「天魔~剣客商売」(4)池波正太郎
シリーズ4巻目を読んだ。
読んでいて飽きない。
ホント、よく出来ている。
P79(「箱根細工」より)
「弥七。これからあとは、お前が、その、上総屋房吉を探ってみることだな。なんでも、このごろは江戸に、仕掛人とかよばれて、金ずくで人を殺す連中が増えているそうな。(後略)」
仕掛人を作ったのは、もちろん、池波正太郎氏。
仕掛人シリーズ第1作「おんなごろし」が発表されたのが1972年3月。(池波正太郎 公式サイトデータベースによる)
上記セリフが載っている「箱根細工」が発表されたのが、1973年11月。
既に、「仕掛人」という言葉が定着している、と言うことなのだろう。
2016年6月29日朝日新聞記事
天竜川沿いの岩場で「クライミング用くさび」が見つかった、と。
同じページに、クライミング記事が!
通常のカラオケ料金で、カラオケとボルダリング両方が楽しめる。
但し、安全のため、酒は飲めないそうだ。
PS
両者、関係ない記事に思えるが、クライミング人口増加と関係あり?
クライミング人口に、モラルが追いついていない?
でも、なぜリングボルト?
(比較的簡単に手打ち出来るから?謎は深まるばかり…)
「ひとりの記憶 海の向こうの戦争と、生き抜いた人たち」橋口譲二
1945年の敗戦とともに、「引き揚げ」が始まった。
しかし、現地にとどまる事を選んだ人たちがいる。
なぜ、引き揚げなかったのか?
戦後、現地でどのように生きてきたのか?
20年の歳月をかけて、世界各地で取材を行った作品。
テーマもいいが、その取材内容もいい。
著者が、ひとりひとりの心情を汲みとりながら話を聞いている。
ここまで聞いていいだろうか?そんな著者の心の揺れも伝わってくる文章だ。
おそらく、今年の(個人的)ノンフィクション部門№1、と思う。
P3
日本に戻らないことを決意したとしても、言語は勿論のこと文化や宗教の異なる国で、人々とどのようにして関係を築いてきたのだろうか?
P23
終戦になってすぐにシンガポールから逃げてきた日本軍の特殊部隊がスマトラに現れたこともあった。「奴らは大量のダイヤモンドやドル紙幣や兵器を持ってきてですね。言っちゃなんですが滅茶苦茶な連中でしたよ。戦争を止める気なんてなくてですね、あっちこっちで騒ぎを起こすもんだから、同じ日本人なんですが討伐命令が出たりしてゴチャゴチャしちゃったですね」
P48-49
すると井上さんは「我々日本の兵隊はですね、生きて虜囚の辱めを……」。途中で自分でも恥ずかしくなったのか、少し照れた感じでアハハと笑い言葉が切れた。アハハと笑う井上さんを見て、この人はいい人だと単純にそう思った。
P124
セーラー服を「敬服」と表現するところに、当時学校に通えた人の中にある責任と誇りみたいなものを感じた。それに「敬服」を着ている子どもの存在は、その家の民度の表れでもあった気がする。
八路軍に参加した日本人看護婦の話
(この話が一番印象に残った)
P152
「八路軍の中に入って、その後どうするのかとか、考えられないですよ。今日はこうして生きて、明日は、明後日ぐらいまでは考えるけど、遠い将来までは考えられない。生きられる道があるならそこに入ろう」と、切迫した状況で中村さんは決断をした。最後は勘だった。
P237
「楽園」の本当の正体はそこで生きる人達、島民にとっては実は残酷な存在なのかもしれない。確かにポナペは外の人間にとっては楽園にちがいないだろうが、この楽園には人が生きることの意味を簡単に消してしまう毒が含まれているような気がしてならない。「楽園」の持つもう一つの側面は刺激もなく、変化のない毎日のくり返しだということだからだ。
【おまけ】
橋口譲二さんは、写真家として有名な方。
さらに言うと、星野博美さんの師匠、である。
P323
元僕のアシスタントでいま作家の星野博美さんは、半分以上の取材に同行してサポートをしてくれた。
本作品では10人の物語が収録されている。実際は86人のテープ起こしをされている。
P324
「ひとりの記憶」に収めることが出来なかった70人余りの存在をどうするのかという課題が残っているが、ここから先はこれから生きる人たちに託したいと思います。
残りの人たちの「物語」が気になる。
橋口譲二さんが完成されるのがベストだが、次策として、星野博美さんが書いてくれたら嬉しい限りだ。
【ネット上の紹介】
日本に戻ってどうするのさ。インドネシア、台湾、サイパン、ポナペ、韓国、中国、ロシア、キューバ…太平洋戦争を機に海を渡り、戦後も帰国せずその地で生きることを選んだ日本人。終戦の混乱の中で、彼らの下した一つ一つの選択、一人一人の生き方とは?取材から執筆まで二十年の歳月をかけた、渾身の書下ろしノンフィクション。
[目次]
笠原晋(インドネシア)―「北スマトラの無人地帯で生きるつもりでした」
井上助良(インドネシア)―「頭がこんがらがっちゃってですね、希望が迷ってしまった」
下山文枝(台湾)―「こっちは故郷と同じ。ただ言葉が通じないだけ…」
平得栄三(台湾)―「魚がいればどこまででも行った。氷が見え始めたらその先には行かない」
米本登喜江(韓国)―「絶対に振り返らないで、前向きに生きて行こうと思ったんです」
中村京子(中国)―「八路軍のことは知らなかったけど、生きる道があるのなら入ろうと決めた」
金城善盛(サイパン)―「卒業したらニューギニアへ行って、パイナップルでも作ろうかと思っていた」
秋永正子(ポナペ)―「お父さんの生まれた国、非常に良かったと思いますよ」
佐藤弘(ロシア)―「年とって日本に戻ってどうするのさ。死ぬんならここで死んでしまえ、と僕はいうのさ」
原田茂作(キューバ)―「百姓は自分で出来る。可能性のある仕事だから働くだけ働いてやってきました」
生き抜いた人たち
「陽炎の男~剣客商売」(3)池波正太郎
シリーズ3作目を読んだ。
【シリーズ全般について】
どの作品も適度な長さの短編が集まっている。
短編の集まりなので、手に取りやすい。
登場人物たちは少しずつ成長しており、それにつれ物語も進んでいく。
結果、全体として大きな物語となっている。
このように、構成にも人気の秘訣がある。
当時の男女はどうして出逢ったか?
P153
「先生。私は、その、甘いものが好きでございまして……」
「両刀使いか。たのもしいのう」
「ですから、汁粉屋へ、よくまいります」
「五百石取りの跡とりがのう」
「お照とも、その汁粉屋で知り合いましたので……はい、すぐ其処の天王町の梅園でございます。あの店の白玉汁粉はまことに結構なものです」
当時の汁粉屋は、女子供だけのものではない。甘味を好まぬ男も、よく出入りをした。というのは、ここが男女の相引の場所にもなっていたからで、入れこみの座敷のほかに、しゃれた造りの小座敷がいくつもあって、まことに重宝なのだ。
「辻斬り~剣客商売」(2)池波正太郎
引き続き2作目を読んだ。
やはり面白かった。
時代小説というと、勧善懲悪、善悪がはっきりしている。
ところが、本シリーズは境界線があいまいである。
「悪」であっても憎めなかったり、
善人が出来心で悪事を働いたり。
絶対的な悪もあれば、相対的な悪もある。
時代が変わると、「悪」でなくなったりする。
(密貿易など、そうだろう)
そんなことがきちんと表現されているのが、人気の秘密かもしれない。
【蛇足】
みなさん、ご存じとは思うが、「剣客」は「けんかく」と読む。
刺客、論客、客死、侠客…いろいろある。
「剣客商売 新装版」池波正太郎
以前から気になっていたシリーズ作品。
ちょっと読んでみようかな、と。
思った以上に面白かった。
オヤジ連中に人気なはずだ。
さらに言うと、「萌え」要素もあって、年齢にかかわらず受ける、と思う。
面白さのツボがいくつもある、ってことだ。
少しずつ、時間をかけて(全16冊+番外編)読破予定、である。
【苦情】
常磐新平氏の「解説」を読まない方が良い。
この「解説」 は、ひどい。
なぜなら、シリーズ今後の展開をネタバレさせているから。
読書人として、作家として、どうなんだろう?
担当編集者も新潮文庫編集部 も同罪である。
「センセー、これまずいっすよ」、くらいのことを言う必要がある。
ほんと、このような最低の「解説」に、今まで出会ったことがない。
【おまけ】
ところで、なぜ池波正太郎作品を、読みたくなったのか?
それは、「マリア様がみてる 黄薔薇革命」に次のような箇所があったから。
この時から、気になる存在となった。
P147
「嘘」
令さまが少女小説読んでて、由乃さんはお侍さんが人をバッタバッタ斬る小説読んでいるなんて。絶対に絶対にイメージが合わない。
すると由乃さんは、証拠とばかりに積んであった文庫本を取り上げて、カバーを外して祐巳に見せた。
「……池波正太郎」
何か、一気にガクンって力が抜けた。
「これ、全部そうよ」
【ネット上の紹介】
勝ち残り生き残るたびに、人の恨みを背負わねばならぬ。それが剣客の宿命なのだ――剣術ひとすじに生きる白髪頭の粋な小男・秋山小兵衛と浅黒く巌のように逞しい息子・大治郎の名コンビが、剣に命を賭けて、江戸の悪事を叩き斬る――田沼意次の権勢はなやかなりし江戸中期を舞台に剣客父子の縦横の活躍を描く、吉川英治文学賞受賞の好評シリーズ第一作。全7編収録。
freefan72号
だいぶ前に郵送されてきたが、紹介とコメントが遅くなった。
今回、私が注目した記事は、篠崎喜信さんによる「リードクライミングでの正しい落ち方」。
P12
「今墜ちたらどうなる?どうする?」ということを意識しながら登るべきである
クライミング中の墜落で起きた事故・怪我の相当数はビレイヤーの技量、注意不足が原因となることが多い。よって、信頼出来るビレイヤーに確保してもらうことが必要。
P13
高度なクライミングは、高度なビレイから生まれる。登れるより、頼られる、信頼されるビレイヤーを目指す事も安全にクライミングを続けるうえで大切なことである。
クライミングは、クライマーとビレイヤーの共同作業。
落ち方もテクニック、落とし方もテクニック。
クライマーの動きを見ていないビレイヤーもいる。
これは論外、クライミング以前の問題。
クライマーから目を離さず、動きを察知し、的確にロープを繰り出す。
これだけで相当数の事故を回避できる。
この上に「技術」を積み上げていく。
これは逆、と思う。
ビレイが上手いと、次回も誘ってもらえる。
結果として、岩登りが上手くなる、って寸法だ。
登りたい時は、とりあえずビレイしてくれたら誰でもOK、って感じで岩場に行く。
特に、若い時は、そうであろう。
でも、信頼できるビレイヤーがいなかったら岩場に行かない、って判断も重要。
【参考リンク】
このところ、鳳来でも事故が続いている。
【内容】
[スペシャルミニレポート]
倉上慶大 「千日登攀」トークショー at CRUX大阪
[文:尾崎基文 ミニインタビュー:井上大助
写真:萩原悟、木織隆生]
- [技術]
リードクライミングでの正しい落ち方
[文:篠﨑喜信 写真:山本浩明] - [Opinion]
チッピングに対するJFAの見解とその考察
[文:北岡和義] - [連載] ローカル強強クライマー列伝
高橋洋祐
[文:若林伸一郎 写真提供:高橋洋祐] - [ローカルレポート] 2015年10月~2016年3月
[構成:宮脇岳雄、北岡和義、井上大助、小川郁代]
- 東北クライマー開拓者トークセッション
- 湯河原幕岩グラウンドフォール事故報告と湯河原町役場からの注意喚起願い
- 各地の清掃とリボルト報告など
宮川(三重)、笠置(京都)、道場清掃と烏帽子岩リボルト(兵庫)、備中羽山チッピング問題(岡山)、下帝釈峡(広島)、日和佐(徳島) - JFAのリボルト指針について[文:枝村康弘]
- [The Competition]
ボルダリングジャパンカップ [文:伊東秀和 写真:窪田美和子]
日本スポーツクライミングカウンシルについて [文:藤枝隆介] - [連載 MADE IN JAPAN (株)グラウンドアップ 宇高要樹 [文と写真:榎戸雄一]
「イスラーム圏で働く」桜井啓子/編
イスラム体験記・・・様々な分野で活躍する日本人が、イスラム社会を語る。
早稲田大学で、全学の学生を対象に、「働く日本人のイスラーム」という講演会を毎月1回開催して、それを著者がまとめたのが本書。…講演会は、イスラーム圏への赴任経験をもつさまざまな業種の方たちを大学にお招きし、ご自身の仕事体験を学生に語っていただくというものだった。(P203)
P8
「イン・シャー・アッラー」は、「神さまがそう望めば」という意味ですから、本来はネガティブな意味はないはずです。しかし、機内や社内での一般的な使い方は、たとえば、自分の仕事で手一杯な時に、同僚から「あれをやっておいて」と振られたとします。断るときには、「ノー」ですが、自分の仕事が済めば、やってもいいけども、今はできないといった場合には、「イン・シャー・アッラー」と返します。とりあえず流すときに「イン・シャー・アッラー」と言っているわけですね。
P12
日本では、縁の下の力持ち的な働き方は尊敬されますが、こちらではほぼ評価されません。しっかり働いていることを上司に見せることが重要なのです。
P13
また、アラブの特に女性たちは一般に気が強く、自分に非があってもあまり謝りません。一番やっかいなのは、自分のミスを相手に転嫁するパターンです。
P17
現在、国際的に機内への液体物の持ち込みは規制されていますが、エミレーツ航空では、100ミリを超えていても、メッカの聖モスク内にあるザムザムの泉の神聖な水をつめたボトルだけは、持ち込み可となっています。
P42
イランでは、女性は、親族以外の男性と接触してはいけないのです。(だから、握手を求めてはいけない)
P76
中東のムスリムは旅人を歓待すると言われていますが、本当にそうです。
「マレーシ」=要は「僕のせいでもないし、君のせいでもない」
P138-139
日本人が「反省する」といった場合、三つの意味が一つになったものだとある本で読みました。自分の間違いを認めること。その間違いを恥ずかしいと思うこと。その間違いを二度と繰り返すまいと自分に誓うこと。では、自分の間違いを認めることが正しいとされている文化を持っている国はどれぐらいあるか。おそらく少数でしょう。少なくともアラブでは、日本人のように「反省」する人はいないはずです。「あなたのせいでもないし、僕のせいでもない」のです。
【ネット上の紹介】
世界に広がる一六億人のイスラーム市場。これからのビジネスに、イスラームの人びととの付き合いは必須だ。でも、なじみがなく戸惑う人も多いのでは?そんな時の心強い味方―商社・石油・建設・食品・観光など、現地で活躍する日本人が、土地と人と仕事を語る。地域別解説も付した体験的イスラーム案内。
[目次]
第1章 イスラームの懐に飛び込む―湾岸諸国
第2章 アラブとの付き合い方―アラブ諸国
第3章 誇り高きペルシアの人びと―イラン
第4章 西洋に最も近いイスラーム圏―トルコ
第5章 イスラーム?それとも地域の風習?―南アジア
第6章 イスラームとの新しい付き合い方―東南アジア、そして日本
「風雲児たち」(1)みなもと太郎
日本の歴史をギャグマンガで振り返る。
当初は幕末のみ、の企画だったらしい。
しかし、幕末を語るには「関ケ原」まで戻る必要がある。
こうして、この壮大な作品が始まった。
(私も、最後まで読み切れるか、自信が無い…とりあえず1歩踏み出してみた)
「インドと中国の歴史モノがあって、何で日本の話のが無いんだ」と疑問を持ったのがボクが『風雲児たち』を描くことになったそもそものはじまり。
こ今回の『風雲児たち』単行本タイトルロゴは な 何と平田弘史先生が達筆で書いて下さったので あ 穴があったら 入りたいな ややっぱし……
【ネット上の紹介】
歴史大河ギャグ漫画の傑作が、ワイド版にて復活!!幕末に大活躍する維新の志士たち、そこにいたるまでに、日本には“なが~い”歴史がある!!話はさかのぼって、四百年前の関ヶ原では・・・・著者懇親の大増ギャグ注付きの第1巻。
交野山に登ってきた。
交野市(かたのし)にあるが、交野山(こうのさん)と読む。
ここが山頂である
出だしにある獅子窟寺(ししくつじ)…巨石が少なからずある
獅子窟寺からしばらく行くと八畳岩がある…ここで昼飯を食べた
八畳岩には、登れるように「加工」がほどこされている…クライマーたる者、チッピングされたルートから登ってはいけない!(こんな大きな掘削をチッピングと言えるのかナンですが)
途中の棚田
あぜ道のようなハイキングコース
途中の池
山頂からの景色…大阪、京都が一望(山頂からの眺望の良さでは、関西屈指と思う。山頂が露岩しているのも珍しい)
【感想】
景色の多彩さ、味わい深さ…とても良いコースと思う。
問題は、アクセスの不便さ。
私は京阪枚方市駅から(京阪交野線を使って)河内森駅で降りて、ここをスタート地点とした。
帰りは(JR片町線)津田駅から河内磐船駅で降りて、歩いて河内森駅に移動して、京阪枚方市駅に戻った。
ハイキング道はしっかりしているが、いくつもコースが交錯するので、
次に何処に向かうのかしっかり把握しておく必要がある。
全コース味わい深く、棚田、池、畦道、滝、神社仏閣と日本人の琴線に触れる内容である。
(クライマックスは、もちろん露岩した交野山のピーク)
唯一の瑕疵は、最後の織物神社から津田駅までの道路歩きか。
【データ】
京阪河内森駅-天田神社-獅子窟寺-くろんど園地-榜示-交野山-いきものふれあいセンター-源氏の滝-織物神社-JR津田駅
京阪河内森駅 10:30
津田駅 14:15
(いきものふれあいセンターに寄ったり、地図を見てチェックしたりと、時間が掛かった…次回は3時間くらいで大丈夫かも)
【おまけ】
もうひとつの楽しみは、枚方市駅構内に神戸屋パンの直営店があること。
但し、一般の手造りパン屋の値段と比べると+100円くらい高い。
商品紹介TOP
マンゴーデニッシュ292円
黒豆パン302円
季節モノなのか、アップルパイがなかったのが残念
「のんのんばあとオレ」水木しげる
味わい深い作品だ。
現実と妖怪の境界線があいまいで、いつのまにか跨いで超えている感覚がたまらない。
マンガの命である「画」、1コマ1コマに味がある。
幼少期の著者とのんのんばあを中心に、家族、周囲の子ども、大人たちが描かれる。
P202
身体は物を食うて大きくなるけど
人の心はなあ、
いろんな魂が宿るけん
成長するんだよ
【ネット上の紹介】
遠い昔…そこに夢の楽園があった―――。「美和」が売られて行く夜、亡くなった美和のお母さんが美しい火の玉になっておくり出した…。目に見えなくとも何かいる…。著者の原体験を描く感動の少年時代。
「脱出記 シベリアからインドまで歩いた男たち」スラヴォミール・ラウイッツ
無実の罪でシベリア送りになったポーランド陸軍騎兵隊中尉・ラウイッツ。
6人の仲間と脱走し、シベリアからインドまで歩いていく。
酷寒のシベリア、空漠たるゴビ砂漠、屹立するヒマラヤ山脈。
ハリウッド映画のような波乱万丈の展開。
一気読みの面白さだった。
脱出劇だけでなく、旅行記としても面白いし、サバイバル記録としても貴重でだし、冒険談としても楽しめる。
途中で追っ手の恐怖も去り、ロシア軍を気にする必要もなくなる。
もう、そこでしばらく滞在したら?と思ってしまう。
でも、彼らは根っからの「旅人」で「冒険家」なんでしょうね。
よくこれだけのメンバーが集まったものだ。
(もし滞在してしまったら、「セブン・イヤーズ・イン・チベット」になってしまう…それはそれで面白いと思うけど)
チベットで出逢ったサーカシア人について
P358
「あの人たちを見ていると、自分のほうが卑しい気がする。これまで、人間としての尊厳を失った人々に対する、苦々しい記憶がわだかまっていたが、あの人たちがそれを、ほぼ一掃してくれた」
PS
ゴビ砂漠を渡るとき、もう少し情報収集して、装備を調えたら良かったのに。
もっと大きな水袋を持つとか。
でも、これって「後知恵」なんでしょうね。
【おまけ】
椎名誠さんがあとがきで、脱出行ベスト3を選んでいる。
1冊は本書、他の2冊は次のとおり。
「ヒマラヤのスパイ」
「ラオスからの生還」
【ネット上の紹介】
こんな極寒の地でこのまま朽ち果てたくない―第二次世界大戦のさなか、ポーランド陸軍騎兵隊中尉だったラウイッツは無実にも関わらずソ連当局にスパイ容疑で逮捕された。苛烈な尋問と拷問の末、下された判決は25年間の強制労働。そしてシベリアの強制収容所へと送られた。意を決した彼は6人の仲間と収容所からの脱走を計画し、見事成功する。なんとかシベリアの原野を抜け、徒歩で一路南へと移動を始めた彼らだったが、その前途には想像を絶する試練が待ち受けていた!極限状況を生き抜いた男たちの、壮絶なるノンフィクション。