年末年始、京都のiidaさんがギリシャに行かれた。
そこで、寄稿文をお願いした。
次がその文章である。(読んでいて行きたくなる、そんな気分)
さっそく、読んでみて。
【寄稿文】カリムノス(ギリシャ) クライミング 日記 『前編』
京都府勤労者山岳連盟 チームクラマグチ by iida
数年前のロクスノに掲載されたエーゲ海をバックにしてのクライミング写真。それは衝撃的だった。登ってみたい!これがカリムノスツワーの原点だった。その後,友人たちが5月と11月にこの地を訪れ,様々な情報を提供してくれた。だが,正月休みにカリムノスに行ったという記録は,インターネットで検索してみても全くなかった。理由は簡単だった。①雨季に入る②気温が低い(最高気温10℃くらい)③岩場に太陽が当たらない(現地で発見)だった。更に,冬のエーゲ海は暴風のため船や飛行機が欠航することが多いらしい。条件が悪く登れないことも覚悟したが,カリムノスの岩峰はそれらを越える魅力があった。
2011年12月23日(金) 晴れ
19時,あわただしく我家を出発。今回は,時間的に余裕があるので,JRを利用した。関西国際空港着,21時40分。いよいよギリシャ・カリムノスへ出発だ。エーゲ海の青い海。どこまでも続く石灰岩の岩峰。
12月24日(土) 晴れ
カタールのドーハで友人と合流。アテネ着12時,コス島着14時50分。コス島の港は,波が高く,停泊中の船が上下に揺れている。出発まで1時間,レストランに立ち寄りお茶休憩。その後,波が荒い中を,カリムノス島に向け出港。港には,サキスの奥さんが迎えに来てくれていた。買物をしながら,宿泊地のサキススタジオへ。長い旅だった。日本を出発して,約24時だ。
カリムノスの港
12月25日【日】晴れ
8時に出発して,宿から一番近いPOETSの岩場へ。岩の傾斜もなく,雨だれホールドが多い。Quando Tramonta il Sol 6aとStyx 6aを登る。午後,PANORAMAへ移動。 Panselionos 6b+とAegean Sea 7A+を登る。 Aegean Sea は,上部の核心であえなくフォール。とても難しく感じた。コルネの洗礼にあい,サキスの宿へ。
【POETS】
Quando Tramonta il Sol 6a OS
Styx 6a OS
【PANORAMA】
Panselionos 6b+ OS
Aegean Sea 7A+ ×
12月26日(月) 晴れ
2日目,GRANDE GROTTA へ。Monahiki Elia 6a+ でアップ。長くておもしろい。次に,DNA 7aをトライ。以前のトポでは7a+だったが,新トポでは7aに格下げ。傾斜はあるが,ガバルート。楽しく登らせてもらった。Ivi7a+へ。このルートも7bから7a+に格下げ。やや細かいが,基本はガバだった。その日は,夕日がとても素敵だった。
夕方,宿代1人あたり162ユーロを支払う。車のバッテリーを代えたいが,お金がないので早く支払ってくれとのこと。サキスの主人はとてもお喋りだ。チェルノブイリ原発事故の影響で,エーゲ海のサンゴや海綿が打撃的な被害を受けたこと。主人の父親が2000年前の宝を海から引き揚げたことなどを話してくれた。
【GRANDE GROTTA】
Monahiki Elia 6a+ F
DNA 7a F
Ivi7a+ OS
GRANDE GROTTAの岩場
12月27日 晴れ
今日は,レスト日。カリムノス観光と買出し。バスでカリムノスの港方面に行く予定だったが,いつまでたっても来ない。しびれをきらして歩くことにする。マスウリの町を抜け,急な上り坂。ヘェアピンカーブが続く。ジグザグ道路を登りきり,峠を越える頃,サキスの主人が車で通りかかる。大きく手を振ると,止まってくれたが,その車はバッテリーが弱っていたため,エンスト。車を主人の息子と3人で押して,エンジンをかける。車に便乗させてもらって,Chora Castleに到着。Castleの見学。予想していたより,広く高い。戦いが起こると町の人は城に上がり,終了すると町で生活していたらしい。
見学後,カリムノスの町へ徒歩で行った。日本円をチェンジしようとしたが,セキュリティが厳しく,換金できない。港で博物館を訪問するが,休館日。買物と食事をして,バスでサキスへ。バス代は,1.5ユーロだった。
12月28日(水) 晴れ
暖かいところで登りたい。8時30分の船に乗り,隣の島TELENDOS ISLAND へ。船に乗っていると,船長から「どこに行きたいのか?」と聞かれる。トポを見せると,「25ユーロ出せば船でいけるよ。」とのこと。時間短縮を考え,お願いすることにした。結果的には,良い判断だった。CRYSTAL CAVE は,取り付きまでが非常に悪路で2級程度の岩登り。緊張の連続だった。Stalas 6bでアップ。
Nectarios 7bにトライした。ハンガーが腐っているうえ岩が非常にもろい。入山者が非常に少ないからだろう。ロングルートで,80mロープでぎりぎりだった。3時下山開始。我々が入山したルートよりやさしいルートを発見。ペンキでマーキングされていた。1時間20分あまりで港へ。アプローチも遠いので,おすすめできるエリアではない。
その後,後発隊とも無事合流。ロストバケッジにて,航空会社とすったもんだあったようだ。荷物が明日届く事を願って,レストランで乾杯!
【TELENDOS ISLAND】
Stalas 6b OS
Nectarios 7b ×
12月29日(木) 曇り
後発隊の荷物が11時にカリムノス空港に到着するということで,一安心。我々は,一足先にPANORAMAエリアへ。Carpe Dlem 6bとNeptum Kl 6cでアップ。Aeolia Extension 7a+ へ。下部フェースがとても細かい。右往左往しながら,右上コルネへ。この部分は快適だ。下部が終わり上部核心へ。コルネに身も心も果てながら終了点へ。
続いてRastapopoulos Extension 7b へ。7bになると心してかからねばならない。核心は上部だった。数ヶ所がんばればレストポイントなのだが・・・。パンプした腕を回復させながらの会心のクライミングだった。
夜は,レストランへ。地元の人の忘年会だろうか?とてもお客さんが多い。日本からの土産,京ちよ紙を取り出し鶴と船を折った。レストランの娘さんがとても喜んでくれ,いつもちよ紙を握ってレストランをうろうろしていた。
帰りにネットで天気予報を確認。明日は,雨。明後日は,雨の予報だっだ。
【PANORAMA】
Carpe Dlem 6b OS
Neptum Kl 6c F
Aeolia Extension 7a+ F
Rastapopoulos Extension 7b OS
12月30日(金) 曇りのち雨
明日は雨予報なので,3連続のクライミングではあるが,登りに行くことにする。新しいエリア,SPARTACSへ。Harakiri 6b+でアップ。気温が上がり,エーゲ海からの潮の影響だろうか,岩がぬめっている。昨日までのコルネ中心のクライミングと変わり,ポケットホールドの連続。ガバポッケを楽しみながら終了点へ。
次に,Spartacus 7b+にトライ。下部コルネは,スムーズに登れたがポケットホールドが連続するころ頃からムーブが悪くなり,あえなくフォール。上部のポケットも難しかった。Kerveros 7aにトライ。核心部は突破したのに・・・上部でフォール。
午後3時頃から雨が降り始める。幸い傘を出すことなく,サキスへ。4時から熱いお湯でシャワーを浴びようと期待して帰ったが,水だった。主人にボイラーのスイッチをいれてもらったが・・・。やはり水だった。そこで,大鍋にお湯を沸かし,頭と顔を洗う。熱いお湯なので一息つける。夕食までにビールとワインで0次会。
夕方,雷雨。夕食後は,豪雨の中を帰宅。靴も服も靴下もびしょぬれ。カリムノスは側溝もなく,道路は滝のように水が流れていた。
サキスの宿
【SPARTACS】
Harakiri 6b+ F
Spartacus 7b+ ×
Kerveros 7a ×
12月31日(土) 曇りのち雨
夜中に激しく降った雨は,朝には止んでいた。今日はレスト日で,カリムノスの町へ。帰りの船の時刻確認とショッピング。10時のバスに乗り港へ。子どもたちがサンタの帽子を被りレストランなどを回って,大人から小銭をもらっている。お年玉なのだろうか?
海綿をお土産にしょうと,お店に。世界の海綿は,カリムノスが原産らしい。昼食は,近くのレストランへ。魚料理がおいしいらしい。魚のフライと焼き魚・スープ・ワイン。魚のフライはからっとあがっていて,とても美味しい。昼食の途中から雷の音とともに激しい豪雨。近くのスーパーで買物をしながら雨宿り。15時のバスに乗り込むが,道路が水没して通行止め。町は下水の設備がないのだろうか?降った雨は,ほとんど地中にしみ込むことなく町に流れ込む。山には,木や草もほとんどは生えていないので,保水力もほとんどない。一気に流れ下った水は,町のメインストリートへ。30分余りの通行止めも解除され,バスの運転再開。深さ30m余りの水流の中を500mほど走りマスウリの町に帰ってきた。下車時に1.5ユーロ支払うと「迷惑をかけたので運賃はいらないよ。」とのこと。
(以下、『後編』につづく)