「BRUTUS」2012年3月1日号
マンガ特集なので購入した。
自分の好きな作家だけフォローしてもいいんだけど、世の中の動向もチェックしたい。
重要な作品を見のがしてないか、それもチェックしたい。
そんなわけで、買ってみた。
【ネット上の紹介】
今回の特集は、「マンガが好きで好きでたまらない」。
読む、読む、むさぼるように、読む。
自分だけの時間が、そこには流れます。
読み終わって顔を上げると、世の中の風景が、少し変わって見えてきます。
いいマンガとの出会いは、信頼できるマンガ読みのアツい思い入れから。
31人のマンガ好きが愛してやまない71作品をとことん語りました!
●特別対談 松本大洋×五十嵐大介
「僕たちが好きでたまらないマンガの話を、しよう。」
●五十嵐大介描き下ろし『海獣の子供』サイドストーリー
「ある旅人のはなし」
●『3月のライオン』──高橋源一郎
●『宇宙兄弟』──麻生久美子×真心ブラザーズ
●『ふらり。』──柴崎友香
●『耳かき仕事人サミュエル』──ピエール瀧×しまおまほ
●『あの日からのマンガ』──しりあがり寿×宮沢章夫
●『グラゼ二』──宇野常寛
●『地上はポケットの中の庭』──江口宏志×小林エリカ
●『どげせん』──吉木りさ
●『めしばな刑事タチバナ』──久住昌之
●『にこたま』──渡辺ペコ×入江悠
●『シティライツ』──又吉直樹×木村綾子
●『姉の結婚』──湯山玲子
●『キン肉マン』──甲本ヒロト×井上崇宏×師岡とおる
●『I【アイ】』──穂村弘
●『進撃の巨人』──諫山創×寺田克也
●『にんしんゲーム天国』──ブルボン小林
●『主に泣いてます』──大根仁×犬山紙子
●『ヒストリエ』──中条省平
●30巻超え、名作アンチョコ。
≪第2特集≫
◆BRUTUS SUITS STYLE 2012 s/s
「背広マン」
…ほか
「ピュリツァー賞受賞写真全記録」ハル・ビュエル
タイトルどおりの内容。
それぞれの写真に対して、丁寧な紹介文章と時代背景が説明されている。
これらを見ると、20世紀も21世紀も戦争と暴動、暴力の連続であったと思い知らされる。
ショッキングな写真も多数含まれているので、繊細な方はうなされるかもしれない。
なお、本書は日経ナショナルジオグラフィック社発行で、一般の書店では入手しずらいかもしれない。
私は図書館で借りた。
「爆撃からの逃走」 沢田教一 (c) Kyoichi Sawada(UPI)/Corbis 1965年撮影、66年
【参考リンク】
時代を象徴するピュリツァー賞受賞作品 70年の記録を写真集で振り返る
【ネット上の紹介】
アメリカで最も権威ある賞のひとつ、ピュリツァー賞。最初の受賞写真は、自動車工場でのストライキを写したものだった。その後70年間に受賞作が伝えたのは、ベトナム戦争、冷戦、アフリカの紛争、イラク、アフガニスタン、噴火、地震、津波。写真家が全身全霊をかけて切り取った1枚の写真に、時代のすべてが映し出されている。1942年の写真部門創設から、最新2011年の受賞写真までを収録。受賞写真を編年で紹介。撮影時の状況、写真への反響、写真家自身の証言、撮影機材や条件を記した撮影データ、背景を理解する助けに、同時代の出来事を付した。
[目次]
第1期 大判カメラと初期のピュリツァー賞受賞作品(1942年・デトロイトの労働争議(ミルトン・ブルックス);1943年・水を!(フランク・ノエル) ほか);第2期 カメラの小型化、ベトナム戦争と公民権運動(1962年・孤独な2人(ポール・パシス);1963年・革命と罪の赦し(ヘクター・ロンドン) ほか);第3期 新たな賞、特集写真部門の創設(1970年ニュース速報部門・キャンパスの銃(スティーブ・スター、AP通信);1970年特集部門・季節労働者の移動(ダラス・キニー) ほか);第4期 カラー写真、デジタル化、女性写真家、アフリカ(1981年ニュース速報部門・浜辺での処刑(ラリー・プライス);1981年特集部門・ジャクソン刑務所での生活(タロウ・ヤマサキ) ほか);第5期 デジタル革命(2003年ニュース速報部門・コロラドの山火事(ロッキー・マウンテン・ニューズ紙写真部スタッフ);2003年特集部門・エンリケの旅(ドン・バートレッティ) ほか)
3月26日、Eテレで、『世界への挑戦 17歳のバレリーナ』が放送される。
ご存知とは思うが、第40回ローザンヌで菅井円加さんが1位入賞された。
その時の模様が、ハイライトで放送される。
菅井円加さんについて、『毎晩11時半まで練習し、自宅でも黙々と筋肉トレーニング続けてきた』と紹介されている。(神奈川新聞 2012年2月6日)
下記がネット上の番組紹介。
『速報!第40回ローザンヌバレエコンクール』
Eテレ 2月26日(日)後4:30~5:00
熊川哲也さんや、吉田都さんらを輩出した「ローザンヌ国際バレエコンクール」。今年2月4日に行われた「第40回ローザンヌ国際バレエコンクール」で、高校2年生の菅井円加さんが第1位を獲得しました。番組では、菅井さんの決選での踊りをノーカットでお送りするほか、コンクール決選の模様をハイライトでお届けします。どうぞお楽しみに!
http://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20120226-33-31401
★ローザンヌ国際バレエコンクールで、高校2年生が優勝
^ 第67回全国舞踊コンクール 入賞者 バレエジュニア部(東京新聞ウェブサイト、2012年2月6日閲覧)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%85%E4%BA%95%E5%86%86%E5%8A%A0
「看護助手のナナちゃん」(1)野村知紗
雑誌連載当初から、単行本化の問い合わせが多数寄せられたという。
絵は巧くないけど、味がある、何より内容にマッチしている。
例えば、認知症の為、自分自身もベッドの周りもうんこだらけにした患者さん。
リアルな絵を描く作家なら、読者も「うへっ!」と辟易する。
でも、この絵なら大丈夫。
ユーモアさえ漂ってくる。
それにしても、看護師をヒロインにした作品は多いが、看護助手が主人公、ってのは初めてかも。
1話2ページの連作になっている。
様々な患者さんが登場し、その家族、周囲の人々が丁寧に描かれる。
ひいては、病院、医療、人間も描かれるという、すごい作品だ。
しかも、作者が意図せず、淡々と作っている(と思われる)のが素晴らしい。
たいていの人にうける、と思う。
読んでみて、オススメ。
(でも、図書館には入荷しないでしょうね)
【ネット上の紹介】
ナナちゃんは看護助手です。 ナナちゃんは病院で働いています。 ナナちゃんは日々、病院でいろんな患者さんと出会い、別れます。 そんなナナちゃんの日常は、喜びや悲しみが詰まっています。 ショートで綴るナナちゃんの愛情溢れる日常は、 きっと読者の心を温かく癒やしてくれます! 本誌連載当初より、 読者から単行本化の問い合わせが多数寄せられた 話題の作品が、いよいよ単行本化!!
「こっちへお入り」平安寿子
平安寿子さんが落語をテーマに書いた。
読む前から面白いと分かっていたけど、やっぱり面白かった。
いくつか文章を紹介する。
P31
仕事に生きるとまでは言わないが、自活する自分が誇らしい。
とはいえ、貰う額があがれば、ストレスも増える。
(中略)
仕事である程度の力を発揮できているとは思うが、それを自分の存在証明にしたくない。ならば何をすればいいのか。
P54
十代までは、自分にはなにがしかの才能があるはずだと信じていた。なんだかわからないが、それはきっといずれパーッと開花するに違いないと期待していた。それなのに、二十歳過ぎてからは「わたしには、何の才能もないんだ」と思い知らされる毎日。とうとう「普通でいいんだ。普通はエライ」と自分に言い聞かせる立派な大人に成長したが、それでもこうして「何かができる自分」を発見すると、色めき立つものがある。
P70
別れるきっかけがないと、人というものはなかなか縁が切れないものだ。
P124-125
「柄って、個性ってことですか」
質問すると楽笑は答えた。
「うーん。個性というより、人間性です。同じことみたいですが、違うと僕は考えてるんです。個性というのは持って生まれたもの。人間性というのは生きてきた中でその人が培ってきたものという風に思います。ニンが出る、ニンに合うと、僕らの世界では言うんですよ。人と書いて、ニンと読む。その人の人間性が出たとき、噺は息を吹き込まれるんです」
「人間性が笑いにつながるってことですか」
「そうです。一生懸命になればなるほど、滑稽になる。人が生きるとは、そういうことじゃないですか。客は、今の言葉で言えば『上から目線』で、落語世界の人物をバカなやつらだと見下して笑うんじゃない。自分と同じだから、共感して笑うんですよ。愛しいから笑うんです」
【ネット上の紹介】
吉田江利、三十三歳独身OL。ちょっと荒んだアラサー女の心を癒してくれたのは往年の噺家たちだった。ひょんなことから始めた素人落語にどんどんのめり込んでいく江利。忘れかけていた他者への優しさや、何かに夢中になる情熱を徐々に取り戻していく。落語は人間の本質を描くゆえに奥深い。まさに人生の指南書だ!涙と笑いで贈る、遅れてやってきた青春の落語成長物語。
【関連作品】 ・・・落語を扱った小説と言えば、「しゃぺれどもしゃべれども」を思い出す。
佐藤多佳子作品入門にぴったり、オススメ。
【「しゃぺれどもしゃべれども」ネット上の紹介】
俺は今昔亭三つ葉。当年二十六。三度のメシより落語が好きで、噺家になったはいいが、未だ前座よりちょい上の二ツ目。自慢じゃないが、頑固でめっぽう気が短い。女の気持ちにゃとんと疎い。そんな俺に、落語指南を頼む物好きが現われた。だけどこれが困りもんばっかりで…胸がキュンとして、思わずグッときて、むくむく元気が出てくる。読み終えたらあなたもいい人になってる率100%。
今年も、セブン・エーから郵便が来た。
保険更新のお知らせ、である。
昨年も書いたが、、注意点がある。
私はN1+Lタイプだけど、『説明書き』を注意深く読むと、次のように書かれている。
『クラック等ナチュラルプロテクションを使用するルート、地面以外からのビレイを受けるルート、マルチピッチ、開拓、支点整備、懸垂下降中を除きます』
そこで、セブン・エーに次のようなメールを送って聞いてみた。
> 当然、『蜘蛛の糸』のように、スラブを登った後に、出てくるルートも対象外になってしまいます。
> 備中では、岩場整備のため、ボルトの打ち替えが頻繁に行われています。
> フィックスを張って懸垂をすることは普通に行われ、以前手伝いをした事もあります。
>
> 【質問(1)】
> すると、こういったこと、全てが対象外、無効、と言うことでよろしいでしょうか?
> では、山岳タイプ(例えば)A1+L(=6840円)では、上記のような場合も、全てフォローしてくるのでしょうか?
いただいた回答は次のとおり。
→そのとおりです。
【質問(2)】に対しては・・・
→山岳タイプは対象となります。
実は、今年から、山岳タイプにしようかな、と思っていた。
ところが今年は、諸事情により、クライミング練習をすることさえ困難な状況になってきた。
周囲の方は気付いていると思うけど、今年になって平日練習、まったく行っていない。
かろうじて週末、1週間に1回、3時間ほど、練習しているだけ。
そんな訳で、今年も昨年と同じN1+Lタイプで申し込んだ。
PS
『フリークライミング』 対象の保険なのに、クラックがダメとは・・・値打ちが低い保険だなぁ。
JFAとタイアップしているわりに、支点整備にも対応していないし。
まぁ、それだけ事故の確率が高い、って事なんでしょうけど。
「ジェノサイド」高野和明
人気の本を読んだ。
2011年「このミス」でも「文春ミステリ」でも1位。
昨年ダントツ人気、話題の作品。
読みごたえがあった。1位の値打ちがある。
さて、内容はSF+冒険+政治+医療+ミステリ要素の混在した作品。
人類の危機をリアルに描いている。
3部構成になっていて、第2部から面白さのレベルが上がってくる。
第1部は、伏線段階なので、少し辛抱が必要。
第2部で、一気に面白さ上昇。
第3部は、収斂部分、エンディングも見事。
これは読む価値がある大作、と思う。
文章を一部紹介する。
なぜか、私はストーリー本流部分とは異なる箇所に興味を持った。
P312
「(前略)韓国人と日本人で何か違うところはある?」
(中略)
「一つ挙げると」と言って、正勲の視線が研人に戻った。「僕たち韓国人だけが見つけた、特別な感情があるんだ。これはアメリカ人も、中国人も、日本人も知らない不思議な心の動きだよ。韓国語で“ジョン”っていうんだ」
「 “ジョン” ?」
「うん。漢字だと、情(なさけ)って書く」
「それなら日本人にもあるよ。情(じょう)だろう?」
「いやいや、日本語の情とは違うんだ。説明が難しいな」
研人は好奇心をそそられた。「そこを何とか説明できない?」
「無理に説明すると、人と人を結びつけてしまう強い力だよ。僕たちは、一度でも関わった相手とは、好き嫌いとは関係なく、 “ジョン” で結びついてしまうんだ」
「それは友好的とか博愛ってこと?」
「そんなに美しいものじゃない。 “ジョン” は厄介でもあるんだ。どんなに嫌な相手とも “ジョン” で繋がってしまうから。つまり僕たちは、他人を百パーセント拒絶することができないんだ。韓国映画とかテレビドラマは、ほとんど全部、この “ジョン” を描いているよ」
PS
上記の韓国人留学生・正勲が大活躍。
キャラクター好感度も高い。
主人公の1人である日本人・研人を食ってる感じ。(研人、少し影が薄いぞ!)
【参考リンク】
『週刊文春 傑作ミステリーベスト10』
『このミステリーがすごい!』
【ネット上の紹介】
急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人は、その不可解な遺書を手掛かりに、隠されていた私設実験室に辿り着く。ウイルス学者だった父は、そこで何を研究しようとしていたのか。同じ頃、特殊部隊出身の傭兵、ジョナサン・イエーガーは、難病に冒された息子の治療費を稼ぐため、ある極秘の依頼を引き受けた。暗殺任務と思しき詳細不明の作戦。事前に明かされたのは、「人類全体に奉仕する仕事」ということだけだった。イエーガーは暗殺チームの一員となり、戦争状態にあるコンゴのジャングル地帯に潜入するが…。
中央公論2012年3月号
今月号は特集「新書大賞2012」。
いったい、どの作品が選ばれたのだろう?
さっそくチェックしてみた。
大賞「ふしぎなキリスト教」
2位「昭和天皇」
3位「TPP亡国論」
4位「武器としての決断思考」
5位「女子校育ち」
6位「キュレーションの時代」
7位「原発のウソ」
8位「伊藤Pのモヤモヤ仕事術」
8位「正しいパンツのたたみ方」
10位「パリ五月革命私論」
なお、撰者は書店員、書評家、各社新書編集部、新聞記者など67人。
これとは別に、2011年売上ベスト、ってのもある。
以下のとおり。
1位「官僚の責任」
2位「日本人の誇り」
3位「原発のウソ」
4位「日本人はなぜ世界でいちばん人気があるのか」
5位「池上彰の宗教がわかれば世界が見える」
6位「知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物」
7位「新・堕落論」
8位「自分の始末」
9位「暴力団」
10位「知らないと恥をかく世界の大問題2」
ダブっているのは「原発のウソ」だけ。
なお、サラリーマンとして気になる本は次の2冊。
番外編として気になるのは次の3冊
【参考リンク/過去の新書大賞】
http://www.chuko.co.jp/special/shinsho2010/
http://www.chuokoron.jp/2011/02/post_63.html
【ネット上の紹介・・・発表! 新書大賞2012】
・〈新書通六七人が厳選した〉年間ベスト10
・大賞受賞記念対談『ふしぎなキリスト教』 対談 橋爪大三郎 大澤真幸
・出版の意味が問い直された二〇一一年
新書はまだまだ捨てたものじゃない 対談 永江朗 宮崎哲弥
「困ってるひと」大野更紗
2012年キノベス第4位に選ばれた人気作品。
難病を発症、その闘病生活、感じたことを書き綴ったエッセイ。
著者のブログProfile紹介欄を見ると、次のように紹介されている。
作家&大学院生 ●ビルマ(ミャンマー)のことをやってたものの、2008年から自己免疫疾患系の難病にかかり闘病中。皮膚筋炎、筋膜炎脂肪織炎症候群。シェーグレン、 SLE的病態もあり。絶賛生存中。
さて、具体的にどのような症状かというと、次のように書かれている。
P288
筋力はないし、独力では自由に外に出られないし、免疫力も体力もない。ジャムの瓶やペットボトルのふたを、自分で開けることもできない。紫外線を浴びられない。常に感染症や怪我に細心の注意をはらう。皮膚や身体の組織も弱っているので、洗剤などに直接触れられない。
・・・なんとも大変な状態。我々が普通にしている行動が出来ないのは辛い、と思う。
いくつか福祉や行政につての具体的な記述もあって興味深い。
P183
結果、自治体の対応やサービスの内容について、東京都内の23区、市によってかなりの較差があることがわかった。都道府県をまたげば、相当の、天と地のような較差がある。
東北の某所から来ている患者さんに聞いたところ、
「わたしは2級の手帳を持っているが、『タクシー券』など、聞いたこともない」
杉並区某所から来ている患者さんに聞いたところ、
「わたしは手帳なんて取れないけど、特定疾患(難病)でタクシー券もらってるよ」
群馬県某所から来ている患者さんに聞いたところ、
「3級の手帳持ってるけど、ETCの割引以外使えるものないけど」
神奈川県某所から来ている患者さんに聞いたところ、
「わたしはもう死にかけてるけど、ヘルパーさんどころか、窓口で『有料老人ホームに行ってください』、と言われたわよ」
某区から来ている患者さんに聞いたところ、
「もう2度と、区役所なんか行かない。わたしは死んでも国には頼りたくない」
インタビューする人によって言うことがまったく違う。いったい、どういうことなんだ。
以上、文章紹介おわり。
上智大学大学院在学中の発症。
それ故か、文章が少しエキセントリックだけど、それさえ気にしなければ、楽しめる。
死にそうになりながら、自分自身とその状況を笑い飛ばせるユーモアに脱帽。
【著者のブログ】
http://wsary.blogspot.com/
【ネット上の紹介】
ある日、原因不明の難病を発症した、大学院生女子の、冒険、恋、闘い―。知性とユーモアがほとばしる、命がけエッセイ。
TCネットに次のような記事が掲載されている。
【長屋坂の再生を6月中旬に実施予定】
これについての詳細は、4月中旬くらいまでにお知らせできると思います。
ご存知のとおり長屋坂はルート数が20本以上あり、再生するプロテクション数はかなりの数になります。今回も日本フリークライミング協会様から資材面で協力していただける予定ですが、TCNet では長屋坂エリアの再生を実施するにあたり、備中で登るクライマーの皆様に広くカンパを募ることといたしました。
・・・そんな訳で先日、心ばかりのカンパをした。
(最近さっぱり、岩場に行ってない代わり)
【リンク】
活動予定
「人生オークション」原田ひ香
読みやすい作品、あっとゆうまに読了。
中編が2作収録されている。
●「人生オークション」
●「あめよび」
最初の作品はタイトルにもなっている。
犯罪者一歩手前の叔母と姪の交流が描かれる。
叔母は、かつて不倫の果てに刃傷沙汰に及んで、夫から離縁される。
アパートにひとり暮らしだけど、そこに姪が訪ねてくるところから物語りが始まる。
この姪も就職が決まらず、アルバイト状態。
二人揃ってモラトリアムだけど、明るい未来が見えない。
部屋の中には、かつて叔母が夫に買ってもらった大量のブランド品があった。
それをネットオークションにかけていくことで、自分を取り戻していく、って話。
(だから「人生オークション」とタイトルになっている)
もうひとつは、ちょっと風変わりな恋愛小説で若いカップルの顛末が描かれる。
「諱」を扱っているのが興味深い。
一部文章を紹介する。
P164
「いみな?」権堂は顔を上げて聞き返した。
「ええ、諱。本名以外の本当の名前という意味なんですって。他人には教えちゃいけない、秘密の名前らしいんですけど、そういう風習が残っている場所があるらしいんですよ」
P169
「あとね、私、ゴリちゃんの話を聞いて、思い出したことがあったの。昔読んだ童話なんだけど」美子は輝男の顔をうかがった。
勘がいい人は、もう分かったと思うけど、その「童話」とは、「グリム」の「ルンペルシュティルツヒェン(Rumpelstilzchen)」のこと。読んでいて、私も思わず「グリムやんけ!」と(心の中で)叫んだ。
「諱」と「グリム」のカップリングには、唸らざるを得ない。
故に、中編2編とも楽しめたけど、後の方が私の好みである。
【参考リンク】
原田ひ香『人生オークション』 (01/29)
【ネット上の紹介】
不倫の果てに刃傷沙汰に及んでしまい、謹慎中のりり子叔母さん。就職が決まらずアルバイトをする私は、気分転換にと、一人暮らしを始めた叔母の様子を見に行くことに。そこで目にしたのは、トラック一台分はある、大量のダンボール。処分に困った二人はそんな「お荷物な過去」をせっせとオークションにかけてゆくが…。“欲しいもの”を手放していく叔母と、“欲しいものが欲しい”私。世代も生き方も異なる二人を鮮やかに描く、ちょっとしたご縁のハナシ。
【関連リンク】
→ルンペルシュティルツヒェン (Rumpelstilzchen)
・・・ちなみに、上記ウィキペディアの【関連項目】に「西の善き魔女」があがっている。(さすがウィキペディア、すばらしい!)
私は、「西の善き魔女」をハードカバーで読んだけど、文庫版も出ている。
(中公文庫版)
少し時間ができたので、阿武山に登ってきた。
安威川沿いを自転車で進む
遠く吹田方面を見渡す
(阿武山は登山口から30分くらいで登れる)
「善人長屋」西條奈加
久しぶりに 西條奈加作品を読んだ。(昨年の秋以来)
やはり面白い。
私が面白いと感じるレベルは、世間より高いが、しっかりクリアーしている。
すばらしい実力の持ち主と思う。
内容は、住人全てが裏家業を持つ「善人長屋」に、根っからの善人が迷い込むところから始まる。単純な善と悪の対比だったのが、その境界線がどんどんぼやけてくるに従い、面白さも増してくる。
9話の短編からなるが、後半の方がより面白くなる。
特に最後の3編が秀逸。
「冬の蝉」
「夜叉坊主の代之吉」
「野洲屋の蔵」
エンディングもすばらしい。
××な○○にしていないところgood。
(伏せ字にしないと、ネタバレになるので、御容赦)
PS
今回読んでいて、「おっ!」と感心したのは、大阪弁を見事に駆使していること。
この作家さんは、たしか北海道出身のはず。
どこで関西弁を習得したのだろう?
例えば、次のような会話。
P176
「ほうか、そいつはまた、難儀なこっちゃ」(中略)
「なかなか面白い話やったが、我はいわば、わしにとっては一見さんや。証しも信用もあらへんもんと、いきなり商いをはじめろと言うんか」
・・・ホント、見事である。(誰かに監修を頼んだのだろうか)
PS2
ちなみに、私が読んだ他の西條奈加作品は次の3冊。
まだまだ、これからも読んでいくつもり。
(西條奈加作品を初めて読むなら、「烏金」がお薦め・・・大江戸金融エンターテイメント!)
【参考リンク】→ ●烏金
【ネット上の紹介】
“真面目で気のいい人ばかり”と噂の「善人長屋」。しかし陰に回れば、差配も店子も裏稼業の凄腕揃い。そんな悪党の巣に、根っからの善人、加助が迷い込んだ。人助けが生き甲斐で、他人の面倒を買って出る底なしのお人好し…。加助が持ち込む厄介ごとで長屋はいつも大騒動、しぶしぶ店子たちは闇の稼業で鳴らした腕を揮う。