【ぼちぼちクライミング&読書】

-クライミング&読書覚書rapunzel別館-

ワールドカップ第5戦6月2日開幕

2018年05月31日 20時35分17秒 | クライミング(コンペ、国体)

ワールドカップ第5戦6月2日開幕、という記事。(2018.5.31)
朝日新聞で、これほど大きく取り上げられるとは。
少し前までマイナーなスポーツだったのに。(胡散臭く見られていた時代がなつかしい)


「銀色の絆」雫井脩介

2018年05月29日 20時04分39秒 | 読書(小説/日本)

「銀色の絆」雫井脩介

フィギュアスケートの話。
藤里梨津子は離婚して娘の小織とともに名古屋へと転居。
フィギュアスケートの名コーチに師事することになる。
フィギュアスケート表の世界と裏側が描かれる。

どうだろう、面白いのかな、と思って読みだしたが、杞憂であった。
本書も一気読みの面白さであった。

P13
小織がマスターしている三回転ジャンプは、トウループとサルコウである。その頭があるから、トウを突いて跳んだ三回転ジャンプはトウループ、突かずに跳んだ三回転ジャンプはサルコウだと勝手に思っていた。

P101
もちろん、いくら身体能力に優れていても、いい演技ができるとは限らないのがフィギュアスケートだ。ジャンプ一つ取っても、高く跳ぶことより、シャープな軸を作って素早く回転することのほうが重要であったりする。脚力だけでなく、全身の筋肉が統一性を持って、わずかな無駄もなく連動することが大事なのだ。

【蛇足】
娘にフィギュアスケートを習わせるのって、これほど大変とは思わなかった。
私にはとうてい無理…。(娘いないけど)
いたとしても、習わせようと思わない。
せいぜいクライミングでしょう。(安上がりだし)

【他の作品】


それにしても多彩なジャンルを描かれる作家だ。
どれも面白い。
でも、一番面白いのは「引き抜き屋」かな。
「引き抜き屋 鹿子小穂の冒険」(1)雫井脩介
「引き抜き屋 鹿子小穂の帰還」(2)雫井脩介
「クローズドノート」雫井脩介
「 犯人に告ぐ」雫井脩介
「犯人に告ぐ」(2) 雫井脩介

【ネット上の紹介】
夫の浮気で離婚、娘の小織とともに名古屋へと転居し、無気力な日々を送っていた藤里梨津子だったが、フィギュアスケートの名コーチに小織の才能を見出され、娘を支えることに生きがいを感じ始める。スケートクラブ内の異様な慣習、元夫の会社が倒産したため途絶えた養育費、練習方針を巡るコーチとの軋轢―人生のすべてを懸ける梨津子の思いに、小織はとまどいながらも成績を上げていき、やがて…。フィギュアスケートの世界を舞台に母と娘の絆を描く、著者渾身の長編小説。


「犯人に告ぐ」(2) 雫井脩介

2018年05月28日 19時56分08秒 | 読書(小説/日本)

「犯人に告ぐ」(2) 雫井脩介

引き続き続編を読んだ。
再び誘拐事件発生。
誘拐というと警察と犯人の攻防になるが、
本書の特色は、被害者家族も警察を欺こうとする点。
いったいどう決着がつくのか?
犯人側の心理は背景も詳細に描かれ、作品に深みを与えている。
初巻同様一気読み。

【おまけ】
「犯人に告ぐ」初巻=2004年
「犯人に告ぐ」2=2015年
初巻から10年以上空いていることが分かる。
(3)はあるのだろうか?
この終わり方は、続きを予感させる。期待したい。

【ネット上の紹介】
警察、犯人、被害者家族―前代未聞の騙し合いが始まる!巧妙に仕組まれた“誘拐ビジネス”。神奈川県警を嘲笑うかのような闇の犯行に、異色の捜査官・巻島史彦警視が再び立ち向かう。累計135万部突破の大ヒット警察小説、待望の第2弾!


「 犯人に告ぐ」雫井脩介

2018年05月27日 07時32分28秒 | 読書(小説/日本)


「 犯人に告ぐ」雫井脩介

「週刊文春ミステリーベストテン」第1位になった作品。
遅れ馳せながら、読んでみた。
さすがに面白い、一気読みであった。

連続児童殺害事が発生するが、捜査は行き詰まってしまう。
その打開のため、巻島警視がTVに出演して犯人に呼びかける。
前代未聞の劇場型捜査がこうして始まった。

P257
「人を叩き過ぎちゃあ、いかんのです……」
 振り返ると、津田が後ろ手を組んで佇んでいた。
「叩けば誰でも痛いんですよ……」
 夜空を見ながら独り言のように言う。
「痛そうじゃないから痛くないんだろうと思ったら大間違いだ……それは単にその人が我慢してるだけですからな」

【ネット上の紹介】
闇に身を潜め続ける犯人。川崎市で起きた連続児童殺害事件の捜査は行き詰まりを見せ、ついに神奈川県警は現役捜査官をテレビニュースに出演させるという荒技に踏み切る。白羽の矢が立ったのは、6年前に誘拐事件の捜査に失敗、記者会見でも大失態を演じた巻島史彦警視だった―史上初の劇場型捜査が幕を開ける。第7回大薮春彦賞を受賞し、「週刊文春ミステリーベストテン」第1位に輝くなど、2004年のミステリーシーンを席巻した警察小説の傑作。


「労働者階級の反乱」ブレイディみかこ

2018年05月24日 20時22分10秒 | 読書(海外事情)

「労働者階級の反乱」ブレイディみかこ

ブレグジットという言葉がある。BrexitBritain+exitである。
2016年、国民投票では僅差で英国はEU離脱となった。
この背景と、その後をリポートした作品。
また、トランプ現象とEU離脱は、同じポピュリズムの流れで論じられたが、それってどうなの?
Bregret=ブレグジット+Regret(後悔)というけど、彼らは離脱を後悔してるの?
気になる案件を分かりやすく解説。

P23
英国のブレグジットが、「労働者たちの反乱」といわれるほど、労働者階級の人々に支持されたのに対し、米国のトランプ大統領は、じつは貧しい層には支持されなかったことが明らかになっているのだ。

P28
彼ら(英国労働者階級)はトランプを支持した米国の人々とは異なり、政治の経験も乏しいのに奇抜な政策を唱えるような人物を国のトップにするようなリスク・テイカーではないのだ。

P59
『ワイフ・スアップ』は、2004年から2013年までのあいだ、チャンネル4で放送された人気シリーズで、実在するリアルな2つの家庭の母親を入れ替えて、1週間生活させてみるというリアリティー番組である。(中略)
 それが4年ぶりに、単発特別番組として『ブレグジット・スペシャル』を放送したのだ。(これは興味深い。日本でもテーマを変えてやってみてはどう?モニタリングやドッキリなんかより、よっぽど面白いんじゃない?)

P172
第一次大戦が始まると、中流・上流の家庭から、召使いたちがいなくなった。若い女性たちが軍需工場に集められたからだ。

P173
戦時中に軍需工業で働いた女性たちは、戦争が終わっても召使いの仕事に戻りたがらなかった。工場で働く女性たちは、メイドを自分たちよりも劣る存在と見なしていたし、第一次世界大戦は、若い労働者階級の女性たちにとって、階級社会の不平等を切実に考える機会となったのだった。(ちなみに「エマ」は19世紀末が舞台。メイドになるかガヴァネスになるか…選択は少ない→「奇跡的めぐりあわせ」 http://bbkids.cocolog-nifty.com/bbkids/2009/11/post-d027.html#more


EU離脱の原因は何?
P273
日本の多くの人々は、「欧州の危険な右傾化」と「ポピュリズムの台頭」が原因であるというところで止まってしまい、「緊縮が理由などと書くのは、右傾化した労働者階級を擁護することになり、レイシスト的だ」と苦情のメールが来た。

P186
1928年の第5回選挙法改正で、ついに21歳以上のすべての女性に選挙権が与えられたのである。(1918年の改正では、30歳以上の納税している女性にしか選挙権が与えられなかった)。(選挙権はともかく、被選挙権って私のような者でも立候補できる…通らないけど。これってどうなの?って思う。日本国憲法を理解し、法律、歴史、経済…それなりの知識は、政治家に必要と思う。共通一次じゃないけど、試験をして、その点数を選挙ポスターに記載するくらいの措置をしてもいいんじゃない?)

【蛇足】
英国には愛憎相半ばするものがある。
好きかと聞かれて、素直になれない。
英文学、ブリティッシュロックは、好きなので影響を受けた。
けれど、世界史を見ると、どうだろう?
中東、アフリカ、アジアで彼らがしたことは。
植民地の宗主国として彼らはどうだったのか。
イギリス人がいなかったら、もう少し平和だったのでは?と思ってしまう。
でも、これを極めていくと、地球にとって人類ってどうなの?って話になるのでキリが無い。
人類は悪性腫瘍なので、地球が免疫として戦争を起こして人類を減らしている、と。
…などという、うがった、こざかしい事は考えないようにしている。(今日は独白が多くなってしまった。妄言多謝 )

【ネット上の紹介】
英国在住、「地べたからのリポート」を得意とするライター兼保育士が、労働者階級の歴史と現状を生の声を交えながら伝える
第1部 地べたから見たブレグジットの「その後」(ブレグジットとトランプ現象は本当に似ていたのか
いま人々は、国民投票の結果を後悔しているのか
労働者たちが離脱を選んだ動機と労働党の復活はつながっている ほか)
第2部 労働者階級とはどんな人たちなのか(40年後の『ハマータウンの野郎ども』
「ニュー・マイノリティ」の背景と政治意識)
第3部 英国労働者階級の100年―歴史の中に現在が見える(叛逆のはじまり(1910年‐1939年)
1945年のスピリット(1939年‐1951年)
ワーキングクラス・ヒーローの時代(1951年‐1969年) ほか)


「花のお江戸で粗茶一服」再読

2018年05月21日 19時42分40秒 | 読書(小説/日本)


「花のお江戸で粗茶一服」松村栄子

昨年11月に出版された作品。三部作の最終刊。
昨年再読し、今回再度読み返した。
やはりおもしろかった。

P392
「昔から雪は〈六つの花〉と言いましてね。こんな日には、もうそれ以上花はいらないってね。千利休の師である武野紹鴎というひとは、雪の茶会に花を一枝も入れず花入れだけを置いたそうですよ。有名な故事です。洒落てますわね」(「テレプシコーラ」のヒロインの名が「六花」と書いて、「ゆき」と読ませる。そういうことだったのか)


【おまけ】
「明日町こんぺいとう商店街」---架空の商店街を舞台にしたアンソロジーで、「粗茶一服」のスピンオフが掲載されている。
佐保が登場していい味を出している。
本編は終了してしまったので、このような外伝の形でも続いてほしい、と思う。




【ネット上の紹介】
弓、剣、茶の「三道」を伝える“坂東巴流”の嫡男・友衛遊馬、二十歳。家出先の京都から帰還するも、家元でさえ副業しなければ家族を養えない貧乏流派ゆえ、働き口を探してこいと言われてしまう。建造が始まったスカイツリーの警備員に収まるが、周囲からは「あそこの跡継ぎはダメだ」と後ろ指を指され、ガールフレンドとの仲も“行き止まり”。冴えない日々の中、曲者ぞろいの茶人武人にやりこめられながら、遊馬は自分の進むべき道をぐるぐると探しつづける。明日が見えないあなたに贈る笑えて泣けて元気になれる物語。


磐船神社

2018年05月20日 20時45分13秒 | 登山&アウトドア(関西)

私市→ほしだ園地→磐船神社に行ってきた。

有名な星のブランコ…今日は空いていた(紅葉シーズンは大混雑)

磐船神社には、有名な「岩窟めぐり」(500円)がある。
コースタイム30分から45分とあるが、私のタイムで10分くらい。
狭い岩をくぐり抜けるので、巨体の人や閉所恐怖症の方は避けた方が良い。
増水時は危険なので行われない。
汚れてもOKな服装で参加すること。雨天や雨後はどろどろになるかも。
ザックを背負っているとくぐり抜けることが出来ないので受付に預ける。
撮影禁止となっていたので写真はない。

2018年4月18日朝日新聞の記事

【資料】
9:40自宅出発(自転車で)~京阪枚方市駅10:15~京阪私市駅10:30(210円)
 ↓
10:20私市駅-ピトンの小屋(クライミングウォール)-星のブランコ-やまびこ広場-八ッ橋-磐船神社-13:20私市駅…ハイキング約3時間)
 ↓
14:30自宅到着


「石つぶて」清武英利

2018年05月19日 20時36分13秒 | 読書(犯罪)


「石つぶて」清武英利

外務省の「機密費」というタブーに挑んだ刑事たちを描いたノンフィクション。

P40
「ざぶん」と「どぼん」。接待用語である。
(中略)
「ノーパンしゃぶしゃぶ」という接待もあった。(大蔵官僚の接待として有名になった…大蔵大臣、大蔵省事務次官、日銀総裁が辞任に追い込まれた)

P69
「その顔だけで恐喝罪になるんじゃないか。歩く恐喝だよ。中島さん」
(どれだけ怖い顔の刑事なんだ。犯人もすぐ自白してしまうかも)

P110
外務省は紳士ぞろいに見えるが、実は女性関係に寛大で、不倫が咎められない役所になっていた。
(中略)
「女でしくじるキャリアは実に多かったです。キャリアがそうだから、別にノンキャリがしくじったって問題にされない。在外勤務をするとカネはできるし、しくじっても偉くなる芽が摘まれてしまうわけでもないから、女にはみんなだらしなかったですね」

P160-161
「税金よりも刑事事件のほうが優先しますから。もし、捜査しているのが汚職事件であれば、なおさら様子をみるしかない。汚職で得た資金は課税しません。警察が立件すれば、その賄賂資金は後で国に没収されるからです。これまで賄賂金まで追徴課税できたのは、ロッキード事件の田中角栄だけですね」

P322-323
確かに、警視庁の一人ひとりの刑事の能力は検事たちに比べると劣っているように見える。(中略)石つぶてのように力のない集団だ。それでも彼らには蟻のような人海戦術がある。無名の石ころの力を集めることで、霞ヶ関の底知れぬ腐敗に光を当てることができる。

【参考】
著者の清武英利さんの作品では、過去に「プライベートバンカー」を読んだことがある。
こちらもよかった。

「プライベートバンカー」清武英利

【ネット上の紹介】
消えた10億円。沈黙する官邸・外務省。「機密費」という国家のタブーに挑んだのは、名もなき4人の刑事だった。人間の息遣いが聞こえるヒューマン・ノンフィクション。
序章 半太郎
第1章 捜査二課の魂
第2章 浮かび上がる標的
第3章 地を這う
第4章 情報係とナンバー
第5章 パンドラの箱
第6章 聖域の中へ
第7章 涜職刑事の誇り
第8章 束の間の勝利
事件の後で


「私の息子はサルだった 」佐野洋子

2018年05月17日 21時08分24秒 | 読書(エッセイ&コラム)


「私の息子はサルだった 」佐野洋子

佐野洋子さんの死後、発表された作品。
著者の観察眼が冴える一冊だ。
あとがきは息子さんが書かれている。
書く側と書かれる側、どちらも言い分がある。

P122
息子が六歳の時、クラスに好きな女の子がいた。幼い息子は女の子が遊びに来ても、興奮してはしゃぎ回って、そうぞうしくとび回るだけだった。女の子は、大人っぽく「いやーあね」とまゆをひそめて笑っていた。彼は、彼女をよろこばせるすべを何も持っていなかった。興奮のひとときが過ぎて、気の抜けたような夕食の時、彼は私に言った。
「ママ知っている、さっき××ちゃん、ベランダからじっと外を見ていたんだよ。ずっとだよ。××ちゃん、何を考えていたのかなあ」
 サルのようにおたけびを上げていた彼は、彼女をずっと見守り続けていたのだ。自分でないものが、何を考えているのかと自分に問うていたことを知って、私は彼を一人の人間として信頼したいと思った。
 もし彼が大人になった時、彼が愛する者を理解しようと努めるだろうと信じたかった。

【蛇足】
以前、他に1冊だけ子育てエッセイを読んだことがある。
田丸公美子さんの「シモネッタのドラゴン姥桜」だ。
開成→東大→弁護士と歩んだ息子の話。
こういう優秀さ、ってどうなんだろう?
遺伝+それなりの環境があればOKのように感じる。
努力でなんとかなるという「神話」にすがりたい思いもあるが、
いかんともしがたいものがあるのも事実だ。
文春文庫<br> シモネッタのドラゴン姥桜 
「シモネッタのドラゴン姥桜」田丸公美子

【ネット上の紹介】
何でもやってくれ。子供時代を充分子供として過ごしてくれたらそれでいい―。本を読んで、お話をして、とせがんだ幼い息子。好きな女の子が「何考えていたのかなあ」と想像する小学生の息子。中学生になり、父親を亡くした親友に接する息子…。著者は自らの子を不思議な生き物のように観察し、成長していく姿に驚きつつ慈しむ。没後発見された原稿を集めた、心あたたまる物語エッセイ。


「クローズドノート」雫井脩介

2018年05月16日 21時05分03秒 | 読書(小説/日本)


「クローズドノート」雫井脩介

堀井香恵は、教育大学の2年、マンドリンのクラブに入っている。
自室のクローゼットで、前の住人のノートを見つける。
いったい何がかいてあるのだろう?

そのノートを書いたのは女性で、小学校の先生だった。
担任を持った4年2組の様子が詳細に書かれている。
堀井香恵は、自分も教育大なので、興味津々。
そこから、平凡な日常の歯車が動き出す。

あとがきを読むと、著者の姉が小学校の先生だったようで、
数年前不慮の事故で亡くなったそうだ。
押し入れから、小学校の先生時代の資料がたくさん見つかって、
それを元に今回の作品を書かれたそうだ。
不登校の子の話など、やけにリアルなはずだ。

【ネット上の】
堀井香恵は、文具店でのアルバイトと音楽サークルの活動に勤しむ、ごく普通の大学生だ。友人との関係も良好、アルバイトにもやりがいを感じてはいるが、何か物足りない思いを抱えたまま日々を過ごしている。そんななか、自室のクローゼットで、前の住人が置き忘れたと思しきノートを見つける。興味本位でそのノートを手にする香恵。閉じられたノートが開かれたとき、彼女の平凡な日常は大きく変わりはじめるのだった―。


「嘘つきは姫君のはじまり」再読 

2018年05月15日 20時39分58秒 | 読書(歴史/時代)

このGWから「嘘つきは姫君のはじまり」シリーズを再読していた。
「ひみつの乳姉妹」
「見習い姫の災難」
「恋する後宮」
「姫盗賊と黄金の七人 前編」
「姫盗賊と黄金の七人 後編」
「ふたりの東宮妃」
「東宮の求婚」
「少年たちの恋戦」
「初恋と挽歌」
「千年の恋人」
「貴公子は恋の迷惑」
「夢見るころを過ぎても」

この作品は、本伝10冊+外伝2冊。
通して読み返すのは初めて。(要所要所は読み返していた)
ライトノベルと言うと、改行だらけのすかすかページを想像するかもしれない。
本書はぎっしり文字が詰まっている。

ホント読みごたえのあるシリーズだ。

本伝以外の短篇では、次の3編がいい。
「美しき言つくしてよ」
「ふつうの速さで歌うように」
「尼姫さまがやってきた!」
「美しき言つくしてよ」は真幸と有子のその後の顚末。
普通に川(保津川?桂川?)に行って鮎を食べるだけのエピソードでも、情感豊かに描かれる。
筆力あるなぁ、と感心した。
ところで、このシリーズで一番気に入っている登場人物は、五節と姫子のペア。
この二人は、初瀬の尼寺から来た、という設定。
この二人の登場する箇所だけ、今回も複数回読み返した。
「尼姫さまがやってきた!」「ふつうの速さで歌うように」がそれにあたる。
本伝でも、最終巻で大活躍。この箇所も、何度も読み返すシーンだ。
著者の松田志乃ぶさんは、最近、新刊が出ない。
ずっと楽しみに待っているのだけど、どうしたのだろう?
私生活が忙しいのかもしれない。(早く復帰されることを祈る)

【参考リンク】
初瀬観光協会公式ホームページ

【おまけ】
これだけおもしろいシリーズは他に次の3つくらいか?
「ジャパネスク」シリーズ
「RDG」シリーズ
「粗茶一服」シリーズ


「震える教室」近藤史恵

2018年05月14日 19時15分08秒 | 読書(小説/日本)


「震える教室」近藤史恵

久しぶりに近藤史恵作品を読んだ。
心斎橋の近くにある歴史ある女学校が舞台。
新入生の真矢は、怖がりの花音と友だちになる。
ふたりが手をつなぐと不思議なものが見える、と言う設定。
(近藤史恵さんのホラー・ミステリ、って珍しいように思う)

P26-27
「出る……って噂なん」
 そう断言されてしまうと、さすがに息が詰まる。
「そんなのなにかの見間違いでしょ」
「そうかもしれないんやけどさ。なんか怖いやん」
 絶対いると言い張られるよりも、そう力なく言われる方がこちらも怖くなる。
「怖いなら、わざわざ見にいかなくていいやん!」
(近藤史恵さんは大阪府出身なので、遠慮がちながらも大阪弁が駆使されている)

【参考図書】

近藤史恵さんと言えば、キリコ・シリーズとサクリファイス・シリーズが有名。

【ネット上の紹介】
歴史ある女子校・凰西学園に入学した真矢は、怖がりの花音と友達になる。ひょんなことから、ふたりは「出る」と噂のピアノ練習室で、虚空から伸びる血まみれの白い手を目撃してしまう。その日を境に、ふたりが手をつなぐと、不思議なものが見えるようになった。保健室のベッドに横たわる首がないびしょ濡れの身体、少女の肩に止まる白いなにか、プールの底に沈むもの…。いったいなぜ、ここに出現するのか?少女たちが学園にまつわる謎と怪異を解き明かす、6篇の青春ミステリ・ホラー。


「引き抜き屋 鹿子小穂の帰還」(2)雫井脩介

2018年05月11日 22時40分45秒 | 読書(小説/日本)

「引き抜き屋 鹿子小穂の帰還」(2)雫井脩介

引き続き(2)を読んだ。
若きヘッドハンター・鹿子小穂の活躍を描く作品。

P60-61
「いやあ、ただ壁を登るだけなのに、ボルダリングって、やってみると奥が深いですね」(中略)
「一つ手を間違えたり、簡単なほうに逃げたりしてると、結局、あとになって、にっちもさっちもいかなくなっちゃうんですよね。大局観と戦略が必要だし、ある意味、経営の極意にも通じますよね」

渓流釣りのために遡行していて大きな岩を登る小穂
P371
不意に、頭上に影が差した気がした。その影がもぞもぞと動いている。
「熊がいます~!」小穂は岩壁にしがみついたまま、畔田に助けを求めた。「熊スプレーくださ~い!」
「ははは、誰が熊だよ?」
 頭上で男の快活な笑い声が立った。
「ク、クマゴロー……?」
「クマゴローじゃねえよ」男はまた笑う。
「ダイゴロー、引き上げてやってくれ」畔田が下から声を上げる。
「ほら、もうちょっとだ。がんばれ」

【感想】
(1)と(2)は同時刊行。
どちらも、とてもおもしろかった。
ヒロインは、情に篤く、どこかとぼけた感じがいい。
今年はまだ始まったばかりだけど、小説部門では本書が2018年ベストかも。
続編が待ち遠しい。
(ちなみに、ノンフィクション部門では「子どもたちの階級闘争」、マンガ部門では「夕暮れへ」がベスト、かな…こんなに早く2018年ベストを発表していいの?!)


【ネット上の紹介】
ヘッドハンターとして実績を積む小穂の下に、かつて自分を追い出した父の会社が経営危機との情報が入る。小穂が打った起死回生の一手とは!?

「引き抜き屋 鹿子小穂の冒険」(1)雫井脩介

2018年05月10日 21時52分05秒 | 読書(小説/日本)

「引き抜き屋 鹿子小穂の冒険」(1)雫井脩介

私の好みの作品だ。
仕事と人間模様を描いている。
業界の内幕も描かれ興味深い。

P126
 ヘッドハンティングは、その業界ではエグゼクティブサーチとも言われ、ヘッドハンティング会社はサーチファームという名で呼ばれている。ヘッドハンターはコンサルタントという肩書きが付くのが一般的だ。
 サーチファームは数人のヘッドハンターと、それを支えるリサーチャーなどのスタッフで構成されている。大手と言われるサーチファームでも、在籍するヘッドハンターはせいぜい十人そこそこというところである。一匹狼で業界を渡っているヘッドハンターもいる。必要な資格はなく、参入障壁もないから、ビジネススタイルもそれぞれだ。ただし、人脈がなければ何もできないし、能力がなければ信頼は勝ち取れず、依頼は回ってこない。誰でもできるようでいて、誰もができるわけではない仕事である。(昔、ラジオ番組で杉田敏先生が「名刺に『ヘッドハンター』と記載されていません(笑)」と言われていたので、ずっと気になっていた。ヘッドハンターの名刺ってどうなってるんだろう、と)

P256
「へえ、山登りですか……私もここんとこは全然登ってないですね」(中略)
「何か、昔はよく登ってたみたいな言い方だね」(中略)
「登ってましたよ」
「へえ」小穂が真顔で応じたので、畔田は見直したように感嘆の声を発した。「山ガールってやつか。人は見かけによらないね」
「見かけによらないも何も、以前は私、アウトドアメーカーの[フォーン]で働いていたんですから」(中略)
「そりゃ失礼。だったら、山登りなんかお手のものだね。今まで、どんな山に登ってきたの?」
「高尾山です」
(このやりとりはまだ続く…本書の中でも私の好きなシーンだ)

【おまけ】
読んでいて、垣根涼介さんの「君たちに明日はない」を思い出した。
片や、リストラ請負人なので、職種は異なるが、
『仕事と人間模様』を描いている点が同じ。


「君たちに明日はない」垣根良介
「借金取りの王子」垣根涼介
「張り込み姫」垣根涼介
「勝ち逃げの女王~君たちに明日はない」(4)垣根涼介
「迷子の王様~君たちに明日はない」(5)垣根涼介

【ネット上の紹介】
社長交替の背後にヘッドハンターあり。ビジネス界の「かけひき」や「裏切り」をテーマに一人の女性の奮闘と成長を描くスリリングな物語。


診療科受診

2018年05月10日 21時50分23秒 | 身辺雑記

先日、駅前の歯科にかかった。4,110円。
歯石の最終チェックとクリーニング。
家の近くの耳鼻科にもかかった。1,690円。
花粉症の薬をもらった。
例年だと、梅雨明けの7月まで引っ張ることになる。
今年はどうだろう。記録として残しておく。