【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

「イルカの家」ローズマリー・サトクリフ

2015年05月31日 20時38分20秒 | 読書(小説/海外)


「イルカの家」ローズマリー・サトクリフ

十六世紀のロンドンが舞台。
孤児となった少女タムシンが、おじさんの家に引き取られるところから始まる。
「黄金の日々」・・・読んでいてそんなフレーズが頭に浮かんだ。
活気あふれるロンドンの風景が、タムシンの視点から生き生きと描写される。
それだけでも読む価値有り。

P108
六月の香草市場は、金色の花でうめつくされます。チェルシーの野で子どもたちが摘んだタンポポの花が運ばれてきて、町の人に売られるのです。デボラおばさんは、金色の花でうまった香草市場を見て、言いました。
「ああ、今年もまた、タンポポのお酒を作る季節になったのね」
(タンポポのお酒、ってポピュラーなものなんですね?!レイ・ブラッドベリの創作かと思っていた)
《ベスト版》文学のおくりもの<br> たんぽぽのお酒 (ベスト版) 

PS
「イルカの家」は、だいぶ前に購入した本。
積んでおいたのを、フト読みたくなった。
著者は、あの有名な ローズマリー・サトクリフ。
このような作品も書くんですね。

【ネット上の紹介】
十六世紀、大航海時代のイギリス。孤児となった少女タムシンは、ロンドンのおじさんの家に引き取られる。船乗りになって大海へ出たいという叶わぬ夢と、自分の居場所を失った悲しみとを胸に秘めて…。にぎやかなロンドンの下町で、日々のささやかな喜びと充足をを糧に生きる、多彩な人々。その姿を温かな共感とユーモアを交えて綴った本書には、サトクリフその人が、色濃く映し出されている。


「対論・異色昭和史」鶴見俊輔/上坂冬子

2015年05月27日 21時00分32秒 | 読書(昭和史/平成史)


「対論・異色昭和史」鶴見俊輔/上坂冬子

確かに異色対談。
鶴見俊輔さんと上坂冬子さんで共通項目があるのか?
意見がかみ合うのか?
私は知らなかったのだが、上坂冬子さんは元々『思想の科学』出身。
『思想の科学』は鶴見俊輔さんが丸山真男さんらと立ち上げた。
すなわち、鶴見俊輔さんが上坂冬子を見いだして育てたようなもの。
少なくとも、切っ掛けを与えた。これは重要。
立場と主張を異にするようになっても、鶴見俊輔さんは上坂冬子をかわいがっていたように感じる。
上坂冬子も憎まれ口をたたきながらも、慕っていた。
少なくとも、この対談を読む限り、そのように感じる。

まぁ、そんなことより、実際の対談を一部紹介する。
歴史秘話ヒストリアじゃないけど、エピソード満載。

P102
鶴見:天皇の人間宣言の原文は英語ですよ。あの英語に強い印象を受けた。それもアメリカ人が関与する前に首相の幣原喜重郎が書いたんだ。彼は非常に英語がうまい。明治10年代に習った英語です。だから『天路歴程』のバニヤンや『ガリバー旅行記』のスウィフトなんかをきちんと読んでいる。人間宣言は17世紀のとんでもなく古い英語が原典になっているんですよ。
(中略)
上坂:天皇制を温存しようというのは、最初からアメリカの方針だったんでしょうか。
鶴見:違います。私が都留重人さんから聞いたところによると、途中から変わったという。開戦後にすぐ委員会ができて、日本をどうするかと検討した文書が残っていますけど、まず、この国は工業をつぶしたら立ちゆかないとはっきり書いてある。日本にとって必要最小限の工業が検討されていたわけだけど、その時の最長老の委員はヒュー・ボートンという農民一揆の研究者なんだ(笑)。200年くらいのスパンで見てたんだなぁ。

P105
鶴見:皇室に美智子さんが入ったのはいいことです。彼女は立派だ。
 実家は群馬県館林市の裕福な商家です。伯父さんの正田健次郎さんはドイツに留学して、自分では商売をやらず、数学の業績で阪大に呼ばれて学長になった。おじいさんは醤油屋です。そのおじいさんが、粉を持って軽井沢の私の家にきていました。
上坂:そんな頃から鶴見家と正田家とは関係があったんですか。
鶴見:そう。だから私も玄関先で正田家のおじいさんと会っています。戦争中に話したこともある。だけど美智子嬢に白羽の矢が立った時にお母さんは非常に悩みました。ロシアの歴史を知っているから、とばっちりを食って嫌な目に遭うんじゃないかって。

P110-117
憲法9条についての論争・・・読んでみて(鶴見俊輔さんと上坂冬子さんの意見は真逆)
また、P109では東京裁判について触れている。
共和党のH・タフト(ジュニア)が「retroactive law」、つまり「不遡及法」だと反対した話。
オランダのレーリンク判事がヨーロッパの法の精神に反すると悩み、広田弘毅の死刑に反対した話。

石川皐月さんの村八分騒動。
P123-124
鶴見:日本人が崇めるアメリカ流のデモクラシーのもとには、アメリカの魔女裁判がある。あれはハンチントン舞踏病が原因だった。二千年、三千年と続いてずーっと遺伝する病気です。それは医学的にもわかっている。これがキリスト教信仰と結びついて魔女として隔離することになり、しまいには焼き殺すことになってしまった。あの残酷に比べれば、村八分は相対的に正しい。焼き殺したりせず、あくまでも二分の余裕を残すという点で、あれこそ本来の苦い民主主義なんだと思う。
上坂:二分残すというところがですか。
鶴見:そう。二分というのは、まず水。水は断たない。もう一つは葬式の手伝い。
上坂:お葬式は手伝うわけですね。
鶴見:田植えは手伝わないけど、葬式の時はまわりが手伝いに出る。その二分残すところが、西洋の魔女裁判よりすごいわけ。千年の日本のデモクラシーは、たかだか二百年のアメリカ流デモクラシーを超えるんだ。

アメリカの原爆投下について
P132-133
鶴見:アメリカ大統領は、今日に至るまで誰1人として「我々は取り返しのつかない大罪を犯しました」と世界に向かって正直に詫びる勇気を示さなかった。アメリカって国は、大バカ野郎になってしまったんだよ。

P135-136
鶴見俊輔さんと上坂冬子さんの“馴れ初め”について触れられている。


鶴見俊輔さんが墓参りをする、と話をすると、上坂冬子さんが突っ込む。
P232
上坂:意外にご立派ですね(笑)。
鶴見:お袋に殴られて育っているから、それくらいの常識や根性はあります。
上坂:父上や母上の墓参りもなさるの。
鶴見:しますね。
上坂:誰でもまともなところが一つはあるのね。(笑)。

・・・鶴見俊輔さんも上坂冬子さんにかかると、ボロかす、である。
私は、この2人の仲の良さに驚いた。
鶴見さんの包容力というか、小さな子供がいたずらをしても許してしまうような親心に感心した。
2009年4月14日、この対談のあと上坂冬子さんは肝不全で亡くなられた。78歳。(合掌)

【おまけ】
心情として、私は上坂冬子さんを好きになれない。
しかしながら、その数々の著作、業績に対しては、敬意を表せずにいられない。

【ネット上の紹介】
雑誌『思想の科学』への投稿がきっかけで交流が始まった二人。半世紀ぶりに再会し、語り合った昭和の記憶とは?「戦時体制にも爽やかさがあった」と吐露する上坂氏に対して、「私もそう感じた」と応える鶴見氏。一方で、「米国から帰国したのは愛国心かしら?」と問う上坂氏に、「断じて違う!」と烈火のごとく否定する鶴見氏。やがて議論は、六〇年安保、べ平連、三島事件、靖国問題へ。護憲派、改憲派という立場の違いを超えて、今だからこそ訊ける、話せる逸話の数々。「あの時代」が鮮明によみがえる異色対論本。

[目次]

第1章 戦時下の思い出(戦時体制の爽やかさ
張作霖爆殺事件の号外 ほか)
第2章 戦時体制化の暮らし(翼賛議会に異を唱えた「一刻」な議員たち
ハーバード大学で都留重人と出会う ほか)
第3章 戦後日本をあらためて問う(八月十五日の記憶
ラク町のお時 ほか)
第4章 「思想の科学」の躍動ぶりと周辺の事件(ノーマン自殺の真相
跡取り息子の座からはずされた都留重人 ほか)
エピローグ 教育とは、そして、死とは(デューイと親交のあった校長先生の話
林竹二の授業について ほか)


「掏摸」中村文則

2015年05月26日 21時03分33秒 | 読書(小説/日本)


「掏摸」中村文則

純文学系の作家だけど、ほとんどエンタメ。
それでいて、深みもある。
とても面白かった。
大江健三郎賞を受賞し、各国で翻訳されたベストセラー、とのこと。
それも納得、である。

天才スリ師が主人公。
東京都内の電車や路上を「仕事場」としている。
ある日、最悪の男に出会ってしまう。
「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。逃げれば、あの女と子供を殺す」、と。
いったいどうなるのか、と気になって一気読み。

息子に万引きさせる母子の描写
P32
女が子供をぶった。周囲が振り返る中、しかし子供は笑みを浮かべた。あの子供の感じているのは恥なのだろうと思う。自分は親から、そのような扱いをされる子供ではないと周囲に主張し、また、自分の親もそのような親ではないという、親の恥を隠そうとする、反射的な笑いのように思えた。

【ネット上の紹介】
東京を仕事場にする天才スリ師。ある日、彼は「最悪」の男と再会する。男の名は木崎―かつて仕事をともにした闇社会に生きる男。木崎は彼に、こう囁いた。「これから三つの仕事をこなせ。失敗すれば、お前を殺す。逃げれば、あの女と子供を殺す」運命とはなにか、他人の人生を支配するとはどういうことなのか。そして、社会から外れた人々の切なる祈りとは…。大江健三郎賞を受賞し、各国で翻訳されたベストセラーが文庫化。 


ほしだカップ2015

2015年05月25日 07時55分24秒 | クライミング(コンペ、国体)

ほしだカップ2015の結果をリンクしておく。

ほしだカップ2015 結果速報版

【参考リンク】
昨年と一昨年のリザルトもリンクしておく。 

⇒ほしだカップ2014リザルト

→ほしだカップ2013 - 大阪府山岳連盟


ueda君仏日記

2015年05月20日 22時15分34秒 | クライミング(一般)
ナカガイジム・スタッフのueda君。
現在フランスで奥さんとクライミング中。
約3ヶ月の日程、モナコ→ヴェルドン→セユーズ 、と移動しながら登る、と聞いている。
現在はヴェルドンで奮闘中。
私の周りで、最近ヴェルドンで登った、って話を聞かない。貴重な資料になる、と思う。
ueda君は、マルチ、クラック、山岳とオールラウンドに活動されている。
そういうのを見ると、応援したくなる。 (夫婦円満がクライミングの秘訣か?)
5/15.16 VERDON
5/12.13 VERDON
5/9.10 VERDON
5/6.7 Saint Leger
5/3.4 Saint Leger
4/30.5/1 Saint Leger
4/27.28 Saint Leger
4/24.25 Saint Leger
4/23 Mont Ventoux
4/21.22 Saint Leger
4/18.19 Saint Leger
4/14.15 MONACO Peillon
4/10.11 MONACO La Turbie.Peillon.
4/7.8 MONACO La Turbie
4/4.5日 Monaco La Turbie
4/2 出発!

「虹」周防柳

2015年05月19日 22時21分03秒 | 読書(小説/日本)


「虹」周防柳

周防柳さんの新刊・・・今回はミステリ、である。
シングルマザー・晶子の一人娘が自殺してしまう。
なぜ?
疑問を持った晶子は、探偵を雇う。
娘と付き合っていた男の居場所を突きとめる。
そして、彼のアパートの近くに引っ越し、同じコンビニで働きだす。
約350頁の厚さの本を一気読みさせる手腕はさすが。
絶妙な文章、巧みな構成、である。

探偵と晶子の会話
P154-155
「どうして遺書がないか?」
「ええ」
須臾の沈黙があった。
「自殺する人間は遺書を書くってのは大いなる誤解でね。書かないで死ぬ人のほうが多いくらいなんだ」
――え。
「そうなんですか」
「だから、うちみたいなところへの依頼も多い」

P155-156
「だから、あの人はどうして死んだのかと問うのは不毛だよ。いみない。どうしてもこうしてもない。死にたい人間はどうやったって死ぬんだ。こんなことまでするかってまわりが驚くくらいのことをしてまで死ぬ。止められない」
(中略)
「じゃ、周囲の人間はどうやっても無力なんですね」
からだじゅうの力が抜ける気がした。
すると、たしょう押し戻す気配が起こった。
「いや、理由はあるんだよ。だけど――、地震みたいなものでね」
おかしな比喩が出た。
「え」
「予知できない。予防もできない。あとづけしかなくて、なにを言ってもあとの祭りだ」

【おまけ】
例によって誤植を見つけた。
P277
(誤)またあるいみのポイントなんだろうじゃない。
 ↓
(正1)またあるいみのポイントなんじゃない。
(正2)またあるいみのポイントなんだろう。

【蛇足】
それにしても、多彩である。
「八月の青い蝶」
「逢坂の六人」
そして、「虹」
う~ん・・・才能がありすぎる、ってのも困りもの?
多才すぎて、作品も多彩。
読者としては嬉しいけれど、もう少し路線を絞ってもいいのでは?
今回の作品は、桐野夏生さんが描きそうな内容。(「柔らかな頬」とか)
周防柳さんが描くべき作品なのか?とか・・・。(余計なお世話)


「八月の青い蝶」周防柳
「逢坂の六人」周防柳

【ネット上の紹介】
晶子は離婚したのち、一人で子育てをし、やがて娘は大学生となった。ところがある日突然、その最愛の娘が溺死体として発見される。いったい何が起きたのか? 小説すばる新人賞作家が描く、衝撃作。


ドアフォン修理完了

2015年05月18日 22時02分58秒 | 身辺雑記


ドアフォン修理完了。
代替で2週間様子を見た。
問題発生せず。
 ↓
基盤の問題であろう、と。
部品箇所を確定して、基盤交換。
部品代・・・2400円
技術料・・・3100円
出張料・・・2500円
総合計・・・8000円+消費税640円=8640円

これで、音が出る・・・一安心。
(あとは、呼び出し音が出ない携帯をどうするか?)


「浅田次郎とめぐる中国の旅 『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』『中原の虹』の世界」

2015年05月16日 10時46分28秒 | 読書(エッセイ&コラム)

 浅田次郎とめぐる中国の旅―『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』『中原の虹』の世界
「浅田次郎とめぐる中国の旅 『蒼穹の昴』『珍妃の井戸』『中原の虹』の世界」

 中国に造形が深い著者が、自著に絡めて、見所を紹介する企画作品。

装飾用の瓶の金メッキの傷についての説明・・・これはアロー号事件のときに、紫禁城を勝手に占領した英仏連合軍の兵士たちが、自分たちの銃剣でそぎ取っていったあと、だと。
P25
もしかしたらそのあとの義和団事件のときも同じことが重ねられたかもしれません。略奪をほししままにして、金メッキまではぎ取って持っていったということなんですね。いかに今の歴史が西洋史観に基づいているかがわかりますね。日本人が中国で悪いことをしたということはみんなが責めるんだけども、イギリスやフランスが中国で悪いことをしたことについては、なかったことになっている。恐らく中国人の人も、皆さん教えられてなくて知らないことかもしれないし、ガイドさんのそういう説明というのも、ぼくはあまり聞いたことがないです。

どうして西太后は悪女のイメージになったのか?
ヨーロッパ、特にイギリスの植民地政策の中で生まれた伝説なのではないか?
P80
侵略するためには大義名分が必要ですから。つまり現在の悪い王を倒して自分たちが国民を解放するのだと。アメリカとイラクに似ていますね。ブッシュにとっては、どうしてもフセインは悪者でなければならないわけだから。

江青女史について・・・明治大学教授の張競氏のコメント
P90-91
気性が激しくて人との関係がうまくいかなかったんです。最後に刑務所で自殺したのも象徴的で、自分の娘、毛沢東との子供と口げんかして自殺した。ただ、時代が移るとだんだん別の面も現れてくるもので、共産党の幹部などにいわせると彼女は非常に上品で、いい趣味をしていたという話も出てきています。元が映画女優ですから西洋的なものも知っているし馴染んでいるんです。いつも毛沢東のことを「土包子(トウパウツ)」、つまり田舎者といってバカにしていたそうです。

【蛇足】
例によって、誤植を見つけた。
P165
袁世凱 東華門外で刺客に教われるも難を逃れる(誤)

袁世凱 東華門外で刺客に襲われるも難を逃れる(正)

【ネット上の紹介】 
『蒼穹の昴』『中原の虹』完全ガイドブック 浅田次郎氏が見どころを解説する紫禁城ツアーや北京の歩き方。小説の世界がビジュアルで立ち上がる、読んで、見て楽しむガイドブック。ファン、旅行者必携です。
[目次]
1 紫禁城(エッセイ 正大光明
浅田次郎と紫禁城を歩く ほか)
2 北京(北京中心部地図
北京広域地図 ほか)
3 満洲へ(エッセイ 英雄たちの囁き
瀋陽市街地図 ほか)
4 万里の長城(華北地方の長城を訪ねる
インタビュー 浅田次郎、歴史小説を語る ほか)


「ひとりではじめたアフリカボランティア」栗山さやか

2015年05月13日 21時41分23秒 | 読書(海外事情)


「渋谷ギャル店員ひとりではじめたアフリカボランティア」栗山さやか

当てのない旅に出て、地の果てに流れ着き、現地の人を助けながら生活する。
それが、この本の著者、である。

2006年、25歳で日本を出発。
アジア、アラブ諸国、ヨーロッパと60ヶ国を巡り、アフリカに到着。
エチオピアの医療施設でボランティア活動をしたことが運命を変えてしまう。
もっとアフリカについて知りたい、と。
アフリカでも貧しく危険度が高いモザンビーク。
北部の小さな町に住みつき、1人でNPOを立ち上げ、2015年の現在も活動中。

P150
隣国のスワジランドにある宿のポスターには、モザンビークに行く時の注意点として、「マラリア・地雷・警察官」と書かれていました。

P210
昔、想像していた自分の未来図――、日本で就職して、日本で生活していくという将来とは違う生き方を今は選んでしまっていますが、どこであってもまだ生きていて、いつもの夜が来て、いつもの朝が来ることをとても幸せに感じます。

「なんにもないけどやってみた」とダブる箇所もあるが
こちらの方が、最初から現在までの経緯が説明されている。
全体の流れが分かりやすく書かれている。
未読の方は、こちらから読んだ方がいいかもしれない。
表紙写真を見て、軽いノリの印象を持たれるかもしれない。
とんでもない。著者は妙に「死」と親和性がある。
多くの方の死が描かれるが、行間にレクイエムを感じた。

【総括】
世の大多数と異なる原理で行動されている。
世間の人は、楽をしたい、ご馳走を食べたい、幸せで平穏な人生を送りたい、と。
誰が艱難辛苦の人生を望むだろうか?
だから、圧倒される。
ひたすら頭が下がる。
一度読んでみて。

【参考リンク】
2011年12月7日、「なんにもないけどやってみた」を紹介した。
エチオピア医療施設でのボランティア活動を中心に書かれている。
「なんにもないけどやってみた」栗山さやか


【ネット上の紹介】バックパッカーとして、約六十か国を旅してたどりついたアフリカ・モザンビーク。毎日のように、たくさんの人たちが貧しさや病気で苦しみ、死んでいく現実を目の当たりにした彼女は、女性や子どもを支援する協会「アシャンテママ」をたったひとりで設立した。目の前で苦しむ友達を助けたいという一心で、ひたむきにとりくむ彼女の姿は、現地の人たちの心を動かしていく―。
[目次]
第1章 日本を出たきっかけ
第2章 世界を旅する
第3章 エチオピアでの医療ボランティア
第4章 未知の世界アフリカ
第5章 モザンビーク共和国の現状
第6章 アシャンテママ 


「最貧困女子」鈴木大介

2015年05月11日 21時19分49秒 | 読書(風俗/社会/貧困)


「最貧困女子」鈴木大介

2015年「新書大賞」5位。
「貧困」がテーマ。
気になっていたので読んでみた。

読んで驚く。
これが「福祉国家」日本の現状なのか?!、と。
「生かさぬよう、殺さぬよう」という言葉が思い浮かぶ。
「健康で文化的な生活」とほど遠い世界。
日本アンダーワールド、である。

貧困とは何か?・・・「三つの無縁」「三つの障害」から貧困に陥る
P10-11
三つの無縁とは、「家族の無縁・地域の無縁・制度の無縁」
三つの障害とは、「精神障害・発達障害・知的障害」

P94
「最初の人は、値切られて5000円だった。出会い系って言っても、いろいろの人がいるよ。身の上とか子供のこと話したら黙って3万くれた人もいたし。変なクスリ飲まされて縛られて、寝ている間に中だしされたこともあるし、殴ったり蹴られたりしたことは数え切れないぐらいある。私、可愛くないからね」

P128
AVのモデルプロダクション社長に、こうした障害のあるAV嬢というのは結構な数がいるのかと聞いたところ、「いわゆる三大NGの現場(ハードSM、アナル、スカトロ)にいる。特にスカトロのAVに出ている女優の半数は知的障害だ」という回答があった。

PS
読んでいて気が滅入ってくる。
感情移入しすぎると鬱になりそうだ。

【参考リンク】
鈴木大介『最貧困女子』

【ネット上の紹介】
働く単身女性の3分の1が年収114万円未満。中でも10~20代女性を特に「貧困女子」と呼んでいる。しかし、さらに目も当てられないような地獄でもがき苦しむ女性たちがいる。それが、家族・地域・制度(社会保障制度)という三つの縁をなくし、セックスワーク(売春や性風俗)で日銭を稼ぐしかない「最貧困女子」だ。可視化されにくい彼女らの抱えた苦しみや痛みを、最底辺フィールドワーカーが活写、問題をえぐり出す!

[目次]
第1章 貧困女子とプア充女子(貧困女子=小島涼美さん(23歳)の場合
「わたしは犬以下」 ほか)
第2章 貧困女子と最貧困女子の違い(「最貧困女子」は、セックスワークの底にいる
清原加奈さん(29歳)の場合 ほか)
第3章 最貧困少女と売春ワーク(なぜ家出少女たちは売春の世界に吸収されていくのか
「非行少女」から始まる ほか)
第4章 最貧困少女の可視化(ふんわり系美女の副業
地方週一デリヘル嬢 ほか)
第5章 彼女らの求めるもの(加賀麻衣さん(21歳)の場合
母親がケツもちで売春の勧め ほか)


「天井の虹」

2015年05月09日 21時49分48秒 | 読書(マンガ/アニメ)

里中満智子さんの「天井の虹」が、三浦しをんさんによって紹介されている。

連載開始から30年以上かけて、23巻で完結した、と。


「蒼穹の昴」浅田次郎

2015年05月07日 22時20分08秒 | 読書(小説/日本)



「蒼穹の昴」浅田次郎

全4巻の大作。
清朝末期が舞台。
西太后、李鴻章、袁世凱・・・歴史上の人物が生き生きと活躍する。
大陸を舞台に、これだけのスケールの作品は少ない。
浅田次郎さんの筆力はすばらしい。
相当な資料を読みこなして、本作に臨んだ、と思われる。
当時の雰囲気を味わえるだけでも、価値がある。

2巻P120・・・軍閥について
こうして、天津の総督府を本拠としたまま、政府の権威すら及ばぬ、国家としてのすべての機能を持った「北洋軍」は完成されたのである。自給自足のできる軍隊――すなわち「軍閥」である。

2巻P129・・・殖産産業について
「(前略)わが大清国の経済的困窮は、何も老仏爺の濫費のせいではないよ。農本主義の限界、租税の徴収と塩の専売のみで国家経済を自立させようとする考え方の限界なのだ。飢饉となれば国まで飢える。よしんば豊作が続いたとしても、それらの利益はおびただしい中間搾取を受けていたずらに地方官吏や郷紳層の私服を肥やしているのが現状であろう。(後略)」

2巻P350
甲午の役は日本と清国の戦ではなかった。李鴻章の私兵と日本との戦いだった。日本ではあの戦争を「日清戦争」と呼ぶらしいが、とんでもない。あれは「日李戦争」だった。

3巻P225
・・・香港の租借期限、1997年6月末日となった経緯が書かれている。
(読んでみて)

なお、この作品は、次の通り続く。
「珍妃の井戸」1巻
「中原の虹」4巻
「マンチュリアン・リポート」1巻

PS
本作品の素晴らしいところは、西太后の「悪女」としてのイメージを覆したこと。
私に中国近代史の知識があればもっと楽しめた、と思う。
今後の課題として残った。

【ネット上の紹介】
汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう―中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児は、占い師の予言を通じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀に従って都へ上った。都で袂を分かち、それぞれの志を胸に歩み始めた二人を待ち受ける宿命の覇道。万人の魂をうつべストセラー大作。


「少年事件」

2015年05月06日 20時14分39秒 | 読書(ノンフィクション)

「少年事件」について・・・

「心にナイフをしのばせて」奥野修司


鯉のぼり

2015年05月05日 12時41分28秒 | お出かけ

今日はこどもの日。
鯉のぼりを見に行ってきた。
場所は摂津警察の前にある大正川。
ここの良いところは、高槻市の芥川のように混雑していないこと。
芥川は、別の用事で近くを通ったことがあるが、大渋滞であった。
大正川は、閑散・・・という表現が悪ければ、三三五五、と言ったところ。
人混みが苦手な方にはありがたい場所である。


PS
クライマーなら、群馬県神流町の鯉のぼりを思いだすだろう。
初めて二子を訪問したときに、神流町の鯉のぼりを見て感激した。(25年くらい前)
鯉のぼりまつりH26 - 神流町観光サイト


「健康で文化的な最低限度の生活」(2)柏木ハルコ

2015年05月04日 20時54分22秒 | 読書(マンガ/アニメ)

柏木ハルコさんの「健康で文化的な最低限度の生活」が紹介されている。

生活保護に至る背景も、「自己責任」か「社会のせいか」などと二者択一で判断できない。(中略)
柏木さんは個々人の事情をつぶさに描写することで、そこに一石を投じた。
ビッグコミックススピリッツ<br> 健康で文化的な最低限度の生活 〈1〉 

「健康で文化的な最低限度の生活」(1)柏木ハルコ
「健康で文化的な最低限度の生活」(2)柏木ハルコ