「心淋(うらさび)し川」西條奈加
2020年 第164回 直木賞受賞。
古びた長屋を舞台にした連作時代小説。
次の6編が収録されている。
心淋(うらさび)し川
閨仏
はじめましょ
冬虫夏草
明けぬ里
灰の男
P117
捨子の処遇には、お上が口を出す。あつかいが悪ければ、寺や町内の顔役が咎めを受ける。まず夫婦者であることが条件になるのだが、るいには強い後ろ盾があった。
P156
「子どものためと口にする親ほど、存外、子どものことなぞ考えてないのかもしれないな」
【感想】
西條作品にハズレなし。
今まで、けっこう読んできたが、どれも面白かった。
直木賞受賞は当然、と思う。
今回も面白かった。
もし忙しくて1編しか読めない、というなら「閨仏」を読んでみて。
六兵衛は妾を囲っているが、不美人ばかり。
一つ屋根の下に妾を全員集めてるから、確執も生まれる。
りきはその中のひとり。
あるとき、小刀で仏像を彫りだす。
・・・奥が深く、最後に泣かせる技は見事。
【ネット上の紹介】
不美人な妾ばかりを囲う六兵衛。その一人、先行きに不安を覚えていたりきは、六兵衛が持ち込んだ張形に、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして…(「閨仏」)。飯屋を営む与吾蔵は、根津権現で小さな女の子の唄を耳にする。それは、かつて手酷く捨てた女が口にしていた珍しい唄だった。もしや己の子ではと声をかけるが―(「はじめましょ」)他、全六編。生きる喜びと哀しみが織りなす、渾身の時代小説。第164回直木賞受賞。
米・独、合作ドラマ「アンオーソドックス」をNetflixで観た。
2020年作品。(イディッシュ語・英語)
原題:Unorthodox
全4話。1話52分-54分
ミニシリーズ・全4話なので、中国ドラマや韓国ドラマから考えると短い。
デボラ・フェルドマンの自伝を基にした作品。
ニューヨーク・ユダヤ教超正統派社会を描いている。
途中で、舞台はベルリンに移動。
エスティは、見合いで結婚した夫とユダヤ社会を捨て、ベルリンに行く。
今どき、こんな厳格な宗教生活がある、ってのが驚き。
最終話のオーディションが圧巻・・・ここを観るために3話分の前座がある。
【書籍/アンオーソドックス 】
れは“わたしたち"の物語。「生きづらさ」を抱いているすべての人へ。二〇〇九年秋、二十三歳のデボラ・フェルドマンは、ニューヨークにあるユダヤ教超正統派<ウルトラ・オーソドックス>のコミュニティと決別した。幼い息子とわずかな持ち物だけを車に乗せて……そのコミュニティでは、正しい服装、言葉を交わす相手、読んでいい本まで、すべてが“しきたり"で決められている。英語を使うことは禁じられ、女性は人前で歌うこともできず、結婚後は髪を剃ってカツラを被ることを強制される――幼いころからジェイン・オースティンなどの小説を隠れて読んだデボラは、自立心に富んだ登場人物たちに触発され、自由な生き方を思い描くようになるのだが……不自由と監視の目から逃れ、自由と自立を求め、コミュニティからの脱出をはたした勇気ある女性のアンオーソドックスな半生を綴った回想録。
韓国ドラマ「ミスティ」をU-NEXTで観た。
2018年作品、全16話、1話68-84分
自動車事故で、有名ゴルファーが死亡。
事故なのか、殺人事件なのか?
この裁判がメインになるが、それをめぐって家族の問題、職場の人間関係が浮き彫りにされる。完成度の高い作品だ。
ヒロインを演じたキム・ナムジュが「百想芸術大賞ほか各賞を受賞」とあるが納得。ひとりでドラマを引っ張った、と言っていいぐらい存在感がある。キム・ナムジュと言えば、過去に「棚ぼたのあなた」「僕の妻はスーパーウーマン」を観たが、こんな社会派ドラマのヒロインも、違和感なく演じられるんだな、と感心した。
#6 火葬シーンがあるが、日本の火葬設備と同じ
お墓は、日本と違って、写真があったりする
#6 私を葬ろうとする人がいる(TV業界の厳しさ、ライバルとの争い、競争社会だ)
#7 この後、女性ボーカルの「天国への扉」の音楽が何度もかかるが、もちろんEric Claptonの名曲「KNOCKING ON HEAVEN'S DOOR」のカバー
#7 皆はキャスター就任後1年で局長になる でも私は7年目でも部長のままです 女だから
【感想】
韓国ドラマはレベルが高い、と改めて感じた。
誰が悪いのか、何が悪かったのか?
明確な回答がない・・・そこが現代ドラマらしくてよい。
「あんの青春若葉の季(とき) お勝手のあん」(3)柴田よしき
「あんのまごころ お勝手のあん」(4)柴田よしき
換骨奪胎、枠組のみ頂いた「アン」シリーズ3弾と4弾。
江戸時代版「赤毛のアン」だ。
最初幼かったヒロインも、16歳になった。
少ないながら、お給金も貰えるようになった。
(見逃していて読むのが遅くなった)
P72
「それ、なんなんです?」
「これはむじなの皮です」
「ひぇっ、むじな!」
「穴熊とも言いますが、山の民はこれで着るものを作るんです。肉は食べてしまうそうです。それで余った皮を分けてくれるんです。猫の蚤取りに」
(「蚤とり侍」という作品もある→「蚤とり侍」小松重男 )
よく眠れない、と言う人への処方
P76
「まずは猫と寝る。そして十回ずつ噛んで食べる。(後略)」
P207
「薬種のお商売も、昔のように楽ではないそうよ。黒船のあといろいろな国の人たちがやって来て、この国で商売させろと迫っているんでしょ。お上はそうした人たちと条約を結ぶ気があるのかどうか、清さんは気をもんでるわ。しかもね、これってまだ瓦版にも出ていないことなんだけど」
お小夜さまが、いたずらでも相談するように顔をやすに近づけた。
「公方様がご正室をお迎えになるんですって」(2巻登場の際、気づかなかった・・・後の天璋院・篤姫)
②P170
「心も病にかかるんですね」
「そりゃかかるさ。心だってからだの一部なんだからね。(後略)」
【関連図書】
「お勝手のあん」①②柴田よしき
【ネット上の紹介】
昨年の大地震が残した爪痕も、ようやく幾らか薄れてきたように思えた頃。品川宿の宿屋「紅屋」では、おやすが見習いから、台所付きの女中として正式に雇われることとなり、わずかばかりだが給金ももらえることになった。「百足屋」のお嬢さま・お小夜が嫁ぎ、おあつから別れの手紙を受け取るなど、寂しくもなるおやすだが、心配していた勘平の消息を聞き、「むら咲」の女料理人・おみねから出された謎も考えながら、充実した日々を送っていく―。時代小説版「赤毛のアン」、大好評シリーズ第三弾。
米ドラマ「ビッグ・リトル・ライズ」シーズン2をU-NEXTで観た。
2019年作品
原題:Big Little Lies =「ささやかで大きな嘘」
全7話。1話44分-53分
シーズン2でも、ニコール・キッドマン、リース・ウィザースプーンのW主演。
さらに、ニコール・キッドマンの義母の役がメリル・ストリープ。
どんだけ豪華なんだ!
【あらすじ】U-NEXTの紹介文章
新学期が始まり再会した5人のママ友たち。事件以来、彼女たちは“モントレー5”と呼ばれていた。そんななか、セレステを支えようと義母のメアリー・ルイーズがやってくる。マデリン、ジェーン、レナータ、ボニーも、嘘を抱えつつ、それぞれの問題に直面し…。
【感想】
シーズン1に引けを取らない面白さ。
内容として、前回の「事件」の後日談。
主旋律は、義母役・メリル・ストリープが引っ張る。
ニコール・キッドマン演じるセレステから、2人の子どもを取りあげようとする裁判の行方。また、モントレー5のそれぞれの過去、抱えている問題があぶり出されてくる。
#1 「君はモントレー5だろ?」
「何それ」
「墜落現場にいた」
(中略)
「そう言われた」
「どんな口調で?」
「緋文字がついてるみたいに」
(ここで「緋文字」が引用されると言うことは、アメリカではポピュラー、と言うことなのでしょうね。日本では英文科出てるか、文学ファンしか知らないのでは?)
#6 セレステ:「私は弁護士です 自らを弁護する資格がある」
弁護士: 「あなたのためになるとは思えません」
セレステ:「これは私の闘いです(後略)」
#7 セレステ:「今度は私よ 反撃する」
【感想】2
今回も、音楽が良かった。
シーズン1では、Fleetwood Mac のDreams がよかった。
シーズン2では、#7のエンドロールひとつ手前で流れるHave you ever seen the rainがよかった。
歌手は違うけど、参考までにこんな曲・・・(ちなみに原曲はCCR、反戦歌と言われる)
Have You Ever Seen The Rain - CCR - Cover by Emily Linge - Bing video
別バージョン・・・
Kaleigh Glanton - Have You Ever Seen the Rain - Bing video
(のど自慢と思われるが、素人でも上手い方がいる・・・リアン・ライムスを思い出した。家族も大喜び)
【参考リンク】
ビッグ・リトル・ライズ(シーズン1)
「 エチュード春一番 第3曲 幻想組曲〈狼〉」荻原規子
シリーズ3冊目。
このシリーズ、前作2016年出版。
もう二度と続きが出ないのでは?、と心配していた。
このたび新刊が出版され、嬉しい驚きだ。
ネット上の紹介では、「平将門の時代にタイムスリップ」とあるので、読む前から期待が高まる。そして、予想に違わずおもしろかった。
もともと、著者は「勾玉シリーズ」「風神秘抄」と、歴史ファンタジーを得意としている。今回は、その面目躍如、と言ったところ。
P52
「菩薩がご本尊なら、お寺だよね。八幡宮は神社じゃないの?」
モノクロが気のない声で言った。
「八幡宮の神は、初めから神でもあり菩薩でもあるというふれこみだ。おぬしは日本の宗教が、明治維新が起こるまで神仏習合だったことを忘れているぞ。中でも八幡神は、歴史上真っ先に仏教と習合した神だった」
P234
「現代とはフェーズが違うんだよ。ええと、この時代にはユカラのように考える人間がまだたくさんいるから、人間サイドの事象がそのように映る。平安時代なら、呪法はハイレベルな戦法でもあったよ。朝廷のトップの人間だろうと、寺院に敵の調伏を依頼するくらいだ。調伏というのも呪詛の同義語だよ。仏教的に言い換えただけ」
P255
「守護神さま」
(中略)
「どうか私に力をお貸しください。木の女神さま」
(セリフの間に、ネタバレがある・・・だから(中略)にした。実際読んで、驚いてみて)
P311
八幡宮の禰宜に聞いた聞いた話を思い出す。薬師寺の隣に八幡宮が設置された事が、今では理解できるようだった。(本作品は、前作と繋がりがあった!独立した作品と思っていたが、違った。3巻目出版が遅れたのは、資料を消化するのに手間取ったのと、講談社タイガから角川文庫に移ったのと、両方の影響?あるいは、別の要因?)
【関連図書】
「エチュード春一番 第1曲」荻原規子
「エチュード春一番 第2曲 三日月のボレロ」荻原規子
【ネット上の紹介】
八百万の神・モノクロと共に平将門の時代にタイムスリップしてしまった美綾「「これぞ荻原規子。さすが荻原規子。本の中に引きずり込まれそう」八咫烏シリーズの阿部智里も大絶賛! シリーズ続編が書き下ろしで登場! 全く新しい解釈で日本の歴史を取り込んだ超ファンタジー!
カナダ・ドラマ「またの名をグレイス」をNetflixで観た。
2017年、カナダ作品。
原題:Alias Grace
全6話。1話43分-46分
実際にあった殺人事件をミステリ仕立てでドラマ化。
原作は、マーガレット・アトウッドの小説。
19世紀カナダが舞台。
【原作・ネット上の紹介】
殺人事件で犯人とされた美女は事件を主導した「魔性の女」だったのか、それとも歴史に翻弄された犠牲者だったのか。一九世紀カナダで起き、当時世界中で話題となった殺人事件の記録を素材に、巧みな心理描写を織りこみながら、ミステリー仕立てに、人間存在の根源を鋭く問いかける
以下、ネタバレありで注意。
精神科医サイモン・ジョーダンが刑に服しているグレイスの聞き取りをする、という形式でドラマは進む。グレイスは、家族でアイルランドから移民してくるところから語り始める。母は船の中で亡くなる。酒を飲んで暴力をふるう父から逃れるためトロントに行き、女中として勤める。その時グレイス12歳。(事件当時は16歳)
こうしてグレイスは、順を追って生い立ちから少しずつ語り初め、事件当日の核心に近づいていく。
ここで問題なのが、グレイスは真実を語っているのか、ってこと。
精神科医サイモン・ジョーダンが欲する「物語」を創作してるのか?
さらに催眠術で、多重人格とも言える「メアリー」が出現する。
これをどう判断するのか?
これもグレイスの演技なのか?
高レベルの作品、カナダドラマ侮れない。
P65
P97
*最初、ポテト飢饉でカナダに渡った、と思っていたが違う。
どうやら、グレイスの父親の暴力沙汰により、アイルランドを離れざるを得なかったようだ。でも、背景として当時、大量のアイルランド難民が押し寄せていた、という事実を押さえておく必要がある。
【原作】
物語が華やかになった気がする。(結やお梅さんだけでは、少しもの足りない)
幸と結が久しぶりに出会う――結のセリフ
P81
「そないな目ぇで、見んといておくれやす。同情やったら、要りませんよって」
(中略)
「私を憐れに思うてはるのなら、いずれ悔いることになりますやろ」
(この関西弁の心地よさが、高田郁作品の大きな魅力)
P122
「勧進相撲て、女子には見せまへんのやろ。それに勧進どころか、私はお相撲をまともに見たことがおまへんのや。(後略)」
幸が音羽屋に言う
P216
「商いには浮き沈みがつきもの。音羽屋さんこそ、本両替商の株をお売りになられるのなら、ご相談くださいませ。日本橋音羽屋と合わせて、買い上げを検討させて頂きますので」(冗談とは言え、幸の気概を感じる・・・なんとも豪気である)
【ネット上の紹介】
湯上りの身拭いにすぎなかった「湯帷子」を、夕涼みや寛ぎ着としての「浴衣」に──そんな思いから売り出した五鈴屋の藍染め浴衣地は、江戸中の支持を集めた。店主の幸は「一時の流行りで終らせないためにはどうすべきか」を考え続ける。折しも宝暦十年、辰の年。かねてよりの予言通り、江戸の街を災禍が襲う。困難を極める状況の中で、「買うての幸い、売っての幸せ」を貫くため、幸のくだす決断とは何か。大海に出るために、風を信じて帆を上げる五鈴屋の主従と仲間たちの奮闘を描く、シリーズ第十一弾!!
カナダ・ドラマ「アウトブレイク」をU-NEXTで観た。
2020年、カナダ作品。(カナダは公用語が仏語と英語)
原題:Epidemie(オリジナルは仏語なので、正確には、最初と2番目の”e”の上にアクサン・テギュが付く・・・こんなの「’」)
全10話。1話41分-43分
【ネット上の紹介】
カナダ・ケベック州モントリオールで、危険な未知のウイルスが先住民族・イヌイットのホームレスの人々の間で広がろうとしていた。緊急衛生研究所の所長であるアンヌ=マリー・ルクレール博士は、この伝染性が高い未知のウイルスの存在にいち早く気づき…。
2019年撮影、2020年はじめ公開で、「コロナを予見した」、と話題になった作品。
おそろしく精確な予言にびっくり。
マスクの不足、それを転売して儲ける者、イヌイットへの差別、特定地域への差別、医療従事者への負担、専門医の負担、人工呼吸器の不足、薬の不足、情報の不足、間違った情報が混乱を波及させる、風評被害・・・すべてが予言され、網羅されている。
私がよかったと感じたのは、次の点。
緊急衛生研究所の所長であるアンヌ=マリー・ルクレール博士のプロフェッショナルぶり。例えば、夫の浮気相手が感染する。夫を寝取った女にも、冷静に対処する。普通なら、「力が及ばず対処できませんでした」と不可抗力として見殺してもおかしくない。しかし、アンヌ=マリー・ルクレール博士は、最大限の努力をし、懸命に救おうとする。
つねに数字を把握して提供し、相手がパニックにならないよう落ち着かせる。
また感心したのは、何度も手洗いシーンが出てくること。特に、アンヌ=マリー・ルクレール博士は、いつも入念に手洗いしている。さらに「男の25%はトイレの後、手洗いしない」、と言っている。その手でドアノブなど触って、感染拡大の要因となったと指摘。
#2 「調査では7割のカップルが浮気してる」
#3 「すぐに4人を隔離して 今後は絶対に直接接触しないで 感染力が高い」
【語句の整理】・・・Wikipediaより
●「エンデミック(英: endemic)」は地域や季節的周期で罹患率が一定している状態をいい、しかも伝染病に限らない。
●「エピデミック(英: epidemic)」はエンデミックの範囲(地域的・季節的想定範囲)を越えてしまった想定外の状態をいう。
●「アウトブレイク(英: outbreak)」はこれらとは言語的に異なる概念であるが、特に感染が一定の地域を超えて拡大するエピデミックの前段階に、ある地域内で極めて異常な規模にまで拡大した場合に用いられることが多い。特に、病院などの医療機関において多数の感染者が発生することを指す。
●「パンデミック(英: pandemic)」は、原因の共通するエピデミックが世界の広範な地域で同時に発生している状態、または、アウトブレイクが長期に亘って多数の国・地域で連続的に発生している状態を指す。
今日からワクチン予約、受付開始。
9:00amを待って、すぐ電話した。
すると、「大変混み合っています、少し経ってお掛け直し下さい」、と。
何度か掛け直すが、つながらない。
10分後、電話すると、「予約は満了しました」、と。
なめとんのか~!、となった。
仕方ないので、通院している脳外科の総合病院に電話すると、「ワクチン接種は、やってません」、とのこと。
ネットで調べると、近所の眼科がやっていると判明。
直接出向いて申し込む・・・予約完了。
(最初から、こうしておいたら良かった)
1回目ー9月14日
2回目―10月5日
当日の持ち物=予約標、接種券、予診票、身分証明書
【備考】
接種した人に聞くと、注射したところがずっと痛い、とのこと。
うちのお婆さんは、何ともなかったのに・・・。人によって症状はいろいろ。
「ルノワール 小学館アーカイヴス 西洋絵画の巨匠」
↑『ポン・ヌフ」・・・一番好きなルノワール作品
「三銃士」では、この橋でダルタニアンとロシュフォール伯爵が出会う。
(「三銃士」ファンなので、昔この橋を訪問した際、感慨深く感じた)
上の絵では、きれいな橋のように見えるが、当時、ゴミと犬の糞だらけだった、と聞く。 ルノワールが美化して描いたのだろう。
↑『シャルパンティエ夫人と子どもたち』
左が長女のジョルジェット、中央が息子のポール・・・当時、男の子は5歳になるまで、女の子の格好をさせるのが一般的。長女が乗っている犬は高額、らしい。シャルパンティエ夫人がこの絵を見る人に披露したいものが、犬をはじめ緻密に網羅されている。(現代では、インスタグラムにアップする際、投稿者が、緻密に計算して画面を配置し、アピールするのに通ずるものがある)
こちら長女のジョルジェットの写真・・・写真より絵の方がやわらかい感じで良い・・・こちらも美化されている、と。
マネとモリゾの娘ジュリー・・・彼女が16歳の時に母が亡くなると、ルノワールは後見人となり、結婚するまで面倒を見たそうだ。(猫の表情がいい感じ)
PS【シャルパンティエ婦人の娘について追加情報】
この一家は没落して、ルノワールの絵も競売にかけたそうだ。
愛犬の背に乗り、弟を見つめていたジョルジェットは、すでにこの絵の母の年齢を越えていた。彼女は何を思っていただろう。物心つくころから緩やかに没落していった我が家。反比例するごとく世界的大画家に上りつめたルノワール。複雑な思いがあったに違いない。一方でしかし、売れない貧乏画家の才能を見出した両親の審美眼と、ルノワールの絵筆によって永遠の命を与えられた自分たちを誇りに思ったのではないだろうか。
「中野京子と読み解く運命の絵」よりP221
米ドラマ「ビッグ・リトル・ライズ」シーズン1をU-NEXTで観た。
原題:Big Little Lies =「ささやかで大きな嘘」
全7話。1話51分-59分
観るきっかけは、『ニコール・キッドマン、リース・ウィザースプーンがW主演&製作総指揮』、ってこと。これはすごいな、と。
リアーン・モリアーティの小説を2人が気に入ってドラマ化したようだ。
【あらすじ】U-NEXTの紹介文章
カリフォルニア州の海辺にある高級住宅街・モントレー。ある日、子供たちが通うエレメンタリースクールで、イベント中に謎の死亡事件が発生。そして、子供たちのささいなトラブルをきっかけに、偽りに彩られたママたちの嘘が炙り出されていく。
【受賞】
企画・製作総指揮・脚本はデヴィッド・E・ケリー。(アリー my Loveで有名)
第69回エミー賞で8つの賞を受賞した。
第75回ゴールデングローブ賞で4つの賞を受賞した。
第24回全米映画俳優組合賞で2つの賞を受賞した。
ニコール・キッドマンとアレクサンダー・スカルスガルドはエミー賞、ゴールデングローブ賞、全米映画俳優組合賞の3賞すべてで女優賞と男優賞を受賞した。
【感想】
構成が良かった。
全7話の初回で殺人事件が起きるが、誰が殺して、誰が殺されたのか明らかにされない。
最終回で、すべてが繋がり解明される。その間は、物語は過去にもどり、町の人たち、特にママ友交友関係が描かれる。入学式オリエンテーションで、新入生・アマベラの首に絞められた跡が見つかる。子ども同士のいじめと思われる。誰が首を絞めたのか、と言う質問に、アマベラは新しく越してきたジェーンの息子・ジギーを指さす。しかし、ジギーはやってない、と言う。母・ジェーンもそれを信じる。そこからママ友同士の確執、不信感がつのり、夫も巻き込んで争いが激化する。
内容として、上流社会、親の過干渉、教育問題、社会格差、ママ友同士のマウンティング、DVなど、先日観た韓国ドラマ・SKYキャッスルと共通する。
観ていて、韓国ドラマも米ドラマも変わらないな、と感じた。
違ってる点は表現、リアリティと過激さ。
①リアリズムの追求・・・車の事故シーンのリアリティはびっくり。
②性描写・・・さすが米ドラマ。韓国ドラマには、この露骨さはない。
③暴力シーンの過激さ・・・韓国ドラマだと、殴っても当たってないな、と分かる。
#1 入学説明会・・・原作は幼稚園となっているが、ドラマは小学校。
#2 過干渉の親はいわば”ヘリコプター”(セリフでは、きちんとHelicopter parentといっているのに、字幕では”ヘリコプター”と省略されている)
#3 ママは自分があきらめたキャリアを私に押しつけてるみたい
#6 人に不幸だと思われたら自尊心を保てないから
#6 演技は結婚の秘訣
#6 女ってのは許すことのできない生きものだ
【感想】2
ニコール・キッドマンは1967年生まれだから、当時50歳くらいのはず。若いときから美しかったけど、その容色は衰えていない。共演のリース・ウィザースプーンが1976年生まれだけど、同い年か、それより若く見える。ヌードシーンも贅肉なしでスレンダー。びっくりだ。
ところで、賞もとって、皆さん絶賛だけど、ところどころ退屈になったりする。7話まで観てはじめて面白さが生じる。途中であきらめないで。(見せ方、展開は、韓国ドラマの方が面白く感じる。米ドラマは、リアリズムにこだわりすぎか?)
【原作】
最初は子供同士のトラブルだった。海辺の公立幼稚園、園のパーティで聞こえるのは罵声と保護者の乱闘の音。そして一人が死亡した。事故か?殺人か?事の起こりは六カ月前、シングルマザーのジェーンの息子にいじめの嫌疑がかかった。本人は否定するが、保護者同士は険悪に。ジェーンは二人の友人と事態に立ち向かう。31カ国で翻訳、英米で150万部突破の傑作ミステリ登場。
中国ドラマ「理性的な人生」をNetflixで観た。
原題:「理智派生活」
(全35話、1話44-46分)
中国の「ホームドラマ」を探してるが、見つからない。
普通の人々がどう暮らしてるのか、知りたいから。
本作品は、ホームドラマじゃないけど、その一端を知ることが出来る。
舞台は上海。大企業のOLが主人公。
33歳から35歳までの年月が描かれる。
上海出身だが親元から独立して、ひとりで生活している。
母親は元高校教師で、今は書道教室で教えている。
父は外科医で、幼いときに母と離婚。
観ていて感じたのは、雰囲気として韓国ドラマと変わらない。
母親は、娘が大人になっているのに、必要以上に干渉してくる。
未婚だったら、結婚しろといい、結婚すると、子どもはまだか、と。
職場は男社会で、女性が管理職になるのは難しい。
ヒロインは実力では部長クラスだが、まだ主任どまり。
昇進しそうになるが、策略を仕掛けられ、はめられてしまう。
韓国ドラマでは、陥れられたら報復する。
本作品では、復讐せずに、和解したり、時期を待って我慢する。
これは、中国ドラマの特徴と思えない。
「ヒロイン演じるのが秦嵐さんだから」・・・というのが、私の考えた理由。
秦嵐さんは、「瓔珞」で善良な富察皇后を演じた。
そのイメージがファンに定着しているから、と思う。
ところで、秦嵐さんは40代。
それなのに、30代前半の女性を演じて違和感がまったくない。
若く見えるし、圧倒的な美貌だ。
女優というと、スン・リー、チャオ・リーインが有名だが、美しさでは秦嵐さんが№1、と思う。
#2 愛なんて誰も見たことがない亡霊よ
#14 彼は口先だけの男よ(中略)彼は北京では北京ダックを食べて 広州ではチャーシューを食べる 上海ではあなたのような小籠包をつまみ食いよ
#21 母親が結婚相談所に申し込む・・・年会費5000元
#23 幸せとはこういうこと”水の温度を自ら飲んで知る”
#28 いよいよ報復開始
「もう考えてあるの 彼らの天下も終わりよ」
「本気なの? かの有名な瓔珞のように復讐か」
(これにより、明らかに瓔珞を意識しているのが分かる)
#29 バツイチの男性は貴重な宝物 バツ2の男は雑草
#31 穹窿山(チオンロンシャン)に行くシーンがある
写真を撮るポーズで指ハートをしている
「ジェンダーで見るヒットドラマ」治部れんげ
タイトル通り、ヒットドラマをジェンダー視点で読み解く、という趣向。
例えば、SKYキャッスルでは――
P80
こうして、極端な教育ママや格差社会というテーマを掘り下げていくと「自分の人生を生きられない親」という根本問題に行き着くのです。
本作品で、取りあげられているドラマは次の通り。
参考までに、横に視聴可能な動画配信サービスを記載する。
(2021/08/15付、私の調べた最新情報)
【韓国】
愛の不時着・・・Netflix
よくおごってくれる綺麗なお姉さん・・・Netflix
SKYキャッスル・・・Netflix
椿の花咲く頃・・・Netflix
ミスティ・・・U-NEXT
私の名前はキムサンスン・・・Amazon
【アメリカ】
ザ・グッド・ファイト・・・Amazon
ハンドメイズ・テイル・・・hulu
ハウス・オブ・カード・・・Netflix
ビッグ・リトル・ライズ・・・U-NEXT
ホームランド・・・Netflix
サバイバー・・・Netflix
【日本】
半沢直樹/私の家政夫ナギサさん
きのう何食べた?
結婚できない男/まだ結婚できない男
カーネーション
【欧州・カナダ】
アウトブレイク・・・Netflix、U-NEXT
アンという名の少女・・・Netflix
アンオーソドックス・・・Netflix
コペンハーゲン・・・Netflix
またの名をグレイス・・・Netflix
【感想】
とてもよかった。
ジェンダーという視点を通してるけど、普通に、面白そうな作品が紹介されていて参考になる。
残念な点は3つ。中国ドラマにまったく触れていないこと。(いったいなぜ?・・・日本作品を削除してでも、とりあげて欲しかった)
「マーベラス・ミセス・メイゼル」を取りあげていないこと。
「コペンハーゲン」は、この名称で検索しても出てこない。”BORGEN”というタイトルに変わっている。
あと責めているわけではないが、Netflix収録作品がほとんどで、偏りを感じた。
【参考文献】・・・次の作品が参考図書として挙げられている。
「自由論」
「教科書にみる世界の性教育」
「韓国社会の現在」・・・これは読書済み、とてもよかった
「あやうく一生懸命生きるところだった」
「女たちの韓流」
「朝ドラには働く女子の本音が詰まってる」
【参考リンク】
「韓国社会の現在」春木育美 -
「となりの韓国人」黒田福美
「「不時着」しても終わらない」黒田福美 -
【ネット上の紹介】
ベタ設定の「愛の不時着」はなぜ世界でヒットしたのか?「半沢直樹」のパワハラがいまだにウケる日本はヤバイ!?欧米ドラマで夫がすぐに捨てられる理由は?韓国ドラマの姑はなぜしつこいのか?―エンタメ性の高い連続ドラマには、必ずその国の世相が反映される。いまやビジネスにも家庭円満にも欠かせなくなった「ジェンダー視点」でドラマを見れば、世界のいまも見えてくる。韓国「椿の花咲く頃」「SKYキャッスル」、アメリカ「ハンドメイズ・テイル」「ザ・グッド・ファイト」、カナダ「アウトブレイク」、欧州「コペンハーゲン」、そして日本「きのう何食べた?」等々、世界各国から選んだ22本のドラマを、業界随一のジャナーリストがジェンダー視点で読みとく。楽しく読んで、そして見て、ジェンダー観をアップデート!
序章 ジェンダーでドラマを見ると社会がクリアに見えてくる(ストーリー展開をジェンダー視点で見る
ところで、ジェンダーって、なんだっけ? ほか)
第1章 ジェンダー意識の高い韓国ドラマは厳しい格差社会の反動?(総論:社会的テーマを正面から描く韓国ドラマ
世界中を惹きつけたケアするヒーローと自立したヒロイン 愛の不時着 ほか)
第2章 経済と性暴力の問題を統合するアメリカドラマ(総論:「人権」と「経済」が地続きのアメリカドラマ
BLM、#Me Too、大統領弾劾…「トランプの時代」に挑んだ女たちの法廷ドラマ ザ・グッド・ファイト ほか)
第3章 稼ぐ女性は見ていて辛い!?日本ドラマのジェンダー・ステレオタイプ(総論:二者択一の価値観の残る日本ドラマ
大ヒットドラマで見る「すべてかゼロか」を迫る日本社会の闇 半沢直樹/私の家政夫ナギサさん ほか)
第4章 欧州とカナダのドラマに見る自己決定と幸せの相関(総論:幸せになるために必要な「自分の人生を自分で決める自由」
新型コロナの“予言ドラマ”が提示した女たちのプロフェッショナリズム アウトブレイク―感染拡大 ほか)
韓国ドラマ「SKYキャッスル」をNetflixで観た。
2018年作品、全36話、1話27-38分
SKYキャッスルとは、高級住宅地の名前。
そこには、エリート、上流階級のみが居住している。
プロローグとして、恵まれた夫人の自殺から始まる。
息子は失踪、夫も姿をくらます。
いったいこの一家に何が起こったのか?
空き家となった邸宅に、童話作家のイ・スイムと医師のファン・チヨン夫妻が引っ越してくる。ここから本格的に物語が回り出す。
この夫婦は教育に関しては放任主義。子どもの自主性に任せている。
ところが、SKYキャッスルの住人たちは過剰に教育熱心。当然軋轢が生じる。
各家庭には、受験生がおり、名門進学校に通っている。
そこに、”コーデ”と言われる入試コーディネーターの存在が浮かび上がってくる。しかも、合格率100%、と噂される。
母親の受験情報戦が描かれ、教育問題を正面から扱った作品。
さらに、夫婦のありかた、旧態依然とした儒教社会、競争社会、格差問題も提示している。堅苦しく感じるかもしれないが、そこは韓国ドラマ。
エンタメとして、見事に盛り上げてくる。
最高視聴率は、24.6%。(ちなみに「愛の不時着」は21.6%)
騙されたと思って、観てみて。
いままで観た韓国ドラマの中でもトップクラスの面白さ。
#9 ハンムラビ法典は 報復でなく 目には目だけ 歯には歯だけ
公平な対価を払えと説いているの
#17でヘナがソジンとイェソの家に同居する・・・このあたり韓国ドラマらしい盛り上がりだ。日本ドラマでは、こんな展開はない、と思う。