっ面に鼻水」
「目の上のごはんつぶ」
「寝る子はものすごく早くおきる 」
「臭いものは蓋をしても臭い」
「寝た子は重い」
「鬼嫁の目にも涙」

【参考リンク】
八重山諸島とは? | 南ぬ島 石垣空港
いつか、八重山諸島に行きたいと思っているので、読んでみた。
湿度、紫外線、虫に注意。

【ネット上の紹介】
沖縄の石垣島に、息子と移住して三年あまり。旅の人というにはやや長く、島の人というにはまだ短い時間が流れた。住んでみて初めてわかること、慣れてないからこそ驚けること。旅人でも島人でもない宙ぶらりんだから見えるものを、楽しみながら綴った最新エッセイ集。 


『カジノで考える民主主義』内田樹

2014年10月21日 21時52分12秒 | 身辺雑記

今日は興味を引く記事が2つあったので紹介する。

①2014年10月21日朝日新聞13面インタビュー記事『カジノで考える民主主義』内田樹
「安倍政権の経済政策は武器輸出三原則の見直し、原発再稼働などいかに効率的に金を稼ぐかにしか興味がない。でも、当然ながらリスクが高いほど金は儲かる。一番儲かるのは戦争と麻薬です。人倫に逆らうビジネスほど金になる。でも、いくら金が欲しくても、あまり『はしたないこと』はできない。その節度が為政者には求められる。その『さじ加減』については先人の経験値に謙虚に学ぶべきですが、安倍政権には節度も謙虚さも何も感じられません」

②橋下市長と在特会・桜井会長のやりとり(というか怒号の応酬)30面
橋下:とにかく大阪ではおまえみたいな活動はいらないから。
桜井:私がいつ大阪でそういう風にやったんだ、と聞いているんだよ。
橋下:表現の自由の範囲で普通にやれ。
桜井:朝鮮人は朝鮮半島に帰れ、っていうのは一つの意見だろうよ。おまえはね、民主主義否定するのはやめろよ。言論の自由を否定するのはやめろよ。

1945年の敗戦から約70年。
民主主義の熟成の結果がこれか?
絶望的な気分になる。

橋下市長が、(相対的に)まともに見えてしまう。(これは何かのトリックか?)
今回の対談は、橋下氏の好感度戦略か?
【動画】橋下市長「いい加減にしろ」、在特会桜井氏「何がだよ!」
(この動画を見ると、くさった卵を飲み込んだ気分を味わえる)

【関連図書】

「ネットと愛国」P252
「私はね、日本人は本来、おおらかな気風を持った民族であると信じているんです。外来文化を受け入れ、独自の形をつくりあげ、優しい風景をつくりあげてきました。そのことに誇りを感じれば十分ではないかという気もするんですけどね。(後略)」
「ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて」安田浩一


「逢坂の六人」周防柳

2014年10月20日 22時07分58秒 | 読書(小説/日本)


「逢坂の六人」周防柳

前作「八月の青い蝶」が面白かったので、本作を読んでみた。
やはり面白かった。
前作でも「才能ある人だなあ」と感じたが、思い違いではなかった。
すばらしい実力である。

紀貫之と六歌仙と称される人々を描いている。
授業で習った人たち・・・在原業平、小野小町がいきいきと表現される。
6人それぞれがキャラ立ちしているのが素晴らしい。
前作「八月の青い蝶」ほど一般ウケしないかもしれないが、
私には大いにウケた。

P19-21
「古今和歌集」編纂が政治的な意図と無関係ではない、と。
まさか、菅原道真の左遷と絡んでいるとは思わなかった。

【豆知識】
小野小町は秋田出身とも言われている。
お米の「あきたこまち」は、小野小町に由来する。
また、小野妹子は先祖のひとり。

【誤植】
誤植を見つけた。
P199
「旧交ふたたび、というわけでこざる」
 ↓
「旧交ふたたび、というわけでござる」


前作・・・「八月の青い蝶」

【ネット上の紹介】
史上初のやまと歌の勅撰集、『古今和歌集』成立をめぐる物語。 紀貫之の忘れ得ぬ体験を描いた、小説すばる新人賞受賞第一作。 みかどの命により、紀友則、壬生忠岑、凡河内躬恒とともに、初の勅撰和歌集の撰 者となった紀貫之。 のちに『土佐日記』を著したことでも知られる才人・貫之は、この勅撰和歌集の編 纂に心血を注ぎ、 序文「仮名序」を執筆する。そこには「近き世にその名きこえたる人」として、六 人の歌人の名が記されていた。 後世に六歌仙と称される、在原業平、小野小町、大友黒主、文屋康秀、僧正遍 照、喜撰法師である。 この個性的な歌人たちと紀貫之との交流を鮮やかに描いた書き下ろし長編小説。 <プロフィール> 周防 柳(すおう やなぎ) 1964年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、編集者・ライターに。 『八月の青い蝶』(「翅と虫ピン」改題)で第26回小説すばる新人賞を受賞してデ ビュー。本書が二冊目の単行本となる。 


朝日新聞の謝罪

2014年10月20日 21時15分53秒 | 身辺雑記

2014年10月20日、折り込みちらしとして、謝罪文が入っていた。
他社により、週刊誌や月刊誌で、既に叩かれている。
とりあえず、資料として残しておく。


ROCK & SNOW 2014 秋号 No.65 Autumn Issue, 2014

2014年10月17日 22時42分42秒 | 読書(山関係)


ROCK & SNOW 2014 秋号 No.65 Autumn Issue, 2014

だいぶ前に出たんだけど、遅ればせながら、コメントしておく。
今回の特集は、『グレード別初登記録』。
過去を振り返りながら読んだ。
『岩と雪』等で読んだ多くのルートが登場する。
感慨深いものがある。

P15とP20に「ラ・ローゼル・・・」の写真がある。
昔、試しに触ったことがあるが、右手のホールド、とても保持できるホールドではなかった。
しかも、核心はここじゃない。
このあと、遠いホールドが有り、さらにスラブがある。
日本人でこのルートを登った方はごくわずか。
史上最強の8bと言われる。
(これが登れたらどんなに嬉しいことでしょう)

このルートの左に「タブー」がある。
右には、「シュカ」がある。
実は、「シュカ」も、昔に試したことがある。
例の「シュカ・ムーブ」=「フィギア・フォー」をやってみた。
次のホールドに3㎝ほど足りなかった記憶がある。

それにしても、すごいエリアである。
そのわりに、最近の日本人には忘れられたエリアとなっている。


【おまけ】
「フィギア・フォー」を「日々阿呆」と聞き間違えた方がいるそうだ。
・・・私ではない。(念為)

【ネット上の紹介】
特集: グレード別初登記録
クライミングのグレードは、今日まで誰によっていつのタイミングでどのように押し上げられてきたのか。
そして今後、その先端は誰がどのように発展させてゆくのだろうか。
過去のクライミング史におけるエポックとなった登攀の数々を振り返り、
グレードの進化の歴史を紹介しつつ、クライミングの将来の可能性を探る。
第2特集:シューズテスト2014
各メーカーから発売されたクライミングシューズのニューモデル20足を、モニターレポートを交えて詳しく紹介。
新商品のバイヤーズガイドとして、読者から高い信頼を得ている人気企画の2014年度版。
記録:アレックス・メゴス、メイアン・スミス・ゴバド 高難度マルチピッチに成功   
インタビュー:英国のタックスマン ミック・ファウラー
ガイド:瑞牆山ボルダー 未発表エリアの紹介
リザルト:2014ボルダリングW-CUP、野口啓代が年間優勝、リードW-CUP第2戦で安間佐千優勝、他 


「本屋さんのダイアナ」柚木麻子

2014年10月15日 20時51分40秒 | 読書(小説/日本)


「本屋さんのダイアナ」柚木麻子

以前、「王妃の帰還」を読んだが、
それと同じか、それ以上に面白かった。
大穴(ダイアナ)」という名前のせいで、クラスでからかわれ、孤立するダイアナだったが、
小学生の時、同じクラスの彩子と仲良くなり、親友となる。
ところが、ちょっとした行き違いから絶交状態となる。
すぐ元に戻ると思われたが、私立の中学に受験した彩子と、
公立の中学、高校と進んだダイアナは、すれ違ってしまう。
お互い気になりながらも10年の歳月が流れる。

それぞれの家庭の事情を描きながら、
過去も明らかになっていく。

なぜ名前がダイアナなのか?
以下、ネタバレ有り、未読の方ご注意。

P246
「みんながみんな、アンみたいに飛び立てるわけじゃない。ほとんどの女の子は村で生きていく。脇役のダイアナこそが多くの女の子にとって等身大で、永遠の“腹心の友”足るべき存在だから・・・・・・。アンみたいに変わった女の子があの小さな村で受け入れられたのは、ダイアナが親友になったからだと僕は思っている。アンの良いところをダイアナは自然と引き出してあげたんだ」

これは、重要なメッセージである。
言われてみると、そうかもしれない。

村岡花子さん訳「アンの愛情」(ポプラ社)巻末の解説。P242
〈この本のなかでは、アンにも親友のダイアナにも、いろいろな変化がおこります。アンが大学へ入学するのにたいして、ダイアナは静かに家庭にいて、娘としての教養を身につけます。したしい友が村をはなれて、新しい大学生活にはいっていっても、ダイアナは、それをさけられない現実として受けいれ、彼女は自分自身の道を進んでいきます。それでいながら、アンとの友情は、けっして変わることがありません。これが、ほんとうの友情というものではないでしょうか。(後略)〉

PS
第151回の直木賞候補作もである。
(結局、黒川博行さんの「破門」が選ばれた)
私は、「本屋さんのダイアナ」の方が面白い、感じた。

【蛇足】
「アン・シリーズ」ファンなら、ご存じだろうか・・・著者のモンゴメリは自殺した、とも言われている。
あれだけ、少女たちに夢を与えながら、本人は“鬱病で自殺”・・・。(悲しすぎる)

私は、アンのキャラクターに、どうしてもなじめない。
読み進むに従って、違和感は大きくなる。
(理解はできるが、近づきたくないと思ってしまう)
著者とダブってしまうためだろうか?

【瑕疵】
敢えて欠点を言うと、ダイアナとはっとりさんが初めて会うシーン。(P228)
ダイアナは母にそっくりのはず。
しかも、ダイアナは自分の娘。
かつての母の担任・高柳先生でさえダイアナを見て「矢島……矢島有香子!?」と驚いたほど。」(P63)
だのに、はっとりさんは、ダイアナを見ても何とも感じない。
これは少しおかしくないか?

【参考リンク】
「王妃の帰還」柚木麻子


【ネット上の紹介】
私の呪いを解けるのは、私だけ――。すべての女子を肯定する、現代の『赤毛のアン』。「大穴(ダイアナ)」という名前、金色に染められたバサバサの髪。自分の全てを否定していた孤独なダイアナに、本の世界と彩子だけが光を与えてくれた。正反対の二人だけど、私たちは一瞬で親友になった。そう、“腹心の友”に――。自分を受け入れた時、初めて自分を好きになれる! 試練を越えて大人になる二人の少女。最強のダブルヒロイン小説。 


プリンター兼スキャナー購入

2014年10月14日 21時47分37秒 | 身辺雑記



今のプリンターが古くなって、印刷劣悪状態なので買い替えた。
今回のプリンターはキャノンのスキャナー兼用機。
MG6530、¥9310円(税別)・・・旧型なので安くなっている。
予備のインク6本セット=¥5510円(税別)

今回のスキャナーは3台目。(2400dpi)
1台目は1990年代に買ったが、10万以上した。(1200dpi)
・・・隔世の感がある。
インクジェットプリンター PIXUS MG6530 | 特長 コピー/スキャン


「3月のライオンおさらい読本 初級編」羽海野チカ

2014年10月13日 18時38分42秒 | 読書(マンガ/アニメ)


「3月のライオンおさらい読本 初級編」羽海野チカ

11月に第10巻のでる「3月のライオン」。
その前に、『おさらい読本初級編』が出版された。

ニコ・ニコルソン『道場破り』が、興味深い。
ニコさんが羽海野チカさんを訪問する。
「自分には(羽海野さんのような)才能がない」、とニコさんが言うと、羽海野チカさんがノートを取り出す。
それには、表紙に『123』と書かれていた。
ネタ帳である。
つまり、123冊目、ということ。
中学のときから書きためている、そうだ。
すごすぎる。


聖地巡礼地図が興味深い。
いつか探訪してみたい。


『ウミ子の部屋』・・・川本ひなたさんがゲスト!

【ネット上の紹介】
初のオフィシャルファンブック!! カラーでのレシピ再現をはじめ、棋譜解説や作中にでてきた場所を巡る探訪で作品への理解がより深まる!!読者が選んだキャラ人気投票や名場面も紹介。ここでしか読めない描き下ろし漫画や松井玲奈ちゃんとのコラボグラビアもあります。2014年9月刊。
 


「あれよ星屑」(1)山田参助

2014年10月12日 23時26分31秒 | 読書(マンガ/アニメ)

ビームコミックス<br> あれよ星屑 〈1〉 
「あれよ星屑」(1)山田参助

素晴らしい。
新たな才能現る!
帯の文句は・・・
『死に損ないふたり。トーキョーアンダーワールド。』

戦後間もない頃の東京が舞台。
闇市を舞台に、ヤクザ、パンパン、浮浪児、進駐軍・・・見事に描写している。
なんだか、バロン吉元さんを思いだした。
同じくらい、非凡な描写力である。




とんでもなく、悲惨な状況が描かれるが、絵がユーモラスなので、救われる。
上の絵の犬も、肉にされて食べられてしまう。
でも、愛嬌があってかわいらしい。


裏表紙↑

【ネット上の紹介】
1945年8月15日、男たちは星のクズになりました。敗戦から1年あまり。ぼろぼろに焼け落ちた東京で、酒浸りの暮らしをしていた川島徳太郎は、かつて死線を共にした戦友・黒田門松に再会し……。その非凡なる画力に、同業者からも熱烈な賛辞を受ける、異色の漫画家・山田参助が挑む初の長編作。闇市、パンパンガール、戦災孤児、進駐軍用慰安施設など、戦後日本のアンダーワールドの日常を、匂い立つような筆致で生々しく猥雑に描き出す、敗戦焼け跡グラフティ、開幕。

【参考図書】
柔侠伝 上巻


「あの戦争は何だったのか 大人のための歴史教科書」保阪正康

2014年10月09日 23時04分12秒 | 読書(ノンフィクション)


「あの戦争は何だったのか 大人のための歴史教科書」保阪正康

太平洋戦争を俯瞰する本。
多数のエピソードも挿入されていて、退屈しない。

P55
太平洋戦争開戦前の日米の戦力比は、陸軍省戦備課が内々に試算すると、その総合力は何と1対10であったという。米国を相手に戦争するに当って、首相、陸相の東條英機が、その国力差、戦力比の分析に、いかに甘い考えを持っていたかが今では明らかになっている
(東條英機は「精神力で勝っているはずだから、五分五分で戦える」、としたそうだ。そんなバカな!と今なら言えるが当時は言えなかったのだろう・・・それが怖い)

P92
東條の秘書官だった赤松はこうも言っていた。
「あの戦争は、陸軍だけが悪者になっているね。しかも東條さんはその中でも悪人中の悪人という始末だ。だが、僕ら陸軍の軍人には大いに異論がある。あの戦争を始めたのは海軍さんだよ・・・・・・」

P105
私は、この戦争が決定的に愚かだったと思う、大きな一つの理由がある。それは、「この戦争はいつ終わりにするのか」をまるで考えていなかったことだ。

P120
例えば、もし「ミッドウェー海戦」で戦争を終結していたら・・・・・・。もちろん、これはありえない歴史上の「イフ」である。しかし、吉田茂がひそかに和平工作を模索しているなど、その時点で全く可能性がゼロだったとは言い切れない。
「戦争を終結させる」とはいわない、なにせまともに「戦争の終結」像すらも日本の首脳部は考えていなかったのだから。でも、せめて“綻び”が出始めた昭和17年末の段階で、「このままの戦い方でいいのか」、あるいはもっと単純に「この戦争は何のために戦っているのか」と、どうして立ち止まって、誰も顧みなかったのか。

P121-122
資料に目を通していて痛感した。軍指導者たちは“戦争を戦っている”のではなく、”自己満足”しているだけなのだと。おかしな美学に酔い、1人悦に入ってしまっているだけなのだ。兵士たちはそれぞれの戦闘地域で飢えや病で死んでいるのに、である。
挙げ句の果てが、「陸軍」と「海軍」の足の引っ張り合いであった。
「日本は太平洋戦争において、本当はアメリカと戦っているのではない。陸軍と海軍が戦っていた、その合い間にアメリカと戦っていた・・・・・・」などと揶揄されてしまう所以である。

P148
昭和18年に戦況が悪化すると、東條の演説や側近への話には筋道の通らない論理が含まれるようになった。たとえば、「戦争が終わるということは、戦いが終わった時のこと、それは我々が勝つということだ。そして、我々が戦争に勝つということは、結局、“我々が負けない”ということである」、という意味不明のことさえ口にした。あるいは「戦争は負けたと思ったときは負け。そのときに彼我の差がでる」とも言うのである。
(う~ん、参りました)

P150
十月に、陸軍の飛行学校に、学生たちへのねぎらいも込めて、視察に行った時のこと。東條は学生に「B-29が飛んできたとする。そうしたら、君は何で打ち落とすか」と問い掛けた。問い掛けられた学生は教科書通りに「15センチ高射砲で撃ち落とします」と答えると、東條は「違う、そうじゃない。精神力で打ち落すんだ」と語ったという。
(じゃ、手本を見せてください、って)

P172
牟田口(廉也)は、実は泥沼の日中戦争のきっかけとなった盧溝橋事件をおこした部隊の連隊長であった。日頃から「支那事変はわしの一発で始まった。だから大東亜戦争はわしがかたをつけねばならん」というのが牟田口の口癖であった。
(その牟田口が考えた作戦が、悪評高い「インパール作戦」だ)

P179
私はインパール作戦で辛うじて生きのこった兵士たちに取材を試みたことがある。彼らの大半は数珠をにぎりしめて私の取材に応じた。そして私がひとたび牟田口の名を口にするや、体をふるわせ、「あんな軍人が畳の上で死んだことは許されない」と悪しざまに罵ることでも共通していた。

P228
“勝ち戦”に乗じて日本の領土が欲しかったスターリンは、トルーマンに「我々は関東軍を掌握し、北海道方面に侵攻している。ソ連の制圧地域として北海道を認めて欲しい」と要求していた。しかし、トルーマンは、決してそれを認めなかった。スターリンはもう一度、「北海道が欲しい」と重ねて訴えるが、やはり断られてしまう。ならばと、「領土の代わりに、関東軍の兵を労働力としてもらう」と勝手に決めてしまった節があるのだ。
こうして「シベリア抑留」が行われた。

P222-223
歴史に他の選択肢はないが、「原爆」を落とされ、負けた。その結果、アメリカに占領されてよかったという見方もできる――。
(結果として、そうかもしれない・・・でも、このあたり、この著者に違和感を感じる。頭の良い方って、理屈が先走ってしまう・・・良識を置き去りにして。広島や長崎の方に、「原爆を落とされてよかった」、と言えるのか?)

昭和史研究では有名な方で、さすがよく調べてあるし、要領よくまとめてある、と思う。
ただ、タイトルから「あの戦争は何だったのか」の明解な答えを期待すると、肩すかしを食らう。
(そういう意味で、タイトルと内容が微妙にかみ合っていない)
太平洋戦争の「流れ」を概観して、「あの戦争は何だったのか」、と考える切っ掛けになる作品。 

【言葉の説明】
八紘一宇・・・日本書紀、神武天皇が大和橿原に都を定めた詔に出てくる言葉
「八紘」とは「四方と四隅」を表し、八方のはるかに遠い果てを指す。「一宇」は一つの家のことである。つまり、「地の果てまで一つの家のようにまとめて天皇の統治下におく」という意味となる。P52

東條英機の「戦陣訓」
有名な一節・・・「生きて虜囚の辱めを受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」表現は島崎藤村が推敲したとされる。
この思想のために、多くの軍人、兵士たちが玉砕の憂き目にあったのである。P70

【おまけ・・・残念な点】
当時のメディアと大衆の動向に触れていない。
文献が掲載されていないのも残念。 
その点、加藤陽子先生は、大学教授だけあって、しっかり記載されている)
「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」加藤陽子

【ネット上の紹介】
戦後六十年の間、太平洋戦争は様々に語られ、記されてきた。だが、本当にその全体像を明確に捉えたものがあったといえるだろうか―。旧日本軍の構造から説き起こし、どうして戦争を始めなければならなかったのか、引き起こした“真の黒幕”とは誰だったのか、なぜ無謀な戦いを続けざるをえなかったのか、その実態を炙り出す。単純な善悪二元論を排し、「あの戦争」を歴史の中に位置づける唯一無二の試み。
[目次]
第1章 旧日本軍のメカニズム(職業軍人への道
一般兵を募る「徴兵制」の仕組み ほか)
第2章 開戦に至るまでのターニングポイント(発言せざる天皇が怒った「二・二六事件」
坂を転げ落ちるように―「真珠湾」に至るまで)
第3章 快進撃から泥沼へ(「この戦争はなぜ続けるのか」―二つの決定的敗戦
曖昧な“真ん中”、昭和十八年)
第4章 敗戦へ―「負け方」の研究(もはやレールに乗って走るだけ
そして天皇が動いた)
第5章 八月十五日は「終戦記念日」ではない―戦後の日本  


「健康で文化的な最低限度の生活」(1)柏木ハルコ

2014年10月07日 22時02分57秒 | 読書(マンガ/アニメ)

ビッグコミックススピリッツ<br> 健康で文化的な最低限度の生活 〈1〉 
「健康で文化的な最低限度の生活」(1)柏木ハルコ

柏木ハルコ作品はエロいと思っていた。
しかし、それは間違っていた。
社会派の作品も描かれたのだ!
それが本作品。
『生活保護』を扱っている。
公務員になったヒロイン・えみるは、福祉保険部生活課勤務を命ぜられる。

部屋の細部を詳細に描いている

取材には相当な時間をかけた、と思われる

山好きな方の部屋・・・でも、生活保護を受けて、自殺してしまう(他人事ではない)