スマホの”auPAY”が、開かなくなった。
(セキュリティ上の都合としてこうなるらしい)
まず「Wi-Fiをoffにしてください」と表示され、
次に「VPNをoffにしてください」と表示される。
Wi-Fiは、「設定」からすぐoffに出来る。
VPNも、「設定」からoffにできるけど、すぐonに戻ってしまう。
そこでauショップに行って、解除方法を聞いてきた。
原因は、セキュリティソフトだった。
【解除方法】
セキュリティソフトを開いて、次に「web脅威対策」を開く。
開くと、「VPNオン」の画面が出てくるので、中央をタッチ。
するとoffになって、onに戻らなくなる。
これで、”auPAY”を開くことができる。
これから3ヶ月に1回、この手続きをふむ必要がある。
関係ないけど、待ち受け画面はフラ・アンジェリコの『受胎告知』。
特に意味はない。
今さら子宝に恵まれても困るし。
「男たちの大和 決定版」(上)(下)辺見じゅん
著者については、「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」を既に読んでいるので、
取材能力、力量は相当なものと認識している。
読んでいて、「やはりすごいな」と改めて感じた。
(上)P118
井上成美(しげよし)は、米内光政が海軍大臣の時代に軍務局長を務め、海軍次官だった山本(五十六)を加えて、海軍省の左派トリオと称された。
「山本さんはなぜ、海軍は対米戦争などやれない、やればかならず負けますと、あのとき答えなかったのだろうか」
(上)P125
この米内と井上成美に山本を加えた三人が、三国同盟問題をはじめ、戦争回避に志を同じくして抗戦派の陸軍と激しく対峙したことが公になったのは戦後のことである。井上成美に対しては年下の友人という意識が強かったが、米内光政と山本は、盟友と呼んでもさしつかえない時期を過ごしている。
(上)P226
たとえ保有燃料の節約のためとはいえ、最も大事なときに速力16ノットで走り、払暁の対潜警戒時でさえ18ノットで敵潜水艦に先を越され待ち伏せされたのは、重大なミスであった。このとき、敵潜水艦は速力19ノットで追跡していた。
しかも、潜水艦に弱い巡洋艦を旗艦にし、艦隊先頭に対潜警戒のための前衛駆逐艦を配置する用意もなかった。レイテ沖海戦の緒戦はその後も大きく響いただけに、艦隊司令部の対潜水艦への状況判断の甘さはいかんともしがたい。
(上)P367
「要するに、死んでもらいたい。一億総特攻の規範となるよう、立派に死んでもらいたいのだ」
草鹿参謀長は言った。
「それならば何をかいわんやだ。よく了承した」
伊藤司令長官は、答えた。
ただし、一つだけ条件があると言い、
「もし、征途の半ばで艦隊が大半を失い、沖縄突入ができなくなったときは、指揮官として作戦の変更をしてよいか」
と念を押した。
ただ一人の乗組員たちも無駄死にさせたくないという思いが言外にこめられていた。
(下)P27
明治38年、アナポリスの海軍兵学校を卒業して間もないニミッツは、少尉候補生として戦艦「オハイオ」に乗り、日本を訪れている。日露戦争が終わってすぐのころだっただけに、日本海海戦で勝利を収めた東郷は、ニミッツにとって憧憬の対象だった。園遊会で東郷を遠くから眺めていたニミッツは、候補生を代表して、
「われわれのテーブルで歓談して下さいませんか」
おずおずと申し出た。
東郷は快く話をしてくれた。
(後に、ニミッツは太平洋艦隊司令長官、兼、太平洋戦域最高司令官となる)
(下)P60
艦長は茂木史朗航海長に、
「艦を北向きにもっていけ」
と命令した。
死者を北枕にして寝かす慣習にならって、沈没する前に艦首を北に向けるようにとの指図と思われる。
(下)P89
「おい、みんな、艦と運命を共にせい」
花田掌航海長が叫んだ。
高地たちは互いに、体を舵輪へくくりつけた。
伝声管を通じて防空指揮所にその騒ぎが伝わったのか、有賀艦長からの声が聞こえた。
「馬鹿なことをするな。助かる者は助かって次の戦闘に参加せい」
高地たちは、舵輪にくくったロープをほどいた。
(下)P102
呉は海軍の町だ。なぜ、呉にいて陸軍憲兵隊が横暴なのか、また、海軍がそれを黙ってみているのか不思議だった。その後、海軍に入った水野は、陸海軍と陸を上にいう理由を、軍の成立を通して知った。やはり、陸軍の方が力をもっていた。
(下)P106
「大和の艦体が真っ二つなったときの火炎の熱さは30有余年経っても忘れられない。天から艦体の大小種々雑多な破片が、ハンドレールが、機銃の一部が、砲塔の一部が降ってくる。思わず、鉄兜を頭につけた」
山本五十六長官の言葉
(下)P328
長官は実に聞き上手な人だった。あるとき内田は長官にそのことを言った。
「それはね、きみ、人間は山、川でくるのがいいんだよ」
「山、川といいますと・・・・・・」
「人間は一本調子でしゃべってはだめなんだ」
長官は噛んで含めるようにいった。
「人間はね、山や川や平地があるようにしゃべらないとね。知ってることでも、ときにはフーンととぼけれ、しっかり相手の考えてることを聞いてやることだよ。相手に話す間を与えてやらんとね。自分ばかりしゃべっては、何もわからなくなる。これはね、きみ、人間はそのしゃべり方でわかるということなんだ」
(下)P356
数年前、内田は台湾に行ったとき空港の警報装置に引っかかった。三名の係員が内田を裸にした。全身の傷跡やひきつれに言葉もなかった。
「戦争ですか」
係員は流暢な日本語で訊ねた。
「そうですがな、戦艦大和に乗っとりました」
内田は答えた。
三人の係員は、瞬間、敬礼をした。
【コメント】
著者・辺見じゅんさんは、角川春樹氏の実姉。
だから、映画化に向け角川春樹氏は尽力した。
2005年に映画公開されたが、「大和」どころか、「宇宙戦艦ヤマト」さえ知らない若者世代になっていた。それでも、興行収入 50.9億円(東映の興収ランキング2位)観客動員数 400万人は立派。
【参考図書】
「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」辺見じゅん
「よみがえる昭和天皇 御製で読み解く87年」辺見じゅん/保阪正康
【ネット上の紹介】上巻
昭和十六年十月、極秘のうちに誕生した、不沈戦艦「大和」の予行運転が初めて行われた。同十二月、太平洋戦争突入。そして戦況が悪化した昭和二十年四月六日、「大和」は三千三百三十三名の男たちを乗せ、沖縄への特攻に出撃した。日本国と運命を供にした「大和」の過酷な戦いと男たちの人生を、丹念に、生々しい迫力をもって描く、鎮魂の書。新田次郎文学賞受賞作。
【ネット上の紹介】上巻
沖縄への特攻に出撃した翌日、昭和二十年四月七日十四時二十三分、戦艦「大和」、米航空機部隊の攻撃により沈没。死者三〇〇〇余名。東シナ海の海底に散る…壮絶な「大和」の最期と生存者、遺族の戦後を描き切り、日本人とは何かを問う、戦後ノンフィクションの金字塔。
【上巻目次】
1章 神話
2章 待機
3章 海戦
4章 特攻
【下巻目次】
5章 爆沈
6章 桜
7章 鎮魂
鳴門で温泉に入ってきた。
遊覧船で渦潮も見てきた。
(たまにこういった気分転換は必要)
うずしお汽船=遊覧船は1600円
高速観潮船◎うずしお汽船◎http://www.uzushio-kisen.com/
↑ 渦の道=橋の下を歩けるようになっている、510円
大鳴門橋遊歩道 渦の道 | 大鳴門橋45mより見下ろす迫力の渦潮
鳴門グランドホテル海月|徳島・鳴門のホテル (naruto-grandhotel.com)
(ここに泊まるのは2回目、温泉、食事、部屋、3つとも及第点、海が見える)
年末に来たときは、家族連れが多い、と感じたけど、
今回は、熟年夫婦の宿泊が多かった。
若者カップル、子連れは、少なかった。
観光施設 |鳴門市うずしお観光協会 (naruto-kankou.jp)
「闇金ウシジマくん」逃亡者くん編
ウシジマくんとエザキは、マサルを追いつめていく。
舞台は東京から沖縄へと移動。
沖縄は超格差社会だ。
平均所得は最底辺なのに高額納税者の割合が地方都市では一番多い県だ。
米軍の演習場で空薬莢拾ってクズ鉄屋に売ってたおじぃ時代よりマシだが、
金がねー奴は本当に金がねー。
「杏奈ちゃんパンツ見えてる」
「見せてるのだ-」
杏奈再び登場!
「~のだー。」という独特の話し方をする。
杏奈と一緒にいるのが、沖縄地元風俗嬢・のどか。
夫のDVと母親の借金に苦しんでいる。
*逃亡者くん編は、単独で読んでも面白いが、
ヤクザくん編からの続きなので、あらかじめ読んでおいた方が事情が分かる。
また、なぜ杏奈が沖縄にいるのかは、フーゾクくん編を読んでおいたら分かる。
「封印されていた文書(ドシエ)」麻生幾
昭和の重大事件が取りあげられ、掘り起こされている。
P392
金丸:北海道を始めとする道路や空港の建設、整備新幹線の建設など国の発展につながる基礎整備など大規模公共事業に私が全力を傾けていたので、ゼネコン関係などからは感謝されていました。またいわゆる建設族であるととともに、運輸族、郵政族であったことからも、毎年のお歳暮やお中元に裏献金を頂いていとではないかと思います。
下山事件の頃の警視庁
P400
1係は「殺し」、2係は「タタキ(強盗)」、3係は「進駐軍(連合軍)関係の犯罪」と別れていた。現在の捜査第1課では20もの係に分かれ、計約240名の捜査員が存在することと比べれば、まだ戦後の混乱期であるとはいえ、現在の所轄警察署並みの陣容だった。
ミグ25が函館に強行着陸した事件
P503
「亡命の理由、率直に聞かせてもらいないか?」
ベレンコは語った。
「軍では全く昇格しなかったし、同期の連中が昇格してゆくのに、自分がいかにホサれていたか」
「それだけか?」
「ベレンコは1度口を閉じた後、淡々とした口調で言った。
「それに妻にも我慢ならなかった・・・・・」
(亡命の理由が妻への腹いせ、って?!・・・日米露軍事衝突で、あやうく第3次大戦か!って言われたのに)
【ネット上の紹介】
ホテルニュージャパン火災と戦った消防隊の秘められたオペレーション、あさま山荘事件で封印されていた死闘の真実、そして三菱銀行「梅川事件」の鬼気迫る犯行内容―日本人を驚愕させたあの事件は、重大な事実が伏せられていた!トップ・シークレットを追って、衝撃的な文書や証言を引き出し、10大事件の全貌と真相に迫った傑作ドラマ。
序章 アメリカ同時多発テロ―封印されたはずの文書
三菱銀行事件犯人「梅川昭美」VS大阪府警捜査第1課
幻のオウムVS自衛隊治安出動
あさま山荘銃撃攻防―未公開資料の全貌
ホテルニュージャパン大火災埋もれたままの消防隊六百七十七名全記録
特捜部VS田中総理 知られざる密室の攻防
ペルー日本大使公邸事件―存在しなかった「国家の決断」
金丸逮捕劇の知られざる真実
下山事件50年目の解決
ベレンコ亡命で第3次世界大戦への悪夢
北朝鮮「侵入船」を迎え撃った緊迫の8時間
「ぼっち死の館」齋藤なずな
老・病・死がテーマ。
団地を舞台に、独居老人群像が描かれる。
(フェイスブックについて)
ちょっとリアジュウの見せ合いみたいなとこがあって苦手だなあ。
あそこの住人はビンボーで1人暮らしのお年寄りばっかり。
私も含めて。
結婚って しないのも大変だけど しても大変ね
「DJJ?」
「ダンカイ ジーンズ ジジイ。
年くったことに気づかず 若い時のまま安物ジーンズ はき続けてる団塊!」
妖怪・件(くだん)について
死ぬ間際に必ず当たる予言を残すと言われてますよね
【感想】
2018年に「夕暮れへ」という短編集が上梓された。
特に良かったのが次の2作品。
「トラワレノヒト」
「ぼっち死の館」
本作品は、その「ぼっち死の館」も収録されていて、
さらに後日談も描かれている。
「ぼっち死の館」は小学館で、「夕暮れへ」は青林工藝舎。
出版社が異なるのに、こういうことが出来たのは、「取引」がなされたのでしょう。実際、「ぼっち死の館」の後頁や帯に、青林工藝舎の広告(「夕暮れへ」「ダリア」)が掲載されている。
いずれにせよ、われわれ読者は作品を楽しむだけ。
文句なく今年のベスト。
「夕暮れへ」齋藤なずな
【参考評論】
学習院大学教授の中条省平さんも絶讃している。
【齋藤なずなさんの他作品】・・・こちらも傑作
「バカと無知」橘玲
皇族の一人が複雑性PTSDと診断されたこと
P98
いちばんの問題は、皇族やその関係者には、直接反論したり、裁判で名誉毀損を訴えることが事実上、封じられていることだ。これは反撃でいない者を徹底的にいたぶるのと同じで、「集団リンチ」以外のなにものでもない。
さらにグロテスクなのは、「あんな男と結婚したら不幸になると、善意のアドバイスをしただけだ」などと述べる者がいることだ。そもそもなぜ、わずかな税金を払っているというだけで、見ず知らずの他人の恋愛や結婚に口出しする権利があるのか。
P101
日本がどんどん「貧乏臭く」なっていく課程と、2000年以降の兼韓・反中の排外主義の急速な広がりは見事に一致している。(中略)日本人の自尊心が揺らいだことでしか説明できない。
P126
50メートル走で最下位だったコドモに1位のトロフィーを渡しても足が速くなるわけではない。「ほめて伸ばす」という教育方針のバカバカしさはこれに似ている。
自尊心が高いのは良いことか?
P127
自尊心が高いと浮気や離婚が多い(関係を続けるより別の相手を探す)とか、ジコチューでまわりに気を使わずに嫌われるなど、マイナスの効果も明らかになっている。
以上をまとめると、「自尊心が高くてもなにもかもうまくいくわけではないく、教育や子育てで自尊心を高めようとすると、かえってヒドいことになる」という話になるようだ。
P133
美人は平均より8%収入が多く、不美人は4%少ないという。
一般に思われているように、外見が魅力的だとさまざまな場面で得をする。だが本人たちは、それが日常なので、いちいち自分が幸福だとは思わないらしい。
ボランティア活動の効用
P157
善意の名を借りて無力の人間をサポートする側に回ることは、自尊心の低いひとにとって、それを引き上げるもっとも簡便な方法なのだ。
P257
脳はビデオカメラのように、起きたことを正確に記録し、いつでも再生できるようにしているわけではない。脳にハードディスクが埋め込まれているのではなく、なんらかの刺激を受けたとき、そのつど記憶が新たに想起され、再構成される。
記憶はある種の「流れ」であり、思い出すたびに書き換えられているのだ。
【参考図書】
著者は、このところ評論やコラムが中心だが、以前は、小説を書いていた。
私は、けっこうその小説が好きだった。
また書いてくれないかなぁ。
「マネーロンダリング」橘玲
「タックスヘイヴン」橘玲
「永遠の旅行者」橘玲
「ダブルマリッジ」橘玲
「言ってはいけない 残酷すぎる真実」橘玲
「橘玲の中国私論 」
「80’s」橘
「朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論」橘玲
【ネット上の紹介】
正義のウラに潜む快感、善意の名を借りた他人へのマウンティング、差別、偏見、記憶…人間というのは、ものすごくやっかいな存在だが、希望がないわけではない。一人でも多くの人が「人間の本性=バカと無知の壁」に気づき、自らの言動に多少の注意を払うようになれば、もう少し生きやすい世の中になるのではないだろうか。科学的知見から、「きれいごと社会」の残酷すぎる真実を解き明かす最新作。
1 正義は最大の娯楽である(なんでみんなこんなに怒っているのか
自分より優れた者は「損失」、劣った者は「報酬」 ほか)
2 バカと無知(バカは自分がバカであることに気づいていない
「知らないことを知らない」という二重の呪い ほか)
3 やっかいな自尊心(皇族は「上級国民」
「子どもは純真」はほんとうか? ほか)
4 「差別と偏見」の迷宮(無意識の差別を計測する
誰もが偏見をもっている ほか)
5 すべての記憶は「偽物」である(トラウマ治療が生み出した冤罪の山
アメリカが妄想にとりつかれる理由 ほか)
「なんで家族を続けるの?」内田也哉子/中野信子
「家族」をテーマにした対談。
内田也哉子さんは樹木希林さんと内田裕也さんの娘。
19歳で本木雅弘さんと結婚。
早生まれなので、中野信子さんと同学年。
P26
「人間だけが同性愛をするかというと、そんなこともなくて、例えばアホウドリのカップルって、3分の1はレズビアンなんです。」
「どうやって子孫を残しているんですか?」
「と思うでしょ。そのときだけオスと浮気するんですって。」
P54
お父さんから受け継ぐ部分と、お母さんから主に受け継ぐ部分というのは、遺伝的に偏りがあるんですよ。知性はお母さん。(中略)
内蔵などの、他の身体の部分はお父さん。(中略)
情動の部分もそうかもしれない。情動脳の部分はオス側の遺伝子が発現しているらしいので。
P61
広く浅くタイプのAVPRは、男性が持っている場合は「離婚遺伝子」といわれ、女性が持っている場合は「不倫遺伝子」といわれます。(中略)
つまり、「貞淑」になる遺伝子と、「不倫」を好む遺伝子がある。(中略)
しかし実は、貞淑型と不倫型の人数の割合はおおむね5対5と推測されています。ということは、もともと一夫一婦制の結婚には向いていないタイプが人口の半数ほどいるということなんですよ。
P100
私、惰性というのは大事だと思っているの。「惰性で続いている」というのは収まるべきところに収まった、という意味でしょう。
P102
欧米の離婚率は日本より低いのかといったら、高いんだよね。ハグやキスといったスキンシップを大事にしていても破局を迎えるのだから、あまり意味がないんじゃないかと言いたい。(でも、ハグの瞬間は幸福感を得られる・・・それなりにメリットはあると思える。日々の生活は小さな事の積み重ねだから)
P120
SARSもMERSも、コロナウイルスの一種です。私は対処がきちんとできさえすれば、必要以上に怖がることはないという意見です。とはいえ重症化しそうだ、となったらすみやかに救急医療をうけることができる体制づくりは急がれますよね。
P128
人間は身体と脳の発達のバランスもあまりよくないですよね。身体が生殖に向いているのは二十代かもしれないけれど、脳が子育てに適した状態になるのは四十代ぐらいだということを示すデータがあります。
P130
愛は、環境が整わないうちは人類にとって子育てに有益なものだったけれど、人類は環境をかなり整えて、テクノロジーも発達させた。現代はもう、愛が毒になる時代が到来しつつある、と考えているんです。(中略)
べつに産むな、育てるなと言っているわけではないんですが。向いている人もいれば向いていない人もいるのだから、無理して愛をこじらせ、親子共に苦しむくらいだったらテクノロジーを利用したらいいのでは、と言いたいんです。
【ネット上の紹介】
樹木希林と内田裕也の娘として生まれ、家族団欒を知らずに育った内田也哉子。自身は十九歳で結婚、三児の母として家族を最優先に生きてきた。一方、中野信子は巨大なブラックホールを抱えてきた。その原点は両親の不和の記憶だった。家族に苦しむすべての人に贈る、経験的家族論!
プロローグ 家族のカタチ
はじめに 晒された家族
第1章 What is Family!?
第2章 毒親、不倫。そして私たちの結婚
番外編 中野信子の人生相談に内田也哉子がお悩みを投稿
第3章 出産、子育ては女が担うものなの?
第4章 女をやめたくなったことある?
第5章 イエ制度と夫婦別姓とドラッグと
第6章 What is Happiness?
おわりに 脳科学から見た家族
「古川柳おちぼひろい」田辺聖子
P34
長病みに女衒の見える気の毒さ
男の子は丁稚、女の子は大店や武家へ行儀見習いの女中にゆくが、これが品下ると、女の子は六つ七つから遊里で養われるようになる。(中略)
禿というのは、六つかせいぜい十二三までの童女で、遊女の身のまわりの用をする給仕のようなものである。これも長ずると一人前のおいらんになるのである。
P101
間男の来べき宵なり酒肴
これはむろん、古歌の「我が背子が来べき宵なりささがねの蜘蛛の行ひこよひ著しも」からとっている。「日本書紀」によれば、允恭天皇は絶世の美女衣通姫を妃とされたが皇后の嫉妬をはばかって遠い離宮にお置きになった。(川柳にも本歌取りがあったのね。間男の川柳、けっこう多い。江戸は男女比に偏りがあり、圧倒的に男性が多い。結果として少ない女性を取り合った。あぶれた男性は吉原に行くか、我慢するか・・・)
P118
させもせずしもせぬ二人名が高し
男の女ぎらい代表選手が弁慶とすると女の男ぎらい代表は小野小町ということになっている。小町は口碑俗説によれば穴なしといわれていて、これはいかに美女でも物の役に立ちがたい。(中略)私の思うに小町にふられた男のいやがらせである。男を知らぬ情け知らずの女が、あんな情緒纏綿たる恋歌をよめるわけはない。(中略)義経と(弁慶が)ホモだちであったというのは「吾妻鏡」にも「義経記」にも載っていないので、これまた推測の域を出ない。
P124
ほとんど句によまれないのに、頼朝がある。頼朝は、徳川家康と同じく、全然おもしろくない人間であって、からかう材料にこまるらしい。
P217
傾城を買ふと男が生きてくる
遊里の洗礼を受けて、はじめて男が一人前の戦士として社会に送り出される、という社会。
戦闘員と非戦闘員(つまりオトナとコドモ)、それから、男と女。シロウトとクロウト。非売品と売品。野暮と通人。金持と貧乏人。強者と弱者。
その区別がハッキリしている世界なのだ。
それは、男性文化の特徴である。(中略)
女房はすつぽん女郎はお月さま
これも男性文化の中でいうから、おかしい味になるのだ。こう威張る男、以前に朝帰りの句で拾ったように〈朝帰り命に別儀ないばかり〉――この句も女性文化の時代に作られたのでは面白くもおかしくもない。――しかく、現代の川柳がむつかしい岐路に立っているのは、現代が女性文化の時代だからではあるまいか。
P232
ひる過ぎの娘は琴の弟子も取り
ハイ・ミス(=ひる過ぎの娘)は、つれづれなるままに、お琴の弟子を取ったりしている。たぶん、この頃のひる過ぎは、21、2であろうか、現代なら娘ざかりであるが、200年前の娘の婚期は17、8だから、20すぎて、白歯でいると、目立ったろう。
P235
親爺まだ西より北へいく気なり
西は仏さまの極楽だが、北はこの世の極楽、吉原をさす。
【感想】
笑いは、その時代にリアルタイムで聞かないと分からないことが多い。流行もあって、50年前の漫才を聞いても面白くなかったりする。読み解くにも、教養が必要。直感で分かるくらいの素養が欲しいものだ。